2021年撮影紀行(その2)





5月10日 大蔵高丸・ハマイバ

 今回はハマイバのミツバツツジの開花状況を確かめることを一つの目的として、撮影の行程に含めることにした。数日前に写真仲間からハマイバのミツバツツジの花芽が沢山付いているという連絡があり、急遽訪れることとした。花と富士山の撮影はタイミングが難しく、花が咲いていても富士山が姿を見せなければ写真に成らないからである。昨年はタイミングが悪く、蕾から開花までが思いのほか早く、撮影に訪れた時に花は半分程散っていた。このようなことは時々あり、自然に逆らうことは出来ない。
 今回の行程は大蔵高丸で日の出時間帯に撮影し、その後ハマイバへ移動し撮影を続ける。撮影の合間にミツバツツジの状況を確かめる心算である。  
 4月末に焼山沢林道の冬季閉鎖が解除され、湯ノ沢峠まで簡単に入れるようになった。日の出時間に間に合うように湯ノ沢峠の駐車場に早めに到着。既に2台の車が止められていた。恐らく白谷丸で星撮りする人達だろうと思われる。風が強く、冷たい風が吹き付け下界とは異なり寒さを強く感じる。天空には満点の星が確認出来る。今日は絶好の撮影日和となりそうで撮影に期待が持てる。
 午前3時10分、湯ノ沢駐車場を出発。出発した直後、湯ノ沢峠で登山者と出会う。どうやら大蔵高丸方面から来たようだ。とりあえず挨拶を交わし、会話もせずお互い行先に向かった。
 お花畑の扉を開けエリア内に入った。ここのお花畑は2重にネットが張られ、内側のネットは狭い範囲で、植物の保護を目的に小動物も含め動物の侵入を完全に防いでいる。お花畑の中央部を通過する際に西側に俯瞰できる甲府盆地の街明かりがキラキラと輝いている。お花畑から鮮明な街明かりが見えるのは空気が澄んでいることに他ならない。今日は鮮明な富士山が見られると思われる。 大蔵高丸には4時00分に到着。この時間になると明るみを帯び、雪を被った富士山の姿もはっきり見える。誰一人居らず今日の富士山は一人占めである。気温0℃、風が強く冷たい風が吹き抜ける。真冬とは異なりやや薄地の防寒着を着たが役不足である。ダウンを持ってくれば良かったと後悔している。甲府盆地の街明かりも鮮明で健在だ。今日の日の出は4時40分。時間が近づくに連れ天空がピンク色に染まってきた。この時間帯は刻々と空の色が変化し1日のうち最も美しい光景が見られる。甲府盆地の奥には雪を被った南アルプスの山々が連なり、更にその北側には雪で白く覆われた八ヶ岳連峰が姿を見せている。大蔵高丸ならではの素晴らしい景観と云っても良い。
 5時00分、ハマイバへ移動を始める。暫く南に下り、5時50分ハマイバ山頂を通過し、更に南に下ったミツバツツジの大株の現地に到着。花芽は多く付いているが現在のところ膨らみは殆ど無い。満開に咲いたら華やかで立派だろうと想像できるが、開花を予測するのは標高1752mの山では日照や気温が大きく影響するため難しい。恐らく2週間ほど先になると思われる。その頃にもう一度出向いて見る心算である。
 その後、北へ移動し視界の開けた場所から富士山の撮影を続ける。この場所は以前から樹木がブラインド―となり富士山は殆ど見えなかったが、大月市が視界が広がるよう樹木を伐採し、素晴らしい富士山展望地となった。前面が富士山方向に下っているため奥行きがあり、富士山撮影地としても最高である。また、登山道を挟んで東側には視界の広い場所もあるが、斜面で足場が悪く、三脚のセットも難しく撮影しづらい場所である。その点、こちらの展望地は気持ちよく撮影できる撮影スポットとなっている。
 ハマイバを後にしたのは8時50分。大蔵高丸には9時15分に到着。一人の登山者が西方面の甲府盆地の奥に聳える南アルプス連山の勇姿を目の前に感動の言葉を発していた。自分でも声を発したくなるほど素晴らしい眺めだった。その登山者はこれから米背負峠へ下り天目山温泉で人浴びして帰ると云っていた。
  湯ノ沢お花畑には未だ花は少なく、タチツボスミレや黄色い花のミツバツチクリ、紫色のフデリンドウが咲いていた。これからスズランやキンポウゲなどが咲き、夏に向かい華やぎを見せてくる。 今日は珍しく空気が澄んでいるせいか、鮮明度は時間が経過しても殆ど変わらない状況にあり、この時期には珍しいことである。今日も下山時に多くの登山者と挨拶を交わした。湯ノ沢峠駐車場には10時30分に到着。駐車場には自分の車を含め6台止められていた。



今日の富士山

 今日は気温が低く湿度も珍しく低く、空気は澄み渡り富士山も終始鮮明な姿を現していた。この時期にしては珍しいことの様に思う。富士山に掛かる雲も殆ど見られず、いつの間にか上空に筋雲が現れた。

          (大蔵高丸から)                     (ハマイバから)

日の出時間帯の富士山                       4:45頃    
筋雲棚引く                                 5:50頃





大蔵高丸からの南アルプス連峰

                                                                                                                                  9:30撮影




山頂及び登山道と山野草


ハマイバ山頂      7:15頃      
大蔵高丸に向かう登山道  7:25頃
タチツボスミレ(スミレ科)  8:15頃


ミツバツチクリ       8:15頃  
登山道からの富士山    9:00頃  
ハマイバお花畑出入り口の扉  9:05頃


湯ノ沢峠に向かう登山道   9:10頃      
枯れたクマザサ      9:15頃
登山道途中からの富士山  9:20頃


大蔵高丸山頂        9:35頃    
大蔵高丸から望む白谷丸   9:35頃
ミツバツチクリ(バラ科)  9:40頃


タチツボスミレ(スミレ科)  9:55頃  
湯ノ沢お花畑の西側の扉   10:05頃  
未だ枯れているお花畑  10:05頃


お花畑からの白谷丸    10:10頃    
お花畑からの大蔵高丸   10:10頃
フデリンドウ(リンドウ科)   10:20頃


お花畑北側の扉        10:25頃    
湯ノ沢峠(右は登山者カウンター) 10:30頃



登山者カウンター        10:30頃  
湯ノ沢峠駐車場 自分の車を含め
6台止められている   10:35頃




                                                 使用カメラ:OLYMPUS E-M5 MARKU   ・CASIO EX-ZR62






4月22日  九鬼山

 今月15日、奈良倉山で天候不良だったため、富士山の撮影が出来なかった。来年のカレンダー作成に於ける4月分の写真が未だ撮影出来ていない中、今回は奈良倉山を改め、九鬼山から撮影することにした。 九鬼山からは毎年撮影を行っているが、景観の良い開けた撮影場所が殆どなく、それも杉の木の成長により富士山の画像に枝や幹が入り込み、どうしても大写しに成らざるを得ない。そんな中、山頂手前にある天狗岩からは富士山を丸写し出来る撮影場所がある。ここでも枝を避けるため大写しになるが、唯一の撮影場所と云っても良い。今回も昨年に引き続き、天狗岩から撮影することにした。九鬼山頂へはコースが幾つかあり、今回は愛宕神社コースを登り杉山新道コースを下山する予定である。両コースの入り口は150m程離れた所にあるが、車は杉山新道コース入口に近接した空き地に止めた。 車を止める空き地に到着したのは午前2時25分。西の空にラグビーボールのような形をした月齢10日の月が輝いている。空気が澄んでいるせいか一際明るい。気温はそれ程低くはないが、冷たい風が皮膚に刺激を与え、やや寒く感じる。 午前2時50分、愛宕神社コース入口を出発。山頂との標高差535m、水平距離1816m、登坂角度16.4度(平均)。池の山コースとの分岐付近は緩斜面が続き、急坂登山道に入ると20度以上の勾配となり、登り甲斐のあるハードなコースである。 池の山コースの分岐点を3時40分に通過。尾根道に出たことにより暫く緩やかな登山道が続く。南側には都留市の街明かりが夜空に浮かび上がる。緩やかな尾根道を10分程登ると急坂登山道の入り口に差し掛かる。急坂に入り暫く歩行を続けるとコースが急坂と新道に分岐する。新道は歩き易く整備されていることからこちらのコースを選択することにした。途中、先方に天狗岩の案内板が見えてくる。既に夜は空け、案内板を見ながら右(南)に進路を変え、5分程で天狗岩に到着する。登山口から所要時間1時間35分。予定より時間が掛かった。現在の時刻は4時25分である。富士山は真っ白な雪を被り神聖な姿を見せている。撮影地点は天狗の鼻の先端であるが、大きな岩の頂点で、南側は絶壁となっている。転落したら命はなさそうである。撮影スペースは僅かで、東側に杉の木がありこれを避けようとすると三脚は真面に立てられない。3本の脚の長さを変えてセットするだけで時間が掛かる。日の出時間4時59分、朝陽が届き富士山頂がピンク色に染まった。今日は早朝から雲のない快晴で湿度は40%台と低く、爽やかな天気である。空気も澄んだ状態で、富士山頂の雪も多く、一際美しい姿である。 天狗岩での撮影を終え、5時55分、九鬼山山頂に向かい出発する。山頂直下の登山道は急斜面でロープが張られ、樹木の根が路面に這い出していて、歩きにくく辛い登りである。 山頂到着7:15分。北側に大月方面の街並みが良く見える。山頂からは富士山を望むことは出来なかったが、5年程前に富士山が見えるように、杉の木が伐採された経緯がある。5年過ぎると周りの木も成長し、視界が狭まっている。写真撮影には杉の木が写り込み条件はあまり良くない。九鬼山の山頂からは大月の山々が一望に展望でき素晴らしい眺めである。山頂の北側にはヤマザクラが満開を迎え華やいだ雰囲気である。パノラマ用写真を撮影し、7時20分、九鬼山から下山を始める。下山は杉山新道コースを下る。このコースの傾斜は緩いが愛宕神社コースに比べ距離が大分長く時間が掛かる。コースの脇には植物が多く、山野草を撮影するには良いコースである。下山口近くに水のある沢を渡る箇所かある。以前は登山靴で沢に入り横断したが、3本の丸太が渡されていた。杉山新道コース入口の空き地に着いたのは9時20分。今日は天候も良く、植物も多く良い山歩きが出来た。下山時に女性の登山者に追い越されたが、この日、出会った人は一人だけだった。


今日の富士山

 今日は雲一つないピーカンだったが、神聖な富士山とピンク色に染まった美しい富士山が見られた。前日雨だったことで空気が澄み渡り、雪をたっぷり被った春先の富士山はバランスの取れた姿を見せていた。


九鬼山天狗岩から 朝焼けの富士山(紅富士)  5:10頃    
天狗岩から 富士山と都留市の街並み      5:35頃



九鬼山山頂からの富士山           6:35頃  



大月市の山々が一望できる九鬼山山頂からの展望              7:00頃





山頂及び登山道とその脇に咲く山野草

 九鬼山は多くの植物が自生する山である。スミレはあちこちで見られ、マムシグサも多い。ヒトリシズカも群生している場所も多くみられた。また、見逃してしまいそうな下を向いて咲く小さなチゴユリも多く見られた。
 登山道については前述の撮影紀行で触れているので参照願いたい。

チゴユリ(ユリ科)  天狗岩 5:50頃    
タチツボスミレ(スミレ科) 天狗岩 5:55頃
天狗岩への案内板        6:00頃


九鬼山山頂          6:25頃      
山頂に咲くヤマザクラ    6:35頃
細長い山頂        6:35頃


頂に咲いているミツバツツジ 6:40頃    
富士見平          7:20頃
富士見平からの富士山     7:25頃


クサイチゴの花   富士見平 7:25頃    
禾生駅への案内標      7:30頃
タチツボスミレ        7:30頃


タチツボスミレ        7:35頃      
ヒトリシズカ(センリョウ科) 7:50頃
ヒトリシズカの群生    7:50頃


禾生駅方面への案内板     7:55頃    
マムシグサ(サトイモ科)   8:10頃
キランソウ(シソ科)    8:55頃


シロバナタチツボスミレ    9:05頃  
沢を横断する丸太橋      9:05頃
車を止めた空き地      9:20頃

                                             

                                                 使用カメラ:OLYMPUS E-M5 MARKU   ・CASIO EX-ZR62






4月15日  奈良倉山 

 気象情報から前日の14日は雨で15日は快晴の予報が出され、雲海発生が期待できる状況である。特に15日は気温が下がり霧の発生を伴う可能性から雲海発生の確率は高いと思われる。
 今回は昨年4月以来ちょうど1年ぶりとなるが、奈良倉山から撮影を行うことにした。松姫峠へは道路の冬季閉鎖が4月1日に解除され、奈良倉山へのアプローチが容易になった。
 今回も自宅から一般道の青梅街道経由で小菅村に入る予定である。車での所要時間は2時間少々である。高速道路を使い、大月ICから一般道でトンネルを抜けて小菅村に入るより30分ほど早い。日の出時間(5時08分)の30分前には撮影地点には到着したいと思い、松姫峠到着3時を予定した。当日は気温が下がり道路凍結の可能性があり余裕を持った行程を考えた。
 午前1時20分自宅出発。未だ前日の雨が残っていた。雨は小降りで走行上問題は無かった。順調に青梅街道を抜け小菅村に入った。途中、小菅川を渡る小菅橋が工事中で、迂回路が設けられていたが順調に通り抜け、トンネル手前から松姫峠に向かう道路に入った。霧が濃くヘッドランプの光が発散し道路自体が見えにくくスピードは出せない。この霧は奥多摩を通過した頃から発生していて、視界不良で走行速度が遅く、既に予定時間をオーバーしている。
 松姫峠には3時10到着。濃い霧で10m先が良く見えない。この霧は予測していたもので、問題は霧がいつ晴れるかである。今回は雲海発生を予測し、始めに視界の広い林道から撮影し、その後、山頂に向かい撮影する予定である。
 午前3時30分、松姫峠を出発。相変わらず霧が濃く、最初の撮影地点まで林道歩きであるが、広い林道もヘッドランプが発散し全体が分かり難い状態である。その様な中、時々小雨が混じる最悪の天候となった。予報では晴れとなっているが実際の天気は的を外した感がある。日の出時間帯に視界が開き富士山が姿を現してくれるだろうか?
 林道の撮影地点に近づくと車が止められていた。林道のゲートを開けて進入したと思われるが、近づくと人が車から降りてきた。挨拶を交わしたが、やはり撮影者だった。ゲートの鍵を持っているのであろう。仕事で訪れたのであれば問題ないが、仕事以外での林道進入は違反行為と思われる。地元の人と思われるが、林業関係者かも知れない。私が到着したので慌てて三脚をセットし始めていたが、少しでも良い場所を確保しようと思ったのだろう。その横に自分の三脚をセットするのも密になり、相手はマスクをしていないため、その場を去り山頂に移動することにした。
 山頂には4時30分に到着。霧が晴れる様子は全くない。あと30分で日の出を迎えるが、日の出時間帯の撮影は今の状況を考えると不可能に思われた。気温0度、湿度65%、風はない。ダウンを着ているが寒さを感じる。
 辺りが明るくなり始めた頃、大きなザックに三脚を取り付けた撮影者がやって来た。横に三脚を立てさせて貰っても宜しいでしょうかと、声を掛けてきた。どうぞと返した。プロなのだろうか、私の撮影機材など足元にも及ばない立派な三脚と高価なカメラをセットしていた。話をしているうちに小菅村の人で漁業協同組合に勤めているそうで、仕事柄、主に魚の写真や釣りの写真を撮影していると云う。富士山はたまに撮影する程度だそうである。
 霧は回復に至らず諦めの境地となった。小菅村の人はこれから仕事がという事で、8時に私も一緒に下山を始めた。林道まで下った所から林道の富士山撮影スポットを案内し、そこで別れた。
 林道で天候回復を待ったが回復の兆しはなく富士山撮影は諦め、再度、山頂へ上り山道経由で松姫峠に向かった。春だと云うのに山道は未だ冬の装いで花もなく新芽も殆ど見られない。
 松姫峠には10時45分に到着。未だ視界は霧に閉ざされた儘である。今日は残念ながら天候不良で富士山を撮影することが出来なかった。今日の富士山は撮影出来なったため、無掲載となった。いつもの様に山道の状況や植物の写真は掲載した。



山頂及び山道の状況

奈良倉山(標高1349m)の山道(迂回路)は枯葉が厚く堆積している未だ冬の装いである。新芽や山の花も殆ど見られない。下界では早くから桜が咲き、満開を迎え、あっという間に花が散り葉桜となった。山では花が咲くのはこれからである。一方、林道際にはミツバツツジ(小菅村の花)が咲いていたが山道では確認出来なかった。

林道際に咲くミツバツツジ  8:45頃      
霧に覆われた林道     8:45頃
奈良倉山山頂        9:00頃


松姫峠、鶴峠方面への案内標  9:10頃    
左に同じ          9:15頃
松姫峠と鶴峠への案内標  9:20頃


山道に堆積した枯葉      9:20頃          
途中で見つけた植物     9:30頃
同 左

植物の名前は不明(調査中)

枯葉が堆積し山道が分かり難い  9:35頃        
不 明(調査中)   9:45頃
不 明(調査中)  9:50頃


山道と林道の交差部    10:00頃      
松姫峠に向かう林道  10:00頃
山道と林道の交差部    10:00頃

        この様な案内標があちこち多く設置されている
        赤い矢印はトレイルラン競技の方向を示している


林道際にある案内標    10:00頃        
新芽が吹き始めている  10:10頃
ミツバツチクリの葉   10:25頃


霧が漂う林道      10:35頃      
通行止めゲート      10:45頃
駐車場(他に車は無い)  10:45頃





                                     使用カメラ:OLYMPUS E-M5 MARKU   ・CASIO EX-ZR62