2018年撮影紀行(その5)




7月10日 笹子雁ヶ腹摺山

 笹子雁ヶ腹摺山へ行く機会は少なく最近は年1回程度である。その理由として富士山を撮影する際に画に 送電線の鉄塔か数本入り込み、景観を損ねること。また、笹子峠から山頂へは距離は短いものの傾斜が急なところがありハードな山登りが強いられることなど、苦労する山登りの割にはあまり良い景観が得られないなどから富士山撮影者にとってはやや不人気な山となっている。
 来年の秀麗富岳十二景カレンダーの作成に当たり、4番の笹子雁ヶ腹摺山及び滝子山は何れもハードな山登りが強いられるが、どちらの山を選ぶか、12枚の写真構成全体で考える必要がある。何れの山からの富士山はカレンダー写真に必要不可欠であるが、今の体調では滝子山へ登るにはハードルが高く、今年も昨年に引き続き笹子雁ヶ腹摺山からの富士山を7月のカレンダーに採用する予定である。
 今回、撮影日を選ぶにあたり、梅雨が明けても戻り梅雨のような天気が暫く続き、いつが良いか決めかねていたが、降水確率ゼロの予報が出ていた7月10日に撮影日を決めた。
 笹子峠の駐車場には午前2時に到着。予報は晴であったが、ガスが立ちこめ視界は悪く時折雨が混じる天気となった。予想外の天気に山頂を目指すか躊躇したが、山の天気は登ってみなければ分からないのが正直な所である。ここまで来て戻るのは得策ではないと考え予定通り山頂を目指すことにした。
 2時20分、登山口を出発。視界の悪いガスの中をヘッドランプの灯りにより歩くが濡れるほどの雨粒は落ちてこない。しかし、霧で衣服が濡れるがレインウェアーを着るほどではない。登山道は水分を含み滑り易い状況であるが、最初の急な登りは結構きついがロープに助けられ何とかクリヤーした。下山時にこの急坂を下るのは、腰への負担を考え、平坦な迂回路を下りる予定である。
 最初の鉄塔を2時55分に通過、途中、尾根道と新道に分岐するが、比較的アップダウンのない新道に道を分ける。新道は斜面中腹に設けられた登山道を歩くため道幅も狭く、場所によっては片側が急峻な谷で雨上がりでは滑落の危険があるため慎重に歩かざるを得ない。2番目の鉄塔を3時30分に通過。ここからは山頂に向かい急斜面が続く。相変わらずガスは晴れること無く同じ状況が暫く続く。
 山頂到着は4時00分となった。登山口から1時間40分の所要時間は以前に比べると15分ほど遅く、体力の衰えを強く感じる。辺りは既に明るさを増しているが、ガスの発生で視界は悪く富士山の姿は見られない可能性が高い。山頂からは生長した木がブラインドーとなり、富士山を見ることが出来ないため、いつもの撮影場所である電波塔付近まで下ると、ガスで富士山は見られないと思ったが、なんとガスの合間から山頂を覗かせていた。しかし、束の間、撮影準備の時間もなくガスに飲みこまれ視界は閉じた。時折小雨が混じる中、視界が開くのを待ったが、5時頃になってやっと山頂を覗かせた。急いで撮影を始めたが10分程でまた視界は閉じた。更に待つこと1時間、6時頃になって再度視界は開いた。今度は富士山全体が見られた。しかし、開いていた時間は短く、6時半頃には再び視界は閉じた。その後、暫く待機したが、視界が開くことはなかった。 撮影を打ち切り8時40分、下山を始める。残念ながら今日は山頂からの視界は悪く開閉を繰り返し撮影時間は殆ど無かった。登山口近くの急斜面は腰への負担が大きく、ここを下ることなく迂回路を使い急斜面を回避した。登山口に戻ったのは10時20分。曇り空だった空は夏空となり、気温が一気に上昇した。 今日は山頂や登山道で誰とも出会うことはなかった。


今日の富士山

 スの発生により視界の開閉が繰り返され、撮影時間はほんの僅かだったが、梅雨の合間時の富士山が撮影出来たと思う。

日の出時間を僅かに過ぎてから視界が開き
一瞬だが姿を現した富士山    4:55頃
2回目、閉じていた視界が開き、富士山はほぼ全身を
現したが、30分足らずで視界は閉じた    6:25頃



山道と花の開花状況

 登山道はしっかり整備され、危険な箇所や急斜面にはクサリやロープが設置され安全性が確保されている。途中分岐する尾根道は新道より視界は良いが、アップダウンが有り新道よりもハードである。今回は斜面中
に切られた新道を行くことにした。
 山野の花は殆ど見られず山頂付近と途中、中腹に僅か見られただけである。

以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。

笹子雁ヶ腹摺山山頂     8:40頃

 山頂直下は急斜面が続く  8:45頃

木の根が露出した登山道  8:50頃

ガスが発生していたが日が差す
8:55頃
登山口から2番目の鉄塔  9:10頃
 新道と尾根道の分岐点    9:15頃

新道は中腹に設けられている
10:10頃    
登山口から1番目の鉄塔 9:45頃
新道と尾根道の合流点   10:10頃

迂回路は甲斐大和に一旦向かう
10:10頃  
神社の鳥居を潜る        10:10頃  
笹子峠に向かう登山道   10:15頃

笹子峠の道標       10:15頃  
ロープが張られた急斜面  
10:15頃  
登山口に向かう道    10:15頃


登山口の駐車場        10:20頃



現在咲いている山野の花


山頂付近に咲くノアザミ(キク科)  
中腹に咲くフタリシズカ(センリョウ科)
登山口付近に咲くニガナ(キク科)



                                   使用カメラ: ・OLYMPUS  E-M1    ・CASIO  EX-ZR62




6月25日 高川山

 降雨量の少ない梅雨を迎えているが、晴にもかかわらず富士山を望める日は少ない。やはり梅雨時特有の湿度の高さがあり、それが展望を阻んでいると思われる。この時期は天候が読みづらく、だからこそ思わぬ情景に出会えるチャンスがある。あまり天候に囚われず撮影に出掛け、チャンスをもの に出来ればと思う。
 今回は梅雨の合間に晴れの日が続いている中であるが、素晴らしい情景に出会えることはあまり考えず、梅雨時の富士山の姿を捉えられればと思い、高川山を訪れることにした。高川山は昨年8月に訪れて以来となるが、富士山がどのような姿を見せてくれるか楽しみである。
 前回は腰の状態があまり良くなかったため沢コースを往復したが、今回は男坂コースを登り、下山は沢コースを降りる予定である。未だ腰の状態が不完全なため、ハードな男坂を登るのは躊躇したが、少しずつ急斜面の登りになれなければと思い、時間に余裕を見て登ることにした。
 初狩側の駐車場到着は午前1時30分。西の空は月の姿は見えないが明るみを帯びている。間もなく満月を迎える月が夜空を明るく照らしているためである。風がやや強く涼しげな風は爽やかな感じさえするが、この時期になると虫が多くヘッドランプの灯りに寄ってくる。爽やかさより鬱陶しさを感じる。虫を追い払うのも容易でない。今回気付いたことであるが、駐車場の隅に登山者カウンターが設けられていた。大月市では登山者数を把握するため、岩殿山や扇山でも実施されている。
 2時10分駐車場を出発。男坂・女坂コースの入口は駐車場から5分位のところに有り、コースに入ることが出来る。やや急な登りの箇所もあり、それ程楽なコースではない。2時40分、コースの男坂・女坂の分岐点に差し掛かる。男坂コースに道を分け、先を進むが、急斜面となるのは中盤以降である。岩のゴロゴロした急斜面はロープが設置されているもののワンステップが高く腰の不具合からか足を持ち上げるのも容易でない。時間がだいぶ掛かったが、合流点通過は3時25分。これより山頂までは比較的緩やかな斜面で身体への負担は少ない。
 山頂到着3時50分。所要時間1時間40分掛かった計算である。腰の具合もあるが、年々所要時間が延びていることは確かで、何か寂しいものを感じる。山頂は既に明るく、富士山も姿を見せている。日の出も4時25分と1年中で最も早い時間帯である。今後、日の出時間は徐々に遅くなり、処暑を迎える頃には5時台に入る。気温は12℃と平年並みと思われるが、風が強く冷たい風が体の中を通り抜け寒さを感じた。このためウインドブレーカーを着込む。 今日の天気は晴ではあるが、湿度が高いせいか富士山がやや霞んで見える。上空には筋雲が多く、ピーカン状態でないことが、撮影者にとっては有り難いことである。
 今日の日の出時間は4時27分。東の空には雲が多く、朝陽が雲により阻まれている。富士山に陽が差したのは日の出時間の20分後で4時50分になってからである。富士山頂はやや朝焼けたが、焼け具合は不足ぎみに終わった。6時半頃を過ぎてからは気温が上昇し。予報通り厳しい暑さになってきた。富士山の情景にも変化はなく撮影を終わらせることにした。山頂に僅かながら咲く花を撮影し、下山準備に取り掛かる。 7時40分、下山を始める。
 女坂コースに入り途中、沢コースに分岐し寒場沢に沿いに下山する。途中深い谷の箇所がある。ローブが張られ安全は確保されているが、滑り易いため注意が必要。登山道は上流の砂防ダムまでで、ここからはコンクリート舗装された林道で初狩駅まで続く。
 沢コースの登山道までは車での進入可能であるが、舗装されているものの、悪路が所々にあり道幅も狭く注意して進入する必要がある。
 登山口到着は8時50分。途中、登山者に出会うことはなかったが、車に乗り込み、走り出すと直ぐに、登山者1人とすれ違った。



今日の富士山

 今朝の早い時間帯は湿度か高く靄でクリヤーな富士山が見られなかったが、時間の経過と共に、日が高くなるにつれ靄も晴れ、鮮明な富士山が見られるようになってきた。  

やや薄色だが朝焼けが見られたガヤや不足    4:40頃    
抜けが良くなり爽やかな富士山見られた   7:15頃


高川山からの富士山方面のパノラマ                                  7:15頃



登山道と花の開花状況

 高川山の沢コース(玉子石コース)は一部分管理の手が入ったようで歩き易くなった。このコースは女坂コースに合流するまでがコース名となっているが、傾斜は緩く比較的楽に登れる登山道である。登山道としては女坂の合流点から、寒塲沢上流の砂防堰堤までと考えて良い。この位置から初狩に向かう下山方向は基本的にコンクリート舗装された林道のため、登山道ではないと考えて良いと思われる。登山靴を履いてコンクリート舗装された道を長く歩くのは辛い面はあるが、山頂への上り下りは他のコースに比べ最も体力の消費と共に所要時間も少ないと思われる。
 沢コースの登山道までは、車の進入が可能で有るが、部分的に荒れた箇所が有り、道幅も狭いため細心の注意が必要となる。特に冬場は路面が凍結し危険なため進入は避けるべきである。花は山頂周辺に集中し、現在、登山道際では見られない。夏の花であるシモツケやオカトラノオの花が多く見られた。

シモツケ(バラ科)                
オカトラノオ(サクラソウ科)
ガビハナミズキ(ミズキ科)


タカトウダイ(トウダイグサ科)
サルトリイバラ(ユリ科)
寒くなると実が赤く熟す  
キヌタソウ(アカネ科 )


山頂         7:35頃    
ビッキーの写真箱の裏側に
下げられている
山頂直下の道標      7:50頃


男坂,女坂コースの分岐点  7:55頃  
女坂の崩落地(ロープが設置)
8:05頃
女坂と沢コース分岐点
   8:15頃


分岐点から沢コースの登山道
8:15頃    
寒塲沢上流の砂防堰堤    8:25頃
沢コースの始点は広い   8:30頃


登山道から舗装された
林道に変わる   8:30頃  
コンリーと舗装された林道  8:35頃
コースの名称となっている玉子石
8:45頃


案内板には東照宮柱石と
書かれている     8:45頃  
男坂・女坂コース入口 8:50頃
登山口にある駐車場    8:50頃


最近設置された登山者カウンター
  8:50頃  
駐車場脇に咲く八重ドクダミの花



                           使用カメラ: ・OLYMPUS  E-M1    ・CASIO  EX-ZR62





6月1日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山

  前日降雨があり、気象予報を精査する限り雲海発生確率が高いと予測した。新緑の綺麗な時期でもあり、今回は1年3ヶ月ぶりとなる牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
 自分の撮影スタイルとして、日の出時間帯の富士山を狙って撮影することを基本としているが、撮影準備の都合もあり、日の出時間の30分程前に山頂に到着するようにしている。今月6日〜21日まで日の出時間は4時25分で1年中最も早い時間帯となる。未明に自宅を出発する時間もそれに連れ早くなるのはやむを得ない。因みに冬の最も遅い日の出時間は6時51分、その差は2時間20分程でその分、夏に早起きすることになるが、睡眠時間が少なくなるのは結構辛いことである。
 自宅を12時20分に出発。八王子ICで高速に入り、大月ICで降りるのは北の方の山へ行く場合、毎度のパターンである。大月から国道20号を暫く走り、景徳院入口の信号を右折し、県道218号に入る。これより北に向かい走ると、上日川ダム付近の日川林道入口に差し掛かる。この入口を入ると登山口は間もなくである。
 登山口には午前2時25分に到着。今日もまた西尾根を登る。現在は雲が多い状況だが雲の合間から星が所々に望むことが出来る。更に南西の空には満月から3日目となる居待月が顔を出し、夜空を明るくしている。多少の風はあるが湿気はあまり感じられず、爽やかである。雲海の発生は山頂付近まで登ってみないと分からないが、湿度があまり低いと発生しない可能性が高い。
 2時40分、登山口を出発。登山口付近は植林された木が生長し3年ほど前に伐採され、現在は新たに苗木が植えられている。それを保護するため入口には鹿の食害を防ぐための説明が書かれている。周辺には侵入防止のネットが張られ、中に入るためにはネットを支えている支柱を外して入るよう指示されている、その支柱は隣の支柱と紐で結ばれ、それを解き入ったら紐を結ばなければならない。支柱は外れ難く、面倒な作業である。そのエリアを出るときにも同じ作業を繰り返さなければならず、貴重な時間を費やすることになる。
 山頂到着時間は余裕を持たせてあるが、予期せぬロスタイムが生じ、少しピッチを上げることにした。 最近、甲州市で登山道の整備をされたようで、その脇の草や雑木が刈られ登山道が分かり易くなっている。今まで迷う場所は限られていたが、整備のお陰で暗夜でも迷うことが無くなったのは有り難い。
 目の前に大きな自然石(パノラマ岩)が立ちはだかると、尾根のピークまでは間もなくである。4時00分尾根のピーク点に到着。富士山を展望出来る場所があり、そこからは間違いなく富士山が姿を現している。更に、雲海が発生。予測が的中したようである。夏は日の出時間の1時間位前から明るくなり、4時頃にはヘッドランプも不要となる位明るい。ここから山頂まで約20分程である。ロスタイム分遅れているが、ギリギリ日の出時間に間に合いそうである。
  山頂到着4時20分。西の空には雲が多く、未だ光がない状況である。湿度80%、気温は2℃と低く冷たい風が身体を通り抜け、かなり寒く感じる。標高が高いと下界とこんなに気温差が違うものかと改めて感じた。富士山は抜けが悪く不鮮明。写真に写るかどうか危ぶまれたが、時間経過と共に抜けが良くなってきた。光りが入り、何とか日の出時間帯の画像をカメラに収めることが出来た。
 山頂には甲州市が設置した山名板と、日川林道への登山口へ下る案内板か新たに設置されている。何れも大月市の設置したものと色や材質が同じもののように見える。管理する市が異なると、山名板などでもデザインが違うものが多く、同じ山なのに違和感を覚える事があり、その点を配慮したと思われる。
  6時、下山を始める。山頂から15分ほど下った鞍部は枯木が多く、登ってくるとき気が付いたことだが、この付近も整備されたようで視界が大きく広がっている。ここで下山時に撮影しようと決めていた所である。季節にもよるが、新緑の頃は山頂より富士山撮影には恰好の場所と云っても良いと思われる。  
 7時50分、日川林道に向かい下山する。途中、花の写真など撮りながら下り、登山口には9時35分到着。今日は登山口付近で夫婦の登山者と出会ったのみである。
 今回は天候にも恵まれ、雲海の富士山の撮影も叶ったし、新緑が綺麗で静かな山歩きも楽しむことが出来た。



今日の富士山

 昨日、富士山に降雪があったようで、少なくなっていた雪が復活し富士山らしさが戻った。また、雲海の発生で富士山に華がもたらされ素晴らしい情景が生まれた。今回は山頂からの撮影と山頂直下の鞍部からの撮影も加えた。この鞍部には枯木が多く、この程の整備によって富士山方面の視界も広がり富士山の撮影地として位置付けられると思われる。

山頂より 日の出時間帯の雲海と富士山     4:45頃    
山頂より 上空の雲と雲海に挟まれた富士山                5:10頃


山頂直下鞍部より 枯木と富士山       6:50頃
山頂直下鞍部より 遊雲と富士山        7:15頃




登山道の状況と山に咲く花

山頂から南アルプス展望   5:30頃  
山頂(右には甲州市の山名板) 6:00頃
日川林道への案内板     6:00頃


山頂下鞍部の枯木      6:45頃    
西尾根ピーク付近     7:55頃
西尾根ピークからの富士山   7:55頃


西尾根ピーク点        7:55頃    
所々に存在するミツバツツジ 7:55頃
西尾根からの上日川ダム湖  8:00頃


岩がゴロゴロした急峻な登山道  8:00頃  
見 頃を過ぎたミツバツツジ  8:10頃
左図像の花びらが落下している 8:10頃


展望が利くパノラマラマ岩  8:10頃    
パノラマ岩下部       8:15頃
雑木の多い登山道 8:25頃


所々に存在する案内板    8:40頃  
ミツバツチグリ(バラ科)  9:15頃  
モミジイチゴの花     9:20頃


ンポポの綿毛化前の姿    9:25頃    
進入防止柵の出入り口       9:30頃


日川林道登山口        9:30頃  
駐車スペース
(1台車他の車が止められている)9:35頃



                                   使用カメラ:・OLYMPUS  E-M1   ・CASIO  EX-ZR62