2014年 撮影紀行(NO7)



8月13〜14日 高川山 

  ここの所、毎年の行事のようになっているが、8月の満月日に高川山で富士山の夜景を撮ることを続けている。今年は台風の影響もあって満月日から3日ほど先延ばしとなってしまった。夏の風物詩と云っていいと思うが、富士登山道の天に昇るような灯りは天と地の架け橋のように見える。地から天へ、天から地へ夢のような話であるが、そのような情景を写真で表現できればと思い、自分が天に昇るような気持ちになって高川山を訪れている。

 今回は初狩側登山口から男坂コースを登り、下山は女坂コースから沢コース(たまご石コース)を下り、車を置いた登山口に戻る予定である。天気は曇り空で星が見える状況にはないが、山頂から富士山が見えることを望むしかない。気温は高めで湿気が多く肌がベタ付く感じである。登山口から登山道の先をヘッドランプで光を当てると光が遮られ靄っていることが良く分かる。

 21時45分、登山口を出発。林道から登山道に入ると、登りはややきつくなり、汗がやたらと多く出る。メガネは湿気と汗で曇ると視界がなくなり扱いが厄介である。いっその事メガネを外して歩きたいが、ヘッドランプの灯りだけでは不安を伴うため外すことは出来ない。男坂と女坂の分岐点を22時15分に通過。男坂ということもあって、途中からきつい登りとなる。ロープが張られているが、なるべく頼らずに登る。合流点を22時55分に通過し、山頂には23時15分に到着。靄っているが富士山は見えている。登山道の灯りも良く確認できる。時折、居待月が雲の合間から姿を覗かせる。

 掻いた汗と湿気で着ているものは濡れて気持ち悪く着替えたものの、夜露でまた湿気を帯びる。

 早速撮影準備に入る。バルブ撮影のためフィルムカメラでは1枚撮るのに500秒ほど掛り、枚数を稼せぐことは出来ない。デジタルだと感度を800位に上げて60秒ほどで撮影が出来るが、ノイズリダクションを掛けても粒子が荒れ解像度も低下する。フルサイズのデジタルであれば長時間露光に耐えると思うが、それでもフイルムには敵わない。

 満月日であれば午前3時ごろ三ツ峠の山頂付近に月没し、その30分前からシャッターチャンスを得られる。その条件は月が低い位置にあって適度な雲があることが条件となるが、居待月ではこの条件が得られず幻想的写真を撮るのは難しい。

 時間と共に靄が濃くなり、午前2時ごろには富士山は姿を隠し、2時半には雨が降り出した。もう夜景のチャンスはなさそうである。望みは日ノ出時間帯にチャンスを繋ぎたいが、この天候では難しそうである。

 日ノ出時間がやってきた。未明に雨は止んだが、雲が多く曇天という感じである。東の雲の切れ間から太陽が顔を出したが、肝心の富士山の姿は見られない。携帯で富士山ライブカメラの状況を確認するが、厚い雲に覆われどれ一つとして富士山が写っているものはない。もう諦めムードである。機材をゆっくり片付け、6時15分下山を始める。毎度のことであるが下山時に山の状況や開花した花などをカメラに収めながら、のんびりとした山歩きも楽しいものである。女坂コースから沢コースに入り、登山口に戻ったのは8時、やや時間が掛かった感じである。今日は天候も悪く登山者の誰とも出会うことはなかった。

 下山が早い時間だったため、湯ノ沢お花畑に花の開花状況を見に行くことにした。

 



今日の富士山

 今回は満月日を過ぎたため意図した幻想的写真は撮れなかった。天候にも恵まれず、靄の発生で画像は不鮮明で思うような写真にはならなかった。








富士山裾に雲が棚引くが靄の発生で鮮明さがない 23:50頃    
つるし雲と笠雲が同時に見られるのは珍しい  1:10頃






花の開花と登山道の状況

 登山道脇にはキノコ類が目立ち、イガグリが転がっていたり、秋が迫っていることを感じる。現在花は少なめで、ヤマアジサイの花が多く見られる。これから秋に掛けてシロヨメナやノコンギクなどキク科の花が増えてくると思われる。

 沢コースは急傾斜は殆どなく比較的容易なコースであるが、沢沿いは泥濘があって滑りやすく、登山道から沢までの高さも10m程あるため注意が必要である





高川山山頂(日差しはない) 6:10頃



ママコナ(ゴマノハグサ科) 山頂直



不明キノコ 



    

ドクツルダケ?








秋を感じさせるイガグリ 

                 
 

ミズヒキ(ダテ科)



紅葉づいた落ち葉 

                 
              

ダイコンソウ(バラ科)大根の葉に似
ていることから付いた名前





ヤマアジサイ          
(ユキノシタ科) 
        
                 
  

ツリフネソウ        (ツリ
フネソウ科)


マムシグサ(サトイモ科)

                 
     

アキノタムラソウ(シソ科)









オカトラノオ       (サクラ
ソウ科) 先端部
         
       

ヘクソカズラ(アカネ科)



キクイモ(キク科)





                    使用カメラ: OLYMPUS E-M1 ・FINEPIX F300EXR





8月14日 湯ノ沢お花畑


 高川山を下山し、その足で湯ノ沢峠の駐車場に到着した。時折小雨の混じる天気で富士山も展望できず、お花畑の開花状況を確認することにした。

 駐車場から10分程でお花畑まで行くことが出来るため、手軽に山の花を楽しむことが出来るので花の好きな人には最高である。現在お花畑のエリアには動物進入を防ぐためネットが張られ、人の出入りのための扉が設けられている。最近更に内側にネットが張り回らされ2重構造で対応している。その効果の現れと思われるが、何時になく花の数が多いように感じられる。

 現在、最盛期を迎えているようで、タチフウロ、ウスユキソウ、コウリンカ、シモツケソウなどが多く開花し、お花畑を明るくしている。今月一杯は見られると思いますので、是非皆さんに訪れて欲しいと思います。




  コウリンカ(キク科)
 



タチフウロ(フウロ科)




ウイスユキソウ(キク科) お花畑全
般で見られる




ノコギリソウ(キク科)



               





   






  ノアザミ(キク科)アザミの種類
  は多く日本だけでも80種と言わ 
 れている  

 
コウリンカとウスユキソウ






お花畑から黒岳方面を望む(霧に覆わ
れ視界が悪い)




 

ヤマオダマキ       (キンポ
ウゲ科)




         




  ウツボグサ(シソ科)

シモツケソウ(バラ科)お花畑南側で
多く見られる 

タチフウロ(中にはこのように色の濃
いものもある) 
 
南の端からお花畑全般を展望





 キオン(キク科)





シモツケソウ、タチフウロ、ウスユキ
ソ  ウなどが密集している。

       

ヤマハハコ(キク科)


 











番 外  編


 焼山沢林道で見つけた木製の砂防ダム。構造は定かではないが、自然景観にマッチしコンクリート製に比べ暖かい感じがしてとても良い。この付近一帯は林業が盛んで山からの木材を現在ケーブルを使って運んでいる。この砂防ダムはその切り出した木を使って構築していると思われる。
















                                     使用カメラ: FINEPIX F300EXR