2019年撮影紀行(その4)




12月13日  扇山

 ここのところ晴天が続き、富士山周辺のライブカメラは鮮明な富士山を捉えていた。今年も残り少なくなり2020年の秀麗富岳十二景カレンダー作りも最終段階に入った。12月の写真は半年前に扇山からの富士山撮影に決めていた。特に12月と扇山からの富士山に関連性はないが、年の終わり頃になると十二景の山が重複しないよう撮影する山が少なくなるため、半年ぐらい前から予め決めておく必要があった。今回、撮影日を決めるに当たり、気象情報から確実に撮影できる日を精査選択し、13日に扇山を訪れる事にした。
 梨の木平登山口の駐車場に着いたのは午前2時50分。やや強い風が吹いている。星や月齢16.5日の丸い月も見られない。天空は厚い雲に被われているようで、暗夜である。天気予報は当を得なかったのだろうか?
  3時10分登山口を出発。登山道は暗くても分かり易く道を誤る事はない。管理が行き届いているからと考えられる。このような登山道だと暗夜でも不安はない。途中、中腹の水場付近を通過する際、ちぎれ雲が月明かりに照らされ、風に流されていた。天空は晴れているように見えるがこのまま晴天が続いてくれると有り難い。ツツジ群生地への分岐点を5時に通過。水場で暫く休憩したため予定時間よりだいぶ遅れている。この分岐点を過ぎるとつづら折れの登山道が始まる。いつ終わるのだろうかと辛い登りが続く。
 やっと百蔵山への分岐点に到着。ここは大久保山(1109m)が近くにあり、この場所を大久保のコルと呼ぶらしい。ここまで来ると10分程で山頂である。
 5時50分山頂到着。風が強く、富士山方面は黒く厚い雲がたれ込めている。風が強いにも関わらず雲の動きはない。富士山は雲の中に隠れ姿を現しそうもない。気温は−1℃とそれ程低くはないが風が強く身体の中を通り抜け寒さを厳しく感じる。暫く待機するが、雲の動きがないため簡単に富士山は姿を現しそうもない。 更に様子を見る事にしたが、状況に変化はなく、今日は撮影を諦める事にした。
 9時に下山を始める。途中、単独登山者各々2人と出会った。梨の木平登山口駐車場には10時20分に到着。他に1台の車が駐車されていた。
 今回は残念ながら富士山をカメラに収める事が出来なかった。気象情報を念入りに精査した結果であったが、暫く晴天が続いていた中、皮肉な事に当日のみ天気が悪かった。気象庁はスーパーコンピューターを用いても当を射なかった。良くある事だが、自然の力に勝つ事はできない。(今日の富士山は撮影できなかったためお休みです)

 

山頂と登山道の状況

山頂から北方面の眺め(晴れ
間あり)  7:00頃  
山頂の様子       9:00頃  
富士山は厚い雲の中で
姿はない  9:00頃


山頂から下る登山道   9:00頃  
百蔵山方面と下山方向の
分岐点  9:10頃  
下山方向の登山道    9:15頃


ツツジ群生地への分岐点
9:30頃  
分岐点の展望所(富士山の
姿なし)   9:30頃
水場近くの祠       9:45頃


水場(水量は多い)     9:45頃  
登山口近くの登山道(良く整備
されている)  10:10頃


登山口の管理事務所  
10:15頃  
登山口の駐車場(他に1台
駐めてある) 10:10頃



                                        使用カメラ: CASIO  EX-ZR62






11月29日  笹子雁ヶ腹摺山

 カレンダー作りのための富士山撮影が最終段階に入った。11 月は笹子雁ヶ腹摺山からの撮影を半年前に決めていた。また、12 月は扇山から撮影する予定である。
 今月、15 日に山頂目指したが、途中、最初の鉄塔を過ぎた当たりで登山道を外し、気が付いたときには南東側の谷底まで下りてしまっていた。谷底には登山道があり下れば追分側の登山口に向かう道だったと思われる。近くに送電線鉄塔があったので登れば最初の鉄塔に行き着いた可能性は考えられた。しかし、最初の鉄塔に戻るのは気が進まず、とにかく中腹の登山道に出なければ山頂に行く事は出来ない。登れそうな斜面を探し暫く彷徨した。殆どが急斜面でそれも枯葉で一杯。滑るし何度かずり落ちその度に同じ事を繰り返した。体力の消耗が激しく、中腹の登山道に出た時は疲れて動く事が出来なかった。暫く休憩し、中腹の登山道が山頂に向かう道なのか確認するため、行ったり来たりを繰り返した。やっと山頂に向かう登山道である事を確認した時には8 時を過ぎていた。中腹の登山道に出た場所は最初の鉄塔と2 番目の鉄塔の中間ぐらいの所で山頂までは道半ばである。登山道を外した原因は、枯葉で登山道が被われ、暗くて確認出来ず、感で歩いていたためそのような結果となった。最近は登山道を外す事が多く、歳を重ねたため感が鈍ってきたのだと思う。
 今月も残り少なく、今回、再トライする事にした。今日の天気は晴。気温は今シーズンの最低気温と発表されている。前日まで雨が降っていた事から、雲海発生は間違いないと思われた。前日、甘利山のライブカメラは雪が降っているシーンが写し出されていた。恐らく大月市内より北方の1000mを超える山は雪だろうと予測した。アイゼンは必要不可欠、最初から装着するかどうかは現地で判断する事にした。
 笹子峠の登山口駐車場に到着したのは午前2 時40 分。大月から初狩間の国道橋が以前の大雨で落橋し、国道は1 部通行止めとなっていた。旧道を迂回する事になり、予定を少しオーバーした。本日の12 時には開通予定と報道されている。
 登山道入口付近は積雪とまで行かないが薄ら雪化粧している。積雪が多ければ出発時点でアイゼン装着したが、少ない積雪では返って危険なため未装着で山頂へ向かう事にした。勿論、アイゼンはザックの中へ・・・。やや風があり結構寒い。5 年程前までは無雪期で山頂まで1 時間30 分程の所要時間であったが、体力の低下や腰痛のため、更に雪がある事から3 時間と見積もった。午前3 時に出発すれば,日の出前に山頂を踏めることになる。前回の二の足は踏むまいと気合いを入れて午前3 時出発。
 登り鼻の急斜面は迂回路を使い回避した。今日は焼けに暗く感じるが、月の明かりが無い新月に近いと思われる。今回は極力荷物を減らし総重量10kg(デジ1、コンデジ、三脚、水、食料など)に留め、体力の消耗を最小限に押さえる事にした。登山道は枯葉の上に雪が載り滑り易いと思われたがノーアイゼンでも滑る事は無く、行けるところまで装着なしで山頂を目指すことにした。最初の鉄塔に4 時通過。前回、登山道を外した箇所を注意して、下らずに登る方向に進路を取った結果登山道を外さずに済んだ。2 番目の鉄塔を4時40 分に通過。これから暫く下った後、その先山頂への急登が待っているが、積雪は5cm程度でアイゼンは装着せずに急登を登り切った。
 山頂到着5 時30 分。所要時間2 時間30 分。予定より早めに到着した。山頂からは雑木がブラインドとなり富士山は見えず、少し南に下った場所が撮影ポイントとなる。富士山は暗い中にも堂々とした姿を見せている。また、前面の樹木には雪が着き、綺麗に雪花となって咲いている。
 東側にはやや雲が多く日の出時間に光りを遮る可能性がある。日の出時間は6 時30 分(東京)。どのような情景が展開されるか楽しみである。風は殆どの無く、気温−6℃とかなり冷え込んでいる。
 日の出時間となったが東の雲が光りを遮り5 分程遅れて朝日が差し出した。雪をたっぷり被った富士山の東面が仄かにピンク色に染まり、更に数分後には前面の樹木に咲いた雪花に光りが入り、濃いピンク色に染まった。素晴らしい情景に感動の一瞬を味わった。
 富士山に雲が掛かり出し、撮影は潮時となった。心置きなく撮影を終え、9 時に下山を始める。山頂直下の急斜面を下るには、雪があるため滑落や転倒に細心の注意を払い、慎重に時間を掛けて下る事にした。特に中腹の登山道は片側が谷となり、枯葉に被われた路面は滑落の危険性が高く慎重に慎重をを重ねた。また、危険性が高いと考えられる登り鼻の急斜面は、新設された迂回路を使い回避することにした。登山口到着は11 時10 分。今日は誰にも会わないと思われていたが、登山口に下り立った時に男女3 名のグループがこれから登るところだった。



今日の富士山

 今日は素晴らしい情景に恵まれた。雪景色と共に雪をたっぷり被った富士山。そこに朝日が差した瞬間の朝焼けは、薄ピンク色に染まり見事だった。暫くして前景の雪花に光が当たり、濃いピンク色に染まった瞬間は感動の一瞬だった。

日の出10分前の富士山と樹木に咲いた雪花     6:20頃  
日の出10分後の富士山(薄いピンク色に焼けた) 6:40頃


日の出15分後の富士山とピンク色に染まった雪花 6:45頃  
雲が多くなり15分後に富士山は雲に被われた   8:45頃




山頂及び登山道

 積雪は山頂付近が最も多いが5cmと想定していたより大分少ない。中腹以降は数cmと更に減少し、標高が下がるにつれ、積雪は無く白くなっている程度である。登山道は中腹に敷設されているところが多く片側は谷のため滑落の危険があり細心の注意を払いながら歩行した。特に下山時は雪が溶け滑り易くなっていたため気を引き締め臨んだ。登山道は所々岩が露出しアイゼンを装着すると危険なため、登り下り共にアイゼンの使用を避けた。

大月市内は雲海に埋もれていた
7:05頃  
山頂の樹木に咲いた雪花
7:05頃
下山する頃には天候が変化する
9:00頃


細長い山頂の様子      9:00頃    
山頂の表示柱        9:05頃
山頂標示板と標柱    9:05頃


下山途中の登山道     9:30頃      
登山口から2番目の鉄塔   9:50頃
鉄塔付近の樹木に咲いた雪花 9:50頃


鉄塔付近の樹木に咲いた雪花 9:50頃
尾根道と中腹道の分岐点   9:55頃
気温が上がり雪が融け出してきた
10:05頃


登山口から1番目の鉄塔  10:30頃
尾根道と中腹道の合流点  10:30頃
斜面が急な箇所に設置された
階段 は 所々にある  10:40頃  


登山口に近い雪が溶けた登山道 10:45頃
甲斐大和駅への案内板   10:50頃  
登山口に最も近い案内標  11:00頃






                                         使用カメラ: OLYMPUS  E-M1      CASIO  EX-ZR62







10月23日 雁ヶ腹摺山

 台風19号は中部、関東、甲信越、東北に至る広範井に大きな被害をもたらした。その後上陸しなかったが台風20号が接近し雨天が続き記録的な日照不足が生じた。そんな中、24日(水)は久々に晴の予報が出されたが、次の日からは、また降雨の予報があり、撮影チャンスの日程は限定的なものとなった。
 富士山を撮影出来る日は24日しかないと予定を立てたが、台風19号の被害は林道にも及び、あちこちで林道閉鎖となった。大月市内では唯一、真木から大峠に向かう林道が開通していたため、雁ヶ腹摺山を訪れる事にした。前日まで雨が降り大地に十分水分が補給され、気温が下がれば雲海の発生も期待できる。
 本日の日の出時間は5時54分。大峠の駐車場には午前3時20分到着。既に車3台が駐められていた。その内1台は車内灯が点灯していて出発の準備をしているようだ。準備をしていると1台が新たにやって来た。これで自分の車を含め5台となった。昨日、富士山に初冠雪が有り、それを撮影しようとやって来たカメラマンも多いと思われる。5台の車から、少なくとも5人が山頂に向かうと思われる。
 今回も撮影は山頂直下の大きな岩の上から行う予定である。この撮影ポイントは視界が開け、谷の底まで撮影でき、奥行きのある写真が撮れる。皆が狙っている撮影場所と思われるため早々に出発し、場所を確保することにした。
 未だ出発した人は居ないと思われるが、3時35分大峠を出発。やや強い風は吹いているが、寒さは感じない。天空には星空が広がり今日は予報通り天気は良さそうである。
 中腹付近を歩いていると後ろに人が近づいてきため、先に行くよう道を空けた。元気そうな若い人だった。大峠から山頂まで距離は短いが、急斜面に木の根っ子が路露出し、濡れていて滑り易く歩きにくい。急峻な箇所もあり結構ハードな登りを強いられる。
 撮影場所である大きな岩の撮影ポイントに到着したのは5時ちょうど。既に先客が撮影をしていた。途中、私を追い越していった人だった。岩の上は三脚2台立てられるスペースが有り、断って隣に立てさせて貰った。風が強く気温6℃と寒い。ダウンを着込み手袋を付ける。富士山はシルエット姿で初冠雪の状況はハッキリ確認出来ない。暫くするともう1人のカメラマンがやって来た。やはり中腹で私に近づいてきた人だったが、私を追い抜く事はなかった。その人は岩の上には乗れず、岩の脇に三脚を立て撮影を始めた。
 5時半を過ぎると周辺は白みだし、初冠雪も確認出来るようになってきた。今年の初冠雪は遅かったが雪の降った範囲は広く7合目ぐらいまで及んでいると思われる。初冠雪とは到底思えない立派な冠雪である。

 6時少し前から朝日が山頂に差した。朝焼けは余りなかったが、新しい年を迎えた気分になった。雲海は甲府盆地に発生していたが雁ヶ腹摺山の前面までは押し寄せては来ていない。風の方向からもこちらまで押し寄せてくるとは思えない。甲府盆地に多少近いハマイバでは雲海が富士山に絡んだ可能性はあると考えられる。
 隣で撮影していた1人のカメラマンが山頂に移動を始めた。その前に脇で撮影していた1人は先に山頂へ既に移動していた。私も追うように山頂に向かった。
 先の2人は山頂で撮影をしていたが、やはり山頂からの景観は格別で素晴らしい。全般に紅葉は見られないが、前面の白樺が紅葉し、富士山をレイアウトすると十分紅葉しているように見える。山頂にある楓は紅葉がなく葉は青々としている。中には葉が枯れている樹木も見られ、これから紅葉が進むとは思えない。
 1人が先に下山を始めた。私も少し間を置いて1人を残し下山する事にした。山頂に比較的近い所に北側に奥まったテラスがあり、そこに立ち寄り撮影を続けることにした。この場所ではプロと思われるカメラマンが撮影していた。何処かで見た人だがいきなり名前を聞く訳にはいかず、撮影中思い出そうとするが誰だったか頭に浮かんでこない。
 撮影を切り上げ8時10分に下山を始める。大峠の駐車場には9時30分に到着。今日は素晴らしい初冠雪を撮影する事ができチャンスが少ない中、ラッキーだったと思う。天候の関係と考えられるが綺麗な紅葉は見られず残念だった。3人のカメラマンとも出会い有意義な時を過ごす事ができて良かった。


今日の富士山

 紅葉は今一だったが初冠雪は素晴らしく、雪のある富士山らしい写真が撮れたのは4ヶ月振りだろうか。久々に素晴らしい富士山に出会う事が出来感動した。


山頂直下の岩の上から(初冠雪にしては雪のボリューム感が有る。
手前の尾根に朝日が当たり紅葉しているように見える)    6:00頃


山頂から(手前の白樺の木が紅葉している)
7:00頃
山頂近くの北へ奥まったテラスから
(奥行きのある写真が得られる)  8:00頃



登山道の状況


山頂直下の大きな岩(撮影場所)
7:40頃  
紅葉は進んでいない     8:25頃
途中の案内標       8:35頃


沢を渡る木道(濡れていて滑り易い)
8:50頃  
大峠駐車場      9:30頃
大峠の標柱(富士山に雲が
出始めた) 9:30頃




                                                                                                  使用カメラ: OLYMPUS  E-M1      CASIO  EX-ZR62