2018年撮影紀行(その4)




5月21日 大藏高丸・ハマイバ

 今年は花の開花が平年に比べ早くハマイバのミツバツツジも例外でないと思われた。そこで今年の開花状況を見るため今月10日、17日と訪れ観察した結果、満開日を19日〜20日と特定した。問題は満開に合わせ富士山が姿を現してくれるかどうかに掛かってくる。天気は両日とも晴の予報で富士山が姿を現す確率は高いと思われる。しかし、両日は土曜日、日曜日のため撮影者で混雑が予想される。3脚が立てられないほどの状態では落ち着いて撮影出来ない。撮影日が1日後になるが、満開のピークとそれ程変わらないと思われることから、5月21日(月)に訪れることにした。
 当日のtenki-jpによる大月市のピンポイント予報は1日中、晴マークが付いていた。しかし、ここの所、予報は晴でも実際は曇り空のことが多く、今回も例外でないと予測される。自宅を出る際、天空を仰ぐと案の定曇り空。暗くてハッキリしないが雨を降らせる雲では無さそうである。
 湯ノ沢峠の駐車場に午前3時に到着。既に5台の車が止められていた。ミツバツツジを狙う人達に違いないと思われた。しかし、大株のミツバツツジに光りが全体に回るのは午前8時、未だ時間が早いため車の中で待機しているようだ。 今日は大藏高丸で日の出時間帯の富士山を狙い、その後、ミツバツツジに光りが回る頃ハマイバに向かう予定である。
 湯ノ沢駐車場を午前3時30分出発。他の車の人達は出発する気配はない。天空を仰ぐと星空は何処にも見当たらない。やはり今日は雲の多い天気のようであるが、富士山が姿を現してくれるかどうかが問題である。お花畑を通過する際、西の方の甲府盆地は街灯りでキラキラ輝いている。やや靄が掛かっているようだが、空気は澄んでいるようで、抜けはそれ程悪くない感じである。
 40分程で大藏高丸に到着。風がやや強く気温も低い。風の影響で寒さを感じる。先客は2人、1人は既に三脚を立てスタンバイしている。もう1人は山頂にテントを張って泊まっている登山者と思われる。靄で抜けはやや悪いが富士山はしっかり姿を見せている。今日は暫くここで富士山を撮影し、ミツバツツジに光りが回った頃、移動する予定である。
 先客の隣に三脚を立てさせて貰い、スタンバイに入るが、東の空も雲が多く、富士山には日の出時間を過ぎても光りが差してこない。一時、東の雲が焼けた。富士山もその影響で焼けると思ったが何の変わりもない。天空も曇り空で富士山は灰色の空に同化している。これでは撮影してもコントラストのないフラットな画像になることは明らかである。暫くすると回復してくると思われるが、それまで待つしかない。あまり気乗りしないが、取り敢えず富士山をカメラに収めることにした。
 撮影中、隣のカメラマンに声を掛け雑談を始める。先方から高川山で会ったことがあるという言葉が返ってきた。その時の状況を丁寧に説明してくれたお陰で話をしているうちに思い出してきた。その彼は都留市のカメラマンだった。最近物忘れが多く、その時の印象的だったことを言葉にしてくれたので直ぐに思い出すことが出来た。撮影に集中すること無く話に花が咲き、有意義な時間が過ぎて行った。気が付くと既に8時を回っていた。曇り空もやや抜けてきた感じで、薄日が差すようになってきた。
 もう1人カメラマンが加わり、3人でハマイバに向かった。加わった人は地元の学校で教師をしていたそうで、定年退職後、写真を始めたということだった。勿論、ハマイバのミツバツツジは初めてである。
 ハマイバ山頂を越え少し南に下ったところにミツバツツジが群生している。先ず登山道を隔てた東側のミツバツツジの所に一緒に行きそこで撮影することにした。元教師の人はその見事さに感動していた。その後、西側の大株のミツバツツジの所に移動した、満開で豪華に咲き誇っている、ピンクの色彩は濃く、ボリューム感がありこれ以上のことは無いと思われた。時間と共に富士山も抜けてきて撮影には最良の状況になってきた。 暫しミツバツツジの前で心置きなく撮影を続けた。下山するのが惜しいくらいだったが、いつまでも留まっている訳にもいかず下山することにした。皆各々に下山を始める。私は山野草を撮りながら下るため最後となった。
 今日はこれ以上無いというミツバツツジの濃く深いピンク色、花数も多くボリューム感たっぷりで、富士山の抜けも良くなり、花、富士山、天気、三拍子揃った条件に恵まれたのはラッキーだった。最高の舞台に久々に熱のこもった撮影が出来た。
 ハマイバにだいぶ長居をし、湯ノ沢峠に着いた時は既に14時30分を回っていた。


今日の富士山  

 花は満開、富士山には雪があり、抜けが良く青空がある。撮影の理想形である。今回のミツバツツジと富士山はこれに匹敵する好条件だった。

 

ハマイバから

登山道を隔てた東側のミツバツツジと富士山   8:40頃    
東側の大株ミツバツツジと富士山      9:45頃


大蔵高丸から

白い花と新緑                 6:45頃      
同 左               13:05頃







登山道とその脇に咲く花

  登山道脇は草木の新芽が吹き新緑で溢れ目に優しい。また、山野草もスミレ、ミツバツチクリ、フデリンドウ、キンポウゲ、シロバナヘビイチゴなど登山道脇を賑やかにしている。これから7月にかけて花の種類も更に増え華やかさを増してくる。

以下写真はハマイバから湯ノ沢峠への下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。

ハマイバ山頂        9:00頃    
登山道脇のミツバツツジ   9:05頃
大藏高丸へ向かう途中からの富士山
(雲海が未だ残っている)   9:50頃


シロバナヘビイチゴ(バラ科)      
大藏高丸山頂        10:30頃
タチツボスミレ(スミレ科)


コスミレ(スミレ科)            
シロバナヘビイチゴ(バラ科)  
 フデリンドウ(リンドウ科)


キンポウゲ(キンポウゲ科)       )
 新緑の登山道       13:35頃
ノミノツヅリ(ナデシコ科


タチツボスミレ(スミレ科)              
シロバナヘビイチゴ(バラ科)  
ミツバツチグリ(バラ科)


シロバナヘビイチゴ(バラ科)        
同 左
            お花畑から白谷丸を望む
 14:10頃


お花畑から大藏高丸を望む 14:10頃
モミジイチゴ(バラ科)
お花畑に咲くスズラン(ユリ科)


  サンリンソウ(キンポウゲ科)
湯ノ沢峠の案内板     14:30頃
キンポウゲ(キンポウゲ科)



                                            使用カメラ: ・OLYMPUS  E-M1   ・CASIO  EX-ZR62





5月17日 大藏高丸・ハマイバ

 1週間前にハマイバを訪れたが、生憎の天気で富士山は姿を見せず撮影することが出来なかった。今月は未だ富士山の撮影が出来ていないため、富岳十二景の自作カレンダー用写真が5月のものが未だである。基本的にはその月に撮影した写真を2019年のカレンダーに採用することにしている。今回は前回撮影出来なかったことへの再挑戦ということで大藏高丸・ハマイバを訪れることにした。
 富士山を確実に撮影出来ることが今回の条件となり、快晴では確実と思われるが、山梨県の年間快晴日数は36日と少なく10%に満たないことから快晴日を選ぶのは難しい。従って晴れの日を選ぶのが現実的となるが、天気予報で言う晴は雲がある程度あることが条件である。気象庁の定義によると全天に対する雲の量の割合で決めている。具体的に、快晴は雲の量が1割以下。晴は雲の量が8割以下。曇りは雲の量が9割以上。定義上晴は幅があり曇りに近い場合の晴もある。
 今回、気象協会の大月市の天気は晴、一方、yahooやgoogleサイトの予報は曇りであった。恐らく実際は曇りに近い天気になると思われる。富士山が見えるかどうかは天気との関連性は余りないと考えられるが、雨の日は論外として、晴や曇りの時の判断は難しい。曇りでも富士山が姿を現す場合があり、晴であっても富士山が見られないこともある。
 当日の予報は曇りに近い状態と判断されるが、風が強く湿度が低い予報もあり、雲海発生はないと考えても良い。雲海を期待している訳ではないが、とにかく富士山が姿を現してくれれば、2019年5月のカレンダー用写真が揃うことになる。今日は何とか富士山をカメラに収めたい気持ちである。
 午前3時30分、湯ノ沢峠を出発。曇り空であるが雲の合間から時折星が見え隠れする。お花畑を通過する際、かぶっていた帽子が勢い良く飛ばされる程の強風に晒される。天気が良いと甲府盆地の街灯りが見えるが、霧が発生しているのか視界が利かない。今回は大蔵高丸から日の出時間帯に富士山を狙い、その後ハマイバへ移動する予定である。4時10分、大藏高丸に到着すると更なる強風が下の方から吹き上げてくる。体が揺らされ安定しない。恐らく風速10m/secを超えていると思われる。強風にもかかわらず霧が発生しているようで視界が殆ど利かない。暫くすると明るみを帯び、全容が分かるようになってきた。何と甲府盆地が雲海で埋められている。この強風下で信じられない思いである。明るさを増すに従い、富士山の姿も朧気に見えるようになってきた。雲海上の富士山は抜けが悪く不鮮明でやっと見える程度である。曇り空で光もなく撮影条件は最悪。写真では更に不鮮明な画像になることが予想される。一頻り大藏高丸での撮影を終わらせハマイバに向かう。
 ハマイバの山頂を越え、少し下った視界の広い撮影場所に6時10分に到着。雲海は健在でむしろボリュームが増えている。強風はやや収まりを見せているが、曇り空で光がないのは残念である。暫く情景に変化はなく、機材を置いたまま更に下ったミツバツツジの開花状況を観察に行った。
 ここの所の暑さ続きで開花が進み、既に見頃を迎えている。2日後には満開になると思われる。機材を取りに撮影場所に戻り、ミツバツツジの状況を撮影した後、下山を始める。
 今日は下山途中、男性単独登山者と出合い、大藏高丸では20名位の男女登山者のグループに出会った。湯ノ沢峠の駐車場には11時20分に到着。
 今回は取り敢えず、善し悪しは別として5月のカレンダー用写真が撮影出来てホッとした思いである。採用はこれから今月撮影出来る写真と比較して決めるつもりである。



今日の富士山

 今日は気象予報から予測出来なかった雲海に出会う事が出来た。自然は数値では表すことが出来ないことを知らされた思いである。

大藏高丸から(雲海と笠雲発生)      5:30頃    
ハマイバから(ミツバツツジと富士山)   7:55頃


大藏高丸から(雲海、笠雲、吊し雲、同時発生)                                             7:20頃



山頂と登山道の状況

ハマイバ山頂              9:00頃      
湯ノ沢お花畑
(緑がだいぶ増えてきた) 11;00頃
    お花畑から白谷丸を望む
                 11:05頃      


お花畑から大蔵高丸を望む
11;05頃
湯ノ沢峠に設置された
山者カウンター     11:15頃    
湯ノ沢駐車場            11;20頃



ミツバツツジの開花状況

(ハマイバの大株ミツバツツジは除く)

 以下はハマイバから湯ノ沢に向かい下山時に撮影したものである。何れのミツバツツジも満開を迎えている。  

ハマイバ山頂を北側に下った場所の
ミツバツツジ   9:05頃
湯ノ沢お花畑の近く南側の
ミツバツツジ   10:10頃

お花畑に咲くミツバツツジ   11:00頃



                                         使用カメラ: ・OLYMPUS  E-M1   ・CASIO  EX-ZR62





5月10日 ハマイバ

 前日、前々日と降雨があり、降水量は雲海発生には十分と思われた。林道は冬季閉鎖が解除され十二景の北の方の山にも楽に入れるようになったのは有り難いことである。今年は桜を始め、多種類の花の開花が早く、ミツバツツジも例外でないと思われた。今回はミツバツツジの下見を兼ね、雲海発生予想されるハマイバから富士山を狙うことにした。雲海発生はほぼ間違いないと思われたが、当日の天候が読みづらく、予報によると冷たい空気が入り込み大気が不安定で局所的に雷雨や雹が降るという天候予測であった。当日出掛けるかどうか躊躇ったが、不安定な天候だからこそ、珍しい富士山に出会える可能性があると希望を託し出掛ける決断をした。
 自宅を出る際、天空を見上げると雲が多く、今にも雨が降りそうな状況に行くかどうか迷いを生じたが、現地に行かなければ分からないという気持もあり出発することにした。八王子ICで高速に入ったが間もなく雨が降り出した。ここまで来てまた迷いが生じた。明日は確実に富士山が見られるという晴マークの予報が頭の中を過ぎり、明日出直そうという気持ちが生じた。次のインターで降り自宅に戻ろうかと心が揺らいだが、既に出発しているのに戻るのは後悔につながると思い、そのまま現地に向かい車を走らせた。
 国道20号から湯ノ沢峠に向かう道路に入ると一次的に雨が止んだ。このまま天候回復に向かってくれればと祈る気持ちになったが、標高が上がると霧の発生でやがて濃霧に被われた。ヘッドライトを上向きにすると目の前は真っ白で道路の状況が殆ど分からず、時速10〜15kmの走行がやっとである。今更自宅に戻る訳にはいかず覚悟を決めた。
 湯ノ沢峠に着くとやや視界は良くなったが霧雨である。雨の量はそれ程多くないが衣服が結構濡れる。気温は2.5℃と低めだが、風が無いため寒さはあまり感じない。他に撮影者はいないだろうか、駐車場に他の車は止められていない。
 登山準備を整え午前3時に出発。お花畑入口の扉に差し掛かると新しい扉に換えられていた。今まではアルミ製の扉であったが、変形し開けにくくなっていたため、頑丈な扉に取り換えたようである。お花畑には食害を防ぐためネットによるバリアが設置されている。このバリアは二重構造となっていて、内側のエリアには動物の侵入を完全に防ぐ構造である。換えられた扉は内側の扉と同じもので、亜鉛メッキされた鋼製の扉で強度も高く無理やり開けても壊れたりしない。扉を開け中に侵入すると左手からガサガサと動物がヤブを掻き分ける大きな音がする。立ち去る気配は無い。むしろこちらに近づいてくる音である。一瞬緊張が走り身を構える。笛を鳴らして威嚇するが一向に逃げる気配はない。かといって攻撃をしてくる様子も感じない。ヘッドランプを当てると2つの目が光っている。その動物は立ち尽くしてじっとしている様子だ。攻撃に備え身構えていたが暫くして体型が分かりホッとした。迷い込んだのだろうか子鹿である。親の居る気配もなくはぐれた可能性がある。そんな子鹿がバリアに入り込めたのは以外である。やはり二重構造が必要なことを改めて知ることになった。
 大藏高丸を3時50分に通過したが、相変わらず霧雨で、山名板がやっと見える程度で視界は悪い。ハマイバ山頂を通過し、少し下った撮影場所には4時30分に到着。霧は濃いが雨は止んでいる。視界はゼロ。天気予報は的中したようである。霧が立ちこめ視界の無い状態は簡単に回復しないと思われた。
 ミツバツツジの開花状況が気になっていたので更に少し下って大株の所で観察した。個体差はあるものの紫色の花芽が膨らみ始めている。今年は花全般に開花が早く見頃も平年より早くなると思われる。スマホで富士山周辺のライブカメラを見ても富士山の姿は確認出来ず、今日はいくら待っても天候回復は無いと思われた。 雨の降る中じっと回復が見込めない状況を待つのも耐えがたく、7時20分、下山することにした。未だ時間が早いため途中ワラビ採りを1時間ほどして、湯ノ沢峠へ向かうことにした。小雨は相変わらず続いていたが、ハマイバのお花畑近くで雷が鳴ったと思うと雹が勢い良く降り出した。大藏高丸に着いたときには止んでいたが、急に一部分青空が覗き出した。やはり大気が不安定な状況である。
 湯ノ沢峠の駐車場に10時30分に到着。未だ霧が立ちこめていたが、雨は止んだようだ。下山時に男性の単独登山者2人と出会った。今回は天気の読みが甘かったせいで残念ながら富士山をカメラに収めることが出来なかった。


登山道とその脇に咲く野の花

 標高1700mの山は未だ初春といった趣である。枯れた草木も残り、やっと新芽が吹き出し若葉色が山全体を覆い始めている。現在は冬と春が同居している状態と云っても良い。気温も未だ低く、野の花もスミレやミツバツチグリ、シロバナヘビイチゴなどに限られている。現在、登山道脇には華やかさは無いが、間もなくフデリンドウやキンポウゲが咲き賑やかさが増してくる。
  以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。

不明(問合せ中)        
開花に向かうタンポポの成長過程
タチツボスミレ(スミレ科)


ハマイバ山頂        7:30頃          
スミレ(スミレ科)
 シロバナツクバキンモンソウ(シソ科)

霰が降り白くなった登山道  8:40頃  
最期を迎えた隈笹未だに倒立  8:50頃  
シロバナヘビイチゴ(バラ科)

枯葉が多く冬が同居している 8:55頃  
大藏高丸山頂        8:50頃
霧に煙る(山頂から)  9:10頃

不明(調査中)       8:55頃  
横断している倒木(暗いと危険) 9:45頃    
ノジスミレ(スミレ科)

取り換えた西側扉      10:05頃  
霧に被われたお花畑    10:10頃
お花畑から白谷丸を望む   10:10頃

取り換えた北側扉     10:15頃
湯ノ沢峠に設置されたカウンター10:20頃
湯ノ沢峠駐車場(他に1台の車(10:25頃)


ミツバツツジの発芽状況

 既に紫色の蕾が膨らみを持っている。今年は全般にサクラやツツジの開花が早くミツバツツジも例外なく開花が早いと思われる。平年は5月末から6月初めに最盛期を迎えているが、今年はそれよりも早く見頃を迎えると思われる。今年は花芽が多く当たり年になりそうである。

紫色の蕾が膨らんでいる                      
同 左


膨らみ方、色彩に個体差がある        
 ハマイバの大株(画面右側の方から開花が始まる)



                                              使用カメラ(デジタル): CASIO  EX-ZR62