2012年以前撮影紀行(抜粋) NO5





2011年12月13日 滝子山


 滝子山は昨年12月に訪れて以来1年ぶりである。19山ある十二景の山を今年訪れた回数は今回で35回目になるが、今年始めて訪れた滝子山で19山全て踏破したことになる。滝子山には年2回ぐらいは訪れたいと思っている山であるが、アプローチが長く、足場もそれほど良くないことからどうしても敬遠しがちである。足の遠のくことがないよう来年は回数を増やそうと思う。
 ここのところ天気が安定し、今日も天気は終日晴の予報が出されている。昨年訪れた時は天候に恵まれず、滝子山からの富士山撮影は不発に終わったが、今回は何とかカメラに収めたいと主役の登場を願っている。
  午前3時、道証地蔵のある登山口を出発。気温は0℃と暖かい感じである。天空は星空で一杯。そんな星降る中、寝待月(満月から3日目)が一際明るい光を放っている。木の影が地面に映るほどの明るさで夜道を歩く際の強い味方である。
 暫くの間“すみ沢”の左岸側(上流を背に左側)を左に沢音聞きながら歩くが、20分ほどすると落ち葉の多い所に差し掛かる。昨年は50〜60cmの堆積があり登山道が分からない状態であったが、今年は20cm程度で難なく通過することができた。更に10分ほどすると対岸に渡る丸木橋に出会うが、この橋は台風で被害を受けたと見られ、新しく架け替えられた鋼製の仮橋の直ぐ脇に流されたままの形で放置されている。新しい橋は幅も広く夜道でも不安なく渡れるようになったことは大変有り難い。
 橋を渡ると沢音は右側からゴーゴーと大きな音で鳴り響き、水量の多さを証明している。これから暫く沢の右岸側を歩くことになるが、沢の斜面に切られた登山道は谷底から相当高い位置に敷設され、更に足場の悪い箇所もあるため、歩行には十分注意が必要である。登山道の高い位置からは月の光が沢の水面に反射し幻想的な光を放っている。この光景は大変印象的である。
 沢から少し離れると大鹿山と曲がり沢への分岐点に出会う。ここまで来ると沢音も遠ざかり静かになるのだが、今日は一向に衰えることなく大きな音を放っている。分岐点を過ぎるとザレ場に差し掛かる。ザレ場には登山道方向にロープが数本の木に固定され設置されているが、そのうちのロープを固定している中間の1本の木が根こそぎ倒れ、ザレ場の中腹にロープに支えられたままで止まっている。本来このザレ場の道は、ほぼ水平に切られていたが倒れた木が遮断しているため、少し谷側に降りるような形で通過するように変更されている。
 やっと難所を通過し、骨組みだけになった炭焼き小屋?を過ぎると、先日降った雪がちらほら目に付くようになってきた。登るに連れ雪の量は増加し、大谷ヶ丸への分岐点では5cm位の積雪がある。これからダラダラした駄々広い尾根を登るが、尾根に積もった雪が月明かりに照らされ、登山道はヘッドランプが要らないくらいの明るさで保たれている。
 鎮材池を通過し山頂へは6時05分に到着。途中、難儀した箇所もあり予定より10分ほど遅れての到着である。東の空は既にオレンジ色に染まり、辺りは肉眼で確認できるほど明るくなっている。そして、正面には富士山が撮ってくれと云わんばかりに、重厚な姿を見せている。気温は-4℃、風はなく体感温度はかなり高い感じである。今日は東にも雲はなく快晴で、富士山撮影では特徴を出すことは難しいが、せめて紅富士になってくれればと願いを込める。
 日の出時間は6時40分頃、時間通り朝日が差し込み、富士山の雪面に当たった光は多少紅みを帯びた程度で期待には及ばない。しかし、目前の堂々とした富士山の姿に何時見ても感動を覚える。滝子山からの富士山は暫くカメラに収めることが出来なかったが、今回、久々に達成された。
  8時15分山頂を後に下山を始める。今日は下山時に炭焼き小屋の付近で2人組の登山者と、沢を渡る橋の付近で1人の登山者と出会った。道証地蔵の登山口には10時20分に到着。近くの空き地に止められている車は自分のもの以外はなかった。





今日の富士山


 今日は雲一つないピーカンで特徴のある写真を撮るのは難しいが、堂々とした富士山が眺められただけで充分である。




朝日が入り僅かに赤味を帯びる        6:45頃    
手前の木に光が入る            7:25頃



 
 
 
 

 





登山道の状況


 滝子山は十二景の山で最もアプローチが長く、すみ沢コースは、道証地蔵から山頂までの標高差は約800m、沿面距離が4.3kmで、所要時間は約3時間掛かる。平均勾配からするとやや所要時間を多く必要とされるが、沢の中腹を歩く箇所が多く足場があまり良くないためと思われる。
 このコースは滝も多く新緑や紅葉の時期は山頂を目差すのみならず、沢に降り立ち滝を鑑賞するのも良いと思う。
  大鹿山への分岐点を通過すると、ザレ場(砂より粒子の荒い砂礫が堆積している場所)を通過することになるが、ザレ場はズルズルと滑り易く、斜面では顕著である。このように急斜面の場所では、谷底までズリ落ちる可能性があり、バランスを取りながら一歩一歩慎重に歩くことが要求される。このザレ場も表面の浸食で少しずつ崩れ落ち、年々様相に変化があるが、今年は特に台風の影響により1年前と比べ大きく変化している。顕著に浸食が進行すると通れなくなる可能性があり、今回、山側を迂回する回避ルートの調査をするつもりであったが、ついでにと云うのは難しく、目的を絞って次の機会に谷側のルートも含め調査するつもりである。


山頂の様子(雪が少し残っている)     7:00





山頂から北側の展望 7:05頃 (南斜面が写っ
ているため積雪は見られない)






以下の写真は下山時に撮影したものを、時間を追って並べてある


山頂〜鎮西ヶ池に下る登山道        
8:25頃  

鎮西ヶ池にある白縫神社          8:30

鎮西ヶ池を下った先の駄々広い尾根
道      8:40頃

八ヶ岳連峰(左記の尾根道より撮
影)     8:40頃




大谷ヶ丸への分岐点          8:45
頃    

  分岐点から少し下った先の登山
道     8:50頃

 骨組みだけになった元炭焼  小
屋?     9:05頃

   曲ッ沢峠への分岐点     9:
10頃




ザレ場(昨年の今頃とは様相が異な
る)     9:20頃      台風で根こそ
ぎ倒れた木がロープに支えられ、斜
面途中で

止まり登山道を塞いでいる。

ザレ場から谷へ少し下った所にある
形の整った滝 9:30頃


架け替えられた鋼製の仮橋        
10:00頃     押し流された旧木橋が新
橋の左下に見える          

落ち葉の最も堆積している場所      
10:00頃  仮橋を下山方向に渡った
直近





登山口直近の橋(左に傾いてい
る)     10:20頃    


道証地蔵のある登山口     10:20頃
登山口近くの空き地10:20頃他の車
は置かれていなかった








   

   行程: 道証地蔵登山口(3:00発)→右岸へ渡る橋(3:30)→ 大鹿峠への分岐点(4:05)→ザレ場(4:30)→

       曲ッ沢峠への分岐点(4:45)→大谷ヶ丸への分岐点(5:25) →鎮西ヶ池(5:50)→山頂(6:05着・8:15発)→鎮西ヶ池             (8:30)→大谷ヶ丸への分岐点(8:45)→曲ッ沢峠への 分岐点(9:10)→ザレ場(9:20)→右岸へ渡る橋(10:00)

→道証地蔵登山口(10:20着)



                                       使用カメラ:・CANONEOS20D ・FINEPIX F300EXR  








2011年12月7日 奈良倉山


 今年、奈良倉山へは5月、9月、11月に訪れ、今回は4度目となるが、9月、11月は雨や霧に見舞われ、富士山をカメラに収めることは出来なかった。今回は雨上がりの日で、天気予報は未明から晴れの予報が出されている。富士山さえ姿を見せてくれれば・・・・・そんな願いを込めて奈良倉山を訪れることにした。
  自宅から松姫峠までは一般道(青梅街道から国道139号線)経由で訪れることが多く、今回も同様のルートで向かうことにした。自宅からの所要時間は1時間40〜50分ぐらいであるが、路面の凍結があると20分ほど余計に掛かり、これから寒くなるにつれ、余裕を持って自宅を出発しなければならない。
  自宅を午前3時に出発。奥多摩湖を4時頃通過し、松姫峠には4時40分に到着。峠はガスで覆われているが、時折、ガスの切れ間から星空を望むことができる。この様子からは天気は悪くないようである。
  5時に松姫峠を出発する。今回も撮影場所は見通しの良い山頂南側の林道で行うことにした。ここへ直行する場合、時間短縮のため山頂へは登らず、いつも林道経由で行くことにしている。途中、富士山の良く展望できる所(ここも撮影ポイント)があり、ここからは富士山の姿は確認できるが、今日はガスで南側の谷は完全に埋め尽くされ、その上に富士山が頭を覗かせている状況である。今回は久々に良い写真が撮れそうな気がする。そんな期待を抱きつつ、5時35分、撮影場所に到着。日の出時間までは1時間近くはあるが、既に空は白み、ガスのせいか周辺全体が明るく感じる。気温は0℃、風はなく寒さはあまり感じない。谷を埋めているガスは絶えず動きがあり、時間と共に薄れていくものと思われる。今日の日の出時間は6時36分頃、東の空は雲が多く富士山に光が差す時間は遅れそうである。日の出時間を10分ほど過ぎてやっと富士山に朝の光が入り出した。ガスの影響だろうか光は弱く、富士山の姿もやや鮮明さに欠けるが、活発なガスの動きが幻想的な雰囲気を醸し出している。何度か素晴らしい場面があり富士山をカメラに収めることができた。
 7時20分、ここでの撮影を終え山頂へ向かう。山頂へは林道から急斜面を直登し、10分ほどで到着する。山頂からの富士山も眺めは良いが、前面に杉の木が入り込み撮影の妨げになることもあり、今回はここでの撮影を諦め、次の撮影場所へ移動することにした。
 山頂から林道西側に下り、林道を南西側に少し歩くと視界が開けた撮影場所に到着する。眼下には深城ダムが目に入る。谷を埋め尽くしていたガスは殆ど消えていたが、全般に靄が掛かって抜けがあまり良くない。富士山の姿も不鮮明で撮影してもコントラストの不足した写真になる可能性はあるが、念のため撮影を続ける。8時45分撮影を終え松姫峠へ向かう。林道の途中から山道(遠回り道)に入ると、厚く積もった枯葉の絨毯が敷き詰められ、これを踏みながら歩くのも風情があり、素晴らしい雰囲気を味わうことができる。
 9時20分には峠の駐車場に到着する。ここには1台のワゴン車が止められ、降り立った人達が峠からの眺めを楽しんでいた。




今日の富士山




霧が流れる               6:30頃    
朝陽に色付く                 6:45頃



 





登山道の状況


撮影場所の林道(1段上がった所が
撮影地点)  7:20頃  

林道から山頂への登り口  (山頂の
南側)    7:20頃

南側登り口からの富士山     7:20
頃    

 山頂への南側登山道         (急斜
面)   7:25頃




山頂展望所からの富士山   7:30頃
山頂の様子        7:30頃      

山頂より林道(西側)へ降りる登山
道    7:35頃

山頂を降り立った西側林道(撮影場
所付近)   7:45頃  




林道から山道(回り道)への入口      8:55頃
山道(登山道)は枯葉で一杯        9:15頃    

松姫峠駐車場              9:30頃









                                          使用カメラ: ・PENTAX 645N  ・OLYMPUS E-P2  ・FINEPIX F300EXR







2011年11月8日 奈良倉山


  奈良倉山は前回9月末に訪れたが、晴の予報にも係わらず雨が降り富士山撮影は不発に終わった。今年に入って今回は3度目になるが、今日は天気予報もまずまずで、何とか晩秋の富士山をカメラに収めたいと願いを込め訪れることにした。
  松姫峠の駐車場には午前4時に到着。道中、曇り空で星を見ることは出来なかったが、峠に到着の頃は星空が望めるだろうと思いきや、霧で視界は悪く、前回の二の舞かと思われた。ここで家に戻る訳にはいかず、4時半、山頂近くの撮影場所に向かい出発する。幸いにも雨には祟られず、撮影場所には5時10分に到着した。しかし視界は悪く、近くの山並みが霧の間から微かに望むことができる程度の視界である。暫くすると視界は完全になくなり小雨が降り出した。
 天気は益々悪くなる様子が窺われるが、チャンスがあるかも知れないと気を取り直し、暫く待機することにした。
 一向に回復の兆しはなく、撮影を諦め7時に山頂経由で下山を始める。雨は上がったようであるが、多少視界は良くなったものの空は厚い雲に覆われ、富士山が姿を現すことは先ずなさそうである。
  今回も富士山撮影は不発に終わったが、山道からの紅葉は素晴らしくこれらを撮影しながら下山した。





花と山道の紅葉


 全般に気温が高いせいか未だ野菊が見られる。紅葉の色づきはあまり良いとは云えず、紅葉する前に枯落ちた葉も多く見られる。それでもカエデ科の木本は色づきも良く、濡れた葉はしっとりした輝きがあり美しい。綺麗なものを選んで写真に収めた。霧に煙る紅葉もなかなか良いものである。


リュウノウギク(竜脳菊)      キク
科     6:37        

マムシグサ(蝮草)の実      サト
イモ科     7:09  

林道から山頂への登山口    7:11
奈良倉山山頂           7:20




枯葉の積もった林道へ下る
登山道 8:06  

朝霧に包まれた林道           8:19
色合いが異なる落葉           8:45  
霧に濡れしっとりとした輝きが美し
い    8:46













一際鮮やかに目に映る      8:
47        

落葉したカエデが目映い           8:59
霧の中の紅葉     9:06  
霧にまみれうっすらと  日本画
的    9:06









松姫峠駐車場(小雨交じりで相変わらず霧が
濃い)        9:20














                                                使用カメラ:FINEPIX F300EXR