2016年 撮影紀行(その7)




9月6日 扇山

 扇山は昨年7月に訪れて以来1年2ヶ月ぶりである。2017年の秀麗富岳十二景カレンダーを作成するに当たり、今回は扇山から富士山を狙うことにした。暫く訪れていなかったこともあり、山頂の樹木も想像以上に伸びていると思われるが、それが構図を取る際に影響しなければ良いと思う。十二景カレンダーに使用する写真は富士山を十二景のどこの山から撮影したか直ぐに分かるような撮り方を基本に置いている。
 本日の天気は予報によると午前4時頃から晴マークとなっている。日ノ出時間帯には朝焼けの富士山が期待出来そうである。毎年8月と9月は富士山に雪はなく、雪の無い富士山の魅力を引き出すのは難しいが、前景に自然の景観を上手くレイアウトすることで、それがカバー出来ればと思う。
  午前2時、梨ノ木平の登山口を出発。天空は雲が多く合間から微かに星が見え隠れする。気温は高めで蒸し暑く、少し歩いただけで汗が噴き出る。中腹の水場を2時35分通過、これから稜線までつづら折りの登山道が続く。展望所(ツツジ群生地への分岐)を3時に通過。何回折り返したか記憶に留まらない程つづら折り回数の多い登山道であるが、3時30分がやっと稜線に出る。ここは風の抜けが良く、冷ややかな心地よい風が汗を静めてくれる。ここは百蔵山への分岐点となっていて、案内標が設置されている。ここまで来ると山頂まで僅かである。
 3時40分、山頂到着。富士山の輪郭は確認出来るが山頂は雲に被われているようである。周辺は全般に雲は多く見られるが、天空は抜けて星空が綺麗である。 長時間露光で富士山を撮ってみるが、やはり山頂には雲がまつわり付いている。今日の日の出時間は5時17分(東京)。
 日の出時間が近づいてくると天空の雲が少しずつ焼け始めた。前面の樹木は生長し撮影の妨げとなって構図が取りにくい。日の出時間に富士山上空の雲は見事に焼けたが、山頂は雲に被われ、富士山そのものの美しい姿は望むことが出来ない。
 富士山頂にまとわり付く雲は時間が経過しても取れる気配はない。これ以上進展はないと判断し撮影を打ち切った。山頂で山野草などに詳しい登山者と出合い、暫く話し込んだため下山が遅くなったが、その御仁が云うには途中にシモバシラの花が群生しているので見ていって欲しいと云うことだった。
 9時50分に下山を始める。下山途中、単独男性登山者と外国人男女2人と出会った。


今日の富士山


僅かに雲が山頂に居座るが幻想的光景である  
4:10頃  
山頂に雲が纏わり付くようになってきた
    4:20頃


日の出時間帯上空の雲が綺麗に焼けた
5:15頃  
吊し雲が現れたが山頂は未だ雲に被われている
6:00頃



山頂と登山道の様子

山頂に咲く花々

キンミズヒキ(バラ科)
 カントウヨメナ(キク科)
シロヨメナ(キク科)
ワレモコウ(バラ科)        


マルバハギ(マメ科)      
 ウツボグサ(シソ科)
ママコナ(ゴマノハグサ科)    
 マルバダケブキ(キク科)


以下、下山時に撮影したもので時間を追って並べてある

山頂の様子
9:45頃
百蔵山への分岐点
10:00頃    
シモバシラ(シソ科)
10:10頃
ツツジ群生地への分岐点
10:15頃


マツカゼソウ(ミカン科)
10:25頃    
中腹の水場
10:35頃
ヤマアジサイ(ユキノシタ科)
10:35頃


ムカゴニンジン(セリ科)
10:45頃    
マムシグサ(サトイモ科)
10:55頃
登山口の駐車場  
11:10頃



                        使用カメラ(デジタル) ・OLYMPUS E-M1  ・FINEPIX F1000EXR





8月24日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山

 最近、台風が去っても台風一過とならず、必ずと云っても良い程雲が残る。今回、当日の予報には晴のマークが付いていたが、降雨量が多かったため雲海発生に変化する可能性は十分考えられる。今回はカメラマン仲間と2人で訪れることになった。いつものように日川林道登山口から西尾根を登ることにしたが連れのカメラマンは本コースが初めてと云うことで、案内役を務めることにした。
 ペンションすずらんの前を通過し、午前2時20分登山口に到着。割と涼しい感じであるが、ガスが漂い視界はあまり良くない。山頂に着いてもガスで視界が遮られている可能性がある。昨日は台風により林道も荒れていると予想をしたが、多少、木の葉の散乱はあったが、いつもと殆ど変わらない。雨ノ沢を横断する箇所の通行が懸念されたが大量の水は流れておらず、難なく通過出来た。東京や埼玉では台風被害があったが、山梨は台風から少し離れていたため影響は少なかったようである。
 2時50分、登山口を出発。登山口の案内板に牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで70分と記載されているが、やや厳しい所要時間である。登山道も台風による荒れた状況は無く普段と変わらない様子である。登山口から40分程登った付近は暗いと登山道が分かりにくく毎回確認を強いられる。明るければ赤いテープの道標を確認出来るが、ヘッドランプの灯りでは赤かは見付けにくい。以前は白いテープを巻き付けたが、時間が経つと取れてしまうのだろうか、今度の機会に白テープを取れないようにしっかり結び付けておきたい。
 高度が上がるにつれガスは濃くなり、視界が悪くなる一方である。尾根のピークを4時に通過。これより一旦鞍部に下り、そこから山頂まで緩い登りとなるが、20分程の所要時間である。
 山頂到着4時20分。案の定ガスで視界は無いが、時折甲府盆地の街灯りが確認出来る。甲府盆地に雲海は現在発生していないようである。暫く待機するが、天空のガスはそれ程厚くないと見られ、半分欠けた下弦の月が時折顔を出す。少しずつ南側の視界が開き始めているが、一面の雲で富士山の姿は見られない。
 日の出時間(東京5時07分)を暫く過ぎてから富士山の裾が見えだした。滝雲が見られ大雲海が発生している。甲府盆地も既に雲海で埋められ、東から西まで連なっている。雲海上に富士山は存在するが、山頂はなかなか姿を現してくれない。5時半頃になってやっと富士山の形が分かるようになってきたが、富士山頂には雲が棚引き山頂が押しつぶされたように寸詰まりの形の良くない富士山が見られる。
 山頂の雲がなくなったのは6時頃になってからである。相変わらず雲海は発達し続け、雲海トップの位置もピークに達したようだ。6時半を過ぎた頃、この山頂も雲海に飲み込まれた。暫く視界が開くのを待ったが、その兆しは窺えず、7時40分山頂を後に下山を始める。
 登山道には水分を多く含み、滑り易い状態である。時間を掛けてゆっくり下山。 登山口には8時40分に到着。登山口でも雲が多いが所々青空が見られ、時折暑い日差しが差し込んでくる。
 今日は雲の多い天気となった。大雲海に出会ったものの、富士山が見えている時間は僅かで撮影時間が短かったが、カメラに富士山が収められただけでも運が良かった。連れのカメラマンも雲海上の富士山が撮れたし、そこそこ満足したと思う。今日も登山者やカメラマンなど誰とも出会うことはなかった。



今日の富士山 

短い撮影時間であったが、富士山と躍動感のある雲海が表現出来た。

雲海の更なる上に棚引く雲有り         6:10頃  
 雲海は躍動感に溢れた動きがある           6:35頃



山頂と登山道の状況


牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂
   7:40頃    
マルバダケブキ(キク科)      
同左 最盛期は過ぎている
パノラマ石(上からの展望が
良い)7:55頃    


パノラマ石の下部は大きい
 8:00頃
所々に設置された木製階段
8:10頃
登山道際には苔の生えた
石が多い  8:15頃  
所々に設置されている
案内標 8:30頃


登山口付近より
上方を望む 8:40頃
ヒヨドリバナ(キク科)
登山口に咲く    
登山口          8:40頃
ヤマホタルブクロ(キキョウ科)
登山口に咲く


イタドリ(タデ科)
登山口に咲く      
コウゾリナ(キク科)
登山口に咲く



行程:登山口(2:50発)→西尾根ピーク(4:00)→山頂(4:20着〜7:40発) →西尾根ピーク(7:55)→登山口(8:40着)

                     


                               使用カメラ:・OLYMPUS E-M1  ・FINEPIX  F1000EXR