2020年撮影紀行(その3)




5月29日  大蔵高丸・ハマイバ

 新型コロナウイルス感染症緊急事態解除宣言が 5 月 25 日に政府から発せられたが、まん延を防止する ため、引き続きいくつかの要請事項が加わった。その中の一つとして、「 5月末までは不要不急の帰省や 旅行など都道府県をまたいだ移動は控えましょう 」の文言が入っていたが、29 日に予定している撮影日 はその要請に応えていると解釈し、都県をまたぎ富士山撮影に出かけることにした。  
 この日の天候は気象情報によると日本列島は大きな高気圧に覆われ、等圧線の間隔も広く穏やかな日和 になると考えられた。カレンダー作りの関係もあって今回は大蔵高丸およびハマイバから撮影することに した。  特にハマイバはミツバツツジの咲く時期に入り、富士山との撮影が咲き具合によっては撮影が可能にな ることが考えられた。
 この時期は日の出時間(4時28分東京)が早まり、家を出る時間も年中で最も早い 時期に差し掛かっている。  湯ノ沢峠の駐車場には午前2時35分に到着。既に駐車できない位の車が止められている。ミツバツツジ の撮影で訪れたのだろうか。見ごろは例年だと6月の1週目位だが、それにしては時期尚早のように思う が・・・・。
 登山口から一番離れたところに駐車場の外となるが、やっと止められるスペースを見つけそこに 車を無理やり止めた。15台ほど止められた車には人気は感じられず、既に出発したものと思われる。時間 的に見ても撮影目的はツツジではなく星空を撮影すると考えられた。
  登山口を3時00分に出発。天空は所々に薄い雲はあるが雲のない所は星空で満たされている。気温はやや低め、肌寒さを感じる。お花畑を通過する際、薄いガスが発生していたが、西に見える甲府盆地の灯りが 朧げに視界に入る。現在、雲海の発生は無いようである。今回は日の出時間を狙い大蔵高丸から撮影。その後、ハマイバに移動し撮影を続ける予定である。
 大蔵 高丸に3時40分到着。山頂に到着する前から上の方で話し声が聞こえ、既に複数人の撮影者がいることが 予測された。山頂に着くと既に三脚を立てスタンバイ状態の 4 人グループ。しかし、肝心の富士山は雲の 中、富士山が姿を現すのを待っている様だが、周りに聞こえる位大声で喋っている。話の内容から仕事は現役のようだ。未 だ皆40〜50代と若い感じである。
 現在の気温は3℃と風はないが、冬用の防寒着を持参していなかったため寒さが身に堪える。この時期 下界では味わうことができない気温である。標高1781m、気温の読みが甘かったようだ。
 間もなくすると、山頂が見え始め、徐々に雲が取れ富士山が全容を現した。日の出時間には朝日が差し、 朝焼けが見られた。周辺の樹木も朝の光を得て、富士山を含め全体的にコントラストのある場面が展開さ れた。更に、予想外だった小規模ながら雲海が発生し富士山に変化を与えている。また、富士山の撮影には絡 むことはないが、東側に位置する大月市内は大規模な雲海に埋め尽くされていた。  
 5時30分、4人のグループを後にハマイバに向かい移動を始める。ハマイバと大蔵高丸の高低差は約30 mでハマイバの方が低いが、全体的に下りが多く高低差を数値以上に感じる。ハマイバに来ると何時も訪 れる撮影場所がある。山頂手前に位置するが、視界が開けた 3 次元的に奥行きが感じられる場所である。 富士山撮影には格好の撮影場所といえる。特に新緑の頃は素晴らしい情景が得られる。また、ここの斜面 にはワラビが群生し、撮影の合間に積むことができ食の足しになる。移動する頃に富士山は雲の中に姿を 隠していた。
 ミツバツツジの開花状況を確認するため、大株ツツジの場所に移動する。やはり数輪は開花しているも のの殆どがつぼみの状態で見頃になるまで一週間から10日程かかると思われる。また、東側の株も同じ 様な状態である。残念ながら富士山は姿を隠したままで、ミツバツツジの撮影には至らなかったが、一週間ほどす ると撮影チャンスが訪れると思う。
 大蔵高丸・ハマイバで確認された撮影者は自分を含め6名だったが、残りの人たちは白谷丸から星空の 撮影をしたものと思われる。
 撮影を終了し、ハマイバを後に下山を始める。大蔵高丸、お花畑を通過し、湯ノ沢峠に到着したのは、9時50分。駐車 されている車は自分の車を含め5台。10台程は早々に帰ったようだ。それにしても緊急事態宣言が解除さ たからだろうか。平日であっても大変な人出だった。


今日の富士山

 日の出時間帯に朝焼けが見られ素晴らしい情景に出会うことができた。梅雨入り直前であるが、高湿度の時に見られる色合いが日の出時間に見ることができた。間もなく梅雨入りとなるが、これから始まる梅雨時には素晴らしい情景に出会えることがあり、撮影チャンスに恵まれることも多い。


大蔵高丸から


日の出時間には朝焼けが見られた        4:35頃
周辺の樹木にも朝日が差しコントラストが付いた  5:05頃



ハマイバから


甲府盆地を埋めた雲海が東に流れ込んで来た   6:10頃  
飛び雲が多く雲海がバラけて来た       6:40頃



山頂および登山道と花の開花状況

 お花畑には未だ花は少なく、6月末ごろになると花で賑わい、華やいだ雰囲気を味わうことが出来る。登山道は湿り気が多く靴底に泥が付着し足元がやや重く感じ滑り易い状況である。ハマイバの大株ミツバツツジは数輪開花しているものの、全体的には、つぼみ状態である。見頃を迎えるのは1週間から10日程先になりそうである。

                      

大月市内は雲海で埋まっていた        

(大蔵高丸山頂から)    4:55頃    
ハマイバ山頂手前の景観  5:55頃
ハマイバ山頂        7:45頃


ハマイバの大株ミツバツツジ        
僅かに数輪つぼみが開いている 7:50頃
登山道を隔てた東側の株もつぼみ状態


日当たりは東側の方が良いが                

開花状況は大株と同様    7:50頃  
スミレ(スミレ科)     8:00頃  
大株に対面する山ツツ ジ
(未だつぼみ状態)    8:00頃



シロバナヘビイチゴの花(バラ科)      
大株ツツジ近くのミツバツツジは
開花が進んでいる      8:40頃
キンポウゲ(キンポウゲ科) 8:55頃


大蔵高丸山頂            8:55頃  
スミレサイシン(スミレ科)   9:00頃
チゴユリ(ユリ科)      8:40頃


湯ノ沢お花畑西側の扉      9:25頃    
お花畑から白谷丸を望む    9:30頃
お花畑から大蔵高丸を望む   9:30頃


湯ノ沢お花畑北側の扉      9:35頃  
湯ノ沢峠(右は登山者カウンター  9:40頃
湯ノ沢峠駐車場(5台駐車)   9:45頃




                                                              使用カメラ:  ・OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62





6月9日  ハマイバ

 先月29日にハマイバの大株ミツバツツジの開花状況を確認するため訪れた際、殆どがつぼみ状態で見頃 を迎えるには1週間程先になると思われた。今回はそれから11日間経過しているが、毎年恒例となってい るミツバツツジと富士山を撮影するためハマイバを訪れることにした。
 大株のミツバツツジ全体に朝日が回り込むのは8時頃でその1時間前頃から撮影は可能である。その時間までは近くの視界の開けた場所から日の出時間帯を狙い、朝焼けを撮影することにした。
 花と富士山を撮影するには花の満開日と富士山が姿を現す良い天気でないと撮影は叶わない。このため、 撮影日を設定するタイミングは中々難しい。例年では 5 月末に撮影したことが多かったが、今年はミツバ ツツジの開花が遅いような感じである。
  湯ノ沢峠の駐車場には午前2時45分に到着。2台の車が止められていたが、車の中でまだ寝ている可能 性があるため、それらの車からなるべく離れ、大きな音をたてないように静かに止めた。 寒さはなく気温は 10℃前後であるが、湿度が高く全体的に靄に覆われていて視界は良くない。しかし、 天空は抜けていて、満月を 3 日過ぎた居待月が明るい光りを放ち周辺を明るくしている。6 月の満月はスト ロベリームーンと呼ぶそうで、6 月は月の軌道が低く水平線に近いため、赤っぽく見えることからその名 が付いたようである。
 3時05分、ハマイバに向かい出発。湿度が高く靄で視界も悪い。湯ノ沢お花畑を通過する際、甲府盆地 の灯りは見えず、前回訪れた時よりも視界が遮られている。 大蔵高丸を3時45分に通過。山頂からは薄っすらとぼやけた富士山の姿が目に入る。富士山頂の北側の 高い位置には居待ち月が明るい光りを放っている。印象的な情景が展開されている。
 暫く南へ下り、ハマイバ山頂を4時10分に通過。視界の開けた撮影場所に着いたのは4時20分。日の 出5分前である。相変わらず視界は靄で悪く、日の出時間(4時25分東京。「1年中で最も早い時間」)を 過ぎても、富士山に光は入らずコントラストが全く付かない状況である。 撮影を中断し、撮影場所から少し下った所の大株ミツバツツジの開花状況を確認に行ったが、花は殆ど 終わっていた。残念ながら今月 2 日〜3 日が見頃だったようだ。東側の中株ミツバツツジも同じように終 わっていた。撮影場所に戻り撮影を続けたが、時間が経過しても光は無く、PL フィルターが全く効かず、メリハリの全くない画像はソフトで調整する必要があると思われる。 この撮影場所に到着してから1時間程して、撮影者が加わった。富士宮市から来たようでハマイバは20 年ぶりと云っていたが、写真歴は60年以上のベテランで富士山に限らず何でも撮ると言っていた。大株の ミツバツツジの場所にも案内したり、最近のハマイバの状況に付いても説明した。
 日の出時間を過ぎてからも光のない状態は変わることはなく、富士宮市の人は撮影を終え先に下山を始 めた。自分も後を追うように下山することにした。 下山途中、毎回撮影する場所であるが、下り斜面でカール状の視界が開けた場所に寄り撮影を再開した。 相変わらず光は弱く、場所を変えてもコントラストの付かないフラットな写真は相変わらずである。これ以上撮影を続けても変化はないと判断し、湯ノ沢峠に向かい下山を始める。
 大蔵高丸に到着する直前、山頂に女性登山者 2 名が居 るのを見かけたが、到着するや否や話をする間もなく湯ノ沢に向かい下山して行った。今日は靄で視界は 良く無かったが、天気は先ず先ずで比較的多くの登山者と挨拶を交わした。湯ノ沢お花畑では小さな女の 子二人を連れた夫婦と出会い、 「こんにちは」の小さな子供の声。家族皆の微笑ましい姿に心和む。



今日の富士山

 靄に覆われ視界が悪く、更に富士山に光はなく朝焼けも見られなかった。靄の影響で撮影条件は最悪と なり、出来上がった写真はコントラストが付かず彩もない状態である。 今回の写真は画像ソフトによりコントラストや彩度などの調整をしているが、不自然な写真になってい る可能性もあり、承知の上ご覧頂きたい。


ハマイバ山頂を南に下った視界の開けた場所から

雲海が大谷ガ丸を乗り越えている所             4:30頃  
発展を続ける雲海                        4:50頃



                撮影場所は同上                  ハマイバ山頂を北に下った視界の開けた場所から
                                            (斜面には多くのワラビが自生する)

カエデと富士山                          7:10頃      
カール状の地形は立体感を齎す                  8:00頃




山頂と登山道

 大蔵高丸からハマイバまでは高低差は殆ど無く、標高1700mの高原気分が味わえる。登山道脇には、た くさんの花が自生し、登山者の目を楽しませてくれる。7月になると花の種類も多くなり、華やかさが更に 増してくる。

ハマイバ山頂          7:40頃
山頂から北に下った視界の広い撮影場所
       8:50頃  
 大蔵高丸山頂           9:35頃


奥に富士山の姿が見える   9:35頃    
お花畑から白谷丸を望む  10:05頃
お花畑から大蔵高丸を望む  10:05頃


湯ノ沢峠(右は登山者カウンター) 10:20頃
湯ノ沢峠駐車場(8台程置かれている)
10:25頃



登山道際に咲く花

 下山時にハマイバから大蔵高丸、湯ノ沢峠にかけて登山道脇に咲く花を撮影し、時間を追って写真を並 べてある。現在はキンポウゲ、ミツバツチクリ、シロバナヘビイチゴ、スミレなど多くの花が登山道を歩 いていると何処からでも見られる。

 シロバナナガバノスミレサイシン(スミレ科)
ミツバツチグリ(バラ科)
タチツボスミレ(スミレ科)



シロバナヘビイチゴ(バラ科)      
モミジイチゴ(バラ科)


シロバナナガバノスミレサイシン
(スミレ科)      
ミツバツチグリ(バラ科)  
ヤマツツジ(ツツジ科)


フデリンドウ(リンドウ科)                
ヤマツツジ(ツツジ科)
スズラン(ユリ科)


マイズルソウ(ユリ科)        
  ツメクサ(ナデシコ科)




                              使用カメラ:  ・OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62






6月24日  牛奥ノ雁ガ腹摺山

  梅雨時でハッキリしない天気が続き撮影チャンスが中々訪れない。そのような状況の中、気象情報で24日は晴の予報が前日に出されていた。この日を逃すと、残り日は天候が愚図つき、今月はチャンスが無いと思われた。来年6月のカレンダー写真には、今月撮影した牛奥ノ雁ガ腹摺山からの富士山を予定しているため、早速、撮影に出かけることにした。  
  天気予報では日中晴れ間があり、降水確率は0~10%で雨が降る事はないと思われるが、湿度が90%台と高いためガスの発生は否めず、日の出時間帯に富士山が姿を現すかどうかが懸念される。日の出時間は4時26分(東京)であるが、日川林道に取り付く登山口から西側尾根を登るコースは途中から登山道が分かりにくく、迷うことも考えられるため、時間に余裕を見ておくことが必要となる。
  登山口に着いたのは午前2時25分。小雨混じりの濃い霧で視界が悪い。大月市のピンポイント予報で降水確率は10%以下であるが、標高の高い山では予報は当てはまらないことが多い。せめても山頂に着いたときに霧が晴れてくれることを願うのみである。
  2時45分、登山口を出発。この付近は植林地帯で苗が植えられ、これらが動物の食害に遭わないよう広範囲に高さ2m位のネットによるバリケードが築かれている。登山道を行くにはバリケードを通過する必要があり入出に際しては、ネットのポールを外し元に戻すことが必要である。  
  登山道である西尾根コースは、登り始めと尾根のピークに向かう個所はやや急な登りとなるが、それ以外は比較的緩い勾配である。この登山道は古くからあるコースであるが、暫く使われていなかったため中腹を過ぎたあたりから不明瞭な箇所があり、暗いうちヘッドランプを頼りに登る場合、登山道を外すことがある。
  目の前に巨大な自然石が姿を現す。これからは痩せ尾根を登るため迷うことはない。巨大自然石を迂回し尾根に出ると間もなく西尾根のピークである。ピーク到着は4時30分。ここからは少し下り、サグ部を通過すると山頂に向かい緩い登りとなる。  
  山頂到着は4時45分。日の出時間を20分程すぎているが、霧が濃いため、太陽の光は無い。気温は11℃とやや寒い感じである。視界が開くまで待機せざるを得ないが、いつ天候回復するか分からない状況で待つのは辛いものがある。
  7時頃になって回復の兆しが見られ青空が1部見られるようになり、太陽の光が差すようになってきた。しかし、間もなくすると霧に覆われた。このような状況が繰り返され、富士山が見られるようになるのが何時になるのか分らない。
 北の方向は安定して青空が見られるが、南西となる富士山方向は霧に覆われることが多く、富士山を望める状況にはない。富士山ライブカメラをスマホで閲覧して見ると、富士山には雲が掛かり山頂を望むことが出来ない。今日は下界でも雲の多い天気で、富士山を望むことは難しいようである。今回は撮影を諦め、9時に下山を始めた。今日の富士山は撮影できなかったため掲載は無し。



                  

登山道と花の開花状況

 登山道の状況については富士山撮影紀行の中に示してあるので、そちらを参照されたい。当山に咲く花 は少なく、山頂と登山口付近の丘陵地に見られるのみである。山頂は平坦で広く、現在はミツバツチクリ やシロバナヘビイチゴの花が見られる。また、登山口近くの丘陵地にはオダマキや少し早いが開花前のヒ ヨドリバナが見られた。
以下、写真は山頂で撮影したものと、下山時に撮影した写真を、撮影時間順に並べてある。

山頂で撮影

山頂で待機中に北西側で突然青空が
覗いた瞬間        6:55頃  
富士山方面の霧は薄くなって来た 6:55頃
安全登山を願っての狛犬? 7:20頃


山頂に群生するシロバナヘビイチゴ
7:35頃              
同    左
富士山方面は相変わらず霧が漂っている  
7:35頃    


北西側は相変わらず青空が望める
8;55頃    
山頂の山名板      9:05頃
          同  左


下山時に撮影

山頂に設置されたダム方面への案内標
9:05頃    
下山方向への登山道    9:10頃
所々に設置されている案内標   9;10頃


山頂を少し下った先は立ち枯れた
古木が多い         9:10頃        
    西尾根ピーク点       9:25頃
西尾根ピーク点からパノラマ岩まで
痩せ尾根が続く       9;35頃


上がるとダム湖が展望できるパノラマ岩
9:35頃  
巨大なパノラマ岩の下部   9:40頃
暫く急な下りが続く     9:50頃


急な箇所には木製階段がある  10:00頃    
所々にある案内標    10:25頃
途中ダム湖が展望できる   10:30頃


間もなく登山口へ      10:30頃  
丘陵地に咲くオダマキ  10:40頃
 ヒヨドリバナ      10:45頃


入口のポールを外し出入り 10:55頃        
登山口の案内標    10:55頃  
空き地に駐車     10:55頃



                                                    使用カメラ:    ・CASIO EX-ZR62