2016年 撮影紀行(その8)
10月18日 ハマイバ・大蔵高丸
前日降雨があり降水量も予報では比較的多い量を示していた。当日の予想気温は高く雲海発生に対する懸念材料であるが、他の発生条件を含め類推すると高い確率で雲海発生があると思われた。雲海と富士山を写す適地は十二景の中でも何カ所かあるが、甲府盆地側からの雲海も加味し、ハマイバから狙うことにした。
午前3時10分、湯ノ沢峠の駐車場に到着。未だ他に車は止められていない。今日は独り占めか? 西の空には満月から2日目の”立待月”が輝き、影が出来る程に周辺を明るく照らしている。風は無風、湿気は多く生暖かい感じがする。
3時30分、湯ノ沢峠を出発。ヘッドランプが不要な位の月明かりで、夜道の不安感を解消してくれる。湯ノ沢お花畑に差し掛かると西側の甲府盆地は雲海で埋め尽くされている。雲海の高さはやや低く感じるが、ここからでは富士山に絡むか不明である。
大蔵高丸には4時10分に到着。富士山はしっかり姿を見せているが、富士山に絡む雲海は僅かで甲府盆地の雲海との繋がりはない。大月側にも小規模ながら雲海は発生しているがこれとの繋がりは不明である。今回の撮影地点は山頂から少し下った視界の広い場所で行うことにした。
ハマイバの撮影地点には4時40分に到着。富士山は相変わらず雄大な姿を見せている。未だ夏富士の姿であるが、1日も早く冠雪が欲しいところである。富士山の手前に僅かながら雲海の発生はあるが、甲府盆地のそれとは繋がりはないため、早い時間に消滅しそうに思われる。
撮影準備をしている間に前方の谷にガスが発生、西の空にある月が朧となるや否や視界が閉ざされた。暫く待機するも中々視界が開かない。日の出時間(5時50分)になりやっと天空が抜けてきた。富士山が再び姿を現したが富士山に絡む雲海は見当たらない。五合目付近に棚引く雲が発生しているが、富士山に与えるインパクトはあまり感じられない。甲府盆地の雲海が発達し、東に流れてくれればと思うが、風もなくその期待は持てない。状況に変化はなく、6時50分、山頂の北西方面に撮影地点を移動する。
甲府盆地の雲海が富士山に絡めばと、登山道から逸れ、西へ西へと道なき道を進むが、雲海が絡む場所までは辿り着けずこれ以上、西に進むことを断念する。途中で富士山と甲府盆地の雲海がどれ程の関係かパノラマ写真を撮影する。やはりハマイバからはその地点を見付けるのは難しく他の山に行かざるを得ない。
7時20分、撮影地を後に大蔵高丸に向かう。大蔵高丸には8時00分に到着。ハマイバ同様、パノラマ写真を撮影し湯ノ沢峠に向かい下山を始める。途中、お花畑にマツムシソウが1輪、寂しげに咲いているのが印象に残った。
湯ノ沢峠の駐車場には9時10分に到着。自分の車だけが止められていた。帰り支度をしている時に1台の車が止められた。これから登山のようである。
今日の富士山
雲海が絡む富士山は撮影出来ず単調な写真となったが、パノラマ写真で甲府盆地の雲海の位置関係を写した。甲府盆地の雲海が大規模に発生すれば、小金沢連嶺、南大菩薩嶺でも雲海と富士山を撮影することが十分可能である。
棚引く雲と富士山(ハマイバより) 6:05頃 |
雲がばらけてきた(大蔵高丸より) 8:10頃 |
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ハマイバ山頂北西方面からのパノラマ(甲府盆地の雲海は広範に渡るが富士山に中々絡んでこない) 7:10頃 ![]() |
大蔵高丸山頂からのパノラマ(南アルプスの山々が確認出来る) 8:10頃 |
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山頂と山の状況
今年の夏は長かったせいか紅葉には未だ早く、枯れて落ちている葉も多い。葉の色付きも全般に良くないように思える。山野草は殆ど確認出来ず、唯一湯ノ沢お花畑に1輪のマツムシソウが寂しげに咲いていた。
動物が広範囲に掘った
穴と思われる。 |
ハマイバ山頂 6:50頃 |
ハマイバ付近にも
鋼製ネットが・・・7:25頃 |
両端には枯れた
隈笹が・・・7:30頃 |
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未だ緑の葉が多いい 7:30頃 |
大蔵高丸山頂 8:00頃 |
登山道には枯葉が
堆積している 8:35頃 |
枯れた隈笹と緑の葉が
対照的 8:50頃 |
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紅葉している葉もあるが
色が悪い 8:50頃 |
大蔵高丸・ハマイバと
湯ノ沢への分岐点8:55頃 |
お花畑から白谷丸の展望
9:00頃 |
同、大蔵高丸の展望
9:00頃 |
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大蔵高丸・ハマイバへの
標示板が落下している。 |
湯ノ沢お花畑に咲いていた
マツムシソウ |
お花畑北側の扉 9:05頃 |
湯ノ沢峠の方向標示板
9:10頃 |
湯ノ沢峠駐車場(自分の車
のみで他に車はない)9:15頃 |
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使用カメラ:・OLYMPUS E-M1 ・FINE PIX F1000EXR
10月4日 雁ヶ腹摺山
ここの所天候不順が続き富士山撮影のチャンスが中々訪れない。そのような状況の中、台風接近を前に10月4日は一日晴れの予報が出されていた。予想気圧配置を見ても高気圧、低気圧、台風が入り乱れ、更に秋雨前線が停滞し天気を予測するのは難しい状況である。この先、台風接近による影響もあって撮影チャンスは暫く訪れそうもない。予報の信憑性はともかく出掛けない限り富士山は撮れない。晴れる確率は低そうであるが運良く、素晴らしい情景に出会える可能性が秘められている。標高の高い山の方が出会いの確率は高そうで、今回は十二景では3番目に標高の高い雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
大峠の駐車場には午前2時50分に到着。車は未だ1台も止められていない。風は殆ど無く湿度は低め。やや肌寒い感じを受ける。天空には星が輝き天気は良さそうである。山頂に立たずとも、駐車場から富士山の姿が望めるのは有り難い。
3時20分、大峠を出発。汗を掻かない程度にゆっくりペースで歩き出す。最近体力の低下もあり、今回はザックの荷物を多少でも軽くしようと整理をした。結果的に1本デジカメ用の三脚を減らしたことにより重量は都合1kg減となった。更に三脚はザックの上に載せず、サイドのポケットに収納しトップヘビーから重心を下げた。今までとバランスが異なったため、重量が減ったにも関わらず重く感じる。しかし、ちょっとしたバランスを崩しても身体が振られること無く安定した歩行が得られる。トップヘビーだと躓いた時に前のめりに転倒しやすく、安全性の面でも重心を下げた方が有利と思われる。ザックはそのままに重量とバランスを変えたがどの程度の効果があるのか体感してみたい。
今回も撮影地点は山頂直下の奥まった所で行う予定である。この場所はスペースが狭く3人がやっと三脚を立て撮影出来る程度である。前回は先客2人が既に場所を確保し、少しスペースを空けて貰った経緯がある。今回はその心配は無い。
撮影場所には4時20分に到着。今回は三脚1台であるが、カメラを2台載せられる、プラットホーム(500g程の細長いプレート)を取り付けて2台のカメラで撮影に挑むことにした。今日の日ノ出時間は5時38分(東京)。幻想的な情景が撮れればと日ノ出前にバルブ撮影(長時間露光)を行う。バルブ撮影は時間を要し、2枚撮り終わった時には天空が白み始めた。今日の予報は晴であるが、雲が多く東の空も雲に被われている。富士山に光りが差すのは大分遅れると思われる。
6時20分やっと前景の山肌に光りが入る。山頂に薄い光りが入ったのは更に20分程経ってからである。しかし、束の間でその光も無くなった。
7時10分、撮影場所を山頂に移す。所々青空を望めるが、全体に曇り空で光が無い。台風が近づいている影響があると思われるが、好天を望めるような状況は訪れないと判断し撮影を打ち切る。 7時55分山頂を後に下山を始める。下山途中2人組の登山者2組と出会った。大峠には9時05分に到着。駐車場には自分の車を含め5台止められていた。
今回は全般に雲が多く光不足の状況で撮影条件としてはあまり良くなかった。甲府盆地には雲海が見られたが、東へ流れてくることはなかった。桂川沿いにも小規模ながら雲海が見られたが、富士山に絡むことは無かった。やはり富士山に冠雪が無いと美しい画像を撮るのは難しい。
今日の富士山
空が白みだしてきた 4:50頃 |
秋に相応しい雲現わる 5:55頃 |
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前景の山肌が特徴的(紅葉には
未だ早い) 6:25頃 |
秋らしい情景が広がる(山頂より)
7:30頃 |
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山頂および登山道の状況
山頂の様子 7:55頃 |
山頂からの富士山 7:55頃 |
姥子山への分岐点 8:00頃 |
巨大な自然石(神奈備石)
7:55頃 |
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甲府盆地は雲海で
満たされている 8:05頃 |
ナナカマドの赤い実
8:15頃 |
沢を渡る木道 8:40頃 |
有毒植物のトリカブト
(キンポウゲ科) 8:40頃 |
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途中のザレ場
8:50頃 |
登山口近くの水場
9:00頃 |
大峠の駐車場
9:05頃 |
大峠駐車場からの富士山
9:10頃 |
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使用カメラ:・OLYMPUS E-M1 ・FINE PIX F1000EXR
9月17日 ハマイバ
悪天候が続く中、当日は天気予報によると午前中は晴のマークが付いていた。ここの所、秋雨前線や台風の影響で雨の日が多く、天気予報は必ずしも的を射ていない。当日の予想気圧配置では高気圧が一時、関東中部地方を被う予想となっているが、この通りだとすれば晴れ間が見られると思われる。また、前日に降雨があったことから大地に水分が蓄えられ、雲海発生もあり得ると予測される。そこで雲海撮影に最適な甲府盆地と隣り合わせのハマイバから狙うことにした。
午前3時20分、湯ノ沢峠の登山口を出発。日の出時間は5時25分。ここの所、日の出が大分遅くなり、日ノ出時間帯の撮影には余裕の出発時間である。天空を望むと雲が多く、満月にも関わらず雲に遮られ、満月を望むことは出来ない。しかし、雲は満月の明るさに影響を受け白色に光り、その雲の反射光によって周辺の状況が分かるくらい明るい。
お花畑を通過する際、甲府盆地側を望むと何と雲海が発生している。南アルプスの山々もはっきり望むことが出来る。恐らく富士山もこの時点で姿を現していると思われる。
大蔵高丸に4時15分到着。目前には雲海上に富士山の姿が聳え立っている。大蔵高丸は撮影地としては最適であるが、ハマイバの方が雲海により一層近く迫力ある富士山が撮影出来る可能性が高い。
ハマイバの撮影地点には5時に到着。ここは山頂を越え南に下った撮影地である。前面が大きく開かれ、富士山の姿が一望出来る絶好の撮影ポイントである。前景には特徴ある大谷ヶ丸の双耳峰が配置され、何処から撮影したか直ぐに分かる。日の出時間帯には雲海に色が付き僅かな時間であったが、素晴らしい情景が展開された。以後も雲海は発達を繰り返し、富士山に関わる雲も形を変え、雲海とその上方に有る雲の競演が繰り広げられた。
暫く撮影した後、撮影地点を北側に移動し撮影を続けたが、太陽の位置も高くなり、雲海が消え行くと同時に富士山には雲が掛かり、撮影も潮時を迎えた。機材を片付け、10時に下山を始める。
湯ノ沢峠の駐車場には12時に到着。土曜日とあって車が5台ほど駐車されていた。今日は下山途中、大蔵高丸で男女3人の登山者と、お花畑に下る登山道で2人の男性登山者と出会った。
今日の富士山
日の出時間を少し過ぎた頃、雲海が僅かに
焼け出した。 5:45頃 |
大谷ヶ丸の双耳峰に雲海が回り込んできた 。
7:00頃 |
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山頂に笠雲が現れる 7:45頃 |
雲が上昇、後に雲に被われる
(ハマイバ山頂北側から) 9:45頃 |
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山頂と登山道の状況
ハマイバ〜大蔵丸間
ハマイバ山頂 8:50頃 |
大蔵高丸に向かう下山道
8:50頃 |
アキノキリンソウ(キク科) |
タチフウロ(フウロソウ科) |
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シロヨメナ(キク科) |
オオニガナ(キク科) |
ヤマハハコ(キク科) |
ウスユキソウ(キク科) |
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動物侵入防止扉 10:25頃 |
枯れた隈笹が左右にある
10:35頃 |
ウメバチソウ(ユキノシタ科) |
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大蔵高丸〜湯ノ沢峠間
大蔵高丸山頂 10:50頃 |
ヤマハハコ(キク科) |
タチフウロ(フウロソウ科) |
ウスユキソウ(キク科) |
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マツムシソウ(マツムシソウ科) |
アキノキリンソウ(キク科) |
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