2019年撮影紀行(その2)





6月25日 雁ヶ腹摺山

 気象情報から24日は降雨があり、翌日は未明から晴れの予報が出されていた。この情報から25日は雲海発生の確率は高いと予想した。雲海の規模は降水量や気温が当日下がることが大きな要因となるが、ある程度標高の高い山の方が撮影条件は良いと判断し、雁ヶ腹摺山から狙うことにした。今回は同行者が1人。大峠で車中泊し、出発に備えることにした。
 雨は前日の夜半には止み翌日(当日)の日が変わる頃には満点の星空が展開されていた。雲海発生は未だこれからと思われ、富士山の姿も確認出来なかった。
 午前2時20分、大峠を出発。前日の夜には寒さがあったが今は感じない。大峠と山頂の標高差は約300mあるが、普通は1時間強で登ることが出来る。しかし、今日は歩き始めから腰が痛い。狭い車中泊で寝返りも打てず腰に負担がきたと思われる。山頂までは急斜面のところが多く、樹木の根が登山道に露出している箇所も多い。このような箇所は段差も大きく腰に痛みのある状態ではこれを乗り越えるのは容易でない。この調子では山頂まで倍以上の時間が掛かると思われた。日の出時間を過ぎてしまうといけないと思い、同行者に先に行って貰うようお願いした。腰の痛みと寝不足か祟り12kgを背負った体は悲鳴を上げた。無理をしては腰が悪化する可能性があるため、山頂を諦め最初のテラスで撮影することにした。
 4時00分到着。日の出には間に合ったが、山頂には形の良くない雲が掛かり、撮影意欲が削がれる。また、雲海は見られるが、割と小規模でトップの高さも低い。降水量の不足と気温がやや高い事が要因と考えられる。日の出時間帯には山頂に纏わり付いた雲が赤く焼け、綺麗であったが、山頂が見えない富士山なんてと思う気持ちもあり、撮影に熱が入らなかったことは事実である。しかし、5時頃になって山頂の雲はなくなり気持ちが高まった。
 一頻り撮影を終え、荷物をその場に置き、デジカメ1台を首から吊り下げ山頂に向かった。テラスから山頂までクサリが設置された急斜面が続くが、空身では大分楽に登ることが出来る。山頂では同行者が撮影していた。山頂の形の悪い雲がなくなったため、富士山はすっきりした感じになってきた。
 下山には更に時間が掛かりそうで、先に、同行者に下山する旨伝える。大峠には8時頃到着。下りの方が腰への負担が多く、後遺症が心配である。
 今日は大峠で、黒岳目指した高齢者男性2名と二家族と思われる子供を含めた人達が、雁ヶ腹摺山目指して登って行った。また、暗いうち登っているときに、下山してきたヘッドランプを点けた2人の若い男性と出会った。恐らく山頂で星空を撮影していたと思われる。


今日の富士山

雁ヶ腹摺山第1展望所から(日の出時間帯に撮影) 撮影紀行
山頂から(6時30分頃撮影)



登山道と花の開花状況

   登山道は良く整備されているが、大きな岩石やザレ場があり1部分登りにくいところもある。標高差約300mの登りは急斜面や段差が多くハードな登山の部類に入る。救いは距離が短く、山頂から望む富士山の絶景は登山の疲れを癒してくれる。  
 山全体に花は少ないが、山頂には現在シロバナヘビイチゴの小さな可愛い花の群生が見られる。また、大きなマルバダケブキの葉も多いが、この山では黄色い花の咲いたところを見たことがない。毒性があるのか、鹿が食べないそうであるが、南アルプスの方の山で食べているところを見たという話しを聞いたことがある。餌不足からやむを得ず食べているのかも知れない。

シロバナヘビイチゴの花(バラ科)        
ヘビイチゴの花(バラ科)  
ツリガネカズラ(ノウゼンカズラ科)


同上。ツリガネカズラのアップ写真  
ヤマツツジ(ツツジ科)    
山頂直下の神奈備石と呼ばれる
巨大自然岩石


峠近くの硯水と書かれている
水飲み場            
大峠の駐車場  
大峠からの富士山(富士山は
間もなく雲に隠れる



                         使用カメラ: OLYMPUS  E-M1   CASIO  EX-ZR62





6月4日 ハマイバ・大蔵高丸

 先月13日にハマイバを訪れた際にミツバツツジの状況を調べ、満開は6月4日頃と予測を立て富士山撮影に臨んだ。
 花と富士山を撮影する場合、花の満開と同時に天候に恵まれないとその目的は達成出来ず、良い状況での撮影には難しさがある。特に梅雨入り前後に撮影日決めるのは運不運もあるが、今回も天気予報を精査し撮影日を決めた。この日の予報は晴であったが、早朝から8時頃までの湿度が90%を超えていた。湿度が高いと空気中の水分が多く、視界は良くないと推測された。救いは気温が前日より低いと云うことだった。間もなく梅雨入りすることを考えると、訪れるのは本日しかないと判断した。
 ミツバツツジと富士山を撮影する時間帯はハマイバの大ツツジの場合、光りが回り始めた7時半頃から撮影に入るのが最適と考えられた。今回はハマイバの前に大蔵高丸から日の出時間帯を狙い、朝日に色付いた富士山を撮影することにした。
 湯ノ沢峠の駐車場には午前3時10分に到着。既に1台の車が止められていた。もっと多くの車が止められていると推測していたがやや拍子抜けした感がある。それよりも未だミツバツツジが咲いていないのか?或いは最盛期を過ぎてしまったのか?そんな不安が頭を過ぎる。ここまで来てしまったので戻るわけにはいかず満開に咲いている事を願い出発するしかない。
 3時25分、湯ノ沢峠を出発。やはり予報通り湿度は高く感じるが気温は低めである。天空を仰ぐと曇り空のように見えるが、目を凝らすと僅かに星の瞬きがポツンと1個だけ見える。目が良ければ複数個の星が見られると思うが、空気中の水蒸気が多いため視界がやや悪い状況と考えられる。何れにしても天空は晴れていると確信する。お花畑を通過する際、西側を望むと朧気に甲府盆地の街灯りがぼやけて見える。やはり視界が悪いことは確かだ。
 大蔵高丸には4時10分に到着。既に夜明けが始まっていて、周辺の景色が見える程度に明るい。富士山も姿を現しているが輪郭がやっと見える程度で存在感に欠ける。やはり90%を超える湿度のため膜が張ったように視界が悪い。今日の日の出時間は4時26分(東京)。雲も多くこの時間に朝日が富士山に届くかどうか分からない。大蔵高丸での撮影は山頂を少し下った場所で行うことにした。
 日の出時間を過ぎても東側に存在する雲の影響で日差しは届かない。全般に薄い雲に被われ天気は薄曇りと云った感じである。撮影条件の悪い状況では力が入らず、早々に撮影を切り上げ、6時40分ハマイバへ向かう。
 ハマイバには7時20分到着。既に2人の撮影者がシャッターを切っていた。ミツバツツジはほぼ満開状態という感じであるが隙間が多く花数が少ない事が窺える。昨年は当たり年だったようで、それに比べるとやや寂しい感じがする。富士山の抜けもやや悪く撮影条件は良いとは云えない。その様な条件の中で今回はミツバツツジを大写しし、ボリューム感を出した。更に背後の富士山はぼかし、大きく捉えた表現も行った。
 先に撮影をしていた2人は別行動と思われるが、8時を少し回った頃には下山に向かった。私もその30分後には下山を開始した。昨年下山途中で1kg程採ったワラビを思い出しその場所に行ったが、殆どが生長しすぎて葉が開き、収穫は僅かなものとなった。
 ハマイバから山野草を撮りながら時間を掛けて北上したため、大蔵高丸には11時頃に到着。富士山は既に雲の中に隠れ、今日はもう姿を現さないと思われた。今日は早朝から雲の多い薄曇りの天気で梅雨の走りを感じる。湯ノ沢峠駐車場には12時20分到着。既に自分の車以外は駐められていなかった。
 今日は多くの人達と出会った、ハマイバの撮影現場で2人の各々単独の撮影者。ハマイバのお花畑付近で単独登山者1人、2人組、3人組の女性登山者、湯ノ沢お花畑で単独登山者1人、3人組の女性1組、多くの人達と出会ったが、女性の登山者が多かった。


今日の富士山

 日の出時間帯を狙った大蔵高丸では薄曇りのため光りが不足しコントラストの付かない写真となった。一方ハマイバでは撮影対象の大株ミツバツツジは花数が少ないものの満開に近く、花びらが散っている様子もなく、この状態は数日間キープされると思われた。昨年に比べると花のボリュ-ム感は少なくやや寂しい感じはするがそれなりに咲いて富士山を引き立てている。その富士山は抜けが悪く存在感を失っているが、ミツバツツジと共に大写しすることにより欠点を補っている。

大蔵高丸から

大蔵高丸山頂から              6:40頃
山頂を少し下った地点で撮影    5:55頃









ハマイバか*ら

ミツバツツジと富士山                 7:55頃
同  左           8:05頃








登山道と花の開花状況

 大株ミツバツツジの対面にはオレンジ色のヤマツツジも満開を迎えていた。また、ハマイバ及び湯ノ沢お花畑にはミツバツチクリやシロバナヘビイチゴ、スミレなどが多く自生し登山道際を華やかにしている。湯ノ沢お花畑には咲いたばかりの小さなスズランが葉の陰に隠れ、恥ずかしげに咲いていたのが印象的だった。
 気候変動の影響によるものか、今年は例年に比べ山野草は少ないように思われる。

山道を隔てた東側のミツバツツジ
9:05頃    
ハマイバ山頂       9:15頃
コボトケスミレ(スミレ科) 9:35頃


ミレサイシン(スミレ科) 9;55頃
フデリンドウ(リンドウ科) 10:20頃
 オヤマボクチ(キク科) 10:30頃


ミツバツチクリ(バラ科) 10::30頃
ハマイバお花畑北側の扉 
10:35頃  
不明(調査中)     10:45頃


大蔵高丸山頂      10:55頃  
スミレ(スミレ科)   11;10頃
新緑が綺麗な登山道際 11:15頃


ワチガイソウ(ナデシコ科)
11:30頃   
ミ ツバツチクリとシロバナ
ヘビイチゴ    11;40頃 
湯ノ沢峠への方向標 11:40頃


湯ノ沢お花畑に咲くミツバツツジ 
11:45頃     
お花畑西側の扉    11:45頃
群生するミツバツチクリ 11:50頃 


湯ノ沢お花畑の丘
(緑の芽が増えてきた)  11:50頃 
スミレ(スミレ科)   11:45頃
お花畑から望む白谷丸 11:55頃


お花畑から望む大蔵高丸
  11:55頃 
お花畑に咲くスズラン(ユリ科)
    12:00頃       
  同  左


チゴユリ(ユリ科)    12:05頃 
お花畑北側の扉    12:10頃
ワチガイソウ(ナデシコ科)12:15頃


湯ノ沢峠(右側は登山者カウンター)
12:20頃  
ニリンソウ       12:20頃  
湯ノ沢峠駐車場 12:20頃

                                                            他に車は駐められていない


 

                                       使用カメラ: OLYMPUS  E-M1    CASIO  EX-ZR62





5月13日 ハマイバ・大蔵高丸

 昨年11 月に大藏高丸を訪れて以来半年ぶりとなる。今回も雲海発生予測を立て当地を訪れることにした。
 標高1700m 台の山では5 月中頃は新緑には早いし、お花畑に咲く花も限られ、華やかさは例年だと未だその姿は見られない。また、ハマイバのミツバツツジも開花までは未だ時間があり写真に収めることは出来ない。やはり今回は雲海上の富士山を狙うことが主体となる。
 湯ノ沢峠の駐車場に到着したのは午前2 時40 分。途中から霧が発生していてその延長で視界が悪い。未だ他の車は駐められていない。この霧の発生はある程度予測したもので、今日の予報ではやや天気は下降する状況が見て取れる。日の出時間に視界が開かどうか微妙なところである。
 今日の予定はハマイバから日の出時間帯の富士山を狙い、その後、ミツバツツジの状態を確かめ、見頃はいつ頃になるか予測したいと思う。
 湯ノ沢峠の駐車場を午前3 時に出発。濃霧のためヘッドランプの光りが発散し5〜6m先が確認できない。クマと出会い頭に対面と言うことは無いと思うが不安はある。その不安に対し、しっかりした登山道は道に迷うことはなく安心感がある。間もなくするとお花畑の囲まれた動物侵入防止エリアに入る北側の扉に差し掛かる。以前の扉はアルミ製で強度が低く、歪んで開きにくかったが、2 年程前に亜鉛メッキされた鋼鉄製の扉に交換され、開閉はスムーズとなった。反対側に設置された開閉扉までの間には2 つの扉があり、完全に侵入を防ぐための2 重構造となっている。反対側の扉は西側に設置されているが、扉のカギが破損していた。取り敢えずヒモで括り付け扉が開かないように応急処置をしたが、早速、その旨、県の管理事務所に連絡しようと思っている。
 大藏高丸を3 時50 分に通過。視界は全く無い。風はなく回復の兆しはないが、4 時を過ぎた頃から少しずつ明るみを帯びてきている。暫くすると明るくなったせいか近くの木々が確認出来るようになり、視界が良くなってきたように感じる。
  ハマイバ山頂を通過し、少し下った撮影地点に着いたのは4 時30分。間もなく日の出時間を迎えるが、この時間に視界が開くことは考えられない。視界が開まで待機せざるを得ない状況である。気温5℃、湿度90%、時々小雨が混じるようになってきた。視界が開くのは何時になるのか分からず、撮影準備はして置こうと三脚を立てカメラをセット。機材が濡れないようにシートを被せる。
 間もなくすると雨は上がり強い風が吹き出した。霧は動きだし間もなく視界が開くと思われた。天空の霧は薄く時折霧の合間から青空が見られるようになってきた。
 日の出時間を30 分程過ぎた5 時05 分、雲海上に富士山の山頂が姿を現した。これぞ感動の一瞬である。ところが霧が完全に取れず、薄い膜が張ったように、不鮮明な富士山がそこにある。時間の経過と共に抜けは良くなると思われチャンスを待つことにした。
 雲海は広範囲に及び規模的には大きな部類に入ると思われる。雲海に出会った時、いつも思うことがある。200m 程標高が高い牛奥ノ雁ヶ腹摺山や小金沢山はどんな景観となっているだろうか?雲海と富士山を撮るには標高が高い方が一般的に有利であり、レイアウトの選択肢も多いと考えられる。雲海トップの位置が予測出来れば撮影する山を容易に決めることが可能である。その予測は降水量、湿度、気温などが主なファクターになると考えられるが、予測には経験値も重要な要素の1 つである。
 霧が未だ富士山周辺に漂っていてすっきりした視界が得られない。日が高くなると逆光線に近くなり撮影がしづらくなる。大藏高丸での撮影時間も考え、ここでの撮影を切り上げ、大藏高丸へ向かうことにする。
 大藏高丸には9 時に到着。雲海は未だ健在だったが、というより、未だ発展している状況があった。この時間帯は一般的に消滅していくことが多いが、発展を続けていることは相当大きな雲海である事を物語っている。但し、太陽の位置も高く、撮影する限界に来ているため、少数枚撮影し下山することにした。
 湯ノ沢峠には10 時50 分に到着。駐車場には自分の車以外は駐められていない。駐車場に到着したとき30人程の団体登山者と出会ったが、車はなくタクシーを利用したものと思われるが? また、ハマイバの撮影現地で挨拶を交わすことはなかったが1 人のカメラマンを見掛けたことを記しておく。
 今回、予測通り雲海に出会うことが出来たが、ガスが多く鮮明な富士山を撮ることが出来なかったのは残念だった。雲海予測に的中したことに対し満足感が得られたのは嬉しい限りだ。


今日の富士山

 雲海の発生には感動を覚えたが、ガスの充満が多く鮮明な富士山を捉えることが出来なかったのは残念だったが、画像を調整し何とか見られるようにした。

ハマイバから(甲府盆地へ連なる雲海)                                6:15頃


ハマイバから(雲海上に浮かぶ富士山)     6:05頃  
ハマイバから(大谷ヶ丸の山頂が時折頭を覗かす)6:15頃


大藏高丸から(雲海が未だ発展を続ている)   9:10頃



登山道と花の開花状況

 この時期は新緑にはやや早い。花も少なく寂しい時期である。ハマイバのミツバツツジを観察したがやっと花芽が出た程度で昨年より10日程遅い気がする。恐らく6月早々に見頃を迎えることになると思われる。以下、ハマイバから下山する際、時間を追って写真を配置してある。

ミツバツツジは花芽が出たばかり
7:05頃
近くに咲いていたヤマザクラ
 7:05頃
ハマイバ山頂   7:20頃


タチツボスミレ(スミレ科)
7:55頃  
ハマイバから大藏高丸へ向く途中
8:25頃
シロバナヘビイチゴ(バラ科)
8:30頃


ハマイバのお花畑入口扉
 8:30頃  
ハマイバのお花畑は未だ
青葉がない 8:30頃
大藏高丸山頂        8:55頃


青葉の無い山頂付近の畑
 9:25頃    
湯ノ沢峠に向かう登山道
9:25頃
フデリンドウ(リンドウ科)
10:05頃


お花畑から白谷丸展望    
10:20頃    
お花畑から白谷丸展望
 10:20頃
湯ノ沢お花畑北側の扉
10:25頃


お花畑に咲くミツバツチクリ(バラ科)
10:30頃  
湯ノ沢峠案内標とカウンター
10:30頃
湯ノ沢峠駐車場    
10:55頃



                      使用カメラ:OLYMPUS E―M1   CASIO  EX-ZR62