2017年 撮影紀行(その7)
12月3日 扇山
梨ノ木平の駐車場に着いたのは午前2時40分。車の外に出るとやけに明るい。西の空に小望月(満月の1日前)が煌々と輝き周辺を明るく照らしている。月の強い明かりにより星の存在感がやや薄れているが目を凝らすと満天の星空が展開されている。風もなくそれ程寒さはない。今日は穏やかな日和になりそうである。
師走に入り今年も残すところ僅かとなった。来年の「秀麗富岳十二景カレンダー」作りは大詰めを迎えているが、12月は扇山からの富士山を採用する予定である。
今月中頃には2018年版カレンダーを完成する予定をしているため12月の早い時期、且つ確実に撮影出来る日を狙って撮影に訪れた。 腰の状態が未だ不完全で今年5月以降、山に登る回数は激減し、月1回のペースとなっている。腰の治療は定期的に受けているが多少改善は見られるものの思うような回復に至っていない。今回の扇山も今年2月に登って以来10ヶ月ぶりとなるが、扇山は登山道の整備が行き届き、傾斜も比較的緩く、快適な山歩きが出来そうである。
3時に登山口を出発。駐車場の路面は木の影が映るほどに月明かりで明るかったが、山に入ると登山道は木々に被われ、小望月による恩恵を受けることは出来ない。扇山の登山道は整備のお陰で、歩き易く腰への負担が軽減されそうである。途中の水場を3時40分に通過。ここを過ぎるとつづら折りの登山道が始まる。気温は0℃、運動量の割に殆ど汗はかかず程良い心地である。
ツツジ群生地の分岐点に4時05分に到着。ここは富士山の展望地となっている。月は既に沈んだと思われるが、暗くて富士山の姿は確認出来ない。百蔵山への分岐点を4時30分に通過。これから尾根道を山頂に向かうが標高が高くなったせいか気温がやや下がった感じがする。
山頂到着は4時30分。富士山はおぼろげながら黒い姿で確認出来る。気温氷点下2.5℃。風はなく強い寒さは感じない。日の出時間まで約2時間あるため、バルブで富士山を撮ってみる。最近のデジタル1眼はモニターを確認しながらシャッターを切ることが出来るため失敗は殆ど無い。その撮影結果から肉眼では分からなかった笠雲が富士山頂に現れていることが判明。日の出時間まで居座ってくれると朝焼けた笠雲が撮影出来る可能性がある。今日の日の出時間は6時34分(東京)。
5時頃になると東の空はオレンジ色の光りを放ち今日の幕開けの準備を始めている。やや雲が多いが日の出の邪魔にはならないと思われる。笠雲は依然と居座り、全体に大きさを増している。東の雲の影響で日の出はやや遅れたが、朝日が差し、富士山頂の笠雲が焼け始めた。更に笠雲は発展し形はあまり良いとは云えないが大きな塊のようになった。日の出時間を過ぎても笠雲は形を変えながら居座り続けたが徐々に形が整ってきた。7時を過ぎた頃には扇山山頂にも光が入り、前面の落葉松が色づきを見せ、綺麗な情景が展開された。
これで何とか12月のカレンダー用写真が撮影出来たようである。 今年1月から12月まで各月に撮影した12枚の写真が出揃ったことになる。5月以降、腰痛の関係から月一回の撮影がやっとの事で、途中達成出来るかどうか危ぶまれたが写真の善し悪しは別として1年を通じ季節感のある写真は撮れたように思われる。
今日は笠雲の出現である程度満足出来る写真が撮れたように思う。大月市のコンテストに応募できる写真も選別し、纏め上げなければと思っているが、今年後半の半年は撮影回数が少なく応募できる写真は今までになく少なくなりそうである。
8時に下山を始める。笠雲は消えることなく依然として居座っている。途中、ツツジ群生地への分岐点の展望地に於いても笠雲は健全な姿を見せていた。梨ノ木平の駐車場には9時10分に到着。 今日は山頂で登山口から走って登って来たという地元の若い男性と、下山時には3人の単独男性、及び夫婦の登山者と出会った。
今日の富士山
今日は大きな笠雲に出会うことが出来た。日の出時間には朝焼け雲が見られ、素晴らしい情景に出会う事が出来た。
夜がける前の笠組を冠した富士山 5:30頃 |
笠雲の朝焼け 6:45頃 |
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笠雲の中に新たな雲が現れる 6:50頃 |
山頂の落葉松に光りが入る(笠雲が整ってきた) 7:20頃 |
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山頂及び登山道の状況
登山道は良く整備され歩き易い。難所もなく安心して登山が出来るため登山者にとって大変有り難いことである。扇山の平成28年の年間登山者数(入山、下山合わせたカウンター数)は約1万人と岩殿山に次いで多く、十二景の山では人気の山ということが出来る。広い山頂にはベンチが多く設置され、素晴らしい富士山が展望出来る。
以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って配置してある
山頂の様子 8:05頃 |
山頂特金の下山道 8:10頃 |
百蔵山への分岐点 8:10頃 |
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尾根から下るつづら折れの
登山道8:15頃 |
ツツジ群生地への分岐点 8:25頃 |
左記分岐点の展望所から 8:25頃 |
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水場近くの祠 8:40頃 |
中腹の水場 8:45頃 |
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登山口近くの登山道 8:55頃 |
梨ノ木平の駐車場 9:10頃 |
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使用カメラ: ・ OLYMPUSE-M1 ・EXILIM EX-ZR62
11月10日 笹子雁ヶ腹摺山
笹子雁ヶ腹摺山へは足が遠く昨年11月に訪れて以来1年ぶりである。十二景の山ではあまり人気がなくコンテストの応募者も少ない。登山がハードな割には送電線の鉄塔が写り込み景観があまり良くないというのが理由のようである。今回は「秀麗富岳十二景カレンダー」作成が目的で、11月のカレンダーは当山からの富士山を予定している。
11月8日は久しぶりに富士山が冠雪し、雪が消えないうちにと思い当日訪れることにした。最近は体力が落ち余裕を持って山頂を踏みたいと思い24時過ぎに自宅を出発した。中央道を降り国道20号を笹子に向かい車を走らせ旧道に入ると車止めがあり進入出来ない状態になっていた。閉鎖の案内はないし何らかの理由があると思われた。矢立の杉まで4kmと案内板に書かれている。笹子峠の登山口までは更に1.5kmあり、歩いて1時間30分は掛かると思われた。時刻は2時20分、日の出時間6時10分まで3時間50分あるため十分間に合うと踏んだ。急いで登山靴に履き替え車止めの間を通り、50m程歩くと笹子トンネル側に20号線からの矢立の杉へ向かう新たな入口が出来ていた。入口が変わった旨、案内板があれば心配せずに済んだのだが、正直ホッとした気持ちである。車に戻り登山口に向かう。
登山口を出発したのは2時40分。天空を仰ぐとやや鈍い光りの星が夜空を飾っている。これで何とか富士山をカメラに収めることが出来ると思われた。今日は気温が下がり良い情景に出会えると期待感がある。
今回は迷う事なく笹子峠の案内標のある急斜面入口に到着。この急坂の登りは何とかクリヤー出来るが、腰の状態が不完全なため下りは出来れば回避したい。下山時に迂回路がないか調査するつもりである。この急坂に最近と思われるが、ローブの他に鎖が設けられていた。安心感が増したのは有り難いことである。早速鎖を頼りに急坂を登る。思いの外時間を要したが無事登り切り山頂に向かうことが出来た。 一番目の鉄塔を3時30分に通過。急坂で大分時間が掛かったため遅れ気味である。2番目の鉄塔は4時に通過。この鉄塔間は尾根道と新道の2コースがあり、アップダウンの少ない新道を行くことにした。
山頂直下の急斜面を登り切り、山頂には4時30分に到着。所要時間は1時間50分掛かった計算になる。以前に比べ体力低下と腰痛で登りに長時間費やし情けない思いである。 山頂は風もなく穏やかな感じだが、雲が多く合間から星が疎らに見える。山頂からは木が邪魔になり富士山を展望することは出来ないが、毎回、山頂を少し南に下った地点で撮影している。足場は斜面で決して良くないが山頂付近で他に展望出来る場所がない。この場所は視界の開けた状況でないが望遠系のレンズを使えば何とか撮影出来る。現在は雲が多く富士山を望むことが出来ないが、富士山が姿を現すまでく待つしかない。撮影地点の湿度は97%、気温2℃と冷え込んでいるが、風がないためそれ程寒さは感じない。
撮影準備を整え暫く待機するが、日の出時刻を10分程過ぎてからやっと山頂の1部分がもったいぶった感じで姿を現した。しかし、20分程で視界は閉じた。何枚か撮影したが山頂の一部分が見えただけで絵にはならない。また、待機を始めるが回復の兆しはなく、今日は諦め、出直そうと思い8時に下山準備を始める。カメラをザックに収め下山開始寸前になって何と富士山が姿を現した。しかし、雲が全般に多く湿度も高いため、靄が掛かったように不鮮明な富士山の姿に撮影意欲は減退した。富士山の姿はあるものの一向に状況変化はなく9時30分下山を始める。
今回は鉄塔間の尾根コースを行き、富士山が撮影出来る場所があるか調査しながら下山したが、何処も木の枝が邪魔し撮影場所は見付からなかった。尾根コースは以前登りで使ったことはあるが、下山時は始めてである。鉄塔間の標高差は余りないが、アップダウンの多いハードなコースで登りも下りもエネルギー消費量は殆ど変わらない感じである。
下山最後の急斜面に差し掛かるが、回避ルートがないか甲斐大和へ向かう登山道を少し下山し、途中から笹子峠に迂回するルートがあると思われた。以前も笹子峠側から調査したことがあったため勘が働き回避ルートが見付かった。時間的にも急斜面を降りた場合とそれ程差はないと思われた。迂回路を使う方が体力的に余程楽である。 今日は下山時に夫婦の登山者と出会った。
今日の富士山
今日は日の出時刻を過ぎた6時20分に視界が開き富士山山頂の写真にならない程の僅かな部分が見られたが、20分程で視界が閉じた。その後視界が開いたのは8時25分。靄が掛かり撮影条件はあまり良くなかったがカレンダーに使える写真は撮れたと思う。
日の出時刻10分後に山頂の一部分姿を見せた 6:35頃 |
再び8:30頃視界が開き安定してきた富士山 9:00頃 |
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山頂と登山道の状況
送電線鉄塔間は2コースに分かれていて、登りはアップダウンの少ない新道コースを、一方、下山時はアップダウンの多い尾根道を歩いた。久々に尾根道を下山したが結構ハードなコースで、展望に優れているが富士山の全容は木の枝が邪魔し見ることは出来なかった。この尾根道からは送電線鉄塔は画面に入らない状況にあり、次回、新道コースでも撮影出来る場所があると思われるため調査する予定である。
以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。
山頂の様子 9:35頃 |
山頂直下の急斜面 9:40頃 |
日当たりの良い下山道 9:55頃 |
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笹子峠から2番目の鉄塔 10:05頃 |
尾根道と新道の分岐 10:05頃 |
アップダウンの多い尾根道10:25頃 |
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富士山全容は見られない11:10頃 |
岩のゴロゴロした急斜面 11:30頃 |
尾根道の鉄塔 11:45頃 |
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笹子峠の分岐標 12:25頃 |
笹子峠 駐車場 12:30頃 |
旧道の笹子トンネル 12:30頃 |
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使用カメラ: ・ OLYMPUS E-M1 ・EXILIM EX-ZR62
10月18日 雁ヶ腹摺山
気温低下と共に雨が降り続き、富士山の撮影チャンスを窺っていたが、気象予報では雨の合間の18日に晴れが示されていた。それも午後には雨が降る予報となっていたが、この日を逃すと10月はこれからチャンスがないと思われた。
自作カレンダーの完成を目指し、9月までの採用写真を決めているが、今月は何としても雁ヶ腹摺山から撮影しなければならない予定を組んでいるため、天気予報を信頼し、一発勝負で訪れることにした。
大峠の駐車場には午前3時15分に到着。予想に反し車は1台も止められていない。紅葉は未だなのだろうか・・・・?やや不安な気持ちになる。無風で天空は満天の星空であるが、暗くて富士山の姿は確認出来ない。昨晩の雨で雲海発生も予測されたが、その様な情況は今の所なさそうである。気温が大分下がっているようで、富士山はすっきりした姿を見せてくれると思われる。
3時40分駐車場を出発。昨晩の雨で落葉が濡れて滑り易い状態になっている。今日の撮影場所は山頂直下の大きな岩の上で日の出時間帯の富士山を狙う。その後、山頂に移動し撮影を続ける予定である。途中の展望所から南方向を望むと富士山は黒い姿で形を現している。これで何とかカメラに収められると思うとホッとした気持ちになる。
大きな岩の撮影場所には5時05分に到着。既に明るみを帯び富士山もハッキリした姿で佇んでいることが分かる。富士山に未だ冠雪が無いのは残念であるが、それを待つしかない。全般に雲は多いものの大きく青空も望める。雨上がりで所々小規模ながら雲海の発生も見られる。午後からは雨の予報も有り、早めに撮影を切り上げようと思っている。
今日の日の出は5時50分(東京)、日の出時間に近づくにつれ富士山の上空の雲が彩を成してきた。雲にも変化が現れ、時間の経過と共に情景は刻々と変化を遂げ、撮影チャンスがやって来た。撮影を続けていると下方で男の話し声が聞こえる。恐らくこの場所の下方に登山道から奥まった撮影場所が有り、谷が一望に見渡せ、紅葉撮影には絶好の撮影場所となっている。2名の男性と思われるが、そこで撮影をしているに違いないと思われた。谷の紅葉は全般に最盛期に至っていないと思われるが、夏の暑さで綺麗な紅葉が見られるか定かでない。
6時40分、撮影場所を山頂へ移動することにした。山頂からは前景の白樺やカエデが紅葉し富士山の姿を修飾しているように思える。山頂のカエデは色が悪く同じ木でも紅葉しているものと緑のままの葉が混在し夏の暑かった気温が影響していると考えられる。また、個体によって葉が枯れているものもありその差が多く見られる。
7時半頃になるとガスが発生してきた。見る見る視界が閉ざされ富士山は姿を消した。1時間程待機するも回復には至らず、9時30分に下山を始める。
短い撮影時間内であったがカレンダーに使用する写真は取り敢えず撮影が出来た。欲を言えば冠雪があれば10月に相応しい季節感を表現出来たと思われるが、今年の10月はこれまで雪が降らなかった証明である。 今日は山頂で地元の方と出会い、暫く世間話をした。また、下山途中で男女4人の登山者グループと出会い挨拶を交わした。
今日の富士山
山頂直下の大きな岩の上から(日の出時間帯) 5:55頃 |
同左場所から(谷間から富士山に掛けての展望)
紅葉の見頃は未だ先のようだ 6:15頃 |
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山頂付近から(白樺、カエデの紅葉) 7:10頃 |
山頂から(ガスが発生・間もなく富士山は姿を消した)7:45頃 |
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山頂及び登山道の状況
今まで大峠から山頂まで一時間で登ることが出来たが、今回は腰の状態が不完全なため一時間半程掛かった。今までなかったことであるが斜面をきつく感じた。早く治さなければと思うが、残り2年数ヶ月で後期高齢者を迎えることになり、回復に時間が掛かることを実感している。
雁ヶ腹摺山は一般の人達にもよく知られていて登山道も良く整備され、市でも力を入れていることが伺える。また、危険な箇所にはロープが張られ安全が確保されている。
この時期になると高い山では殆ど花は見られないが唯一トリカブトが沢を渡る木橋の橋詰めに咲いていた。登山道際の紅葉は所々で見られるが、鮮やかさに欠けて見える。暑すぎる夏が長く続いたことが原因のように思われる。
紅葉が疎らな山頂のカエデ |
山頂の様子 9:25頃 |
登山道際の紅葉(冴えない) 9:30頃 |
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巨大な自然岩石 9:30頃 |
大きな岩(最初の撮影場所)
9:30頃 |
標高が下がると紅葉は鮮やか
9:50頃 |
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山頂と大峠への分岐標 10:10頃 |
唯一見られたトリカブト 10:15頃 |
長い谷を渡る木橋 10:20頃 |
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御硯水と書かれた水場 10:45頃 |
大峠の駐車場 10:50頃 |
大峠の富士山展望所(ガスで視界がない)10:50頃 |
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