2016年 撮影紀行(その5)



6月27日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山

 昨日、ハマイバからの富士山撮影に引き続き、本日はドウダンツツジと富士山を撮影するため小金沢山を訪れることにした。毎年6月の終わりに最盛期を迎えているが今年は全般に花の開花は早くタイミング的にはやや遅い気がするが現地に行ってみないと分からないというのが正直な気持ちである。
 今回も牛奥ノ雁ヶ腹摺山へ直登する西尾根コースを使い小金沢山を目指す。所要時間2時間を見込み、日ノ出前の午前4時には到着する行程である。
 登山口を2時に出発。風は殆ど無く気温はやや高い気がする。天空を望むと満天の星空、南東の空には一際明るく月齢21日の月が輝いている。登山口から続く木製階段、約160段を登りきると湿気が多いせいか汗ばんでくる。登山道も大分整備されて暗い中でも最近はコースを殆ど外すことはなかった。しかし、慣れによる注意不足は恐ろしい。登山口から2/3程登った所でコースアウトしたことに気が付いた。間違えたところまで戻ろうと思ったが、その道すら見付からない。探している時間もなく焦りを覚える。小金沢山4時到着という目標があり、ロスタイムは許されない。とにかく尾根を登れば山頂に到着すると思い、道無き斜面を上に上にと登ること30分、突然目前に巨大な岩か現れる。垂直に近い岩を登るわけには行かず、岩の脇をトラバース。四つ足でないと登れない急斜面、草の根や細い木に捕まりなから、やっと登り切ると細尾根の登山道に出会った。
 そこは西尾根のピーク点だった。ホッとした瞬間であるが周辺は既に明るくなり始め、ピーク点から富士山の姿が鮮明に目に入る。ロスタイムを考えると小金沢山で朝焼けの写真を撮るにはタイムオーバーである。チャンスを逃すわけには行かず、予定変更し牛奥ノ雁ヶ腹摺山でチャンスを迎えることにする。
  牛奥ノ雁ヶ腹摺山へは3時55分到着。既に東の空は真っ赤に燃えている。風は無風、気温8℃、湿度70%、今日は間違いなく富士山の朝焼けは見られると確信した。 日ノ出時間は4時27分(東京)。日ノ出前から富士山上空の雲が赤く色づき始めた。徐々に富士山山頂にも朝日が入り4時30分、クライマックスを迎える。 先ず先ずの写真が撮れたと思われる。日の出時間帯の撮影を5時で打ち切り、5時20分小金沢山に向かう。
  小金沢山には6時05分に到着。早速、サラサドウダンの開花状況を確かめるが、山頂の大株は葉も花も付いて居らず枯木状態に驚きは隠せない。原因は不明であるが、来年には葉も花も付け復活することを願うのみである。山頂を東に少し下ったところにも富士山撮影には絡まない数本、中株のサラサドウダンがある。中には満開の花を付けている株もあり、時期的にはジャストタイミングと思われるが、山頂の大株の状態は予想外のことで富士山とサラサドウダンの写真が撮れず残念な思いが強い。
 富士山は相変わらず美しい姿を見せているが富士山周辺の雲が多くなってきた。撮影は更に東に下った大きな岩の上で行うことにした。この場所は全面が深く落ち、視界は広く牛奥ノ雁ヶ腹摺山に連なる尾根が横切り、その奧に富士山が聳え立つ構図が得られるポイントで、富士山撮影には最適な場所である。この撮影場所の直ぐ脇にもサラサドウダンの株があり、僅かに残る花が付いているが最盛期は過ぎている。
 富士山に雲が掛かるようになり、東側からガスが上がってくる状況は天候が急変しているように思われる。8時30分、遂に富士山は雲の中に飲み込まれる。撮影はもう叶わない。撮影を打ち切り8時45分、下山を始める。牛奥ノ雁ヶ腹摺山を9時35分に通過し、登山口に戻ったのは11時00分。駐車スペースにはポツンと1台、自分の車のみが置かれていた。今日は登山者の誰とも出会うことはなかった。


今日の富士山

牛奥ノ雁ヶ腹摺山より 朝焼け富士  4:30頃  
小金沢山より 青空に雲棚引く        6:55頃




登山道と花の開花状況

 今回、山野草は見ることが出来なかった。元々花の少ない山域であるが、今後夏にかけて開花があると思われる。牛奥ノ雁ヶ腹摺山の南の斜面には8月になると黄色のマルバダケブキが開花し周辺を明るくしてくれる。小金沢山の山頂の東側には品のあるアズマシャクナゲが綺麗に咲いていた。

小金沢山に咲くアズマシャクナゲ
(ツツジ科)  7:15頃    
小金沢山に咲くサラサドウダン
(ツツジ科)  7:20頃


以下は小金沢山から日川林道に向かい下山時に撮影した写真をタイムラインに沿って並べてある


小金沢山山頂      8:45頃
下山する頃にはガスが発生
8:50頃
下山道もガスに
被われてきた        9:00頃  
富士山は雲に覆われ
姿を隠した        9:00頃


牛奥ノ雁ヶ腹摺山へ向かう
途中の原生林     9:20頃    
牛奥ノ雁ヶ腹摺山北側の
笹源         9:30頃
牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂  
9:35頃

鞍部付近の登山道   9:40頃



立ち枯れ樹林     9:45頃    
西尾根(細尾根)の
ピーク付近        9:50頃
樹木が伐採され視界が
広がった登山口付近 10:40頃
登山口から続く木製階段
10:50頃


日川林道に面した登山口
           10:55頃  
登山口前の駐車スペース
〔4台位駐車可〕  10:55頃



                                                     使用カメラ  ・OLYMPUS EM-1   ・SHARP  IS15SH  





6月26日 ハマイバ

 今回は同行者2名が加わり3名でハマイバから富士山を狙うことになった。前日の朝は雨が降り降水量は少なかったものの、雲海発生の可能性があり期待を持って出掛けることになった。  
 午前2時30分、湯の沢峠を出発。風がやや強いがあまり強いと雲海発生の妨げになる。西の空には月齢20日の月が薄雲越しに光りを放っている。所々に星も望めるが全般に雲の多い天気である。お花畑を通過するときは強風で身体が揺すられる。この強風では雲海の発生は先ず考えられない。  
 大蔵高丸には3時15分に到着。富士山は姿を現しているが表情まで確認出来ない。甲府盆地の街灯りがキラキラ輝いて見える。南東の遠い位置に小規模な雲海は確認出来るがそれ以外は何処にも確認出来ない。
 ハマイバの撮影場所には4時に到着。この場所は比較的風当たりが弱く撮影の妨げにはならない。しかし、風は冷たく寒さを感じる。富士山には靄が掛かり抜けはあまり良くない。
 日の出時間4時27分(東京)東には雲が多くなかなか陽が差さない。15分程すると山頂がにわかに色を帯びた。この時期独特の鈍く赤身掛かった色であるが1分程でその光景は消滅した。その後、光は無く撮影意欲が薄れ7時30分に撮影を打ち切った。
 この撮影地点にはワラビが多く自生し山菜採りが始まり、30分程で小さめのレジ袋一杯となった。ハマイバは南斜面の緩い傾斜地が多く植物にとっては生息しやすい環境と云える。 8時、撮影地を後に下山する。今日は日曜日ということもあって大勢の登山者に出会った。湯の沢峠には10時に戻ったが、多くの車が駐車し林道の路肩まで連なっていた。


今日の富士山

日の出時間一瞬陽が差した             4:40頃    
天高く雲現れる          7:25頃







登山道と花の開花状況

以下、ハマイバ山頂から湯の沢峠まで下山時に撮影した写真を時間順に並べてある


ハマイバ山頂      8:25頃        

途中草原地帯より     8:35頃

ノアザミ(キク科)    8:35頃
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)
8:35頃


ニガイチゴ(バラ科)   8:35頃 シロニガナ(キク科)    8:40頃 ニガナ(キク科)      8:55頃 カラマツソウ
(キンポウゲ科)9:05頃











大蔵高丸山頂      9:15頃

ニガナ(キク科)      9:55頃  
枯れた隈笹に挟まれた
登山道       9:55頃  

ノアザミ(キク科)     10:05頃


お花畑からの大蔵高丸
   10:05頃    
シロニガナ(キク科)  
10:10頃
ハナチダケサシ
(ユキノシタ科)10:10頃
湯の沢峠分岐点     10:15頃


左記分岐点から駐車場に
向かう道  10:15頃  

駐車場へ下る急階段

湯の沢峠駐車場      10:15頃



                                                                                     使用カメラ  ・OLYMPUS EM-1   ・FINEPIXF1000EXR




6月18日 雁ヶ腹摺山

 前日の天気予報から雲海発生予測をしたが、気温が高いため発生確率は低い気がする。雲海はともかく、今年になって1度も訪れていない雁ヶ腹摺山から富士山を狙うことにした。雲海はなくとも日ノ出時間帯の朝焼けや新緑も撮影対象となる。雁ヶ腹摺山は日本でも有数の富士山展望地でもあり撮影地でもある。大峠に富士山の展望地が出来たのは素晴らしいことである。山に登ることの出来ない人達が素晴らしい富士山を望むことが出来ることの意義は大きい。
  当日は土曜日とあって、カメラマンや登山者が大勢訪れる事が予想される。早めに行動しないと撮影場所を確保できないことに成り兼ねない。6月は日ノ出時間が最も早い時期で、21日を過ぎると当面1分/3日ずつ遅くなり、その間隔は狭まってくる。これから徐々に楽が出来るようになってくるのは有り難い。
  大峠の駐車場には午前2時に到着。車は既に2台止められていた。1台の車の人は登山準備をしている所である。もう1台の人は既に出発しているようである。登山準備をしている間に1台車がやって来た。この車の人は準備時間を殆ど取らず出発していった。私は4番目の出発である。
  2時30分に大峠を出発。天空は雲が多いようで星も確認出来ない。富士山の姿も見当たらない。やや風があるが気温は高めで湿気を多く感じる。登り始め暫くすると汗が滲み出る。風によって発汗は多少押さえられるがとにかく蒸し暑い。
  今回の撮影場所は山頂直下の登山道を奥まった場所から狙うことにした。この場所は前方直下が落ち込み、その先には美しい山並みが重なり、更にその奧に富士山が聳え立つという構図である。当に富士山は日本一を誇る高さを感じられると共に、奥行きのある景観が得られる絶好の撮影場所である。
  撮影場所に着いたのは3時35分、既に2人のカメラマンが陣取っていた。この場所はテラス状になっていて狭いスペースで足場は悪い。入る余地がありますかと尋ねると、奥の方が空いていますという云う言葉が返ってきた。富士山の姿は雲に覆われ何処にも見られないが取りあえず三脚を立て待機することにした。1人のカメラマンが撮影を諦めたのか4時30分に退去して行った。日ノ出時間4時25分(東京)富士山を覆っている雲に朝日が届き赤く焼け出したが富士山の姿は現れない。
 富士山に絡む雲海は見られないが甲府盆地に雲海が発生していて、西側からの雲海が大谷ヶ丸を乗り越えている情景が目に入る。富士山に絡む位置まで流れてくれればと思うが勢いは無くその内消滅した。富士山頂の1部分が姿を現したのは日の出から1時間程経った5時15分。抜けも悪く撮影しても写真にならない状態。このような状況が暫く続き、やっと撮影出来るようになったのは6時50分。朝焼け富士は時遅しとなった。
 8時30分、撮影場所を山頂に移動。3年前に左右から迫り出していた樹木が伐採され視界が広がった。これにより山頂からの富士山の撮影は制限されず構図も取り易くなった。この時期は新緑が大変美しく、日本一の富士山が素晴らしい姿で展望できるのは嬉しい。
 9時00分、山頂を後に大峠に向かい下山。土曜日とあって大勢の登山者に出会った。気温が高くなったが、1874mの標高は下界よりは遥かに涼しい。今日は富士山も展望でき登山日和ともなった。



今日の富士山

 今日は360度の大雲海に出会えたが、ガスに閉ざされていた時間が長く、視界が開け写真が撮れるようになったのは6時だった。日ノ出時間直後に開いていたら朝日に染まる雲海が撮影出来ていたと思うが、それは贅沢というものだ。

美しい新緑と山並み      7:45頃  
青空と雲のコントラストは
素晴らしい   8:00頃
山頂からの新緑も綺麗である           8:45頃






山頂と登山道の様子

 登山道際に今は殆ど花が見られないが、元々花は多いところではない。奥まった撮影場所には更沙ドウダンが多く見られた。人気の山とあって訪れる登山者は多く、全般に登山道は良く整備されている。

撮影場所近くの更沙ドウダン
(ツツジ科)      

雁ヶ腹摺山山頂      8:40頃
シロバナヘビイチゴ
(バラ科)の群生
 

山頂を下った広い登山道



山頂と大峠の分岐      9:30頃

沢を渡る木道       6:35頃
岩や根のある急な斜面
 9:50頃

カラマツソウ(キンポウゲ科)  


     大峠駐車場      10:00頃  
大峠からの富士山 10:05頃



                                                        使用カメラ:OLYMPUS E-M1  FINEPIX F1000EXR