2015年 撮影紀行(その8)
6月10日 大蔵髙丸・ハマイバ
当日の天気予報は梅雨の合間に晴のマークが付いていた。前日の降水量は少ないものの、雲海発生の可能性を秘めていた。梅雨時で天気がどのように転ぶか不明なところもあるが、このような時こそ思いがけないチャンスに出会うことがある。今回もハマイバを訪れ雲海と富士山を狙うことにした。
午前2時15分湯ノ沢峠の駐車場に到着。既に車が2台止められていたが、山に向かい出発したかどうか窺い知れない。気温は割と高め、風は殆ど無く湿気を感じる。東の空には半月が薄雲を透し朧気に見える。目を凝らすと所々に星の瞬きも確認出来る。予報通り天気は悪くないようである。
2時30分、ハマイバに向かい出発する。お花畑通過の際、西方面を望むと甲府盆地の灯りが目に入る。雲海は発生していないようである。大蔵髙丸には3時10分に通過。富士山の姿はハッキリ確認出来る。薄雲だった空も雲が取れ半月が思いの外辺りを明るく照らしている。
ハマイバ山頂を通り越し、登山道際の視界の開けた撮影場所に到着したのは3時40分。辺りは既に明るさを増している。途中、東側(大月側)に少ないながら雲海の発生があることを確認。富士山方向への流れ込みに期待したい。富士山周辺の雲は殆ど見られないが、やや靄の掛かった富士山が目前に迫る。暫くすると甲府盆地側にも雲海の発生が認められるようになった。
日の出時間(東京)は4時25分。1年中で最も早い時間帶で、今月21日まで続く。冬場の遅い時期に比べ2時間半ほど日の出時間に差がある。日の出が近づくと富士山上空が焼けだした。その後、山頂に日が差し富士山は赤味を帯びた。日の出時間を経過すると、東側、西側双方から雲海が徐々に迫り出してきた。西側からの雲海が優勢と見られ、撮影場所を北側へ移動することにした。しかし、西側からの雲海は優勢とならず、東側から大きな雲海が大谷ヶ丸を乗り越え足早にやって来た。撮影場所を元に戻る余裕も無く、その場で撮影を続ける。あっと言う間に雲海は谷を埋め尽くした。暫く撮影を続けるが、8時に富士山は雲の中に姿を消した。 8時15分、ハマイバを後に花を撮りながら下山する。湯ノ沢峠には10時40分に戻る。今日は下山時に大蔵髙丸で男女4名の登山者グループおよび男性の単独登山者と、湯ノ沢峠に下る途中で男女3名の登山者と出会った。
今日の富士山
日ノ出時間(上空の雲が焼け 出し た) 4:30頃 |
日ノ出直後(山頂が赤みを 帯び る) 4:40頃 |
東から雲海が押し寄せてきたた 6:35頃 |
2段の雲海が形成された 6:50頃 |
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花の開花状況
現在多く見られる花はキンポウゲ、シロバナヘビイチゴ、スズランなどが登山道沿いに咲いている。どうしたことか、例年この時期に咲くフデリンドウが見当たらない。
今回は40年、60年に1度咲くといわれている熊笹の花に注目した。花が咲くと実を付け枯れるそうである。熊笹の最期がゆえに華々しく花を咲かすのだと思われる。 開花状況は湯ノ花峠~大蔵髙丸~ハマイバ間において全てである。既に枯れ始めている笹も多く回復には10年、20年掛かるといわれている。滅多に見ることのできない貴重な経験であるが、その周期は長くそれゆえ天変地異など凶事の前兆と恐れられている。
特集 熊笹の花
花が咲くと実を付け枯れて朽ちるという熊笹。長い年月を風雪に耐え生き続けてきた熊笹。いよいよ最期を迎え、命を振り絞り華やかに咲き誇っている花。これほどドラマティックな花が他にあるのだろうか?
ハマイバ付近 | 同左 | 同左 | 同左 | |||
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ハマイバ~大蔵髙丸間 | 同左 | 大蔵髙丸~お花畑間 | 湯ノ沢峠付近 | |||
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その他現在開花している花
ニガイチゴ(バラ科) ハマイバ付 近 |
ミヤマカラマツ(キンポウゲ科) ハマイ バ~大蔵髙丸間 |
ミツバツチグリの八重(バラ科)ハマイ バ~大蔵髙丸間 |
レンゲツツジ(ツツジ科) ハマイバ~ 大蔵髙丸間 |
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ベニウツギ(スイカズラ科) 大蔵 髙丸~お花畑間 |
キンポウゲ(キンポウゲ科) お花畑 | スズラン(ユリ科) お花畑 |
キンポウゲ(キンポウゲ科) お花畑 | |||
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ヤマツツジ(ツツジ科) お花 畑 |
ウメバチソウ(ユキノシタ科) 湯ノ沢峠 |
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使用カメラ: OLYMPUS E-M1 FINEPIX F1000EXR
6月4日 雁ヶ腹摺山
間もなく梅雨入りしそうな状況の中、当日の天気予報は晴のマークが付いていた。この機会を逃すと暫くチャンスはなさそうである。今回は今年初めてとなる雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
午前2時、大峠の駐車場に到着。1台の車が止められていた。カメラマンと思われるが既に出発しているようである。大峠駐車場から富士山が展望出来るようになったのは、山頂に登らずとも情報が得られるため大変有り難い。
西の空には十六夜月(満月の翌日)が煌々と輝きを見せている。その光りは富士山周辺の雲を浮かび上がらせ、幻想的な情景が繰り広げられている。1時間早く到着していれば山頂でバルブ撮影が出来たのにと悔やまれる。先客はその情景を山頂で撮影しているに違いない。
2時20分大峠を出発。強風で木々の葉が揺らされザワザワ大きな音を立てている。風は思いの外冷たく寒さを感じる。昨年10月以来、久々の登山道であるが、所々にある急斜面は結構辛い登りであったことを改めて認識する。短い距離であるが、年齢を重ねる毎にそれを越えるのに身体への負担が大きく増していることを実感する。
撮影場所は山頂直下の大きな岩の上でと考えているが、先客に場所を確保されている可能性があり、その場合は少し下がり、奥まった場所で行うつもりである。
3時50分、大きな岩の撮影場所に到着。先客の姿は見当たらず、登って来た途中の奥まった場所で撮影していると思われる。
周辺は既に明るみを帯び、更に十六夜月がそれを助長している。撮影準備にヘッドランプを必要としない程の明るさで作業はし易いが、強風は相変わらずで小物は飛ばされ手間が掛かる。温度計は10℃を示しているが風が強いため体感温度は5℃程低いと感じられる。
富士山には光はないが美しい姿は保たれている。それにしても今年は山頂の雪が例年に比べ少ない気がする。気候変動が原因しているのだろうか?
今日の日の出時刻は4時26分(東京)、1年中で最も早い時期に入っている。富士山に掛かる雲はないが上空には雲が多く、全体に薄い霞が掛かっているように見える。
日ノ出が近づくにつれ富士山上空の雲が焼け出した。その後、山頂にも光が入り朝焼け富士となって現れた。時間と共に風も収まり、富士山の抜けも良くなってきた。
撮影場所を山頂に移し新緑を撮ることにした。以前、山頂からは左右の大木が迫り出し、視界が狭められていた。このため構図が制約され撮影しづらかったが、最近両サイドの大木が伐採され視界が広がった。これにより撮影の制約を殆ど受けなくなったことは大変有り難い。
撮影を終え8時30分下山を始める。途中、大きな岩を少し下った奥まった撮影場所に立ち寄ってみると、何と先客と思われる人に出会った。先に止められていた車の主である。午前2時に到着し撮影を続けていたそうで下山を始める所だったと言う。茨城県の日立市から遠路来られたそうである。
花の写真を撮りながら下山し、10時に大峠に到着。駐車場には自分の車と先客の車が止められていたが、帰り支度をしている間に、3台の車が時間を置いてやって来た。その内1台の車の1人が山頂に向かい、その他の人達は展望所に腰を下ろし富士山を眺めていた。
今日の富士山
早朝は富士山の抜けも余り良くなかったが時間が経つにつれ抜けてきた。富士山の雪は例年に比べ大分少ない。
朝焼ける(大きな岩の上より、日ノ出時間) 4:35頃 | 新緑に映える(山頂より) 8:30頃 | |||||
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南アルプスの展望
午前5時頃撮影(山頂直下より)
山頂と登山道および花の開花状況
雁ヶ腹摺山山頂 8:25頃 |
山頂からの展望 8:30頃 |
山頂に群生するシロバナヘビイチゴ (バラ科) 8:30頃 |
同左 |
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山頂に咲く未だ蕾のミツバツチクリ (バラ科) 8:30頃 |
山頂に自生。鹿が食べないというマ ルバダケブキ(キク科)(8月になると 黄色い大きな花が咲く) 8時35分頃 |
山頂付近の巨大な自然石 (神奈備 石と呼ばれている) 8時35 分頃 |
撮影場所(山頂直下の大きな岩の 上) 8:40頃 |
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最盛期を過ぎ殆ど見られないミツバツ ツジ 8:40頃 |
新緑が眩しい(中腹の登山道) 9: 15頃 |
谷を横断する木道 9:25頃 |
キンポウゲ(キンポウゲ科) 9:30頃 |
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シロバナヘビイチゴ (バラ 科) 9:35頃 |
ザレ場 9:40頃 |
カラマツソウ (キンポ ウゲ科) 9:45頃 |
大峠登山口近くの水場(御硯水と書 かれている) 9:55頃 |
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大峠の状況
大峠の駐車場 9:55頃 |
大峠からの富士山展望 10:05頃 |
シロバナヘビイチゴ(バラ科) |
クワガタソウ(ゴマノハグサ科) | |||
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キンポウゲ(キンポウゲ科) | シロバナヘビイチゴ(バラ科) |
同左 | ||||
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使用カメラ:OLYMPUS E-M1 FINEPIX F1000EXR
5月29日 大蔵高丸・ハマイバ
今年は春先から気温が高く、ハマイバの大株ミツバツツジの見頃も例年より早めになると予測される。過去の見頃時期を調べてみると、6月前半から中頃に掛けて最も多く、年々早めになる傾向が見られる。昨年6月2日前後が最盛期だったことを考えると、今年は今がピークと云っても良い。年々花全般に開花が早まっている傾向があるが、気候変動による影響も考えられる。今回もミツバツツジと富士山を狙ってハマイバを訪れることにした。Tenki.jpによる天気予報は曇りマークが早朝から付いていた。場合によって富士山は雲で覆われ姿を現さない可能性もあるが、ミツバツツジはピークを迎えている。まさに今しかないチャンスである。花と富士山を撮るのには双方が満足されないと写真にはならず、チャンスは後先あるものではない。富士山が姿を現すことを祈りつつミツバツツジの咲くハマイバを目指すことにした。
午前2時05分、湯ノ沢峠の駐車場に到着。他に車は駐車されていない。以前、駐車場が満杯だったことがあるが、1台もないと開花に不安を感じる。車の外に出ると風が強く、冷たい風が身体の中を通り抜け寒さを強く感じる。天空を仰ぐと所々に微かながら星の瞬きが確認出来る。この地点から富士山を望むことは出来ないが、微かに輝く星を見て、天空は抜けていると考えられ、現在、富士山は姿を現しているに違いないと確信する。 今回の撮影行程は日ノ出時間帯に朝焼け富士を狙い、光が廻った頃にミツバツツジと富士山を撮影する予定であるが、天気予報通りとすると太陽の光が差さない可能性がある。その場合は撮り方を一考しなければならない。
2時20分、ハマイバに向かい出発。強い風が木々の葉を揺らし、ざわざわと大きな音を立てている。お花畑を通過する際、改めて天空を望むが星の瞬きはもう何処にも見られない。予報通り現在は曇り空に変わったようである。西側方面を望むが、甲府盆地に雲海の発生は見られない。お花畑の登山道脇には小さな白い花があちこちに咲き、ヘッドランプの光に反射し浮かび上がって見える。これから夏にかけて多くの花が咲き、華やいだ高原の雰囲気が味わえる。
お花畑を通過し暫くすると大蔵高丸への登りに入る。以前はお花畑から直登する急勾配のルートであったが、斜面崩壊を防ぐため西側に迂回するルートが設けられた。これにより傾斜は緩くその分距離は長くなったが歩行は大分楽になった。暫く登りが続き運動量が多いにも関わらず、気温が低いため汗を掻くことはない。
3時00分、大蔵高丸に到着。富士山は朧気ながら黒い姿で輪郭を現している。暗くてハッキリ確認出来ないが、5合目辺りから下の方に雲海が発生しているように見える。休む間もなくハマイバに向かう。風は相変わらず強く、湿気もあまり感じられない。
ハマイバの撮影場所に着いたのは3時30分。この場所はハマイバ山頂を越え、少し下ったところにある。昨年、木が伐採され展望が大きく開けた。富士山を撮影する絶好のポイントと云って良い。薄暗く抜けも余り良くないが富士山の姿はハッキリ確認出来る。次から次へと湧き出る雲。東からの強い風に煽られ舞い上がる雲、その光景は迫力満点である。西に長く連なる大雲海の光景に感動を隠すことは出来ない。早速、撮影準備に取り掛かる。
富士山の姿は目前にあるが、霞が掛かったようで抜けが悪い。日の出時間を過ぎても雲に覆われているため、太陽の光は入ってこない。動きのある雲に対し主役の富士山の影は薄い。今日は予報通り曇り空となったが、明るくなれば抜けてくると思われる。6時頃になりやっと辺りに明るさが出てきたが、富士山は相変わらず暗い表情をしている。迫力ある雲の動きをカメラで捉えようとするが、ポイントが絞り切れない。
撮影場所を大株のミツバツツジの所に移動する。今年は花芽が少なく葉は茶色味掛かり既にピークを過ぎているようである。花にも光は入らずどうしてもコントラスト不足の写真にならざるを得ない。他の株のミツバツツジも対象に撮影を続けるが、光量不足で意図する写真を撮るのは難しい。更に撮影場所を変え、新緑が撮れる山頂より北側へ移動し撮影を続ける。やはり光量不足で新緑も映えることはなく、これ以上撮影する意欲はなくなり撮影を打ち切る。9時25分、ハマイバを後に登山道際の花を撮りながら下山を始める。大蔵高丸で富士山を望むが雲に覆われ姿を見ることが出来なくなっていた。ノ沢峠駐車場には10時55分に到着。
今日は比較的多くの登山者と出会った。ハマイバで単独の女性登山者と、同じく単独の男性登山者、大蔵高丸から下山途中で男女5名の登山グループ、そして、男女の2人組登山者と、更にお花畑で大型犬を連れた男女2人組と出会った。
今日の富士山
全般に光量不足でコントラストに欠ける
ハマイバより 6:10頃 |
同左(今年は花芽が少なくピークを 過ぎている) 7:05頃 |
ハマイバ北側より 9:00頃 |
同左 9:00頃 |
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花の開花状況
湯ノ沢お花畑~大蔵高丸~ハマイバに掛けて全般に咲いている花は、スミレ、シロバナヘビイチゴ、キンポウゲ、ミツバツチクリなどが多く見られる。お花畑では健気に咲いているスズランも見られる。これから夏にかけて沢山の花が咲き楽しみである。
以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。
ホンスミレ(スミレ科) ハマイ バにて |
ミツバツチクリ(バラ科) ハマイ バにて |
トウゴクミツバツツジ(ツツジ科)ハマ イバ~大蔵高丸間にて |
ニガイチゴ(バラ科) ハマイバ~大 蔵高丸間にて |
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キンポウゲ(キンポウゲ科) ハマイバ ~大蔵高丸間にて |
ノジスミレ(スミレ科) |
シロバナヘビイチゴ(バラ科)ハマイバ ~大蔵高丸間にて |
マイズルソウ(ユリ科) ハマイ バ~大蔵高丸間にて |
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開花前のタンポポ(キク科)) |
ムシカリ(スイカズラ科) ハマイバ ~大蔵高丸間にて |
登山道際に多く見られるシロバナヘ ビイチゴ (バラ科) ハマイバ~ 大蔵高丸間にて |
チゴユリ(ユリ科) 湯ノ 沢お花畑にて |
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スズラン(ユリ科) 湯ノ沢お花畑にて |
ミツバツチクリ(バラ科) 湯 ノ沢お花畑にて |
ナガバノスミレサイシン (スミレ 科) 湯ノ沢お花畑にて |
ワチガイソウ(ナデシコ科) 湯ノ沢峠にて |
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山頂と登山道
ハマイバ山頂 8:00頃 |
ハマイバの南側進入扉 9:40 頃 |
ハマイバ~大蔵高丸間の 登山道 10:00頃 |
大蔵高丸山頂 10:10頃 |
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お花畑北側の扉 10:50頃 |
湯ノ沢峠分岐点 10:55頃 |
湯ノ沢峠の駐車場 10:55頃 |
駐車場傍に咲く ツクシカ イドウ(バラ科) |
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使用カメラ:OLYMPUS E-M1 FINEPIX F1000EXR