2016年 撮影紀行(その4)



5月31日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山

 牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れるのは林道が冬季閉鎖されていた3月3日以来となる。梅雨入りも間近となり撮影の予定を立てようと天気予報を注視していた。6月の第1週の予報では晴の日が多いが、靄や霞の多い日は避けたい気持ちがある。そんな中、30日は降雨の予報があり、次の日雲海の発生する可能性が高いと考えられた。雨上がりは雲海もさることながら抜けが良くなることもあり絶好の撮影チャンスと判断した。
 雲海狙いは標高が高い山の方が雲海に飲まれる確率は少なく有利と考えられる。このような条件を満たす山として、標高が約2000m、前方が広く開かれた牛奥ノ雁ヶ腹摺山が撮影場所として最適であると判断した。 自宅を0時20分に出発したが、天気は回復して居らず昨晩からの続きで未だ小雨が降っていた。途中で雨は上がると思われていたが、日川林道の登山口に到着した時も未だ霧雨が降り続いていた。来る途中、県道218号線は大きな水溜まりがあちこちに見られ、昨日からの降雨量が半端でないことを示していた。これで、大地には多くの水分か補給され大雲海に発展する可能性が見えてきた。
 防雨カバーでザックを覆い、2時45分日川林道登山口を出発。僅かにガスが立ちこめ視界はあまり良くない。途中で雨は殆ど止んだが登るにつれガスは濃くなる一方。視界が狭まり周辺を確認することが出来ない。西尾根のピークを3時50分に通過したが視界は全くない。恐らく山頂も同じような状況に思われた。
  山頂到着4時05分。雨は止んだが相変わらず濃いガスが立ちこめ、案の上、何も見えない。気温は10℃、木の葉が揺れる程度の風がある。ガスはうねりながら動きを見せているが、視界を阻んでいる。時折、東の空の高い位置に細長い月が見え隠れしている様子窺える。天空のガスが薄いということの現れであるが、やはり大きな雲海に飲み込まれているのは間違いなさそうである。間もなく視界は開放されると予測されるが、すぐに撮影出来るよう準備を始める。
 日の出時間(4時27分・東京)を過ぎても一向に視界は開かない。東側は太陽の光で明るく感じるが、ガスに閉じ込められた状態が長く続くのだろうか不安が頭の中を過ぎる。2000mの山が雲海に飲み込まれているとすると大雲海の発生ということになる。昨晩から降り続いた降雨量が最近になく多いことをを示している。
 南側のガスが薄くなってきたのは何と日の出時間から1時間ほど経過してからである。富士山が思わせぶりに姿を見せたり隠したり繰り返したが、この時のガスまみれの富士山は写真になるような状態ではない。そして安定した富士山が見えるようになったのは時遅く6時になっていた。日の出時間直後にガスから解放されていれば、朝日に染まる雲海に出会えた可能性があり残念な思いである。開放された時間が遅くなったため雲海トップの位置は低くなり迫力を欠いた写真にならざるを得ない。むしろ標高が低いハマイバの方が迫力ある雲海が撮れたのではないかと思う。 雲海は安定した状況が継続している。暫く変化はないと判断し撮影を打ち切る。7時50分、下山を始める。
 登山口に戻ったのは9時10分になっていた。今日はカメラマンや登山者と出会うことはなかった。今回、これまでにない東西南北360度の大雲海に出会い感動した。もう少し早い時間に視界が開けていたらと思うが、雲海の写真が撮れただけでも十分であり、それは贅沢ということである。



今日の富士山

 今日は360度の大雲海に出会えたが、ガスに閉ざされていた時間が長く、視界が開け写真が撮れるようになったのは6時だった。日ノ出時間直後に開いていたら朝日に染まる雲海が撮影出来ていたと思うが、それは贅沢というものだ。

雲海トップの位置は低い           6:20頃  
天空に時折雲が湧く             7:20頃



山頂と登山道の様子

牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂
7:50頃  
西尾根鞍部の立枯樹木と
富士山 8:00頃  
西尾根ピークからの
富士山  8:10頃
西尾根ピークからの
大菩薩湖  8:10頃    


         西尾根ピークからの大雲海展望                                                     8:05頃


西尾根に咲くミツバツツジ
8:15頃

パノラマ岩        8:20頃
パノラマ岩の巨大な下部
 8:25頃  
所々に設置された木製階段
 8:35頃


緑に囲まれた西尾根登山道
8:55頃
登山口につながるがる
木製階段頂部からの展望  
登山口には駐車できる
スペースがある    9:15頃
階段から始まる登山口  
 9:15頃



                                                        使用カメラ:OLYMPUS E-M1  FINEPIX F1000EXR




5月26日 ハマイバ

 今月23日に富士山とミツバツツジを狙ったが、富士山の抜けが悪く写真にならなかったという経緯があり、再度狙うことにした。花は見頃を迎えていることから、富士山がある程度抜ける日を予測し選んだ日である。
 午前2時10分、湯ノ沢峠の駐車場に到着。他に車が止められていると思いきや1台も止められていない。恐らくもう1時間もすれば大勢のカメラマンがやって来ると思われる。車の外に出ると、天空には満月を過ぎた月齢19日の月が辺りを明るくしている。湿度は低い感じで、それ程強い風ではないが、冷たい風が身体を通り抜ける。この冷たさは富士山の抜けが良いことを示しているように思われた。
 2時30分にハマイバに向かい出発する。お花畑の扉を開放し暫く歩くと、右側(西側)に眩しいぐらいの明るさを感じる。そちらに目を遣ると甲府盆地はなんと雲海で埋められていた。月の明かりが雲海を照らし必要以上に明るさを放っているようである。今日の雲海発生は、富士山の抜けに注目していたため予想外の出来事である。
 大蔵高丸を3時10分に通過。富士山は鮮明な姿を現している。ミツバツツジと富士山はしっかりカメラに収められそうである。甲府盆地の月明かりに照らされた白い雲海が印象的である。  
 雲海の撮影はハマイバ山頂北側の視界の大きく開けた地点で行うことにした。この場所は新緑や山全体の紅葉を撮るには絶好であるが南斜面で足場がやや悪い。雲海の動きは遅いがボリューム感は時間と共に増加している傾向にある。
 一頻り雲海撮影を終え、大株ミツバツツジのある場所へ移動。大株のミツバツツジは満開状態で花の色も最近になく綺麗である。今日は富士山の抜けも良く、絶好の撮影日和である。花と富士山は期間限定で双方が良い状態でないと写真にならない。この大株のある場所は地形的に東側が高く、花全体に光りが回り込むのは7時半頃である。時間が遅くなると富士山の抜けが悪くなる可能性があり、意図した写真を撮るのはなかなか難しいが、今日は鮮明な姿を見せてくれている。
 場所を大株の反対側(東側)に移動。ここには中株の存在感あるミツバツツジがある。花の色も濃くボリューム感たっぷりの株である。この場所は東側が開いていて光りの周りが早く、タイミング良い撮影が出来る。しかし、株の中程に松の木があり撮影が制限される。松の木が無ければ大株に匹敵する広がりが見られ、絶好の撮影対象となり得る。花の色はむしろ大株のものより奥深く、日当たりが良いせいか花芽も大きい。  
 富士山付近に雲が大分増えてきた。富士山が隠れる前に新緑を撮ろうと、雲海を撮影した場所にまた移動する。富士山山頂に掛かった雲がなかなか取れず、暫く様子を見るが雲は増えて悪くなる傾向である。やがて山頂が見えなくなり撮影の潮時となった。
 11時下山を始める。今日は雲海にも出会えたしラッキーだった。大株の撮影地点では2人のカメラマンに出合い暫く一緒に撮影を共にした。最盛期にカメラマンが少なかったのは意外である。 花を撮りながら下山し、湯ノ沢峠には12時40分に到着。自分の車以外1台が止められていたが、登山者に出会うことはなかった。


今日の富士山

 富士山の抜けは最近になく良かったが、時間の経過と共に雲が増え、11時頃には富士山頂は雲に隠れ、天気が悪くなる傾向を示している。

           ハマイバ山頂北側からの雲海上の富士山                                                  4時23分


日ノ出から暫くして光りが僅かに差し込む
   4時56分  
時間の経過と共に雲海のボリュームが
増している  5時15分

天空に面白い雲が発生  5時25分


 
花の先端に光り差す      6時41分

大株のミツバツツジ             8時14分  
東側の中株のミツバツツジ(花の色は
        こちらの方が濃い)   9時53分



登山道と花の開花状況

ハマイバ〜大蔵高丸間

大株対面のヤマツツジも
満開   8:43  
大株の全景(花芽が多く
色も良い)  9:38  

ハマイバ山頂        10:01
山頂近くのミツバツツジ
  10:03    


ミツバツチクリ(バラ科)
 10:31
タチツボスミレ(スミレ科)
10:36

草原地帯の登山道      11:09
キンポウゲ(キンポウゲ科)
10:31  


シロバナヘビイチゴ(バラ科)
10:36  
フデリンドウ(リンドウ科)
 11:19
登山道の両脇には枯れた
隈笹が 11:30

ボスミレ(スミレ科) 11:31


大蔵高丸〜湯ノ沢峠間


大蔵高丸山頂        11:43    
登山道際の立ち入り
防止ネット 12:07
ヤマツツジ(8分咲き)
 12:08      
湯ノ沢お花畑のミツバツツジ
12:10


緑が増えてきたお花畑
   12:12
キンポウゲ(キンポウゲ科)
12:15
お花畑〜大蔵高丸を臨む
  12:16      
シロバナヘビイチゴ(バラ科)
12:19


やっと咲いたスズラン(ユリ科)
12:23
ミツバツチクリ(バラ科)
12:25  
イチリンソウ(キンポウゲ科)
12:31  


湯ノ沢峠分岐標   12:36
湯ノ沢峠駐車場       12:39



                                             使用カメラ: OLYMPUS E-M1  FINEPIX F1000EXR




5月23日 ハマイバ・白谷丸

 ハマイバへは日ノ出時間帯の朝焼け富士山と、陽が昇った後にミツバツツジを狙うため訪れることにした。しかし、ミツバツツジの見頃はいつになるか、昨年の開花から類推しこの日を選んだが、前日22日に未だ早いという情報が得られた。同時に白谷丸のミツバツツジは見頃を迎えているということだった。ハマイバの予定は変えず自分の目で状況を確認しその結果によって白谷丸を訪れる予定とした。
  ハマイバへは午前3時30分に到着。西の空には十六夜月が煌々と輝き周辺を明るく照らしている。しかし富士山の姿は確認出来ない。かなり濃い靄に包まれ周辺の山がやっと見える程度である。日の出頃になれば靄が取れ、抜けは良くなるだろうと勝手な推測をした。取りあえず撮影準備をして待機することにした。この間、時間があるため撮影ポイントから少し下った大株のミツバツツジの咲き具合を見ることにした。未だ薄暗くヘッドランプで目視したが、株の先端部が蕾状態で、情報通り見頃には未だ早いと思われた。
 日の出時間(東京4時31分)になっても、影の薄い富士山には光りは入らず、取りあえず記録として撮影して置くことにした。撮影時間には未だ早いが大株のミツバツツジと富士山もカメラに収めることにした。   5時30分、撮影場所を後に白谷丸に向かった。白谷丸には久々に登るが、急斜面が続き結構ハードである。以前は感じなかった急斜面であるが、体力の低下は否めない。 白谷丸には8時に到着。山頂から南東に下った所に富士山に絡むミツバツツジの株が点在している。開花状態に個体差があるが、くつか見頃を迎えている株もありそれを対象に撮影する。今年は花芽も多く花の色も綺麗で最高の状態であるが、富士山の抜けが悪く、時として姿が見えなくなることもあり撮影状態は悪い。
  一頻り撮影を終え湯ノ沢峠に向かい下山する。湯ノ沢峠には11時10分に到着。駐車場には6台の車が止められていた。今日は気温が上昇し30℃を超えていたと思われる。ハマイバのミツバツツジと富士山は再トライする予定である。


富士山とミツバツツジ

この日は富士山の抜けが悪く富士山の姿は不鮮明

ハマイバの大株(先端部が未だ蕾、
見頃には 未だ少し早い)  

同左大株と富士山(抜けが悪い 5:20頃

白谷丸のミツバツツジと富士山 8:25頃    


白谷丸のミツバツツジと富士山         9:50頃
同左                   9:55頃



登山道の状況


ハマイバ山頂       5:40頃    
ハマイバ山頂付近の
ミツバツツジ        5:45頃

大蔵高丸山頂      6:10頃      
湯ノ沢お花畑のミツバツツジ
        6:35頃


お花畑から白谷丸の展望
        6:35頃    

湯ノ沢峠分岐点      6:45頃
白谷丸途中の展望
7::55頃    

大蔵高丸への道標 11:10頃



                                        使用カメラ(デジタル):OLYMPUS  E-M1   FINE PIX F1000EXR




5月6日 ハマイバ・大蔵高丸

 ここの所急激な温度上昇で天候も安定しない状況がある。連休も終盤を迎え混雑も解消されつつある中、前日のtenki.JPによる天気予報では前日から当日午前9時まで晴のマークが付いていた。気温も前日より5℃ほど下がり抜けの良い富士山が展望出来ると期待し、ハマイバまで足を延ばすことにした。
 湯ノ沢峠の駐車場には午前2時25分に到着。なんと駐車場の片隅に2張りのテントが張られていた。主は未だ就眠中のようだ。なるべく音を出さないように注意しながら準備を始める。風は殆どなく予報の気温より標高差を考えても大分高く感じる。天空を望むと気のせいか星が見えるように思われるが良く見ると曇り空である。ここからは富士山を見ることは出来ないが、姿を現していないような気もする。
 2時40分湯ノ沢峠を出発する。湯ノ沢小屋の横を通過する時に小屋には電灯が点灯し、小屋の外に2人の登山者が会話をしている。縦走でもするのだろうか。声も掛けずにその場を通過する。
 お花畑の動物侵入防止柵の扉を開け中に入る。やはり天空には星を見ることが出来ない。曇り空であることは間違いない。天気予報の晴は外れたのだろうか。気象庁による晴の定義は全天に占める雲の割合が1割から8割は晴としている。1割以下が快晴、9割以上が曇りだそうだ。晴の範囲は広く設定されているため、雲がある程度多くても予報上は晴になる。どうも天気予報のお日様マークに惑わされる。
 お花畑からは甲府盆地が良く見渡せる。街灯りが眩しいくらい明るさを放って見えるが、周辺が暗いため余計にそのように感じるのかも知れない。その要因は周辺の明かりが曇り空に吸収されているようにも思える。 大藏高丸を3時20分に通過。曇り空にも関わらず、富士山はしっかり姿を見せてくれているが、靄が立ち抜けは良くない。山頂を越え、ハマイバの撮影場所には3時55分に到着。既に明るみを帯びているが、東の空には色付きが見られない。
 日の出時間は4時44分(東京)。時間が過ぎても光りは入らず全体に暗い感じを受ける。抜けが悪い上に富士山は曇り空に同化し存在感が殆どない。撮影意欲は薄れるが、取りあえずシャッターを切って置く。
 状況に変化は見られず、撮影場所を山頂の北側に移す。移動先の場所は新緑や紅葉を撮るには絶好の撮影ポイントであるが、曇り空では光がなくどうにもならない。暫く待機するが状況は変わらず、撮影を止め8時40分、下山を始める。途中、花を撮りながら大藏高丸には9時30分に到着。ここで富士山を眺めながら暫く休憩する。富士山の抜けは多少良くなった感じを受けるが、雲が厚さを増し天候が悪くなる兆候を示している。西側の南アルプスも霞んで良く見えない。暫しの休憩後、湯ノ沢峠に向かう。登山道際の花を鳥ながら、湯ノ沢峠駐車場には10時30分到着。駐車場には自分の車以外3台が止められていた。今日はハマイバで滝子山まで縦走する登山者と、大藏高丸で大菩薩峠を4時に出発し滝子山から甲斐大和へ下山するという登山者とも出会った。今回、ハマイバでの朝焼けに期待したが、朝日も差さず、残念ながら思うような写真を撮ることが出来なかった。


今日の富士山

霞で抜けが悪く、更に曇り空に同化した富士山は存在感を失っている。

ハマイバより(日の出時間であるが陽は差さず)
                      4:40頃    
大藏高丸より                  9:20頃



登山道と花の開花状況

 標高1700mでは未だ花の少ない時期であるが、少々ながらも登山道際にはスミレやミツバツチグリ、フデリンドウなどの花が見られた。

ハマイバ付近の状況

僅かに膨らんだ
ミツバツツジの花芽
色付いたミツバツツジの大株  未だ山桜の花が観られる


タチツボスミレ(スミレ科)
 アカネスミレ(スミレ科)
ハマイバ山頂       6:55頃



ハマイバ〜大蔵高丸に掛けての状況

シロノジスミレ(スミレ科)  
オウギカズラ(シソ科)    
シロノジスミレ(スミレ科)    
ミツバツチグリ(バラ科)        


下山途中振り返ると・・8:50頃
シロバナヘビイチゴ(バラ科)
ヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)
 ミツバツチグリ(バラ科)  


ハマイバ北側のお花畑にも
動物侵入防止柵が設置されて
いる           9:00頃
昨年花を咲かせた隈笹
枯れて青葉は見られない。
 9:10頃      
大藏高丸山頂       9:30頃 新芽も所々で見られる
             9:50頃



大蔵丸〜湯ノ沢峠に掛けての状況

間もなく朽ちると思われる
隈笹       9:55頃  
フデリンドウ(リンドウ科)
湯ノ沢お花畑(所々で新芽が
見られる)
ヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)


 ミツバツチグリ(バラ科) お花畑から大藏高丸を望む
            10:10頃
   ミツバツチグリ(バラ科)  タチツボスミレ(スミレ科)


湯ノ沢峠分岐点     10:25頃 湯ノ沢峠駐車場      10:30頃



                                  使用カメラ(デジタル):・OLYMPUS E-M1   ・FINEPIX F1000EXR