2017年 撮影紀行(その2)



3月3日 岩殿山

 暫く安定した天気が続いたが、前日は少量ながら降雨があった。天気予報から雲海発生は難しそうな状況と思われたが、少なくとも湖や川の水の有るところでは局所的に霧の発生が考えられる。今回は過去の経験上、霧の発生しやすい桂川沿いの川霧を狙って岩殿山から撮影することにした。
 深夜自宅を出発するとき、雨は上がっていたが路面は濡れていた。この状況から昨晩はある程度の降水量が有ったと思われる。現地に向かう途中、高速道路を上野原ICで降りたが、相模湖IC付近から霧が発生していて、その状態は一般道に降り立っても続き視界は良くなかった。大月市内に近づくに連れ視界はやや良くなってきたが、大月市内の霧の発生はこれから時間と共に発達していくと思われた。
 岩殿山の駐車場に着いたのは午前3時。視界はそれ程悪くはないが薄めの霧が漂っている。風は殆ど無く、気温は予報に反し低く感じる。川霧は水温より外気温が低くなったときに霧となって現れる現象だが、この状況からは桂川沿いは霧で埋まる可能性が高いと考えられた。以前、同じような状況に出会い、桂川沿いが霧で埋められたことが何度かあった。
 3時20分、駐車場を山頂に向かい出発。登山道は殆どがコンクリートの階段状になっていて、落下防止柵が設置され、安全性に十分配慮して作られている。階段の歩面は未だ濡れていて雨が止んだばかりのように感じられる。途中、眼下を俯瞰すると所々に霧の発生が見られる。更に天空を仰ぐと星が綺麗に輝いて見える。今日は以前のように素晴らしい情景に出会えそうな気がする。
 山頂到着4時。東方面の猿橋付近の川沿いは既に霧で埋め尽くされている。山頂から展望出来る大月市内は未だ霧が動きを見せ発達している途上で、これから時間の経過と共に霧で埋まると思われる。空が白み出す5時少し前に霧は高く舞い上がりピークを迎える。しかし、富士山はその霧で被われ暫く姿を見せなかった。そして、5時半を過ぎた頃に再び富士山が姿を現したが、霧で埋められていた街の灯りが透けて見えるようになっていた。その後、霧は更に薄くなり、所々で霧の塊となって、あちこちに散在するようになった。
 日の出時間(東京5:09)過ぎると富士山頂の1部分が僅かながら色を成した。やはり霧が残っているせいか富士山の抜けは悪く朝焼けの色も冴えない。湿気が多くカメラは濡れ、フィルターは曇り、頻繁に拭いても直ぐに元の状態に戻るといった状況が続いた。このようなことが繰りかえされ折角のシャッターチャンスを逃す結果となった。
 やっと6時半頃になって大気中の水分が減少し富士山の抜けが良くなってきた。この時間帯になると、ちぎれ雲が発生し西から東へと形を変えながらゆっくり次から次へと移動を繰り返す。このような状況は暫く続いたが、もはやこれ以上の変化は考えられず撮影を打ち切り、8時50分山頂を後にした。
 岩殿山へは地元の多くの方々が運動のため登ってくる。今朝も例外なく挨拶を交わし、3人の方々と共に世間話に花が咲いた。



今日の富士山

川霧が上昇してきた頃(その後富士山は姿を隠す) 4:55頃  
再度富士山が姿を現した直後         5:45頃


日の出を暫く過ぎて             6:30頃  
“ちぎれ雲”ゆっくり形を変えながら移動を繰り返す 7:15頃



岩殿山北側の展望

南大菩薩領〜小金沢連嶺は登山道にも多くの積雪があると思われる    8:50頃



山頂と登山道の状況

山頂の様子                  8:50頃    
山頂から丸山公園に下る登山道  9:10頃
丸山公園                   9:15頃  


丸山公園入口                9:20頃
下山途中の富士山展望   9:25頃  
岩殿山駐車場                9:30頃



                                       使用カメラ(デジタル):・OLYMPUSE-M1    ・CANON SX610SH





2月24日 高川山

 前日、少量ながら降雨があったようで、雲一つ無いピーカンは避けられそうである。今回は半年ぶりに高川山を訪れることにした。
 初狩側の登山口駐車場に午前3時10分に到着。当然ながら他の車は駐められていない。気温は高めで寒さは殆ど感じない。ここは風に晒される場所ではないため肌にはあまり感じられないが、遠く木々の合間を抜ける風音が聞こえてくる。山頂は恐らく強風が吹き荒れていると思われる。天空には満天の星が広がり、今日は天気が安定しているようである。
 3時40分登山口を出発。今回も男坂コースから登り、女坂〜沢コースを下山する予定である。登山道に湿り気はなく昨日の降雨は殆どなかったと思われる。最も寒い時期にも関わらず高めの気温で少し歩いただけで汗が滲んでくる。汗を掻かない程度になるべく運動量を抑えスローペースをキープしながら登る。
 男坂、女坂コースの分岐点を4時10分に通過。男坂コースは後半から斜面がきつくなり、運動量のコントロールはなかなか難しい。心掛けていても発汗を押さえることにはならない。
 合流点を4時50分に通過。以降の登り傾斜は比較的緩く、間もなくすると山頂への道標が現れる。以前、ここを通過する度に、高川山の名物犬ビッキーが迎えに出てくれた。この分岐点は、ビッキーとの思い出の場所である。
 5時10分山頂到着。東の空には間もなく新月を迎える有明の月(月齢27日)が細長い三日月形で輝いている。山頂は風当たりが強く、登ってくるときはそれ程感じなかったが山頂に到着するといきなり強風に晒される。気温は0℃と比較的高い値を示しているが、体感温度は低く強風が体の中を廻り、寒さが身に染みる。既に周辺は明るみを帯び今日の幕明けが始まっている。この時期になると日の出時間の1時間ぐらい前から空が白みだし、春がそこまで近づいていることを実感する。
 肝心の富士山は何処にも見当たらない。東から西に掛けて黒い雲が棚引き、その雲の中に姿を隠している。重々しく鎮座している黒雲で、暫く居座りそうである。いつ富士山は姿を現すか分からず、撮影の準備を始める。強風で三脚が倒れないようにストーンバックを取り付け重りになるものを詰め込む。以前、この高川山で突風により三脚が転倒しカメラを壊したことがある。高い修理費を負い、その二の舞は演じまいとしっかり倒れない対策を講じる。
 今日の日の出は6時18分(東京)であるが、時刻を過ぎても富士山の姿は現れない。今日は諦めて下山しようと思うほど絶望的だったが、6時半を過ぎた頃になって雲に動きがあり、10分ほどすると山頂の一部分が姿を現した。しかし、棚引く雲は中腹に鎮座し富士山全容を見ることは出来ない。天空は青空で抜けているが不安定な天候のようで、暫くすると富士山は雲の中に姿を隠した。8時50分、これを期に下山を始める。その後、富士山は姿を現すことは無かった。
 登山口には9時50分に到着。今日は山頂で登山者1人と、沢コースで地元の登山者1人に出会った。その登山者は登山口駐車場から山頂に向かう林道を車で奥まで進入が可能と云っていた。車を駐めたその場所は下山時に確認出来たが、更に上流の砂防ダムまでは4駆の軽であれば、この時期に限り進入出来そうである。砂防ダムからだと山頂まで歩行40分もあれば十分到着出来る。


今日の富士山

 今日の富士山撮影はピーカン状態を避けることは出来たが、雲の多い日で、この日富士山が山頂を見せたのは午前6時40分頃から午前9時ぐらいまでの2時間少々の短い時間であった。その富士山の状況から大写しせざるを得なく、何処から撮影したのか不明確になったことは否めない。極力撮影場所が特定できる撮り方もカットの中に取り入れるようにしているが、ある程度のレベルの写真を撮ろうとするとそれが難しい場合がある。

富士山が山頂を現した直後
(日の出から20分程経過)  6:40頃  
街の建造物を下方に配置
 7:10頃

棚引く雲を強調した                  7:50頃













山頂及び登山道の状況

山頂(富士山は既に雲の中に
姿を隠している)  8:50頃  

山頂直下の下山道        8:55頃
以前ビッキーが迎えに来てくれた
山頂への道標    8:55頃  


男坂、女坂コースの分岐点            
9:05頃
谷を横断する部斜面崩壊部分
         9:10頃  
登山道が枯葉で被われている箇所
9:10頃



沢コースへの分岐点             9:20頃  
根こそぎ倒れている樹木
(登山道を横断)    9:25頃
沢コースの最上流にある砂防ダム
(ここまで車の進入可能) 9:35頃


登山口に向かう林道(砂防ダムより
下流側を望む) 9:40頃
沢コースで出会った登山者の車
9:45頃    

玉子石(大きな自然石)      9:45頃



男坂、女坂コース入口     9:50頃    
登山口駐車場(他に車は置かれて
いない)     9:50頃
駐車場の隅に設置されている
登山者カウンター


駐車場より滝子山の展望(3つの
ピークから三ツ丸の名称もある)



                                   使用カメラ(デジタル): ・OLYMPUS E−M1   ・CANON SX610HS





2月16日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山

 暫く撮影チャンスが訪れず・・・とはいえ撮影に出掛けない限り富士山を撮ることは出来ない。良い状況ばかり狙っていても写真のストックは増えることはない。チャンスでなくとも出会った情景を上手く表現することで、チャンスになり得る。今回はそのような想いを胸に、雪道での体力強化も兼ね、牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
  大月市、甲州市のピンポイント予報は、晴、気温は−4℃、湿度100%、風速1m/sec、特に湿度の数値はこの時期滅多にない。予報が正しい場合どのような情景が見られるのか興味津々である。これら予報の数値がチャンスに結びつけばと願うのみである。林道の冬季閉鎖、積雪、所要時間は無雪期の2倍以上掛かると思われるが、体力的な負担は大きく、無理を承知で老体に鞭打つ覚悟である。
 午前2時20分、ペンションすずらん近くのゲートを出発。日川林道の登山口まで近道を行く。登山口まで標高差約210mであるが、余程積雪が多くない限り1時間ほどで到着出来る。天空にはラグビーボールのような形をした更待月が周辺を明るく照らし夜道を歩く人の強い味方になってくれている。
  登山口に3時20分到着。この付近は2年ほど前に大規模な樹木の伐採があり、視界は大きく開け、これから登る登山道周辺は月明かりで遠方まで雪に被われた状況が確認出来る。登り初めは160段程の木製階段が続くが、半分以上は雪に埋もれている。以前に降った雪は予想以上に多く、日川林道にも30cm程の積雪がある。山頂付近は更なる積雪があると予測され、ハードな山登りを強いられそうである。
 山頂までの所要時間は積雪量からある程度予測できるが、日の出30分前には山頂に到着したい。途中、何があるか予想できないため早速登山口を出発する。月明かりと雪で周辺は明るく、ヘッドランプがなくても歩けそうである。西尾根の登山道は所々に木製階段が設置されているが、雪に埋もれていて見えない。また、折れた小枝やブッシュも多くこれらも雪に埋もれている。アイゼンを着けるとこれらが刃に引っかかり易く歩きにくい。場合によっては転倒する可能性もあり、装着せずに登ることにした。幸いにも一週間ぐらい前のものと思われるが、1人のトレースが有りこれを頼りに歩くことにした。
 雪は以前降ったもので表面は凍結し体重が掛かるといきなりズボッと潜る。運動量が多くなり必要以上に体力を使う。尾根のピークに5時30分に到着。雪の状態が悪く想定した以上に時間が掛かっている。ここからは一時鞍部に下ってから山頂への登りになるが、尾根のピークから20分程の所要時間である。
 鞍部に下った際にトレースを見失った。ここは笹源で鹿の足跡が多く、これにより掻き消されたようである。ここまで来れば山頂まで僅かな距離で、山頂方向に登れば到着すると高を括ったのかも知れないが時間が経っても山頂が見えてこない。違う方向に向かっていることに気が付き、とにかく尾根の頂部に出ようと登り切る。
 見たことのある景色が目前に写る。直ぐに記憶が蘇り自分が居る場所を特定できた。山頂をトラバースし北側の小金沢山につながるラインに出たのである。ここは鞍部の広い笹源となっていて、山頂へは南に向かい登り返さなければならず、30分程のロスタイムを負ったが6時20分山頂到着。
 日の出時間6時27分(東京)には辛うじて間に合った。山頂の気温は−7℃、風は僅かに有る程度、湿度は60%。予報に反した結果である。富士山周辺は空気に水分が多いのだろうか、靄に包まれ鮮明さが無い。日の出時間を暫く過ぎ富士山に朝日は入ったがどす黒いオレンジ色に染まり、撮影意欲が削がれる。
 時間の経過と共に富士山の抜けが良くなり、気温も上昇してきた。暫く雪景色を見ながら太陽の暖かい日差しを浴び心地よさに浸る。山頂には多くの雪が残され、それと富士山の雪景色をどのように撮ろうかと思考し、アングルを様々に変えながら撮影を試みる。
 今日は久々にHPのパノラマムービーを更新しようと撮影を試みるが、レベラーを持参していなかったため、360度の水平を出すのに戸惑った。
 山頂にやや長居をしたようである。9時50分、山頂を後にする。登る時に迷った箇所は特定できたが、その箇所が登山道を大きく逸れていたため、明るいにも関わらずまた登山道を外したが、自分のいる位置は間もなく特定できた。またしても30分程のロスタイムを負った。
 西尾根コースの山頂に近いところは雪が無くても登山道は分かりにくく迷いやすい。積雪は更に登山道を被い隠し殆ど特定出来ない。頼りはテープなどによる道標であるが見失うことも多い。また、山頂付近は鹿が多く足跡が縦横無尽に分散し、日にちが経過していると人の足跡に錯覚することがある。トレースがあれば幸いであるが、このコースは積雪期に人が入ることは殆ど無い。
 日川林道の登山口には12時15分着。体力を使い果たし暫く休憩することにした。車の置いてあるゲートには13時30分に到着。


今日の富士山


日の出時間帯(靄で抜けが悪く朝焼けが殆ど無い)
6:35頃  

雪面上の富士山                       9:00頃




山頂と登山道の状況

 以前降った雪が大分残され登山口付近で30cm、山頂付近は40cm。表面は凍結し足裏に重さが加わると足がズボッと潜りバランスを崩し易い。アイゼン装着は前述したとおりであるが、小枝やブッシュが多くアイゼンの装着は躊躇う。雪質にもよるが、それ程急峻な登りはなく装着しなくとも安全性が損なわれることはないと思われるが、むしろ装着により刃を引っかけ易く転倒する可能性はある。今回、下山時に装着したが、滑りに対しては有効であるが、刃が引っかかることが多く、転倒しないよう神経を使う。小まめに外したり付けたりすれば良いと思うが、億劫でこれがなかなか出来ない。


山頂                    9:50頃                  

山頂より下山方向を望む         9:50頃
山頂近くの下山道(笹源で
ブッシュが多い)  9:55頃



山頂を下ったサグ部          10:15頃    
山頂を下ったサグ部は枯木が多い
10:15頃

西尾根ピーク点          10:30頃


パノラマ岩(岩の上から展望が良い)
10:45頃

小枝が雪に埋もれ歩きにくい     10:45頃

所々にある方向標示板   10:50頃  


木製階段が雪に埋もれている(注意し
ないとアイゼンの刃が引っかかり
転倒する可能性がある)

この付近は道がはっきりしている  
    11:50頃  
日川林道登山口付近を俯瞰(200段程
ある木製階段が  半分以上雪に埋も
れている)                12:10頃


日川林道登山口               12:15頃  
日川林道の雪(30cm位残っている)  
ゲートに向かう道              12:45頃



途中の登山口方向指示板       12:50頃
ゲートに向かう木材運搬路
(ゲートは常時閉鎖) 13:00頃
県道のゲート                13:30頃




行程:ゲート発(午前2:20)→日川林道登山口(3:20)→西尾根ピーク点(5:30)→山頂(6:20着・9:50発)

               →西尾根ピーク点(10:30)→日川林道登山口(12:10着 ”休憩” 12:45発)→ゲート着(13:30)


 所要時間:登り4時間(ロスタイム含む)・下り3時間40分(ロスタイム・休憩時間35分を含む)



                                使用カメラ(デジタル):・OLYMPUS E-M1    ・CANON SX610SH