2013年撮影紀行 NO12





12月21日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山


 前日は関東甲信地方全般で雪が降り、大月の北の方の山ではある程度の積雪が期待できた。富士山撮影で雪が降るとまず思いつくのが、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、大蔵高丸・ハマイバ、奈良倉山で大月市内の北の方にある山である。奈良倉山を除いては林道が閉鎖され、どうしても登山口まで2時間程の行程をプラスしなければならない。そういう面で奈良倉山には入りやすいが、土曜日ということもあり撮影に訪れる人も居ると思われるが、山を独り占めするため、先ずは人が来ないであろう牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
  日川林道に取り付く西尾根登山口までは閉鎖ゲート(ペンションすずらんの近く)から近道を歩いても1時間半ほど所要時間を見込まなければならず、更に山頂までは無雪期の最低でも2倍は掛かりかなりハードな山登りが強いられる。
  大月ICを午前2時頃に降りたが、雪の積もっている気配は全くない。拍子抜けしたが、笹子に入ると白いものが目に入るようになりホッとした気持ちである。
  R20号の笹子トンネルを抜けると銀世界に変貌していた。R20号から日川ダムに向かう県道218号に入ると積雪は更に増え、道路には圧雪された雪が厚く積もっている。所々、凍結がありカーブではスピードはあまり出せない。
  ペンションすずらんを左手に見ながらそろそろ閉鎖ゲートと思われたが、気が付いた時はゲートを過ぎていた。閉まっていると思ったゲートが開いていたのである。一瞬ゲートの所に戻ろうかと考えたが、登山口までいつもの近道を歩くより、このまま日川林道のゲートまで行った方が時間を短縮できると思った。
  日川林道の北側ゲートに付いたのは、2時45分、案の定ゲートは閉鎖されていた。開いていたとしても45cmの積雪では4駆でも腹を摺って走行不能である。3時15分にゲートを出発。天空には寝待月が雪面を明るく照らしている。ヘッドランプが不要なくらい明るい。山に自分一人だけが居ると思うと全てを独り占めしたという優越感のようなものを感じる。
  風が強く、木々の合間を抜ける風音がうるさい。時折、木に付いた雪が強風で舞い、自分の頭の上に降ってきて、首筋に雪が入り込み冷たい思いを味わなければならない。
 雪質は湿気が多く、潜った足を抜くのに普段鍛えていない筋肉を使うためエネルギーを使い、体力の消耗も多い感じがする。
  暫く上り坂が続き、ピークを超え、下り坂に入ると間もなく雨の沢を横断する。ここはサグ点で、また登り坂になるが、間もなくすると登山口である。ところが、登山口を雪が多かったためか見落としたようである。上り坂の途中になければならないのに気が付いた時は下り坂で、雰囲気が違うのでやり過ごしたことに気が付いた。戻ること20分、登山口につい時は既に5時を回っていた。
  登山道にはいると更に積雪は増し、登り初めの頭を垂れた笹藪は雪を落としてからでないと先に進むことが出来ない。通過に結構難儀する。更に進むと100段以上続く木製階段が現れる。勿論、雪の深さに埋もれて存在が全く分からない。アイゼンを付けて登るのは歯が引っかかり危険であるが、付けないと滑りやすい雪でこれも危険である。以前、同じような雪の多い状態の時、下りで歯が引っかかり、20段程、3回転半して転げ落ちたことがある。幸い打撲で済んで良かった思いである。
  何とか階段のある難所を登り切ったが、暫く登ると登山道が分からなくなっていた。途中間違えた認識はなく、何せ雪が多くて状況判断が出来ない。この雪では探しても見つかる保証はない。根性と思い、とにかく登れば山頂にたどり着くと、道無きを登り始めたが、雪が多くで捗らず、そのうち疲れが出て、バランスを崩し転倒するようになった。転倒すると起きあがるのに雪が深く難儀する。ザックを外さずに起きあがるのは困難である。
  このペースでは山頂到着は昼過ぎになると予想された。今年2月のやはり積雪の多い時に、下山時に道を間違え、散々な目に遭ったことがある。この時は、日川林道の登山口の南1km位の所に降り立ち打撲は負ったものの無事帰ることが出来た。体力の消耗、山頂到着時間、道に迷う可能性、危険性、等々不安要因を拭えず、登山口から1時間程登ったところで悔しいが断念することにした。
  今回は富士山の展望できるところまで行き着けず、今日の富士山は叶わなかった。また、登山道の状況などは余裕がなくて撮影できず、残念ながらいつも通り写真入りの撮影紀行にはならなかった。  



       行程: 日川林道北側ゲート(3:15発)→この間ロスタイム40分→登山口(5:00) →断念箇所(6:00)→登山口(7:00)→ゲート(8:00)