2014年 撮影紀行(NO8)


9月4日 扇山 

  天候不順が続く中、tenki.jpによる大月の天気は未明から晴の予報が出されていた。最近予報が外れることも多く躊躇したが予報を信じ、久々となる扇山を訪れることにした。
  梨ノ木平の駐車場には午前2時50分に到着。星空は望むことは出来ず、曇り空で予報が外れた感がある。風はなく気温は低いが湿気をやけに多く感じる。
  3時10分、登山口を出発する。湿気が多いため気温は低くとも登るに連れ汗が滲んでくる。扇山山頂までは梨ノ木平から標高差約540mとそれ程ではないが、ずっと登りが続き途中の水場を越えてからは百蔵山への分岐点まではツヅラ折れの厳しい登りが続く。百蔵山への分岐点に到着するとやっと一息付ける。ここから山頂は間もなくであるが、直前、やや急斜面がありそれを登り切ると間もなく山頂に到着する。
  4時50分山頂に到着。既に明るみはあるが、富士山の姿は確認できない。東の空は雲が多いものの僅かにオレンジ色に染まっている。これから天気がどのように展開するか不明であるが成り行きに任せるしかないようである。
  扇山山頂からの富士山撮影は前面の数本の木が邪魔をし表現が制限されるが、逆に雪のあるときにはその木を上手く活かすことが出来るため、その木がない方が良いとは一概に言えない。登山者が単に展望するには何ら支障はない。木が邪魔だというのは我々カメラマンのエゴなのかも知れない。
  富士山は厚い雲に覆われ、風もなく雲が取れることは殆どないと半ば撮影を諦めていたが、日ノ出時間を回った頃、山頂の一部か雲の上に顔を出した。しかし、靄の発生で抜けが悪く写真にならない状況である。気が向かないまま取りあえずシャッターを切る。今日も大気が不安定のようで富士山は見え隠れを繰り返したが、やがて8時頃には雲に隠れた。
  扇山では以前苦い経験がある。ブヨに右瞼の上を刺され、目が殆ど塞がれたことがあった。更に今年の7月には牛奥ノ雁ヶ腹摺山で、無防備だったため同じように目を塞がれたことがある。その反省から今回はネットと蚊取り線香を持参した。案の定ブヨの大群に襲われたが大事に至らずに済んだ。顔を覆うネットは確実に効果はあるが、写真を撮るには不自由である。虫除け剤は今までいろいろ試したが、蚊取り線香が最も効果があることが分かった。それも金鳥の蚊取りは良く効く。風の強い日は効果が半減すると思われるが、このような日は虫の発生も少ない。  
 セットした機材を片付け8時20分、下山を始める。9月に入り山は秋の訪れを受け入れているかのように、動物も植物も冬篭りの準備を始めているように感じられる。山では季節の移り変わりが早く、下界に居てはこの感じを味わうことは出来ない。山に生息する動物や自生する植物は季節の変化を人間以上に敏感に感じるからだと思う。 季節を味わいながら登山道際に咲く花の写真を撮りつつ時間を掛けて下山する。登山口には10時に到着。今日は下山時に3人の登山者と出会い挨拶を交わす。



今日の富士山

 山頂に到着した時は富士山の姿は見られず、日ノ時間を回った頃に山頂が見え出したが、靄で抜けが悪くスッキリしない富士山となった。8時頃にはまた雲の中に姿を消した。



 
 




靄の発生で抜けが悪い           6:40頃      





野菊を前に                  6:50頃



登山道と花の開花状況


 登山口から40分程登った水場付近は水量が多いためか沢からの水が登山道に流れ出ているため足場が悪いため注意が必要である。また、山頂直下のやや急な斜面に樹木の根が登山道の表面に露出している箇所があるが、根が濡れていることが多く、これに乗ると滑り転倒しないように要注意。
 扇山の広い山頂には秋の花が数多く咲き、特に、野菊(シロヨメナ)が一面を覆い明るい雰囲気を醸し出している。紫色のタムラソウ、黄色のキンミズヒキなど色とりどりの花が咲き、山頂はお花畑に化したようである。また、途中の水場付近にはヤマアジサイが最盛期を迎えている。特に登山道際では黄色い花のメタカラコウ(キク科)が目を引き、秋に彩りを添えている。

山頂に咲く花々





山頂からの朝焼け5時10分頃

マルバハギ(豆科)

ワレモコウ(バラ科)

ママコナ(ゴマノハグサ科)





キンミズヒキ(バラ 科)

シオガマギク            
(ゴマノハグサ科)

タムラソウ(キク科)          
  

不明(調査中)            


以下は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある


 
 
扇山山頂         8時15分頃  
百蔵山への分岐点  8時30分頃
メタカラコウ(キク科)    

  シロバナツリガネニンジン (キキョウ科)


 
 
 
 
 
 
 
 
キバナアキギリ(シソ科)  

ツリフネソウ        (ツリフネ
ソウ科)

ツツジ群生地への分岐点         8時50分

 
ダイコンソウ(バラ科)
 
 
 
 
 
不明(調査中)
ヒノキ林の中を行く登山道     9時10分

ヤマアジサイ(アジサイ科)
  ヤマホトトギス(ユリ科)

 
 

 
 
 
イケマ(ガガイモ科)  
     

ムラサキキケマン         
 (ケシ科)

アキノノゲシ(キク科)  
  水量豊富な途中の水場             9時20分頃

                   


 
 
 
   
 
 

   

    



梨ノ木平の駐車場(右端に駐車場募金箱が置かれている) 10時頃

 


                           使用カメラ:OLYMPUS E-M1  FINEPIX F1000EXR




9月26日 清八山

 
  台風16号が温帯低気圧に変わり風の影響は少なくなったが、西日本では大雨が心配されていた。幸
いにも関東への影響は少なかった台風であった。最近台風一過で晴天となることは少なく、青空はあるものの多くの雲が発生することが多い。最近のこのような状況は気候変動の影響が考えられる。
  撮影にはピーカンよりも、雲が多くあった方が変化があって思わぬ写真を撮れることがある。そのような場面に期待を寄せ、久々となる清八山を訪れる事にした。
 清八山は1年ぶりの登山となるが、当山は富岳十二景の山では富士山に最も近く直線距離で24.26km。一方、最も遠い山は奈良倉山で45.49kmと比率は1:1.875となり、同じ大きさの富士山を撮影する場合、清八山で標準レンズ(50mm)で撮ったとすると、奈良倉山では100mm程の望遠レンズが必要となってくる。普段は余りこの差を感じないが、清八山に登ると富士山の大きさに圧倒される。南北山の最端間距離が約21kmに及び、大月の山の奥行の深さを感じる。
  今回も日ノ出時間帯を狙って富士山に挑むが、日ノ出時間の30分前には、到着しておきたい。日ノ出から逆算し山頂には5時00分到着を目指す。台風一過、日ノ出時間帯にオレンジ色の朝日が富士山や雲にどのような彩を与えてくれるか期待が高まる。
  国道20号沿いの笹子追分過ぎたところを左折し南に向かう。東電の変電所を通過し、暫く道なりに進むと橋を渡る。ここからは未舗装の荒れた林道に進入するが、途中、泥濘や大きな転石、雨で削られた溝、その段差も大きく一般の乗用車では進入は厳しい。
 林道の終点に車を止め、早速、登山準備に取りかかる。天空を仰ぐと曇り空で、星空を望むことは出来ない。tenki,Jpの予報では日が変わる頃から晴れマークが出ていたが、雲は厚く予報は外れたようである。台風一過の青空は叶わないのだろうか?。しかし、山の天気は登ってみなければ分からないこともあるため、一縷の望みを抱き、登山口を午前3時に出発する。山頂までの歩程は約2時間である。4年前にヒノキが植林された小高い丘を20分程登ると山林への登山道の入口である。山林に入るとガスが発生していて視界が余り良くない。湿気が多く汗が顔から流れ出て蒸し暑い感じである。    
  沢音を右に左にと順次聞きながらつづら折りの斜面を暫く登る。やがて沢音が遠ざかり聞こえなくなると、ベンチのある休憩所に到着する。登山口から約1時間、休憩は取らず先に進むことにする。暫くするとガスに小雨が混ざり始めるが雨具を装着する程でもなく、間もなく止むと思われた。しかし、時間の経過と共に止むどころか雨足は強くなり、この降り方ではずぶ濡れである。やむなくザックカバーや雨具を装着するも、急斜面で捗らず10分程のロスタイムをする。雨は全くの予想外で急速な回復がない限り日の出時間帯の撮影は難しそうである。山頂に着いた時に富士山が見えることを願うのみである。
  清八峠には4時55分に到着。ここから山頂までは僅か10分足らず、山頂には5時05分に到着するが、相変わらず雨足は強くガスで視界は殆ど無い。山頂は無風、気温14℃。掻いた汗が冷やされ寒さを感じる。このたため一枚重ね着をする。暫く待機するが一向に状況に変化はない。時折、雲の薄いところに朧気な太陽の輪郭が見えるが、回復には至らない。9時まで山頂に止まるが、回復の兆しは無く9時15分、撮影を諦め下山を始める。
  下山時に2人の単独登山者に各々出会う。その内の1人は笹子駅を出発し、本社ヶ丸経由で初狩駅
へ下る予定だと云っていた。今回は残念ながら富士山の撮影は叶わなかった。

  今回、天候不良のため富士山が撮影できなかったため今日の富士山はお休みします。



登山道と花の開花状況


 中腹の休憩所を山頂に向かい暫くすると、やや登りの急なつづら折りの登山道となる。木の根が登山道表面に露出し、雨を含むと滑りやすく、木の根に乗らないように要注意である。

  所々、木の葉が紅葉している箇所もあり、これから一気に色付いてくると思われる。山頂では大分進んでいる状況が窺える。

  現在咲いている花は比較的少なく、所々にノギクが見られる。清八峠付近では紫色のトリカブトが群生している。また、シオガマギクの群生も見られる。中腹より高いところではシモバシラが所々に見られる。登山口付近の植林された小高い丘ではお花畑と化し、アキノキリンソウ、ニガナなど黄色いキク科の花が咲き秋の彩りを添えている。


以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある


   






 清八山山頂(紅葉は進んでいる)       
   9:15頃    
ヤマハハコ(キク科)山頂に咲く

紅く色付いたヤマツツジの葉  

ザラエノハラタケ?
(食べられると云われているが腹痛を起こ
すことも)


   






  清八峠           9:30頃    
シオガマギク(ゴマノハグサ科)清八峠
に群生する

登山道の様子(清八峠を少し下がったとこ
ろ)   9:35頃  

ヤマトリカブト(キンポウゲ科)清八峠に
も群生する




 登山道の様子     9:40頃
咲き終わったコアジサイの黄葉

 

アズマレイジンソウ         
 (キンポウゲ科)
 
シモバシラ(シソ科)










       



   シロヨメナ(キク科) 

 アキノタムラソウ(シソ科)

 不明(調査中)  

ベンチのある中腹の休憩所           
 10:20頃

                        以下、ヒノキの植林された小高い丘に咲く花






      




不明(調査中)              

  タウコギ(キク科) 

 アキノキリンソウ(キク科)

 ニガナ(キク科)






コシオガマ(ゴマノハグサ科)









登山口にある登山者カード      提出
箱       11:10頃






行程:登山口発(3:00)→中腹の休憩所(3:55)→清八峠(4:55)→山頂(5:05着〜9:15発)

  →清八峠(9:30)→中腹の休憩所(10:20)→登山口(11:15着)

                            ※1.登山時は雨具装着のため10分のロスタイムあり。

                            ※2.下山時は山野草撮影に都合30分程時間を要した。


                                                 使用カメラ: FINEPIX F300EXR