2020年撮影紀行(その1)




2月21日  九鬼山(天狗岩)

 今日は降水確率ゼロ、天候は1日中晴の予報が前日に出されていた。この予報から当日の富士山撮影確率が高いと予想された。現在、腰痛を引きずり、山に登る回数を減らしている事から、登った際には高い確率で撮影できるよう天気図や気温、湿度、風速など気象情報を精査し撮影に臨んでいる。 今回は九鬼山から撮影することを以前から予定していた。九鬼山は大月市と都留市の市境にあり大月市側から登ると時間が掛かり、富士山撮影を目的としていることから、時間的に短縮される都留市の禾生側から登ることが多い。 車で移動するため出来るだけ登山口に近いところまで車を乗り入れ、行動時間を有効に使うようにしている。今回も登山口近くの空き地に車を止め、山頂まで最小減の距離で登ることにしている。 禾生の落合水路橋近くの空き地に車を止め、愛宕神社コースの登山口を午前3時に出発。気温はやや高め、予報に反し曇り空。街明かりは見えるがやや鮮明さに欠ける。この空模様では富士山が姿を現しているとは思えず、山頂に向かうのも気が進まない。3時45分、池の山コースに合流する。ここは当コースの稜線部に当たり視界も開ける。都留市内の街明かりが奇麗に見えるが南方面は雲に覆われ富士山を展望することは出来ない。 暫くなだらかな稜線を歩くと、山頂に向かう急な登山道が目前に迫る。間もなく新登山道と急坂登山道に分岐するが、もともと急斜面に敷設された登山道でどちらを選択してもそれ程変わらず、道が分かり易く整備された新登山道を行くことにした。 今回の撮影場所は途中の天狗岩から行ない、その後、山頂へ移動し、続けて撮影する予定である。山頂は以前、杉の木がブラインドーとなり富士山は全く展望できず、山頂直下の富士見平で撮影していたが、3年程前に杉の木は5本ほど伐採され富士山が展望出来るようになった。しかし、視界はそれ程広がらず、望遠レンズで大写ししなければならない制約を受けるため表現の自由性に対する幅が少ない。天狗岩には4時20分に到着。都留市の街明かりは不鮮明で靄が立っているように見える。富士山は雲の中に隠れ姿を見ることが出来ない。今日は予報に反し雲が多く予報は外れた感じである。待機し暫く様子を見るが、直ぐに姿を現すような気配は感じられない。何時現すか分からない富士山をここで待つのも忍耐がいる。一度、山頂まで行き、ここに戻ってくる頃には姿を現しているかも知れないと思い、5時10分、山頂に向かう。 山頂には5時40分に到着。ガスが発生し視界が殆ど無くなっていた。大月方面から吹いてくる風は冷たく、これがガスを発生させているようだが、天空は風が渦巻くように激しく雲を動かし、時折青空を覗かせるようになってきた。天気の回復が始まったようだ。急に視界は開け街の建物や道路が視界に入るようになってきた。富士山は未だに姿を現さないが、やがて視界に入り込んでくると思われる。7時、山頂を後に天狗岩に向かい戻ることにした。7時20分天狗岩に到着。なんと富士山が頭半分、姿を現していた。真っ白い雪に覆われた富士山だが、雲の多い空に同化し存在感は薄い感じだが、やがて天気の回復とともに美しい姿が見られると思われた。 天狗岩の撮影場所は足場が悪く、岩の両サイドは絶壁で足を踏み外したら命を落とすことになる。東側前面(富士山に向かい左手)に数本の杉の木が有るため。それを避けようとすると足場の関係から大写しにならざるを得ず、フレーミングが大変難しい。納得いく撮影は出来なかったが、予報通りの天候にならず残念だった。しかし、富士山が姿を現してくれ、撮影が叶って良かった。今回は登ってきた愛宕神社コースを下山したが、途中、山頂を目指す夫婦登山者3組と女性3人組、男性単独登山者2組と出会い、中には大月まで歩くという人もいた。



今日の富士山

 今日は8時頃になってやっと天気が回復を始めたが、全般的に天候に恵まれたということはなかった。真っ白い富士山ともくもとした白い雲。何とか富士山をカメラに収めることが出来た。


山頂を下った天狗岩からの富士山


雲が多く都留市の街も霞んでいる         7:30頃  
真白い富士山と白い雲が印象的          8:30頃




山頂および登山道の状況

 山頂からは天候が悪く残念ながら富士山を望むことは出来なかった。山頂は南北に細長く、天気が良ければ富士山や都留市の街が展望できる。

以下、山頂から登山口まで下山時に撮影したもので時間を追って並べてある

九鬼山山頂        6:50頃      
北側は薄ら朝焼けが見られる
南北に長い山頂       6:55頃


山頂直下の下山道     6:55頃    
富士山が展望できる

富士見平  7:00頃
天狗岩入り口    7:15頃  







  ここ天狗岩で1時間40分富士山撮影(7:20〜9:00)

天狗岩(下界からは天狗の鼻に
見える?)  
都留市内展望    9:00頃  
 急傾斜の多い愛宕神社コース
9:20頃


新旧登山道が分岐している   9:30頃  
池の山コースの尾根道    9:35頃  
田野倉への分岐点      9:40頃


檜が植林された登山道   9:55頃    
コース名となっている愛宕神社  
10:10頃
車を止めた空き地     10:15頃




                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62







2月7日  岩殿山 丸山公園

 今日の天候は快晴でで、気温は今シーズン最低気温を記録するという前日からの天気予報だった。気温が下がれば空気は透明感を増しクリヤーな富士山を見ることが出来ると思われた。
 来年(2021年)のカレンダー作りを考えると、3か月先まで撮影する山の計画を立てておかなければならず、夏場を過ぎる頃には山の選択肢が徐々に狭まり、12月になると選ぶことが殆ど出来なくなる。
 今回は倉岳山から撮影することを以前から計画していた。日の出30分前までには無生野の登山口に到着する予定で自宅を出発した。上野原ICを降り秋山経由で無生野から登山口に向かって林道に入ったが、150m程進入すると、高さ2m程のバリケードがいきなり現れた。車を降り状況を確かめたが、扉には鍵が掛かり徒歩でも中に入ることが出来ない。暗くて状況がハッキリしないが、土砂崩れでもあったのだろうか、大々的な工事が行われているようである。
 秋山側から山頂へは他のルートもあるが、殆ど使ったことはなく迷う可能性が高いと考えられた。近くには九鬼山の登山口もあるが、日の出までに山頂到着は厳しいと思われた。そこで、岩殿山であれば時間的に余裕もあるし楽に登ることが出来ると判断された。そこで急遽岩殿山の登山口に車で向かうことにした。
 登山口近くの駐車場には午前3時に到着したが、駐車場には立て看板が置かれていた。その看板には山頂付近は落石が多く、山頂までは行けず、丸山公園までと案内されていた。北側からの登山口からは落石の危険は無いということで、山頂まで行けるという地図付きの説明が入口の所に下げられていた。そのルートは登ったことはなく、どのぐらい時間が掛かるかも分からず、結局、丸山公園から撮影することにした。
 丸山公園までは駐車場から徒歩15分程で行けるため、今度は時間を持て余した。車の中で待機したが、エンジンを掛けっぱなしで車の中に閉じこもっているのも環境問題を引き起こすため早々に丸山公園に向かった。
 丸山公園には午前5時ごろ到着。東の空が白み出してきているが、富士山の姿は暗くて確認できない。今日は予報通りかなり冷え込み、5時半の気温は−9℃に下がっていた。富士山の姿が確認できたのは6時頃になってからである。
 雪に覆われた富士山は空の色に同化し多少明るくなっても確認は出来なかった。 今日の日の出時間は6時37分(東京)。東に雲が漂い富士山に日が差すのが遅れ、紅富士は見ることは出来なかったが、7時頃になってやっと朝日が富士山頂に差し、真っ白い神聖な富士山を見ることが出来た。


今日の富士山


日の出目前の富士山                6:25頃  
東の雲が日の出を遮り紅富士が見られなかった    7:05頃


立派な松の木と富士山                 8:20頃    
筋雲が天空に変化を齎す              8:25頃



 今回は目的の倉岳山へ登ることが出来なかった。恐らく土砂崩れがあり、復旧工事に入っていたのだと思われる。倉岳山山頂に行くには、秋山側から今回目指した無生野の登山口以外にも他のルートがあり、以前に登ったことはあるが、暫くぶりで、暗い夜道では道に迷うのがオチである。近くの九鬼山も考えたが、年齢的なことも考慮し、無理は禁物と岩殿山に変更した。ところが、その先の岩殿山でも落石の危険性があり山頂に行くことが出来なかった。
 結局、今回は丸山公園で撮影することにしたが、今期、最低気温となった。空気が澄み渡り、神聖な富士山を見ることが出来たことは、運がよかったと思う。



                                                               使用カメラ:OLYMPUS E-M1





1月9日  百蔵山

 今年も2021年版「秀麗富岳十二景カレンダー」を継続して作成する予定である。来年1月のカレンダー写真として、百蔵山を選別し撮影に訪れることにした。確実に富士山を撮影できる日を決めるため気象情報を精査し1月9日撮影に挑んだ。
  3時15分、登山口を出発。暫く谷部を登るため強風は避けられているため寒さはそれ程感じない。中腹の富士山展望所までは登山道に石や岩の破片が多く、急斜面はないものの浮き石なども有り、ヘッドランプの灯りでは心持たない。
 午前3時、百蔵山登山口の駐車場に到着。気温は高めだが風が強く尾根に出たら強風だろうと思われる。天空は星空が伺えるが、鮮明さにやや欠ける。
 中腹の富士山展望所には4時に到着。暗くて富士山の姿はハッキリ確認できないが、見えないだけで恐らく姿は現していると思われる。
 山頂からの東西に伸びる尾根に出たのは4時20分。突然体が揺らされる強風を受ける。気温は高めであるが寒さを強く感じる。この地点は分岐点で西へ向かうと七保町葛野へ通じ、東に道を取ると百蔵山山頂である。山頂までは比較的緩斜面で石や岩の散乱は少なく歩き易いが、やはり尾根道は強風で風の音がうるさい位に聞こえる。登山道を振り返ると西に傾いた満月に近い十三夜の月が背中を押してくれている。
 山頂到着4時40分。相変わらず強風が吹き荒れている。富士山は黒いシルエットに覆われたような姿を現している。これで富士山の撮影は叶ったと確信した。眼下には街灯りが鮮明に映し出され、眩しささえ感じる。日の出時間まで2時間以上待ち時間が有り、ライブコンポジット機能を使い夜景を撮影することにした。東の空はオレンジ色に染まり始めているが朝焼け富士はどのような姿を見セルだろうか。
 日の出時間が刻々と迫り6時51分(1年中で最も遅い11日間の期間中)時間通り日の出の光りが富士山頂に入る。しかし、思ったように紅く焼けることはなかったが、神聖な富士山を撮ることが出来た。
 雲が発生する様子もなく、晴天が続き状況の変化は期待できず、7時45分山頂を後にすることにした。下山途中、富士山展望所から登山口寄りの中腹で中年夫婦の登山者と出会った。登山口到着は8時40分。強風は幾分治まった感じを受けるが、日差しは強く暖かい1日になりそうである。
 今回、富士山を撮影することは出来たが、天気が良すぎ雲一つない晴天(ピーカン)で変化に乏しい写真となった。取り敢えず富士山が写っているため来年のカレンダー候補にしておきたい。

秀麗富岳十二景写真コンテストに対する思い。
 白籏先生が11月30日に逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。大月市の秀麗富岳十二景写真コンテストの審査員長を長く務められ、憧れの方だったという思いも強く、毎年コンテストに応募し先生の目に留まるよう作品作りをしてきました。これからは先生の目に触れることもなく、大変残念でなりません。心の支えにしていただけに、淋しい気持ちで一杯です。秀麗富岳十二景写真コンテストも当面中止となることと思いますが、新たに審査委員長を迎え、復活して欲しいと願っています。



今日の富士山

  雲一つない快晴となり撮影する立場としては難しい被写体であるが、新年から爽やかで神聖な富士山が見られたことは幸運である。

夜明け前の富士山               6:10頃  
日の出直前の神聖な富士山          6:30頃


前景の松や雑木に光りが入った瞬間     7:05 頃





山頂と登山道の状況

以下写真は、下山時に山頂から登山口まで順次撮影したもので、時間を追って並べてある。

頂の様子 7:45 頃  
東西に細長い山頂 7:45 頃
山頂からの尾根伝いは松が多い
7:55 頃


富士山展望所近くの案内標
7:45 頃
展望所からの富士山 8:10 頃
展望所にはベンチがあり
最高の眺め   8:10 頃


石や岩の破片が多い登山道
8:20 頃
登山口近くの水場
8:35 頃


登山者のカウンター設置場所
8:35 頃
登山口の駐車場(他に車はない)
8:45 頃



                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62