2021年撮影紀行(その1)




3月29日  扇山

 梨木平の駐車場に着いたのは午前2時5分、未だ激しい降りの雨が続いていた。予報では午前3時には雨は止み、その後晴の天気となっていた。この降りでは雨具をつけても濡れると思い、暫く様子を見て出発することにした。
 今日の日の出時間は5時32分、遅くとも3時には出発したいが、予報通り雨は止んでくれるだろうか。扇山は昨年8月に訪れて以来であるが、この時は赤富士が見られ、良い光景を捉えることが出来た。今回は雪をたっぷり被った春富士山であるが、紅く染まった朝焼け富士山に期待したい。
 午前3時登山口を出発。予報通り激しく振っていた雨は嘘のように止んだ。これから降ることは無いと思われるため予報を信じ雨具は全て車に置いて出発した。激しい雨が降った後で、登山道は雨で流された草葉が所々に溜まったり散乱していた。しかし、登山道の水捌けが良く、登山靴は汚れることも無く、路面は殆どドライに近い状態のコンディションとなっていた。
 2年前、ドラム缶に水を溜めた水場近くの崩落跡を横断するのに難儀したことがある。対岸に渡るため抉れた溝を飛び越えなければならず、安全策がないか考えた末、対岸まで一番近い箇所で飛び越える事に決めた。飛び越えてからの問題点は着地点が抉れた祠状のようになっていて、そこからの脱出と登山道まで急斜面を登らなければならなかった。1時間掛けてやっと登山道に立つことが出来た。この崩落地は砂地盤で斜面を登ろうとすると、ズルズル下降し、また登ってはと繰り返したため時間が掛かった。この個所も昨年8月に訪れた時は有難いことに4本束ねた丸太橋が架けられていた。
 水場には午前3時40分に到着。相変わらずこの付近は大雨が降ると地形が改変され、暗いと道が分かりにくく今回は降雨後で、山からの水がザーザー流れる音で煩い感じである。ここから先は山頂までは登山道はしっかり整備されていて暗くても道を間違うことは無い。
 ツツジ群生地への分岐点を午前4時20分に通過。ツヅラ折に敷設された登山道の傾斜は比較的緩いが、同じことの繰り返しで展望無くうんざりする。この分岐点は富士山展望地となっているが、暗くて富士山を望むことはできない。また、西の空の低い位置には満月が煌々と光を放っていて、周辺を明るくしている。月の光は登山者の強い味方である。天空は既に晴れていることが確認できた。
 百蔵山への分岐点のなっている尾根の鞍部に出たのは4時45分。すでに天空は明るみを帯びている。ここまで来るのに今迄に無く道中長く感じた。腰痛の関係でスローペースに成らざるを得ず、このような気持ちになったのだと思う。
 鞍部からは山頂に続く最後の登りである。この尾根はなだらかで広く気持ちの良い登山道である。4時55分山頂に到着。日の出30分前で山頂は結構明るく周辺の状況は確認できる。やや靄っている感じであるため雪を被った富士山は周辺の空と同化し存在感が薄い。しかし、西の空の満月は大きく明るいため一際存在感が強調されている。
 日の出時間が近づき富士山の存在感が増してきた。朝陽が富士山頂に差し朝焼けが見られると思われたが、日の光が弱かったせいか残念ながら朝焼けすることは無かった。
 今日は富士山の顔に変化がなく、撮影は単調に終わったが、良し悪しは別として来年のカレンダーに使用する写真は撮影できたと思っている。
 下山時に父親と子供3人の登山者と登山口近くで出会った。早朝まで雨が降っていたにも関わらず良く登山に出掛けたと、山好きの父親なのかも知れない。



今日の富士山

 雨上がりの富士山はスッキリとした姿を見せてくれると思ったが、春特有の霞なのか黄砂なのか薄い膜に覆われた感じだったが、画像ソフトで多少調整している


雪がたっぷりある初春の富士山                          6:05頃  
前面の木に覆われ谷の状況は分かり難いが雲海で埋まっている   6:40頃




山頂と登山道

 早朝から大雨だったが、出発時点で止んだ。登山道は水捌けが良くドライに近い状態が確保されていた。また、泥濘は殆どなく、靴が汚れることも無かった。中腹の水場付近は大雨が降る度に石や小さな岩片が流され、小規模ながら地形が改変され、暗い時間帯は登山道が分かり難い。

扇山山頂              7:10頃      
山頂からの下山方向         7:15頃
鳥沢方面への案内標          7:20頃


鳥沢方面へのへの下山道       7:25頃    
ツツジ群生地への分岐点    7:40分頃
展望所からの富士山        7:50頃


山の神社と書かれた奥宮祠    8:10分頃  
水場のドラム缶            8:10頃


崩落跡に架かった丸太橋     8:20頃  
梨ノ木平駐車場             8:50頃



                                     使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62





2月16日  高川山

 今回は2022版カレンダー作成を目的として高川山を訪れることにした。前日は雨で雲海も期待出来そうだが、気象情報では風が強い予報で雲海発生は難しいかも知れない。 高川山へは年1〜2回は必ず訪れていたが、初狩側から毎回男坂コースを登り山頂を目指していた。今回は2022版カレンダー作成を目的として高川山を訪れることにした。前日は雨で雲海も期待出来そうだが、気象情報では風が強い予報で雲海発生は難しいかも知れない。
  高川山へは年1〜2回は必ず訪れていたが、初狩側から毎回男坂コースを登り山頂を目指していた。未だに腰痛が改善されず、今回は傾斜の緩い女坂コースを初めて登ることにした。下山は女坂コース〜沢コースを下る予定である。
  午前2時40分、初狩側の登山口駐車場に到着。天空は星空で風は殆ど無い。気温は高めで湿気を感じる。山頂まで2時間を予定し3時出発。男坂、女坂コースの分岐点まできつい登りが続く。気温が高いため少ない運動量でも汗が滲んでくる。3時40分、分岐点に到着。
  女坂コースは比較的緩やかで腰への負担も少ない感じがする。暫く歩くと沢コースの取り付け点に4時15分通過。ここまで来ると山頂まで残り30分程で到着できそうである。ここから道なりに進むとロープの張られた沢の崩壊跡を横断する筈だが、未だその場所に至っていない。経過時間的に見ても男坂コースに合流していなければならない筈であるが、どうも途中で登山道を間違えたようである。
 以前から下山時には歩いているコースであるが、初めて見る案内標にも出会った。その案内標には登ってきた初狩と高川山の方向が示されていた。高川山は左に折れる方向で示されている。その方向をヘッドランプで照らしてみると割と広い登山道であるが、登りでなく下っている。しっかりした案内標であるため間違いないと思いつつ、道なりに進むと下りが更に強くなりロープで下る急斜面に行き着いたが、方向が違うと思った。 下る時点で何かおかしいと思いながらも、正規のルートかかめなければと思い道なりに足を進めたが、やはり道が間違っていた可能性は否めない。
 また、降り出しに戻り、案内標に示された山頂方向を確認すると、微妙に指している方向が違う事に気が付いた。所が差している方向が急斜面を登る方向を向いていて、登山道らしきものは確認できない。とにかく、斜面を登って確かめなければならず、そこで状況を確かめると透明のビニール紐が木の枝に巻き付けられた道標が見付かった。登山道らしき道はあるものの獣道かも知れない。それが山頂に向かっているものなのかは分からないが、それを頼りに歩いて行くと登山道のように思えた。しかし、感であるが山頂方向でないような気がしていた。それでも行ける所まで行こうと先に進んだが、案の定その道標は途中で無くなっていた。
 もはやこれまでと思い案内標のある所まで戻ろうと行動に移ったが、途中で戻る方向が分からなくなり、暗い所で自分が現在何処にいるか見当が付かず不安を感じると同時に明るくなれば何とかなると思った。とにかく上に登れば何処かに行き付くと思い道なき道を登り続けた。暫くすると夜が明けるため、自分の位置が確認できる。高川山は奥深い山ではないため、遭難という事態は全く考えられなかった。
 登って行くうちに登山道らしき道に行き当たった。しっかりした道で足の裏で登山道であることを確信したが、何処へ連れていかれるかは定かではない。間もなく夜が明ける時間帯に入り、東の空が明るみを帯びて来た。これにより自分の位置の見当が付き、登山道が南東に向かっていることが判明した。このまま登山道を進めば高川山頂に行き付くことが分かった。
 山頂には午前6時10分に到着。既に三脚を据え撮影している先客がいた。挨拶を交わし隣に三脚を立てさせて貰った。今日は昨日の雨で空気が澄んでいた。雲海の発生は無ったが、たっぷり雪を被った富士山は鮮明な姿を現していた。風もそれ程強くはなく、気温は丁度0℃で寒さをあまり感じることは無かった。日の出時間6時28分(東京)を少し過ぎて山頂に朝陽が差し、赤く焼けた神聖な富士山を見ることが出来た。富士山頂は強風に晒されているようで、雪が大きく舞い上がっている状況が目に入った。
  8時15分、山頂を後にした。先客は先に下山して行った。下山コースは女坂コースから比較的傾斜の緩い沢コースに入り、途中からはコンクリート舗装された林道となっているが、コンクリートが劣化した個所が多く、歩きにくい状況になっていた。登山口駐車場には9時30分到着。帰り支度をしていると、男女2人組、2組が時間を置いて、山頂目指し登って行った。
  今日は女坂で沢コースとの合流点から少し先に行った所で登山道を見失った?ようである。始めて見た案内標に惑わされた感もあり、明るければ何事もなく山頂に行き付けた筈である。ビニール紐の道標にも惑わされ、南方向に進路を辿っていたと思われる。その折り返しの登りはハードだった。ロスタイムは約1時間10分。以前は暗くても迷うことは無かったが、年齢を重ね感が大分鈍くなっていることは確かである。



今日の富士山

 前日雨だったことで空気が澄み渡り、雪をたっぷり被った神聖な富士山が見られた。

朝陽が差し素晴らしい朝焼けが見られた        6:35頃    
前面の雑木が朝日を浴び明るい雰囲気になった    7:25頃




山頂と登山道の状況

高川山山頂         8:15頃  
山頂直下の案内標      8:30頃  
山頂直下の登山道     8:35頃


沢コース分岐点       8:55頃    
沢コースの登山道      8:55頃
部分的に舗装された林道  9:15頃


山梨は日本一と書かれたのぼり旗  
9:20頃
コース名にもなっている玉子石
9:20頃
男坂・女坂コース入口   9:25頃


駐車場に他の車は止められていない
9:30頃    
登山者カウンター     9:30頃
駐車場から見る滝子山   9:30頃




                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62







1月7日  百蔵山

 新型コロナの感染者が増え続け医療崩壊などが叫ばれている中、本日夕方に緊急事態宣言が政府から発令される予定である。その中には都県を跨ぐ外出は避けるよう要請があると思われる。発令が出された後からでは要請を無視することに罪悪感を伴うが、発令前であれば精神的な負担は多少薄らぐと前向きに気持ちを入れ替え、県外に脱出することにした。埼玉県所沢市を出発し、東京都、神奈川県と跨ぎ、山梨県大月市に着地。百蔵山から富士山を狙うことにした。今回は今年初の富士山撮影となり、比較的容易に登れる百蔵山から撮影することにした。昨年も1月9日に訪れていて、幸先良いスタートが切れればと思っている。
  ここの所、日本海側は大雪だが太平洋側は天気が比較的安定している。ピンポイント予報を見ても富士山周辺は晴れの予報となっているため、富士山の撮影はほぼ間違いなく可能と思われる。しかし、低山でも山の天気は平地と異なるため、100%富士山が撮れるとは限らない。
 百蔵山の東登山口駐車場に着いたのは午前2時30分。天空に星は見えないが、月齢23日の月が東の空に薄雲を通してぼんやりした明かりとなって存在を示している。薄曇りのような天気だが、山頂から富士山が姿を現していれば幸いである。 3時、東登山口を出発。今日は風が強くなる予報だが、現在は風が無く静かである。登山道は全般に傾斜は緩くハードな山ではないが、中腹の展望所までは登山道に砕けた角のある岩がゴロゴロしていて歩きにくい。気温は思ったよりも体感的に高く、登っていると汗が滲んでくる。 展望所には3時50分に到着。5年前は登山口から30分程で登っていたが、現在は5割増しの所要時間となっている。荷物を軽くしたにも関わらず、腰痛や高齢による筋力低下、止むを得ない結果と云わざるを得ない。
 ここから百蔵山の尾根に出るまでは比較的歩き易く、所々に大月市内の街灯りが展望できる。 百蔵山の尾根に出たのは4時15分。尾根に出た瞬間、強い風当たりに厳しい寒さを感じる。ここまで来ると山頂は近い。尾根道は比較的緩やかで、大月市の街明かりがキラキラと輝き大変綺麗である。
 山頂到着4時45分。山頂まで1時間45分の所要時間となった。富士山は薄暗い中、黒くぼやけた姿を見せている。富士山頂は雲に覆われているように見える。天気は全体的に曇りである。気温は−2℃で平年並みと思われる。日の出時間は6時51分(東京)であるが、この日の出時間は1年中で最も遅い時間となっている。 日の出まで2時間以上あり、ライブコンポジット(オリンパスOMDの夜景撮影機能)で富士山を撮影して見ると、やはり山頂は雲で覆われていた。山頂が見えない富士山は絵にならないと思う。
 日の出時間帯には山頂が姿を現すかもしれないが、それまで待機するしか無いようである。しかし、日の出時間を過ぎても山頂の雲は纏わり付いたままで、これでは撮影にならないと思い、9時10分に山頂を後に、中腹の富士山展望所に移動することにした。展望所で状況に変化があれば撮影を再開するつもりである。
 展望所には9時40分に到着。山頂の纏わり付いた雲は無くなり、笠雲らしき雲が山頂に浮いていた。これなら絵になると思い撮影を再開した。笠雲モドキの雲は様々な形に変化し見ていて飽きない。1時間程撮影に費やし下山を始める。今日は新型コロナの影響で、カメラマンや登山者に出会うことは無いと思われたが、山頂で2人の単独登山者と、展望所でカメラマン1人と、登山者1人、展望所からの下山道で単独登山者3人と出会い、都合6人の人と出会った。登山者の1人は、緊急事態宣言が発令された後では出掛けにくいと云っていた。東登山口の駐車場には11時20分に到着。他に車は止められていなかった。皆さん電車で来られようである



今日の富士山

 今日は天気予報に反し、靄が立ち雲の多い天気となった。富士山の雪も例年に比べ少なく、また、光不足で暗い感じの
写真となった。。

山頂から夜明け前の富士山   
靄が発生しやや不鮮明。山頂に雲が纏わり付いている。  6:25頃
中腹の富士山展望所から
纏わり付いた雲は去り笠雲が現れた。笠雲は様々な形に変化  10:15頃




山頂および登山道

 

山頂の様子               9:10頃    
山頂は細長く広い(富士山の展望は最高)
9:10頃
山頂直下の下山道際には松が多い  9:15頃


蔵山尾根の分岐点     9:25頃      
中腹の富士山展望所     9:40頃
展望所からの富士山展望   10:45頃


登山道に散乱している砕岩 11:00頃    
登山口近くの水場   11:15頃
登山口の駐車場(自分の車のみ) 11:20頃  




                                              使用カメラ:OLYMPUS E-M1   ・CASIO EX-ZR62