2018年撮影紀行(その3)




4月19日 奈良倉山

 17日の夜から降雨があり、次の日昼頃まで降り続いた。雲海発生のチャンスはあるのか?小雨だったため降水量が不足しているように思われたが、4月の富士山が未だ撮影出来ていないことを踏まえ、奈良倉山を訪れることにした。松姫峠へは今月1日に冬季閉鎖が解除され、鶴峠から登らなくても楽に奈良倉山へ行けるようになった。登山時間が短縮されたことは何よりも有り難い。
 自宅を午前1時に出発。奈良倉山へは青梅街道を通り、松姫峠の駐車場まで毎回2時間掛けて到着しているが、途中、小管村から松姫峠へ向かう間に所々霧が発生していた。駐車場に着いたときも霧が漂っていたが、天空は抜け満天の星が輝いていた。雲海が発生しているかどうか暗くて捉えることは出来ないが、この薄い霧では雲海はなさそうな気がする。
 早速、登山準備を始めるとヘッドランプがないことに気が付いた。家に忘れてきたようである。林道経由で山頂へ行くには危険性は殆どなく無灯でも行けると思うが、新月を過ぎたばかりで月明かりは無く寂しい気がする。そういえば暗がりでカメラを操作するための小型LEDライトがあることに気が付いた。僅かな光量だが寂しさを紛らわすためにはそれで十分である。
 3時20分松姫峠を出発。林道を歩いていると南西方向の眼下に木々の合間から灯りが時折見え隠れする。葛野川ダムの街灯と思われるが、僅かながらの灯りが見えるだけで心強く感じる。昨日降った雨で林道には水溜まりが多く小型ライトではそれに気付かず時々足を突っ込むことがある。
 山頂に4時10分到着。相変わらず天空の抜けは良く一際星が明るく輝いて見える。夜空の王様、月は現在地球の裏側にあるため、星が輝きを主張できる絶好のチャンスである。登ってくる途中、霧の発生はなかったが山頂は薄くガスが漂っている。遠方の視界はやや悪く富士山の姿を捉えることが出来ない。しかし、良く目を凝らすと白い富士山頂が幻のように浮かんで見える。更に、眼下の谷には見当たらないが、遥か遠方には雲海が発生しているように見える。
  4時半を過ぎた頃から明るさが増し、周辺の状況が分かるようになってきた。雲海は間違いなく発生している。降水量不足と思われたが、予報より気温が下がったため雲海発生につながったと考えられる。今日の日の出時間は5時04分(東京)であるが、東の空は既にオレンジ色に焼けている。雲海は広がりを見せ、眼下の谷も4時40分には雲海で埋め尽くされた。
 日の出時間を過ぎても朝日が差してこない。太陽の位置が雲海の高さを越えればと思われるが、元々雲海は霧で出来ていて光りは通さないため、朝日が遮られていると考えられる。日の出時間を10分ほど過ぎてから富士山頂に鈍いながらも光りが差し僅かな朝焼けが見られた。 雲海の撮影は状況によって大変難しい。青空が覗き、抜けが良ければコントラストのある画像となるが、必ずしもそうとは限らない。標高の低い山からでは雲海自体が霧であり、抜けが悪く光りは遮られ霧の中にいる状態である。このような状況下では、空、雲海、雪を被った富士山は全て白一色に同化し、写真ではコントラストが付かないフラットな画像となる。これは致し方ないことであり、諦めるしかないが、デジタル画像ではある程度の調整で対応するしかない。今回のように白一色という状況では雲海の動きや迫力を表現することは難しい。 降水量不足の影響か、徐々に雲海は消滅し、7時頃には近くの谷の雲海は消滅を始めた。雲海が見られる時間帯は割と短いと感じた。
 抜けが悪い状態が続き、これ以上山頂に留まっていても状況の変化は期待できず、7時に下山することにした。
 下山は林道を通らず、山道(迂回路)から植物の写真を撮りながら松姫峠に向かうことにした。植物は新芽が芽吹き新たな生命が誕生している。自然のエネルギーは凄いと改めて感じる。山野の花は現在、限られていて、スミレ、僅かにミツバツツジが咲いている状況である。
 今日は登山者など、出会うことはなかったが、山頂で撮影中、下の林道から熊除けの鈴音が聞こえてきた。途中で止んだため林道の富士山展望地で撮影するカメラマンだと思われた。駐車場には1台新たに車が止められていた。



今日の富士山

 雲海の撮影は雪のある富士山、雲海、空の色が同化しコントラストに乏しいフラットな画像になるが、色調整やコントラスト調整により自然を損なうことなく不足分を補っている。過剰調整は不自然な画像となり、調整には慎重を期している。

日の出時間帯(光が弱く焼け方が鈍い)    5:15頃    
雲海が徐々に消滅し始めた          6:40頃



山頂及び登山道の状況

以下、下山時に撮影した画像を時間順に配置してある。

下山時山頂展望所からの富士山  
7:05頃  
山頂の様子        7:05頃  
山頂からの下山道      7:10頃


松姫峠と鶴峠への分岐点   7:20頃  
分岐点から松姫峠方面への登山道
7:20頃
分岐点から鶴峠方面への登山道
7:20頃


ヨゴレネコノメ(ユキノシタ科) 7:30頃  
新緑が眩しい       7:35頃  
回り道(山道)の案内標   7:55頃


満開のミツバツツジ     8:10頃    
ヒナスミレ(スミレ科)     7:20頃
林道に交差する分岐標   8:30頃  


分岐点に群生するヒナスミレ 8:35頃    
松姫峠駐車場(隣に1台の車あり)8:50頃


松姫峠から南西方面展望(富士山は雲に隠れている)              9:00頃



                                             使用カメラ:OLYMPUS  E-M1  CASIO EX-ZR62





4月2日 岩殿山・お伊勢山の桜

 岩殿山のライブカメラで数日前は全く桜の開花は確認出来なかったが、3月31日のライブカメラは満開に近い状態の桜を写し出していた。慌てて本日訪れたが桜は満開にも係わらず早朝から濃い靄の発生で富士山の姿を見ることが出来なかった。今回、満開の桜と富士山の撮影は叶わなかったため、桜の画像を掲載することにした。岩殿山を早めに下山しお伊勢山に廻り桜の開花状況等も撮影した。

岩殿山の桜

山頂

昇った太陽
   (霞が幕となり満月のようだ)          
山頂東側のサクラ(3分咲き)
山頂のサクラは老木のためか
花が少ない          


山頂の石碑
山頂から丸山公園のサクラ俯瞰  
山頂東側のサクラは3分咲き



岩殿山中腹

中腹のサクラも満開を迎えている
同 左
同 左


同 上
同 左
同 左



丸山公園

満開を迎えているサクラ                  
サクラ越しに大月の街眺望
公園内の小高い山もサクラ一色に
染まっている


小高い山のサクラ
        ふれあいの館        
コスミレ(スミレ科)



お伊勢山の桜


墓所の桜  
公園へ行く途中の淡紅色の桜
(名前は不明)
左の桜をアップ


同様に桜をアップ
公園内の近年植えられた
      桜は未だ五分咲き          
ミツバツツジも間もなく開花が始まる


スズランスイセン
(別名:オオマツユキソウ)  
ラッパスイセン


お伊勢山公園 (白籏史朗先生の顕彰碑がある)



                                              使用カメラ:  OLYMPUS  E-M1   CASIO  EX-ZR62





3月23日 九鬼山

 暫く雨や雪が続き大地に水分が供給され、雲海発生のチャンスと思われた。しかし、予報では天気の回復は早く、更に当日の気温が高く風も強く雲海の発生は殆どないと判断した。それでも山には積雪があり雪景色を撮るチャンスでもある。積雪の街と富士山を撮影できればと思い、今回は九鬼山を目差すことにした。  
 九鬼山の撮影場所である富士見平は前面の杉が生長し撮影は制限される。また、山頂の杉は景観が得られるよう伐採され富士山は展望できるようになったが、視界が杉の木で狭められ、富士山は大写しとならざるを得ない。そのような状況から山頂より100m程標高は低いが視界の開けた天狗岩から撮影することにした。この場所は禾生側から登る愛宕神社コースの途中にあり都留市から富士吉田市の街が一望出来る撮影場所でもある。
 最近、日の出時間が早くなり、自宅を出る時間もそれに応じて早くならざるを得なくなった。九鬼山へは、愛宕神社コースを登り杉山新道コースを下山することが多く、今回も例外ではないが、急斜面のある愛宕神社コースの積雪の状況によっては登山時間に余裕を持たせなければならない。天狗岩まで所要時間2時間見込んでおけば余裕に思われる。日の出時間は5時41分(東京)、5時到着を目標に登山口を午前3時に出発する予定とした。
 愛宕神社コース登山口近くの空き地に車を止めたのは午前2時30分。気温は高く風が強い。これでは雲海が発生する余地はない。天空は予報に反し曇天のため星は望めない。登山口付近の積雪は5cm〜10cm程度、それ程多くないが春の雪は水分を多く含み重く滑り易い特徴がある。急斜面を登るためアイゼンを持参することにした。
 3時、登山口を出発。登山道は池ノ山コースの分岐点まで杉の枝が散乱し、その上に雪が10cm程載った状態で滑り易い。分岐点を4時15分に通過。予想以上に時間が掛かっている。これよりフラットな登山道を暫く行くと、急斜面の入口に差し掛かる。その入口には急斜面注意という看板が立てられている。積雪は徐々に増える傾向にあるが、滑り易いため一歩一歩慎重に足を運ぶ。急斜面につきジグザグに登山道が切られている。登山道で滑り転倒したら滑落を免れそうもない感じの急斜面である。
 天狗岩到着5時45分、予定時間よりだいぶ遅れた。体力的な理由もあるが、滑らないよう慎重を期したことが主な原因である。急斜面入口でアイゼンを装着しておけば良かったかも知れないが、水分の多い春の雪は効果があまり期待できない。早朝から天気予報に反し、富士山は雲に隠れ姿を見ることが出来ない。気温が高い影響と思われるが厚い雲に被われている。このような曇天から富士山が姿を現す状況を窺う事が出来ない。 1時間半ほど待機したが状況に変化はなく、今回も奈良倉山に引き続き富士山撮影を諦めることにした。雪景色を楽しみながら登山に徹しようと気持ちを入れ換え、山頂経由で杉山新道コースを下山することにした。7時20分、天狗岩を後に山頂に向かうが、未だ急斜面の中程、万全を期しアイゼンを装着することにした。
  山頂手前の富士見平に8時10分着。天狗岩から50分の所要時間となった。無雪期であれば15分位で到着出来るが、予想以上に長時間を要した。やはり原因はアイゼンの効果が得られず、慎重に歩かざるを得なかったこと、アイゼンの底に湿った雪が団子状に貼り付き、それを落とさない限り歩行困難を招く。このような状況から歩く速さが極端に落ちたことなどが原因である。
  山頂には8時20分到着。強めの風は治まったようだ。雲の多い状況に変わりはないが、西北から北に掛けて所々青空が見え、天候の回復が急速に進んでいることが窺える。と言っても富士山が何時頃になったら姿を現すか不明である。10時を過ぎると逆光線ぎみとなり撮影上は好ましくない。撮影せずにこのまま下山するか迷ったが、前回不発に終わったことから、今回は何とかカメラに収めようという気持ちになった。
  富士山が姿を現したのは9時半になってからである。たっぷり雪を蓄えた富士山。神聖と呼ぶに相応しく、思わず手を合わせたくなる。今日の富士山は今シーズン最も多く雪を蓄えた日になると思う。天候が回復し山頂にも日差しが届き、雪景色に囲まれながら柔らかな春の温もりが感じられる。
 山頂に長居をしたようだ。11時、下山を始める。予定通り杉山新道コースを降りることにしたが、当コースの傾斜は緩く、それ程滑ることはないと思われたが、アイゼンを付けたままである。アイゼンの底には相変わらず雪が団子状に貼り付き歩行が捗らず途中で外すことにした。傾斜が緩い分距離は長く、滑らないよう慎重を期したため、精神的疲れが溜まったのは久々である。途中昼食を摂り、14時20分、登山口に到着。
 今日は富士山に出会うため山頂で暫く待たされたが、雪の多い神聖な富士山に出会う事が出来て良かった。姿を現すまで暫く待たされたがその甲斐があった。



今日の富士山

九鬼山山頂からの富士山(標準レンズでは杉の木が入り込み望遠系のレンズの使用はやむを得ない)

姿を現した富士山は雪が多く神聖そのものである  9:45頃  
青空が展開され真白い富士山が目映い     10:30頃




山頂及び登山道の状況

以下写真は、天狗岩から山頂へと行き、杉山林道を下山する様子を時間順に並べてある

天狗岩からの展望      7:20頃  
天狗岩の標示板      7:25頃  
後ろを振り返ると急斜面   7:30頃


富士見平(間もなく山頂)  8:15頃  
九鬼山山頂        8:20頃


九鬼山山頂からの北方面のパノラマ(青空が広がっているが雁ヶ腹摺山は終始雲に被われていた)       8:55頃


下山時山頂の様子    11:05頃  
愛宕神社コースを示す案内標
11:10頃
杉が入り込む富士見平からの
富士山11:10頃


鈴掛峠への分岐点   11:20頃    
緩やかな下山道      11:30頃
長く続くジグザク道(途中昼食)
12:35頃


サンシュユ(山茱萸)ミズキ科
12:35頃  
積雪が殆どなくなった登山口近く
13;55頃
車を止めた空き地    14:20頃



 

                              使用カメラ(デジタル): ・OLYMPUS  E-M1   ・CASIO  EX-ZR62