2021年撮影紀行(その4)



9月7日 奈良倉山

 今年4月に訪れて以来となるが、この時は霧が発生していて富士山の撮影が叶わなかった。今回、季節は180度変わり秋に移行しているが、気象予報は愚図ついた天候が続く中、降水確率0の状況が示されていた。この日を逃すと天候は暫く悪化状態で、次のチャンスが何時になるか分からない状況があり、早めに撮影に出かけることにした。
  午前2時40分、松姫峠の駐車場に到着。予報に反し霧で視界が殆どない状況で、今年4月に訪れた時と同じである。嫌な予感が的中しなければと、取り敢えず出発の準備をし、3時00分に出発した。
 霧はかなり濃く、ヘッドランプの光が霧に反射し先が確認しづらい。今回は林道経由で山頂を目指す予定であるが、先に林道の富士山撮影ポイントに立ち寄り、状況を確認することにしたが、霧が濃く、霧が濃く何も確認できなかった。
 山頂には4時00分に到着。相変わらず霧は濃くこの状況に変化は無いと思われる。暫く待機せざるを得ず、霧が晴れるのを待つのみである。気温は10℃で、今迄の暑さが一変し寒さが身に染みる。防寒着を1枚着込み当面寒さを凌ぐ。霧に雨は混ざっていないため、衣服やザックが濡れることは無く多少は救われる。
 状況が一変したのは、5時30分である。霧で閉ざされていた視界が一瞬開き富士山が姿を現した。感動の一瞬であったが束の間、約3分で視界は閉じた。撮影機材は突然の状況に対応できるようセットして置いたため即撮影に臨めたが、5枚撮影するのがやっとだった。山頂には冠雪があり初冠雪と思われた。今年は昨年に比べ大分早いと思った。今回、林道での待機を含め10時まで粘ったが、富士山を撮影できたのは5枚の写真だけとなった。初冠雪という貴重な写真が撮れたのは嬉しい。
 帰りも行きと同様、林道経由で松姫峠に戻った。時間は10時35分、駐車場には自分の車を含め7台止められていたが、山頂や登山道で誰とも出会うことは無かった。車の主たちは何処に行ったのだろうか? キノコ採りかも知れない。




今日の富士山

 僅か2分弱の出来事。塞がれていた視界が突然開き、今年の初冠雪となる貴重な富士山が撮撮出来た。(本画像は光不足での撮影だったため、明るさやコントラスト等の調整を行っている)


撮影時間:5時31分の富士山
撮影時間:5時32分の富士山



山頂と山の状況

今年は梅雨時から夏にかけて暑さが厳しかったせいか、植物に異変が生じている可能性があり、例年は多く見られる山の花が殆ど目に入らない。奈良倉山に限らず、他の山全般に言えることと考えられる。

奈良倉山山頂                       5:55頃
山頂近くの富士山展望所            6:05 頃  
林道から山頂への登山道            6:15頃


林道の撮影ポイントから           9:50頃      
切り立った斜面のある撮影ポイント     9:50頃
反対方向の林道を望む             9:50頃


林道に倒れている倒木              9:55頃  
小菅村開催のトレイルランコース       10:00頃
林道から山道への分岐点          10:05頃


松姫峠方向の林道展望                10:05頃  
フタリシズカ(センリョウ科)           10:05頃
カラマツ林                           10:10頃


マルバダケブキ(キク科)         10:10頃    
同 左                             10:25頃
緑に包まれた林道両脇の樹木      10:30頃


松姫峠駐車場には7台の車が駐車        10:35頃



                                                              使用カメラ:・LUMIX DMC-G8   ・CASIO EX-ZR62





8月11日 牛奥ノ雁ガ腹摺山

 雪のない富士山は何か物足りない感じだが、その足りなさを補ってくれるのが今回撮影に訪れる「牛奥ノ雁ガ腹摺山」である。大月市内の奈良倉山、小金沢山に次いで 3 番目に北方に位置する山であり、標高 1994mは秀麗富岳十二景の山の中では小金沢山(標高2014m)に次ぐ高さである。
 牛奥ノ雁ガ腹摺山へ登るコースは以前、湯ノ沢峠から白谷丸、黒岳を経て山頂を目指していたが、2009 年 3 月に塩山側から登るコースについて自ら調査を行い、その結果については HP の登山情報に掲載した。このコースは以前から存在し、牛奥ノ雁ガ腹摺山の西側尾根を直登するコースである。このコースは暫く使われていなかったため登山道が分かり難かったが、5~6 年程前に、甲州市が上日川ダム(大菩薩湖)に近いペンションすずらん荘から日川林道の取り付けまで登るコースを新設し、同時に山頂への登山道が整備された。これにより、山頂まで登り易くなったことは登山者の負担が軽減され大変有難いことである。
 西側尾根コースは、湯ノ沢峠から登るコースに比べ 1 時間程の時間が短縮され、撮影目的の立場から撮影に専念する時間が多く取れ、良い作品が生まれる可能性に繋がる。林道閉鎖期間以外であれば、車で日川林道に面した登山口から 2 時間程で山頂に行き着き撮影時間を余すことなく取ることが出来る。
 牛奥ノ雁ガ腹摺山からの景観は、遠く大蔵高丸など南大菩薩嶺を望むことが出来、奥行きが大変深い。その先に富士山が存在するという構図は雪のない富士山でも物足りなさを感じることは無い。周辺の三次元的空間が富士山の魅力をカバーしているように思われる。
 午前 2 時 45 分日川林道に面した登山口に到着。駐車場として整備されていないが、路肩が広く取られてあり、車 3 台分程のスペースがある。今日の天候は晴れの予報が出されているが、やや風が強い状況である。また、天侯は午後には曇り空となり、夜には雨となる予報である。現在は晴れていて星空で一杯。午前中であれば富士山撮影に期待が持てる。登山口付近は動物による植物の食害を防ぐため、広範囲にネットが張廻されている。
 エリア内に入る時と出る時には、ネットが取り付けられたポールを外し、元に戻さなければならない。ポールは隣のポールと紐で結ばれ紐を解いて結ぶ作業が必要で、ポール(高さ 2m 位)の上部と中間部の 2 か所で結ぶが、暗い中での作業は結構面倒である。
 午前 3 時 00 分、登山口を出発。上り始めは木製階段が続き、大きく分けて 3 つに分割されていて全て合わせて 250 段位になる。積雪期は階段が見えない程雪が積もり階段を踏み外すことがあり危険性を伴う。階段部を登り終えると暫く緩斜面が続き一呼吸できる。更に登りを続けると勾配は徐々に強くなり雑木の隙間を歩くようになる。
 暗いと登山道が分かりにくく時々道を外すが、所々に赤いテープなどの道標があり注意深く歩けば登山道を外すことは避けられる。暫くすると大きな自然石(パノラマ岩)の基部に到着。この岩を回り込んで細尾根に出る。ここからは稜線を歩き、尾根のピークには4 時 45 分に到着。
 ここからは暫く下りとなり、西側尾根の山頂からの鞍部に差し掛かかるが、ここから山頂まで未だ 20 分程掛かり、日の出時刻(4時 57 分)には間に合わないため、枯木の林立した鞍部で日の出時間帯の撮影を行うことにした。日の出時間帯の日差しは弱く、コントラストが付かないが、徐々に光が強くなって来た。雲も多く天気は下り坂に向かっていることを窺わせている。空が朝陽に焼け素晴らしい光景が見られ、カメラにしっかり収めた。
 30分程で撮影を終え、山頂に向かった。山頂には 5 時 20 分頃に到着。風がやや強く気温は 10℃、体感温度は 5 度ほど低く、寒さを感じ防寒着を着込む。今回の山頂からの撮影では、黄色い花のマルバダケブキを前景に置き、富士山を撮影する目的もあったが、花が少なくそれを探すのに時間が掛かった。山頂直下の斜面に咲いているが、選択肢の少ない花を撮るのに足場も悪く四苦八苦したにも拘わらず、満足できる写真は撮ることが出来なかった。
 8 時 25 分、山頂を後にした。登山口には 10 時 20 分に到着。駐車スペースには自分の車のみ置かれていた。今日は珍しく多くの登山者と出会った。山頂で男女 3 人組のグループと高齢者の夫婦。また、下山時には、男性単独登山者 2 名、女性単独登山者 1 名、男性 5 人組のグループと出会った。この登山道で出会うことは今までに数える程で、毎年通っている登山道で多くの登山者に出会ったことは珍しいことである。



今日の富士山

 登山に時間が掛かり、山頂で日の出時間帯の撮影に間に合わず、山頂下の鞍部で撮影することにしたが、日の出時間にまずまずの撮影が出来たと思っている。山頂直下に咲く黄色い花のマルバダケブキと富士山は、花が少なく、花の選択肢は無かったため満足行く写真は撮れなかった。

 

朝陽に色付く(山頂下の西尾根鞍部から)      5:05 頃
夏の彩り(山頂から)            5:45 頃

 

マルバダケブキ咲く(山頂下斜面から)  6:40 頃




山頂及び登山道の状況

  以前、登山道が甲州市により整備され、山頂まで道に迷うことなく行けるようになった。最近は甲斐大和駅からバスで「ペンションすずらん」で下車すると登山道が山頂まで整備されていて、電車とバスで山頂を踏めるようになった。今回も途中出会った多くの登山者は、バスを使って訪れた人が大半だったと思われる。

(以下写真は下山時に撮影したもので時間順に並べてある)

山頂下の斜面に咲く マルバダケブキ
(キク科)          
山頂の山名板         8:20頃
県道のバス停方面案内板    8:25頃


山頂下鞍部の枯木群        8:30頃    
南アルプスと甲府盆地       8:30頃
所々に設置されている案内板    8:40頃


西側尾根ピーク点          8:45頃    
稜線は細尾根が続く         8:50頃  
パノラマ岩(上部)           8:55頃

                                                              岩の上に登ると甲府盆地が一望出来る

パノラマ岩の基礎部(高さ10m)    9:00頃  
所々に木製階段が設置されている  9:20頃
新緑が眩しい            9:30頃


キオン(キク科)             9:45頃      
ヤマホタルブクロ(キキョウ科)   10:05頃
オトコエシ(オミナエシ科)    10:10頃


日川林道の登山口          10:20頃    
駐車スペース               10:25頃  
マルバダケブキ(キク科)     10:35頃


ヨツバヒヨドリ(キク科)       10:35頃    
県 道への案内板          10:35頃
ネジバナ(ラン科)       10:40頃



                                                        使用カメラ:・LUMIX DMC-G8   ・CASIO  EX-ZR62







7月19日 高畑山

 高畑山へ登るコースは上野原側を起点として登るコースと、大月側を起点として登るコースに大別されるが、今迄、殆ど上野原無生野を起点として、穴路沢を登っていた。ところが2019年の台風19号の暴風雨で穴路沢には大きな岩石が上流から流れ込み、先に進むことが困難となった。上野原側からは他のコースも試みたが沢を登るコースが多く、何れも難コースであった。 以上の状況を踏まえ、今回初めてとなるが、大月側から登ることを計画し実施することにした。
 電車の場合、鳥沢駅が最寄り駅となるが、車の場合は富沢公民館小篠分館を駐車場として利用出来ることが分かった。山頂へは日の出時間(4時39分)前に到着することを目標とし、これを達成するため、小篠分館にはやや早かったが午前1時15分到着。初めて登るコースを暗い中1人登るのはコースを間違いないか不安もあり、自分の体調も考慮し、時間的余裕を十分持たせた。
 今回の行程は、小篠分館を出発し、沢沿いを暫く歩き、途中、高畑山に直登する登山道に取り付く。ここからは沢を離れ高畑山山頂を目指すことになり、山頂で富士山撮影を行う。山頂からの下山は穴路峠を通り、沢沿いを小篠に向かい下山する計画である。
 午前2時15分、小篠分館を出発。暫く進むとゲートがあり、扉を開けて中へ入るにも鍵の開け方が分からず、暫くこれに時間を費やした。先へ進むと沢沿いを歩くようになり、その内、徒渉(沢の中を歩く)するようになった。
 右手に小篠池が見える筈であるが、暗くて確認できない。沢沿いを歩いたり徒渉したり、暗がりで歩く場所を判別するのは難しい。所々、トラロープが張ってあり、ガイドロープだという事が分かったが、その張られたトラロープは登山道を間違えやすい箇所だけに設けられたものであることが理解できた。昼間であれば何処を歩けばよいか見当がつくが、暗い所を始めて歩くのは間違えても仕方ないと思い、確認のため行ったり来たりを何回か繰り返した。ビニールテープの道標でも木の枝に結んであれば良かったのだが、暗い中で、見逃した可能性はある。しかし、沢沿いや渡渉のルートであれば方向違いは殆どないため、ある意味安心出来る。
 3時40分、高畑山へ直登する山道の分岐点に到着。沢から逃れるだけでもホットした気持である。この登山道は良く整備されていて歩き易いが、山頂に近づくに連れ、傾斜は急となり、足場も悪くなる。
 5時45分、山頂に着いた時には体力を殆ど使い果たした感がある。日の出時間を1時間以上過ぎて到着したが、富士山の姿は靄の掛った不鮮明な富士山である。気温が早朝から高いことが影響していると考えられる。時間の経過に連れ、靄は無くなり鮮明さが出てきた。山頂付近は杉が植樹され、その合間から富士山が望めるが、視界は狭く杉の枝を避けようとすると、残念ながらどうしても大写しに成らざるを得ない。杉の木を数本伐採するだけで視界は大きく広がるが、私有地だったりすると簡単に切る訳には行かないと思われる。望遠系のレンズを使い大写しの富士山を撮影する。
 8時30分、山頂を後に下山を始める。山頂直下は急な下り坂となり、腰への負担も大きい。登りで体力を使い果たした体には辛いものがあるが、ここで止める訳にはいかない。途中で躓き転倒してペットボトルがザックから抜け出し急な斜面を転げ落ち見失った。斜面は急でそれを探しに行く余裕は全くない。飲み水が無いと困るが、地図から判断すると穴路峠から下った暫く先に渡渉する場所が続くと思われる。飲み水は何とかなると思った。
 穴路峠に9時20分到着。ここからは暫く沢を下るが、地図を見ると途中、急な沢を下らなければならない箇所が続いているようだ。急な沢下りは腰への負担が大きくやや心配である。急斜面の沢は時間を掛け何とか通過したが、大きな岩石を乗り越えなければならない箇所もあり難儀した。飲み水の補給も十分できた。
 途中、若い男女のグループ6名に追い越されたが、彼らは下るのも早い。暫く沢を下ると中年女性グループ5名が休憩していた。これから沢を登ると言っていた。昼近くだったため大丈夫だろうかと思ったが、皆、元気そうだった。
 小篠池近くまで下ったが、池には水が全くなく干上がっていた。池の法面の補強工事をしている様だったが、登る時には気が付かない筈である。
 小篠分館には12時15分に到着。気温が上がり35℃以上あったと思われる。物凄い暑さだったが、時間は掛ったものの、何とか予定をクリヤーした達成感はあった。


登山ルート

コース順→  @ 小篠公民館分館   A 山道への分岐点   B 高畑山山頂   C 穴路峠     D @ に同様

               




今日の富士山


形を変え雲湧き上がる                         8:05頃  
杉の木の狭い間から望む富士山                  7:00頃




登山道の状況

高畑山山頂                8:15頃    
大写しに成らざるを得ない     8:15頃
山頂に設置された案内板      8:15頃


雛鶴峠への案内板          8:20頃    
穴路峠への案内板           8:20頃
山頂直下の急坂           8:25頃


天神山山頂               9:00頃    
天神山からの展望            9:00頃
穴路峠の案内板              9:20頃


峠道文化の森(説明書き)       9:20頃    
穴路峠からの下山道          9:20頃
イワタバコの花            9:20頃


沢の水量は多い             10:40頃    
沢を渡る橋               11:40頃  
工事中か水の無い小篠池        12:05頃


ゲートの扉(車の進入は出来ない  12:10頃  
山の神神社               12:10頃  
小篠公民館分館(自分の車のみ)   12:15頃




                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62