2020年撮影紀行(その2)



4月19日  奈良倉山

 松姫峠へは林道の冬季閉鎖が暫く続いていたが、一度解除されたものの降雪で再度閉鎖となり、4月15日に再び解除となった。閉鎖時には松姫峠からでなく鶴峠から入山する選択肢もあるが、山頂までの所要時間は松姫峠からに比べ4倍ほど掛かり、林道閉鎖の解除は大変有り難い。前日、大雨が降り状況によっては閉鎖することもあると小菅村のホームページには掲載されていたが、土曜日だったためため、確認する事が出来なかった。行ってみなければ分からないという状況の中、見切り発車となった。
 自宅を午前1時20分に出発し、松姫峠を目指した。青梅街道経由で一般道を利用することが多く、今回も例外ではない。奥多摩湖を経て、国道139号線に入り、小菅村を通り松姫峠の駐車場に向かったが、途中、小菅村役場から小菅川を渡る橋が工事中だったため迂回し国道139号線に合流することになった。多少時間的ロスはあったものの松姫峠には午前3時20分に到着。自宅を出発してから2時間の所要時間はぼぼ予定通りの行程時間である。
 駐車場には他の車はなく自分の車のみである。新型コロナウイルスの拡大で政府から緊急事態宣言が発せられたばかりで、不要不急の外出は避けるよう要請されている。そんな中、特に、県外へ外出することは不謹慎極まりないと思っているが、松姫峠に立ち満天の星空と、シルエットに映る富士山の姿を観ると、新型コロナウィルスのことなど頭から離れていることは自分本位と言わざるを得ない。
 3時40分、松姫峠を出発。今回は最初に林道西側から富士山を狙い、その後、山頂から撮影する予定である。前日は大雨で大地に水分は補給された筈であるが、予報通り湿度は低く、更に風が強いため雲海の発生はないとほぼ断定出来る。
 4時10分、林道西の撮影地に到着。既に空は白みだし、雪を被った美しい富士山が確認できる。大気は安定しているようだが、富士山山頂付近に小さな雲が形を変えながら、風に流され現れては消えていく。そんな繰り返しが暫く続いている。
 日の出時間(5時03分東京)から、やや遅れて、朝日が富士山にに差し、山頂の雪面が薄いピンク色に染まった。しかし、期待した朝焼けには至らなかった。
 林道からの撮影を終え6時20分、山頂に向かい移動を始める。林道から山頂へのアプローチは3か所程あるが、林道の南側から山頂へ向かった。山頂には6時40分に着いたが、相変わらず雪の多い富士山は美しい姿を保っている。
 朝食を取りながら一頻り撮影を終え、7時50分山頂を後にした。山頂から林道へは南側のアプローチから林道に下り、登りと同様、林道を通り、松姫峠駐車場には8時35分到着。駐車場には自分の車を含め4台止められていた。いずれも県外の車だった。今回は誰とも出会うことはなかった。



今日の富士山


林道西側から(朝日が差したが期待した朝焼けには至らなかった)
5:20頃
林道西側から(面白い雲が現れては消滅を繰り返していた)  5:40頃


奈良倉山山頂から(相変わらず美しい富士山)   7:25頃



山頂および登山道の状況

 林道から奈良倉山山頂にかけて一部トレイルランのコースとなっているため、林道及び登山道はよく整備されていて歩き易い。
毎年9月に小菅村で行われている多摩川源流トレイルラン競技は、小菅の湯を出発し、鶴寝山、松姫峠、奈良倉山、鶴峠などを通過し、小菅の湯に戻って来る全長25kmのコースとなっている。                              
  今回は時間短縮を図るため林道コースを歩き撮影に挑んだ。撮影目的から容易に山頂に登るコースを選んだが、登山道となっている迂回コースもあり、登山者には登山気分を十分に味わえるコースである。迂回コースは全線登山道となっているが、起伏は少く、危険な箇所も殆どないため、初心者でも安心して歩けるコースである。                           

山頂へ向かう箇所の林道    6:30頃
林道南から山頂への案内板     6:30頃
林道から山頂に向かう登山道     6:30頃


平坦な奈良倉山山頂        6:35頃
松姫峠への案内板       6:40頃
富士山展望所の看板        7:20頃


山頂展望所からの富士山      7:50頃
山頂から林道に取り付く登山道    7:50頃
林道取り付け箇所           8:00頃


所々に設置されている
トレイルランの看板        8:00頃
案内票柱                    8:10頃
カラマツ林の間を抜ける林道       8:15頃


カラマツ林間からの富士山       8:25頃
自分の車を含め3台(何れも県外車)
8:35頃
大月方面は通行禁止          8:35頃




                                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62






3月25日  高川山

 ここのところ晴天が続いているが、彼岸を過ぎても朝の冷え込みは大変厳しい。今年はすでに桜が開花しているところも多く、例年に比べ一週間ほど早いようである。大月の岩殿山や、お伊勢山の桜は都心に比べるとやや遅いようであるが、大月の第31回さくらまつりは今月28日から開催される予定となっている。新型コロナウィールス感染拡大の影響で、現在はあちこちのイベントが中止されている状況もある。  
 今年も秀麗富岳十二景のカレンダー作りを進めているが、桜と富士山の写真は開花や天候などの状況から今月中に撮影するのは難しそうである。当初3月の写真は倉岳山からを予定していたが、今月12日に山頂を目指したところ昨年の台風の影響で登山道が改変され山頂を踏むことが出来なかった。昨年の台風の影響で十二景の山でも倒木や小規模な土砂崩れなど登山道が荒れている山が多い。そこで3月の写真は比較的登山者の多い高川山から撮影することにした。
  今回も登山コースは男坂を登り女坂から下山する予定である。昨年7月29日に高川山を訪れた際、男坂で道を外し、そこから道のないところを直登し疲労困憊したことがある。今回は、登山道を外した箇所を特定し、その原因を調べるつもりである。  
 初狩側登山口の駐車場に到着したのは午前2時20分。早めの時間であるが、登る速度がだいぶ遅くなっているため、余裕を十分とった行程である。今日は1日晴れの予報が出され、朝の気温も低く富士山は間違いなく姿を現すと確信している。天空は満天の星空。新月を1日過ぎたせいか、星の輝きは思いの外鮮明に感じる。
 2時40分登山口を出発。男坂、女坂コースの入り口は林道を道なりに数分程歩いた左側にある。入り口を入ると登り始めは緩斜面が続くが、途中から急斜面となり、男坂、女坂の分岐点まで続く。足や腰への負担も大きく、分岐点で一息付くことにした。
 男坂コースに入ると最初のうち傾斜は緩くコース名に反し比較的楽に登ることが出来る。途中、登山道は左に折れるが、これから急斜面が始まる。この左に折れる箇所には直進する登山道が存在している。昨年7月に道を外した箇所だと確認出来た。当時、暗くて左に折れる登山道に気が付かず、直進していたのである。(地図「添付あり」)でその場所を確認すると、登山道らしき道は表示されているが、途中で途絶えていた。実際、登山道らしき存在であったが、当時、戻るのは得策でないと判断し、道なき道を山頂に向かい直登したのである。途中、山頂に向かう登山道に合流し事なきを得たという経緯がある)
 左に折れた登山道に入ると徐々に傾斜が強くなり岩場を、四つ足で登る個所も出てくる。勿論ロープは張られているが、ハードな登りは続く。やっと男坂と女坂の合流点に到着。すでに4時を回っていた。
 山頂到着、4時30分。富士山は黒いシルエット姿で朧げに存在を示している。これで今日の富士山の撮影は可能となり、ほっとした瞬間である。風は殆ど無く気温はー4℃とかなり冷え込んでいる。日の出まで1時間以上あり、ゆっくり準備を始める。暗夜は5時ごろになると明るみを帯び、東の空は茜色に焼け始めている。雲はなく日の出時間(5時38分、東京)に陽は差すと思われる。
 撮影は日の出の30分位前から始めたが、今日の富士山は雪をたっぷり被り白い鮮明な姿が目に飛び込んでくる。日の出時間に紅富士が撮れたら最高である。日の出は時間通り光が山頂に差したが、思いの外焼けることはなかった。雲は殆ど無く、ピーカンの富士山であるが、その真白い姿は神聖さ溢れている。
 7時20分、女坂コースを経由し下山を始める。男坂コースに比べ距離は2倍以上あるが、平均傾斜は緩く体力消耗は抑えられる。女坂コースを登りに使っても良いと思う。所要時間も男坂コースとそれ程差は無いと思われる。
 今日は平日(水)にも拘らず下山時に5人の登山者と出会った。沢コースの出会い付近で高齢の男性1人、この方は山に転がっている枝木を左右の杖代わりにしていた。女坂では中年夫婦、同コースで中年男性1人、登山口に近いところで若い女性の単独登山者と出会った。天気が良かったこともあるが、平日でこれだけの登山者に出会うことは珍しく、高川山の人気の高さを物語っている。     



                             今日の富士山

 気温が下がり雲一つない青空の中、美しく神聖な富士山を見ることが出来た。ピーカンの富士山の写真は難しいと云われているが、その美しさの表現についての事であると思われる。難しいかもしれないが、自分が感じたままに撮れればそれで良いと思う。

僅かに焼けた日の出時間の富士山        5:40頃    
神々しい富士山             6:35頃












山頂および登山道の状況

 以下、山頂から登山口まで下山時に撮影したもので時間を追って並べてある

高川山山頂         7:20頃
山頂直下の初狩に向かう案内標 7:35
男坂女坂の合流点に向かう登山道
7:40頃


男坂、女坂合流点       7:45頃    
合流点近くの崩壊跡    7:50頃
沢コースとの合流点    8:00頃


女坂コース登山道      8:15頃    
女坂、男坂分岐点      8:15頃
民地との境界際を下る    8:30頃


男坂、女坂コース入り口    8:40頃  
駐車場。手前は登山者カウンター
8:45頃
自分の車         8:45頃


駐車場から見る滝子山       8:50頃




                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62






3月25日  お伊勢山

 今回は高川山へ登った後にお伊勢山を訪れ富士山を撮影した。お伊勢山の桜はやっと開花した状態で、満開までには更に1週間ほど見込む必要があると思われる。
 お伊勢山公園には写真家白旗史郎氏顕彰碑が建立されている。その前で昨年11月30日に86歳で生涯を閉じた白旗先生に哀悼の意を表した。
 周辺には黄色い水仙の花が沢山咲いていた。黄色い水仙の花ことばは「私のもとへ帰って」とか「もう一度愛してほしい」だそうである。黄色い水仙は情熱的な花なのかも知れない。
 その黄色い情熱的な花を富士山にレイアウトして撮影してみた。この日は雲一つない晴天で、青空にくっきりと鮮明な富士山が浮かび、印象に残る情景が展開されていた。


今日の富士山

神々しい富士山(お伊勢山公園より)   9:45頃
富士見苑の敷地から     10:15頃


水仙と富士山        9:55頃 
お伊勢山公園に咲く枝垂れ桃  10:00頃


水仙の花

太陽に向かって咲く水仙     9:45頃





                                      使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62