2017年 撮影紀行(その5)



6月20日 百蔵山

 腰の状態が未だ不完全であるが、来年6月のカレンダー作成用富士山を撮るため百蔵山を訪れることにした。ここの所晴天が続き、今日を過ぎると梅雨空がやって来そうで、早く撮影しないと暫く富士山の撮影チャンスが訪れないような気がする。このチャンスを逃すと6月の富士山は撮れないように思われた。
 大月市の秀麗富岳十二景の山々から眺める素晴らしい富士山を、その月々に撮影し、12枚のカレンダーに仕上げる作業を2012年から行っている。当初は以前に撮影したものも含め作成していたが、最近はリルタイムに撮ったもので構成するようにしている。その理由は、気候変動により年々季節感がずれ、生態系にも変化が現れている。特に花の咲く時期なども、順番が変わってきていることも窺い知ることである。今年を例に取れば、2本並んでいる桜が片方は満開なのに一方は未だ蕾というように個体差が見られたことである。以前はこのようなことはなかったが、原因は不明である。この現象はごく最近のことのようである。また、長年毎年同じ場所に咲いていた山の花が見られなくなったりすることも最近多い。写真を撮っていると、特に山に生息する植物は小さな変化も注意していると気が付く。このように目まぐるしく環境変化が生じている状況から、特にカレンダーの写真は古いストックを使うことなく、新しいものでなければならないという考えに変わってきている。また、カレンダー作りで心掛けていることは、芸術的な写真よりも、季節感のあるものを主題として撮影している。
 午前2時、百蔵山西コース登山口の駐車場に到着。天空は星空で一杯。今日は間違いなく富士山を撮影出来ると確信した。東の空には月齢25日となる細い月が姿を現している。今日は日中30℃の気温になると天気予報に示されているが、長袖シャツを着ていても寒いくらいで、山を歩くには丁度よい気温である。
 2時15分に出発。百蔵山は全般に登り勾配は緩やかで、初心者向きの山であるが、荷を背負って歩くと膝や股関節に負担が掛かり、正常な歩行がしづらい状態である。久々のこともあるがバランスが悪い。骨盤矯正を受け左右の足に重量のアンバランスが生じているようである。しかし、腰の痛みは殆どないため時間を掛けて登れば山頂を踏めると気持ちを奮い立たせた。
 途中、中腹の富士山が展望所で荷を降ろし小休止。ベンチが置いてあるのは一息付けて有り難い。暗くてはっきりしないが富士山の輪郭は確認出来る。これで6月の富士山は間違いなく撮影出来ると思うと、ホッとした気持である。
 葛野部落と山頂への分岐点となっている尾根に出ると、涼しい風が体を通り抜け汗を静めてくれる。西に向かう尾根道は緩やかな登りで、南方向に目を遣ると木々の間から大月市内の街灯りがキラキラ輝いて見える。不可なくここまで来ることが出来た。山頂は間もなくである。
 山頂到着3時40分。所要時間1時間25分であるが、無事に到着出来たのは嬉しい。足腰への負担を最小限とするため、ザックの重量を減らしたのも功を奏したと思われる。今日の日の出時間は4時25分(東京)であるが、到着時には既に明るみを帯びていた。東方向の空はオレンジ色に染まり、今日の幕明けの準備をしている。更に上野原方面の桂川沿いには川霧が発生していて、空の色と同化し、日の出前の素晴らしい情景が目前に迫る。川霧は発達しながらゆっくりであるが西方向へ移動している。大月まで押し寄せてくれば富士山に絡み、素晴らしい情景が撮影出来ると思われた。しかし、動きは遅く日の出時間を過ぎても、途中で移動を止め残念ながら富士山に絡むことはなかった。
 日の出時間には朝焼けが見られ、先ず先ずの成果が得られたと思われる。下山は6時に始め、途中の展望所からも休憩を挟み撮影した。
 登山口には8時10分到着。今日は天気に恵まれ富士山も終始姿を現していたが、登山者とは出会うことなく少々残念に思われた。早く下山したためと思われる。 下山も不可なく無事に登山口に戻ることが出来た。帰ってから腰に痛みなどが生じなければ良いと思っている。



今日の富士山


百蔵山山頂からのパノラマ(東側には未だ川霧が残っている)                                4:40頃



朝焼けた富士山              4:40頃      
上空に白い雲が現れる          4:50頃


中腹展望所からの富士山           6:40頃  
梅雨時でも爽やかな青空(中腹展望所から)7:15頃



山頂と登山道の状況


日の出直前の上野原方面の展望
(川霧が発生している)  4:20頃
山頂の様子                 6:00頃  
松の木が登山道際に造林されて
いる(山頂直下)  6:05頃


葛野部落への分岐点
(尾根道取付点)      6:15頃  
テリハノイバラ(バラ科)
良い香りがする    6:20頃
 展望所直近の分岐標    6:25頃


展望所に咲くニガナ(キク科)
7:40頃
展望所にはベンチが
設置されている       7:40頃  
登山口近くの分岐標    8:10頃


登山口近くの水飲み場     8:10頃  
登山者カード提出箱         8:15頃
登山口の駐車場(他に車は駐め
られていない      8:15頃


                                            

                                             使用カメラ:・OLYMPUS  E-M1   ・EXILIM EX-ZR62





5月30日 ハマイバ

 1週間前にハマイバのミツバツツジの開花情報が写真仲間から伝えられ、そろそろ満開を迎える頃と思い、ハマイバを訪れることにした。当日の天気予報は晴が示され、日本列島は西と東の高気圧に挟まれた予想気圧配置。これが正しいと間違いなく富士山は姿を現すと確信した。
 昨年は5月26日がほぼ満開状態で花数も多く最高潮だったが、その状況が一般に1年おきと云われているミツバツツジは今年あまり期待できないと推測された。しかし、実際この目で確かめない限りその状況は知り得ない。
 午前2時15分湯ノ沢峠の駐車場に到着。既に車が3台止められていた。未だ、出掛けていないと思われたが、ミツバツツジを撮るのであれば明るくなってから出発すれば十分間に合う。未だ腰の状態が不完全で今回は最小限の機材と食料を持ち荷物を軽くした。途中、腰痛で歩けなくなると困るので超スローペースで腰への負担が掛からないように歩くことにした。
  2時30分駐車場を出発。大藏高丸を越えハマイバに向かうが、コース中、急斜面はなく比較的容易なコースと云える。しかし、腰痛を抱えハマイバまで持ちこたえられるか不安が過ぎる。お花畑を越え登りに入るが腰の痛みも強い感じはなく、時間に余裕もあるしゆっくり歩けばハマイバまで行けると自信が湧いてきた。
 大藏高丸に3時15分に到着。休憩を10分程取り歩行再開。これよりハマイバまではアップダウンが多少あるものの全体的には下りで、スローペースで歩けば行き着きそうである。ミツバツツジを撮るには光りが回り込む6時過ぎにならなければ撮影出来ず、それまでの時間は朝焼けを撮ることにした。視界の広がるハマイバ山頂北側の南向き斜面を撮影場所にした。ここに到着したのは4時。既に明るくなっていたが、霞で富士山がやっと見える程度の状況。日の出時間は4時27分(東京)であるが一向に陽は差さない。空気に多くの水分を含みこれが日差しを遮断していると思われる。結局朝焼けは発生しなかったが、取り敢えず記録程度にカットをカメラに収める。5時半過ぎにミツバツツジの撮影地に向かい移動する。
 6時頃、最も早く光りの回り込むミツバツツジの株は山頂を越え少し下った東側に位置する。そこへ到着すると既に先客が撮影準備を始めている。挨拶を交わすと知り合いのカメラマンだった。その知り合いはミツバツツジの咲き具合を確かめる目的で毎年ハマイバを数回訪れているという。昨年は花芽も多く素晴らしい咲き具合だったため、今年はあまり良くないだろうと云っていたが、未だ7分咲きにも関わらず花芽がしっかり付き昨年並みだと知り合いが言う。確かにその様である。
 この場所から更に下った登山道西側にはハマイバ1番という大株がある。ここのミツバツツジも同じように7分咲きであるが、今日は気温が上がり2~3日で満開を迎える状況である。この大株全体に光りが回り込むのは8時過ぎで、先の株より2時間ほど遅い。更に大株の北側にあるミツバツツジは小株ながら満開に咲いていた。しかし、この株は光りが完全に回り込むのは遅く10時過ぎになると思われた。
 一頻りミツバツツジと富士山の撮影を終えたが、富士山の抜けは更に良くなり、この状況は暫く続きそうである。 ミツバツツジの撮影地を後に、早朝撮影した場所から新緑を狙おうと知り合いと一緒に移動する。
 撮影地には9時30分に到着。陽は既に高く新緑が眩しい。富士山も穏やかな姿を見せているが、ミツバツツジを撮った後では撮影意欲が薄れ、早々に撮影を切り上げることにした。知り合いには先に下山して貰い、ここで暫く休憩してから下山することにした。
 この撮影地は南斜面となっていて、草原が広がりワラビなどの山菜多く生えている。山菜採りに来た5名の男女がしきりに声を掛け合いながら山菜撮りを楽しんでいる。自分も暫し山菜採りに専念。
 下山を始めたのは既に11時を過ぎていた。 下山途中、大藏高丸で女性登山者2名と、お花畑に向かう途中、5名の男女登山者と出会う。今日は富士山も終始姿を現し絶好の登山日和となった。湯ノ沢駐車場には12時40分到着。自分の車を含め4台止められていた。



今日の富士山

 ミツバツツジは7分咲きであるが富士山とはベストマッチ。新緑も目映いほどで素晴らしかった。

ハマイバ山頂を下った東側の
ミツバツツジと富士山      7:00頃  
更に下った西側の大株ミツバツツジ       7:50頃


大株北側の満開ミツバツツジ(光りが未だ回っていない)
8:50頃  
山頂北側南斜面から新緑と富士山      10:00頃




山頂及び登山道の状況

標高1700mの高地は気温が高いにも関わらず涼しい風が吹き抜け爽快である。

ハマイバ山頂      5:35頃    
大藏高丸山頂       11:40頃
暗いと頭をぶつける倒木  11:50頃


朽ちた隈笹          12:00頃    
お花畑に下る登山道    12:10頃
お花畑から望む白谷丸    12:20頃


お花畑から望む大藏高丸  12:20頃  
湯ノ沢峠分岐点      12:30頃  
湯ノ沢峠駐車場     12:40頃



山野に咲く花

登山道の脇には、ミツバツチクリ、シロバナヘビイチゴ、フデリンドウ、スミレなどが多く見られる。

大株ミツバツツジの開花状況          
同左(未だ蕾も多い)      
スミレ(スミレ科)


ミツバツチクリ(バラ科)        
ナガバノスミレサイシン(スミレ科)  
フデリンドウ(リンドウ科)


スミレ(スミレ科)              
 シロバナヘビイチゴ(バラ科)
ナガバノスミレサイシン(バラ科)



                                             使用カメラ:・OLYMPUS  E-M1   ・Exilim EX-ZR62





5月14日 奈良倉山

 2年程前に歩く競技大会で痛めた腰の具合が悪く、暫く山登りを控えていたが、回復の兆しが少しずつ見えてきたため再開することにした。前日13日の降雨量は比較的多く、14日は雲海発生のチャンスとみられた。今回は腰の状態が万全でないともあって、比較的容易に登れる奈良倉山から富士山を狙うことにした。
 当日の天気予報は大月をはじめ、富士吉田、甲府など富士山周辺地域は0時から15時頃まで晴のマークが付いていた。予報通りの天気だと素晴らしい雲海上の富士山が望めるものと期待を込めた。
 松姫峠の駐車場には午前2時40分に到着。自宅を出発して青梅街道経由で1時間50分の所要時間だった。所要時間は冬期を除いては平均的である。
 松姫峠は霧に閉ざされ視界が殆どない。早朝このような状況はある程度予想されていたが、日の出時間までには視界が開いて欲しいという願いが強くある。
 3時00分松姫峠を出発する。霧は相変わらず濃くヘッドランプの明かりが発散し、当たり前の事であるが先の方には明かりは届かない。撮影場所を林道にするか山頂からか未だ決めていないが、状況を見て決めたいと思っている。林道から山頂に登る入口に差し掛かるが、取りあえず林道の撮影ポイントまで行き状況を確かめることにした。この撮影ポイントは視界が広く、今はやや霧が薄くなっているため、富士山の姿は見られないが前景の山々ははっきり見えている。その山々付近には雲海が発生していることが確認出来る。
 林道と山頂の標高差は僅か50m程度であるが、多少なりとも高い所から写す方が状況は良いと考えられるため山頂で撮影することに決めた。
 山頂到着、3時50分。相変わらず霧に被われた状況に変化はない。視界が何時になったら開くのか不明であるが開くのを待つしか無い。前回、4月10日は同じような状況の中、8時に視界が開いた事が記憶に新しい。少なくともこの時間までは待機することにした。
 視界のない中、4時間以上辛抱し待機するのは時間を持て余すが、視界が開けたときの感動は何ものにも代え難い。一向に視界がない状況に変化はなく、少しでも標高の低い方が霧の晴れるのは早いと思い林道の撮影ポイントに降り立つことにした。しかし、状況は山頂と変わらず8時を回っても視界は閉ざされたまま変化が見られない。これ以上待機しても状況が良くなることは考えられず下山することにした。
 松姫峠に9時に着いたが霧は相変わらず立ちこめていて今日はこの状況が続くと思われる。駐車場には1台の車が止められていたが、その主は山頂に向かい歩き出していた。暫くするともう1台車が止められ、その主も山頂に向かって行った。2人の登山者が富士山を見られないのは残念にであるが新緑の美しさは心に刻まれると思う。
 久々に今日は成果が得られなかったが、このようなことは良くあることで、天気予報に惑わされたきらいがある。今回は予報に対する判断が甘かったように思う。


山頂及び林道脇に咲く野の花

モミジイチゴの白い花や黄色い小さな花のミツバツチクリが山頂及び林道脇で多く見られた。また、林道の撮影ポイントの近くにはワラビが群生していて食用に持ち帰った。

山頂に咲く
モミジイチゴ(バラ科)下向きに咲く      
同 左(下から撮影)
山頂の富士山展望所
富士山の姿は見えない    5:10頃


奈良倉山山頂      5:10頃      
山頂から林道へ降りる道   5:10頃  
林道の撮影ポイント付近   5:30頃


     案内標                   6:40頃          
ツクバネウツギ(スイカズラ科)  
マムシグサ(サトイモ科)


花が殆ど散ったミツバツツジ                
ミツバツチクリ(バラ科)  
林道の富士山撮影ポイントより
富士山の姿は何処にもない  8:00頃


林道から山道への入口   20:15頃  
林道の様子(時々猟の車が通る)
20:15頃
ミツバツチクリ(バラ科)


タチツボスミレ(スミレ科)              
林道から山道への入口    8:30頃
松姫峠駐車場           9:00頃


年中閉鎖されている大月方ゲート  9:00頃



                                                                                                                                  使用カメラ:EXILIM EX-ZR62