2018年撮影紀行(その6)




8月17日 ハマイバ・大藏高丸

 本日の天気概況によると暖かい空気が冷たい空気に入れ替わるとのことで、澄み切った秋の青空が望めそうである。また、前日降った雨は大地に湿り気をもたらし、気温が下がれば雲海の発生確率は相当高いと考え
られる。このような状況から、なるべく標高の高い山から富士山を狙うのが良い情景を得る条件になりそうる。 今回は標高が1700mを超え、雲海撮影に適したハマイバから富士山を狙うことにした。また、山野の花が多い大藏高丸や湯ノ沢お花畑の様子を含め、花々の開花状況も確認することにした。
  湯ノ沢峠駐車場へ午前2時30分到着の予定で自宅を12時20分に出た。その際、路面が濡れ、たった今雨が上がった状況だった。これで雲海発生の確率が更に高くなったと思われた。現在、天空は雲に被われた天気であるが、予報では未明から晴マークが付き1日晴天が続くようである。現在の曇り空は時間の経過と共に晴天に変わると思われる。
 大月ICで高速道路を降り、国道20号を甲斐大和へ向かい暫く走行する。笹子トンネルを抜けた後、景徳院の信号を右折し焼山沢林道に向かい国道218号に入る。天目山温泉を左に見ながら焼山沢林道に入ると霧で視界が悪くなり小雨が混じる状況になった。思わず予報が外れたと思われたが、天気予報は山を想定していないため、予報とは異なることが多い。更に標高が高くなるにつれ霧は濃く雨の量も増えてきた。この状況から雲海が発生していることは間違いないと思われた。
 湯ノ沢峠の駐車場には2時40分に到着。今日はお盆中と言うこともあって、高速道路も車が多く当地を訪れる人も普段より多いと考えられる。湯ノ沢峠の駐車場に到着した時、隅の方にテントが2張り張られていた。暗い中で登山準備をしていると1人の男性がテントから出てきて、今日は避難小屋にお泊まりでしょうかと尋ねてきた。そのような予定は無いと応えると、小屋の中は荷物で散らかっていると言う。小屋に誰か泊まっているのだろうか。状況が分からないまま、3時00分、駐車場を出発した。
 風も強く雨混じりの霧は更に濃く、気温が低いせいか寒さを感じる。霧にヘッドランプの灯りが反射し視界が妨げられ状況が分かりづらい。目が慣れるまで暫く時間を要したが、狭い箇所の登山道では両側の草が生い茂り、草には多くの水分が付着し、スパッツを着けているものの足元に水が浸透してくる。
 お花畑を通過する際、天気が良ければ甲府盆地の街灯りが望めるが、今回は霧の幕で舞台を見ることが出来ない。
 大藏高丸には3時45分到着。濃い霧で視界は殆ど無い。この状況から恐らく甲府盆地は雲海で埋められていると考えてもおかしくない。今回の撮影はハマイバ山頂から少し南へ下がった地点で行う予定で休憩を取らず撮影地点へ向かうことにした。雨はやや小降りになったようだが、強い風に吹きさらされ、暑かった夏は嘘のようで今は寒さを感じている。
 ハマイバ山頂を通り越し、撮影地点に着いたのは4時30分。周辺は既に明るみを帯びている。霧で白一色の視界、付近の山さえ姿はない。その内、霧は晴れると思われるがそれまで待つしかない。
  今日の日の出時間は5時。未だ、30分あるが、日の出までには霧が晴れて欲しいと願う。スマホで富士五湖のライブカメラを覗くと殆どの場所から富士山の姿が見られる。やはり高い山は霧に被われているのである。
 日の出時間を過ぎても、視界は相変わらずである。待機を続けるが6時頃になってやっと天空の青空が1部分見えたり閉じたりが始まった。間もなく霧が晴れる合図と解釈されるが早く回復して欲しい気持ちである。 6時30分、富士山頂の1部か姿を現した。遅きに失する感は否めないが、姿を現しただけでも良いと思わざるを得ない。一面雲海が発生している。周辺の山は全て雲に埋まり富士山のみの姿がある。規模の大きな雲海である。こうなると撮影ポイントをどこに置いて良いか分からない。雲海は徐々に縮小されていくことは必然であるが、その状態になった時が撮影チャンスと考えられる。
  朝焼けた雲海が欲しかった。しかし、それは欲張りというものである。雲海が出ただけでもよしとせねばならない。雲海のどこにポイントを置くかが難しく、今回はポイントを絞りきれなかったため、単調な写真にならざるを得ない結果となった。
  雲海の分布もだいぶ縮小され、8時に下山を始める。途中、大藏高丸で休憩。花の写真を撮りながら湯ノ沢峠の駐車場に向かう。到着は11時30分到着。張られていた2張りのテントは早朝のままで、テントに泊まった子供達と思われるが、その回りで2家族、親子で昼食を摂っていた。
 下山時に大藏高丸で登山者男性1人、お花畑で男性1人と出会った。今日は秋らしい青空が覗き、久しぶりに湿度の低い爽やかな天気となった。猛暑の影響だと思われるが、お花畑の花が少なかったのは残念である。
   

今日の富士山

 雲海に恵まれたが、雲海撮影のポイントが絞りきれず単調な写真となった。雲海撮影の難しさを改めて知ることになった。  

視界が開き間もなく姿を現した富士山      6:40頃  
やや雲海が減少し大谷ヶ丸の姿が映し出される   7:25頃

甲府盆地(写真右の方)も雲海で埋められている                                 7:25頃


山頂と登山道及び山野の花

  例年に比べるとこの時期の花は全般に少なく、猛暑日が多かったことによる影響と考えられる。湯ノ沢お花畑も華やかな彩りは無く残念に思われる。
          以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って配置してある。

ハマイバ〜大藏丸の間

ウメバチソウ(ユキノシタ科)8:00頃    
コウリンカ(キク科)   8:00頃
キオン(キク科)     8:00頃


色付いたチガヤ(イネ科)  8:00頃    
下山時にはだいぶ雲海は減少 8:05頃
ノアザミ(キク科)     8:05頃


アザミの蜜を好むヒョウモン蝶 8:10頃    
ハマイバ山頂       8:10頃
ハマイバ北側の草原地帯  8:20頃


草原地帯から(殆ど消えた雲海)8:20頃    
ノコギリソウ(キク科)    8:20頃
チガヤの中を行く登山道   8:20頃


ワラナデシコ(ナデシコ科) 8:25頃
ヒヨドリバナ(キク科)    8:25頃
 ヤマホタルブクロ      8:30頃


ツリガネニンジン(キキョウ科)8:30頃  
 オヤマボクチ(キク科)   8:30頃
イタドリ(ダテ科)     8:30頃


タチフウロ(フウロソウ科) 8:35頃  
オミナエシ(オミナエシ科)  8:35頃
 キンミズヒキ(バラ科)   8:35頃


ノコギリソウ(キク科)   8:35頃    
ヤマハハコ(キク科)   8:35頃
ノアザミ(キク科)   8:40頃


ハマイバのお花畑も花が少ない 8:40頃    
同 左                     8:40頃
マルバダケブキ(キク科) 8:45頃



大藏高丸〜湯ノ沢峠の間


藏高丸山頂        10:05頃  
ニガナ(キク科)     10:05頃  
ハナニガナ(キク科)  10:10頃


ウスユキソウ(キク科)   10:35頃    
コウリンカ(キク科)   10:35頃  
オミナエシ(オミナエシ科)10:40頃


ウメバチソウ(ユキノシタ科) 10:40頃    
湯ノ沢お花畑西側の扉   10:45頃
タチフウロ(フウロソウ科) 10:45頃


ウスユキソウ(キク科)  10:45頃  
お花畑と白谷丸      10:45頃  
ウスユキソウ(キク科)  10:45頃


コウリンカ(キク科)  10:45頃    
ノコギリソウ(キク科)    10:50頃
ハナニガナ(キク科)  10:55頃


ウメバチソウ(ユキノシタ科)10:55頃    
湯ノ沢お花畑と大藏高丸   11:00頃
ヤマハハコ(キク科)  11:05頃


お花畑に咲く花は少ない   11:05頃
アキノキリンソウ(キク科)  11:10頃  
ツリガネニンジン(キキョウ科)11:15頃


クガイソウ(ゴマノハグサ科)11:20頃    
湯ノ沢峠       11:25頃



                            使用カメラ: ・OLYMPUS E-M1   ・ CASIOEXILIM EX-ZR62





8月27日 高川山

  8月に恒例としている高川山からの富士山夜間撮影は満月の夜を狙い、富士山山道に登山者のランプや中継地点の街灯、小屋の灯りなどか一体となって登山道に沿う形で光りの線となって見える。この光景は夏の風物詩として位置付け、毎年8月の満月日に撮影を行っている。満月は午前3時頃、三ツ峠の山頂に沈むが、その頃になると満月の光りが斜光となり、天空に散らばった雲がその斜光によって存在感が強調され、富士山の脇役として華を飾ってくれる。そんな情景をイメージして高川山を訪れることにした。
 初狩側の登山口駐車場に到着したのは22時。0時頃には山頂に到着したいと設定した時間である。登山口に到着すると、湿度は高く無風状態、気温はそれ程でないと思われるが自然と汗が滲んでくる。早朝とは異なり雰囲気がだいぶ違う。何が違うのだろうと考えると、下界の喧騒、肌で感じる風の質感、人や動物の存在感、明るくなるまで時間がある。などから伝わってくる感覚は孤立感を高める。不安はそれ程無いが下界からの距離を遠く感じ、何か寂しいものを感じる。
 山頂へは男坂を登り、沢コースを下山する予定である。今日は満月で周辺は明るい。月明かりは登山者の強い味方となってくれ、寂しさを紛らわしてくれる。
 22時30分登山口を出発。少し登っただけでも汗が滲んでくる。多少でも風があれば気分的にも楽だが、体の中に熱がこもり体力の消耗を感じる。男坂、女坂の分岐点を23時00分に通過。だいぶ汗を消失し、水分補給と思い、水の入ったペットボトルを取り出そうとすると、その時始めて車に2本のボトルを忘れたことに気が付いた。男坂の中間点で気が付いたため戻るかどうか躊躇した。車に戻り現地点に来るには少なくとも1時間10分はかかるため、取りには戻らず、水なしで山頂へ向かうことにした。水分か取れず、結局脱水症状で身体に熱がこもり、熱中症の症状と思われるが、足元がふらつき30分程やむなく休憩を取ることにした。
 体調が多少戻り、山頂に向かい歩き始めた。結局、休憩の分遅れ山頂には27日0時25分到着。体調が戻っていなかったのだと思われるが、寒気に襲われウインドブレーカーを着込み、撮影準備をすること無く休息することにした。
 満月は天空の高い位置で煌々と輝き山頂は昼間のように明るい。ところが雲一つ無い晴天。これでは単調な写真に終わりそうであり、この状況からは意図した撮影は難しそうである。富士山山道の灯りと、雲が満月の斜光に照らされた光景をイメージしていたが残念ながらその情景を撮ることは叶わなかった。
 下山は女坂コースから沢コースに分岐し玉子石を経て8時10分登山口に戻った。夏の風物詩である富士山山道の灯りは全く健在でその光景が見られただけで、夜間登山の良さ深まった。今回は水のボトルを車に置き忘れたことで体調を崩したが、下山時には回復し、登山口の駐車場で暫く仮眠し睡眠不足の解消を図った。


今日の富士山

満月が三ツ峠の頂上付近に到着したところ   4:30頃    
日の出時間帯の富士山             5:15頃


日の出直後に朝焼け富士が見られた      5:25頃    
爽やかな天候に映える夏富士         5:40頃



登山道と山野の花開花状況

以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って配置してある


高川山山頂         5:40頃  く  
ヒヨドリバナ(キク科) 山頂に咲
ママコナ(ゴマノハグサ科)山頂に咲く


シロヨメナ(キク科) 山頂に咲く      
山頂からの下山道      6:55頃
男坂、女坂の合流点    7:05頃


女坂の谷崩落地

(ロープが張られている)  7:10頃    
女坂〜沢コース分岐点 7:20頃
傾斜の緩い沢コース登山道  7:20頃


沢コース終点(林道が始まる) 7:35頃    
所々舗装が破損し礫化している7:50頃  
ヤマアジサイ(ユキノシタ科)


コース名となっている玉子石   7:55頃  
イタドリ(ダテ科)         
男坂・女坂の登山口      8:05頃


ヘクソカズラ(アカネ科)  登山口に咲く  
キンミズヒキ(バラ科)登山口に咲く  
カントウヨメナ(キク科)登山口に咲く


シロヨメナ(キク科) 登山口に咲く  
登山口駐車場(トイレ有り) 8:10頃
入山者カウンター      8:20頃



                                      使用カメラ(デジタル):・OLYMPUS  E-M1  ・CASIO  EX-ZR62





9月28日 九鬼山(天狗岩)

 前回、不発に終わった九鬼山からの富士山撮影。今回は天候を選び再挑戦となった。前日に雨が降り、当日は晴れの予報が出されていた。前日の雨が早めに上がり雲海発生は期待薄となったが、これで富士山が姿を現すことはほぼ確実と考えられた。
 今回は九鬼山山頂には行かず、その手前の天狗岩から都留市の街を前景にして富士山を狙うことにした。前回同様、午前1時、自宅を出発。天空には満月から3日目となる居待月が煌々と輝きを見せている。天気は良さそうである。これで今日は間違いなく富士山が撮れると確信した。今回も撮影できないとなると、カレンダー作りの前提を覆さなければならず重い気持ちはあったが、今回は何とかなりそうである。
高速道路を上野原ICで降り、国道20号に入ると霧が立ち込めていた。前回と同じような状況に嫌な予感が頭を掠めたが、暫くするとその霧は何処かに消え去り、良い状況になってきた感じである。天狗岩は愛宕神社コースの延長上にあるため、前回と同様のコースを行くことになる。
 午前2時50分、登山口を出発。昨日降った雨が登山道を濡らし滑り易い状況となっている、気温はやや低く感じるが歩くには程良い気候である。暫く登った所で、ザックが軽いことの気が付いた。何と商売道具の三脚を車に置き忘れたのである。慌てて車に戻るが、暗い中で滑り易い登山道を下るのは容易でない。登山口に戻ったのは3時30分。振り出しに戻るのに40分のロスタイムが生じた。原因はザックが変わったことによる失態である。今までのザックは容量が大きかったため、全ての荷物を詰め込み、担ぐだけの状態で車に積んでいた。しかし、新たなザックは容量が小さいことから水筒(ペットボトル)や三脚は出発時にザックに収納するため、これを忘れたのである。最近も高川山へ登るのにペットボトルを忘れたことがある。新しいザックに慣れるまで繰り返すような気がする。
 天狗岩へは5時20分到着。余裕を見ていたので辛うじて日の出時間に間に合った。着いた時は日の出直前だったため既に明るく、手早に準備し撮影に入った.都留市の街を眼下に、赤味の掛かった富士山が存在感を示している。雲海擬きが所々街を被っている。全てがつながれば大きな雲海に発展したと思われるが、湿度不足でそれには至らなかった。
 取り敢えず善し悪しは別として富士山の撮影ができた。下山は来た登山道を降りることにした。途中2人の登山者と出会った。


今日の富士山


日の出時間を過ぎているが朝日が差さない   5:40頃  
赤く染まった富士山            5:45頃



天狗岩からのパノラマ(所々雲海擬き擬きが見られる)                    6:40頃




登山道と花の開花状況

以下写真は天狗岩からの下山時に撮影したもので、時間を追って並べてある

都留の街が見下ろせる天狗岩  7:15頃  
天狗岩付近に咲く(不明に付き調査中)  
同 左


天狗岩より
愛宕神社コースへ向かう  7:20頃  
天狗岩への案内板    7:20頃
愛宕神社コースは傾斜がきつい
7:20頃


新登山道と急坂登山道の分岐  7:40頃  
急坂の注意案内板     7:40頃  
池ノ山コースへの案内標   7:50頃


禾生と田野倉への案内版    7:50頃    
杉の合間を行く登山道  8:00頃  
車を止めた登山口近くの空き地 8:40頃




                                  使用カメラ (デジタル): ●OLYMPUS  E-M1   ● CASIO  EX-ZR62