2020年撮影紀行(その4)
9月22日 清八山
2021年のカレンダー作成の一環として富岳十二景の山から撮影を続けていが、今年は全般に天候が不安定で撮影日の設定が難しい。天気は良くても富士山は雲に覆われていることが多く、カレンダーに成り得る写真がなかなか撮ることが出来ない。今回は清八山からの富士山を予定しているが、因みに今年9月のカレンダーは昨年9月10日に当山から撮影したものである。今回も気象情報を精査し、確実に撮影できる日として昨年より12日遅い22日に決めることにした。
駐車できる空地に到着したのは午前1時20分。以前は登山口近くまで車で進入できたが、現在は林道が荒れていて最低地上高の大きい車でも腹を擦る可能性があるため車での侵入を諦めた。今回も変電所先の橋を渡った所の空地に車を止め、笹子側の登山道入口まで歩くことにした。
天空は星や月は無く周辺が暗く感じる。新月を僅かに過ぎたばかりで月が地球の反対側にあるためである。天気は曇り空で薄く霧が漂っているため周辺の状況を確認しずらい。この霧が更に発達し山頂に着いたとき富士山の姿がなかったらと、期待が削がれるような気持ちになる。
1時35分、山頂目指し出発。以前はコンクリ―舗装された林道であったと思われるが、現在、場所によっては舗装コンクリートが劣化し塊となって散乱している箇所が多く歩きにくい。また、場所によっては劣化が殆んど無く舗装された状態が保たれている箇所もある。当時の施工にバラツキが有ったような状況が伺える。
20分程先に進むと林道が途中で寸断されていた。奥の沢川を渡る箇所で昨年の台風の影響と思われるが、元々有ったコルゲートパイプの盛土部分が大雨で流されていたため林道の機能が失われていた。車の進入はここまでで、車の進入は不可能である。案内板に従って河川を横断し対岸に渡るが、状況が不明でヘッドランプの灯りでは心もたない。
2時10分、植林された小高い丘の入口に差し掛かる。植林された一帯は動物による食害を防ぐため広範囲にネットが張られている。エリア内に進入するためにネットの張られたポールを1本外し中に入る。
小高い丘に植林された檜は2m程の高さに成長し、雑草に被われた檜は足元が隠され、足元が隠された登山道は濡れていて大変滑り易くヘッドランプの灯りも届かず歩くのに難儀する状況である。
この丘を登り切るとエリアの出口となり、進入した時と同じ要領で外に出る。この出口は清八山への登山口になっていて、山頂への本格的な登山道となっている。
2時45分、出発して1時間10分、やっと清八山へ登る本来の登山口に到着。ここからは本格的登山道となり、長い登りが山頂まで連続する。
中腹のベンチが設置された休憩所を3時25分に通過。時々、霧が漂い曇り空は解消されていない。清八峠を4時30分に通過。ここまで来ると間もなく山頂である。
4時45分山頂到着。曇り空であるが、懸念していた富士山はしっかり姿を現している。薄い霧が発生していて、鮮明さにやや欠けるが、撮影は可能である。
日の出時間は5時29分(東京)、日の出まで時間は十分あり、ゆっくり準備を始める。気温は10℃、湿度65%。風は微風。到着したときは汗ばんで蒸し暑かったが、暫くすると寒さを覚え1枚重ね着をする。東の空は茜色に染まっているが雲がやや多く富士山に朝日が届くのは若干時間が遅れると思われる。
天空に雲は殆ど見られず今日は撮影日和になると思われたが、富士山付近には所々靄が棚引き完全な秋晴とは言い難い。日の出時間を5分程過ぎて富士山上空が色付いてきた。暫くすると富士山頂に朝日が入り、僅かながら朝焼けが見られた。山頂からの撮影場所はある程度限定され、変化のある撮影は自分の持つ撮影感では難しいと思われた。それでも秋らしい季節が感じられる撮影が出来ればと思う。
山頂の南端にあるシンボル的な2本の松は右側の1本が枯れている。厳しい風雨に耐えられなかったのか、害虫によるものかは分からないが、清八山のシンボル的2本の松が1本無くなるのは寂しい気がする。
一通り撮影を終え7時35分、下山を始める。車の置いてある場所に到着したのは9時40分。車は自分のものを除き2台止められていた。
今日は山頂で1人撮影だったが、休日という事もあり、下山時に中腹で若い男性登山者1人と、登山口に近い場所で男女2人組の若い登山者と出会った。この2人組にはタイミング悪く滑って転んだ所を見られた。大丈夫ですかと声を掛けられ起してもらった。下りは腰の痛みが限界に達し、足の踏ん張りが効かず、滑ると転び易くなっていたところだった。更に下った所の植林された小高い丘では女性登山者1人と出会い挨拶を交わした。
今回は撮影条件がそれほど良いとは言えなかったが、それでも、秋らしい写真は撮影できたと思う。下山しても腰の痛みや筋肉痛が酷く情けない思いである。
今日の富士山
日の出時間帯に撮影(山頂に朝日が差した瞬間) 5:35頃 |
秋らしい雲を入れ季節感を表現した 6:25頃 |
![]() |
![]() |
山頂および登山道の状況
山の花は少なく、ヤマトリカブトが群生していた。10年前の秋にはキンポウゲ科のサラシナショウマ、紫色のシオガマ、キク科のシロヨメナ、同じキク科のヒヨドリバナやヨツバヒヨドリ、また、秋を象徴する黄色のアキノキリンソウ、大月の山で初めて見掛けたキンポウゲ科の下向きに咲くレンゲショウマ、これには驚きを隠せなかった。奥多摩の御岳山でよく見掛ける花であるため清八山で咲いていても不思議ではない。気候変動により植物の成長に大きな影響が出ていると思われる。以前は多くの花が咲いていたが、寂しい気がする。
山頂の山名板 7:35頃 |
南北に細長い山頂 7:35頃 |
群生しているヤマトリカブト 7:45頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
山頂の南端にある2本の松は右側が枯れている
清八峠の案内標 7:45頃 |
清八峠から下る登山道 7:55頃 |
木漏れ日が差し込む登山道 8:15頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
ベンチのある中腹の休憩所 8:20頃 |
食害を防ぐエリアに入る 9:00頃 |
キンレイカ(オミナエシ科) 9:00頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
食害エリアを出た所 9:25頃 |
コンクリ―ト舗装されている林道 9:35頃 |
車を止めた場所(橋を渡った空地) 9:45頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
登山者用のカウンターが置かれている 台は下山途中出会った人の車と見られる
使用カメラ:・OLYMPUS E-M5 MARKU ・CASIO EX-ZR62
8月12日 扇山
今年の7月は大半が雨の日が続き撮影チャンスを逃した。2021年カレンダー7月用の写真には別の年に撮影した写真を充て、完成に結び付けたい。
今月に入り晴天の日が続いているが、雲が多く富士山のライブカメラを覗いても山頂に雲が掛かっている映像が多い。今回も天気予報を精査し、確実に撮影できる日を選び、扇山を訪れることにした。
8月12日(水)梨木平の駐車場に到着したのは午前2時10分。天空を仰ぐと雲一つない満天の星空。8月の暑い最中にクリヤーな星空を望めるのは最近になく珍しいことである。駐車場から富士山を望む事は出来ないが、富士山が姿を現していることは確実に思われた。
駐車場を2時30分に出発。これから先の登山道に於いて気掛かりなことがあった。昨年12月13日に梨木平から扇山を目指した際、途中水場の手前付近で土砂が小規模ながら崩れている箇所があり、ここをどのように通過すればよいか立ち往生したことが思い起こされた。何らかの形で危険が無いように登山道が改良されていれば問題ないが、未だに手当てされていないと、危険を避けるため通過に時間が掛かると考えられた。この個所は昨年10月に台風19号の大雨により、土砂崩れが発生したと思われるが、手付かずの可能性もあり、昨年同様、抉れた危ない沢を時間をかけて通過したことが思い起される。ここの地盤は粒子の大きいザレのような地質で崩れやすく、滑落したら5~6mの谷底に落ち、命が危ういことになる。
現地に到着すると、何とその抉れた沢には丸太4本組の橋が設置されていた。これで危険を冒さなくて良いと胸を撫で下ろした。丸太橋を架ける作業も大変だったと思う。材料や機材の載搬入にも大変な労力を要したことを窺い知る。このような管理があって、登山者の安全が確保されていると思うと管理者に敬意を払いたい気持である。
水場を3時15分に通過し、これからツヅラ折れの登山道が大久保のコル(百蔵山への分岐点)まで続く。途中のツツジ群生地の分岐点を3時45分に通過。大久保のコルには4時20分に到着。これより西に道を取れば百蔵山へ。扇山山頂には東への道を行く。
山頂到着4時30分。山頂はすでに明るく、星空を望むことはできないが、富士山は雲一つない空に鮮明な姿を見せている。8月に入っても雲の多い空が続いていたが、今日は一線を画している。
今日の日の出時間は4時58分(東京)。東の空にも雲は無く、赤富士が期待できそうである。天気が良いのは撮影には良い条件となるが、良すぎても撮影は難しい。多少でも雲があった方が絵になる。
日の出時間には光が富士山に差し、赤富士が見られた。扇山山頂は前面の木が成長し夏場は撮影しづらい面がある。秋や冬になると状況は変化し、夏より良い景観が得られる。
今日はブヨが多く準備中にも大量に寄ってくる。例年だと8月に入ると少なくなるため虫除け対策をしてこなかったのが敗因である。撮影中にもファインダー付近に集中し、瞼を刺されたら腫れあがり大変なことになると思い、マスク、タオルでほっかぶり、眼鏡、帽子を深くかぶり、完全武装。顔や瞼は刺されなくて済んだが左右の手首、手の甲など20か所ほど刺され手首が大分腫れあがった。
赤富士が終わると、雲も殆ど無く変哲もない情景となった。これ以上山頂にいても、ブヨに攻撃されるばかり。6時50分、早々と下山を開始。
梨木平には8時30分に到着。下山途中、若い単独登山者2名と出会い、各々挨拶を交わした。
今日の富士山
今日は運よく素晴らしい赤富士が見られたが、これが終わると雲は無く変哲もない情景となった。
日の出時間帯に赤富士が見られた 5:10 頃 |
鬱蒼とした大木を右前面に配置した 6:00 頃 |
![]() |
![]() |
山頂と登山道の状況
百蔵山山頂(奥に富士山が) 6:45 頃 |
山頂は広く丸太ベンチが置いてある 6:50頃 |
山頂直下の下山道 6:50 頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
大久保のコルの分岐標 6:50 頃 |
山頂直下の下山道 6:55 頃 |
花名は不明(調査中) 7:05 頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
フタリシズカ(センリョウ科) 7:15 頃 |
水場近くの祠 7:50 頃 |
水場(水色のドラム缶がある) 7:50 頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
昨年の台風の影響で大分荒れている。
7:55頃 |
左に同様 8:00頃 |
新たに設けられた丸太橋 8:00頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
杉に蓋われた登山口近くの登山道 8:15頃 |
扇山管理事務所 8:25頃 |
梨の木平駐車場 8:30頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
使用カメラ: ・OLYMPUS E-M 5MarkU ・CASIO EX-ZR62
6月29日 牛奥ノ雁ガ腹摺山(再トライ)
6 月 24 日に当地を訪れたが、富士山は姿を見せず撮影が叶わなかった。自作カレンダー作成の関係から 6 月 中に何とか撮影できればと思い、晴れの予報が出ていた 29 日に再挑戦をすることにした。
気象情報によると午 前中は晴れで午後は曇りの予報となっていたが、相変わらず湿度が高いことから、早朝は霧や靄の発生があると考えられた。降水確率は1日を通し0%で前回のように雨が降ることは無いと思われが、山の天気は気ままで、どうなるか分からないが、予報を信じ出かけることにした。
前回、日川林道の登山口から2時間かけて山頂まで行ったが日の出時間を30 分程過ぎていた。今回は日の出 時間に間に合わせようと登山口には午前2時10分に到着。2時25分、登山口を出発。
天空は満点の星空、5等 星位まで見えていると思われる。これで今日の富士山はカメラの収めることが出来ると確信した。今回は西尾根 を5日前の24日に登っているため、登山道の状況は明確に覚えていることから、道を外すことは無いと思われる。
巨大な自然石(パノラマ岩)を回り込み痩せ尾根に出たのは3時40分。尾根のピークには3時50分に通過。 これからは笹源と立ち枯れ古木地帯を通過しサグ部を超え、緩い登りを登りきると間もなく山頂である。
山頂到着4時05分。日の出20分前である。今回登りの所要時間は1時間40分。前回2時間掛かったが、20 分短縮した計算になる。 今日の日の出時間は4時28分(東京)。今月21日から日の出時間が1分ずつ遅くなってきている。
山頂から見る 富士山は靄の発生により、朧気ながら姿が確認できる。天空は既に青空を覗かせている。これから時間の経過と共にクリヤーな富士山が望めると思われる。
西側の甲府盆地は大規模な雲海で埋められているが、南の富士山方面には 甲府盆地の雲海は途中で切れている。繋がれば大雲海に発展すると思われる。
日の出時間には、朝焼け富士山が見られたが、空気中に水分の多い梅雨時独特のやや鈍い色となった。撮影を 続けるも時間と共に雲が多く発生し、5時半に富士山は雲の中に姿を隠した。
暫く待機するが、雲は厚く富士山が再び姿を 現すとは思えず、撮影を打ち切り、7時20分下山することにした。下りは順調で登山口には8時50分到着。
今日は山頂で湯ノ沢穂面から登ってきた1人の男性登山者と出会った。また、滅多にないことであるが、西側 尾根の中腹で男性登山者1人と出会った。
今日の富士山
日 の出時間の富士山(梅雨時の色に染まった) 4:35頃 |
左奥は黒岳(稜線に朝日が差し樹木の緑が美しい) 5:15頃 |
![]() |
![]() |
山の状況
山頂の様子 7:20頃 |
山頂を少し下った立ち枯れ樹林帯 7:25頃 |
立ち枯れ樹林帯が続く 7:25頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
立ち枯れ樹林帯(奥は西尾根のピーク)
7:30頃 |
パノラマ岩(登るとダム湖が展望) 7:50頃 |
パノラマ岩の基部から 7:50頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
昨年の台風によるものと思われる
8:00頃 |
同 左 |
ハナチダケサシ(ユキノシタ科) 8:30頃 |
![]() |
![]() |
![]() |
ヨツバヒヨドリ(キク科) 8:35頃 |
キバナヤマオダマキ(キンポウゲ科)8:50頃 |
ヒヨドリバナ 8:50頃 |
![]() |
![]() |
![]() |