2016年 撮影紀行(その1)



1月28日 高川山

 今月18 日に降った雪が山には大分残っていることが予想された。雲一つ無い青空に聳える純白な神々しい富士山、そして周辺の山々と街の雪景色、この時期を象徴した情景が捉えることが出来ればと、高川山を訪れることにした。
  今回も初狩側の登山口から男坂コースを登り、女坂〜沢コースを下る予定である。初狩駅東側のアンダーパスを潜り、南側の狭い曲がりくねった道路を南に向かうと登山口に到着する。途中、お墓のあるところまでは除雪されていて雪面を走行するところはなかったが、この先は降った状態の儘で30cm程の積雪がある。轍もなく車の入った形跡はない。乗用車では腹を擦って前に進むことは出来ない状況である。登山口まで行き着くかどうか不安はあるが、行けるところまで行こうと、雪面に入る。全般に上り坂で急坂は勢いを付けないと登らない。バックし勢い付けを何度か繰り返しやっと登山口に到着。墓のところから30 分以上掛かり、予定を20 分程遅れ、到着は午前3時30 分になっていた。
  30cm以上の雪道を歩くには経験的に無雪期の2 倍の所要時間が掛かると判断した。日ノ出に間に合わない可能性が高く準備をそこそこに出発を急いだ。
  4 時05 分に登山口を出発。男坂、女坂コース入口まで林道を暫く行くが雪面が凍結し、場所によってはズボッと足が潜る。コース入口を入ると、踏まれた跡があり雪面は締め固まっている。この状態であれば日ノ出に間に合うと思われた。
  順調に登り、男坂の分岐に4 時35 分に到着。これから登る男坂は1 部岩の露出した急斜面がある。そこにはロープが張られているが、凍結した雪に埋まりそれに頼ることは出来ない。時間を掛け滑り落ちないよう慎重に登ることが要求される。やや時間を要したが合流点を5 時30 分に通過。ビッキーが旅立つ前はこの付近まで出迎えてくれたことがある。
  山頂には5 時50 分到着。もう少し時間が掛かると思っていたが、登山道の雪が踏み固められていたため助かった思いである。西の空には満月から4 日目となる寝待月が満天の星空に一際光り輝いて見える。雲は何処にも見当たらず、堂々とした富士山が薄暗い中にも存在感を示している。周辺の山々や街も白色に染まり冬の寒さを物語っている。それほど体感的に寒さは感じないが、6 時30 分の気温は−5℃とやや高め。
  東の空は既にオレンジ色に焼け始めている。全体に明るみを帯び周辺の状況が確認出来るようになったが、富士山の雪が暖冬のせいか斑な部分もあり例年に比べ少ない。
 日の出時間は6 時44 分(東京)。ほぼ時間通り富士山頂に朝日が入る。僅かにピンクを帯びたが焼けるには至らなかった。今日は雲一つ無い晴天に恵まれたが、神々しい富士山を撮るには雪が少なく物足りなさを感じる。ピーカン状態で富士山を撮るには変化に乏しく単調な富士山にならざるを得ない。新たな発想で表現することも必要だと思う。
 それにしても高川山からの展望は素晴らしい。十二景の山も多くが見られ、遠くには南アルプスの雪を被った間ノ岳、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳などが展望出来る。山頂に長居をしたが、パノラマムービーを撮影したことや、3 人の登山者が次々と現れ、山の話しやビッキーの話などをしたことが長居した要因である。しかし、交流の場が持てて良かったと思う。
  下山開始は10 時00 分。下山途中にも都合男女6 人の登山者に出会った。この雪の中、高川山は人気の山だと改めて認識した。女坂〜沢コース共に登山道は踏まれていたため下山も比較的楽で登山口には11 時05 分に到着。駐車場には自分の車以外は止められていない。恐らく出会った登山者は初狩駅から歩くか、車でも墓の付近に駐車しそこから歩いたと思われる。
 初狩方面に車で向かう際、お墓のところに1 台の長野ナンバーの乗用車が道を塞いでいた。近くに広い場所もあるのだが・・・・車を退けるわけにはいかず先に進婿とは出来ない。車の主は登山者と思われるが雪道を上がりきれず、そこに置いて登山に出掛けたと思われる。レッカー車を呼ぶか考えたが、様子を見てからにしようと暫く待つことにした。その登山者は登山口に車が1 台止めてあることは承知の上と思われ、早めに戻ってくると判断した。車の主が現れたのは12 時30 分。1 時間程の待ち時間と長時間にならなくて良かったが、新しい轍の跡が連なっているのは車を降りてすぐに分かった筈である。状況判断が甘かったようだが、同年代の人で、文句を言う気にもならなかった。



今日の富士山

 雲一つない青空に堂々と佇む富士山は他に類を見ない存在感に圧倒される。当たり前の富士山を表現するには特徴を見いださないと当たり前な富士山を撮ることは出来ない。今回は神々しい富士山を表現するつもりであったが、それには富士山の雪が不足している。


日ノ出時間に朝日が差す(僅かにピンク掛かる)
     6:50頃
 全般に雪は少なく雪の剥げた部分が目に付く
   6:50頃



山頂と登山道の状況



高川山山頂の様子 10:00頃
山頂直下の登山道(30cm
以上の積雪) 10:05頃
山頂から10分程下った所
10:10頃  
男坂、女坂の合流点
(女坂を下る)    10:15頃


斜面に切られた女坂コースの
登山道      10:20頃          
 急峻な沢を横断する箇所
(ロープが張られている)
   10:20頃  
女坂コースから沢コースへの
分岐点      10:30頃
雪の多い沢コース登山道
     10:35頃


斜面途中に卵形をした大きな
岩石(玉子石)   11:00頃  
女坂、男坂登山道入口
11:05頃
高川山登山口(自分の車
以外は止められていない
10:10頃



                               使用カメラ:・OLYMPUS E-M1  ・FINE PIX  F1000EXR






1月19日 岩殿山


  前日、大量の雪が降り、大月市内の平地でも30cmを超える積雪が観測されていた。山間部では更にプラス20cm以上の積雪が予想された。今までの経験上50cmの積雪で丁度膝まで潜り、自分の体力から一人歩きの場合の限界である。小金沢連嶺〜南大菩薩嶺に掛けては素晴らしい雪景色が得られると思われるが、登山口まで車で入れるか判断は難しい。また、積雪も更に多い可能性があり、今回は断念し、扇山から富士山を狙うことにした。扇山では40cm以上の積雪が予想された。所要時間も梨ノ木平登山口から無雪期の2倍の3時間は最低限見込んで置く必要がある。山頂に日の出前に立つには余裕を見て午前3時には登山口を出発しなければならない。このような行程のもと路面凍結や中央高速が上野原ICまでという状況を考えると、自宅を午前1時前に出発しないと山頂に予定通り到着することは難しい。
 自宅を12時45分に出発。八王子ICまでは一般道を行くが場所によっては路面が凍結しスピードを上げるわけにはいかず低速走行。高速に1時30分に入る。完全に除雪されていて路面はドライ状態のため規制50km/hにも関わらず通常の走行が可能。藤野SAまで渋滞もなく順調に来たが、ここからは完全には除雪されていないため、路面は凍結状態で滑り易く速度を落としての走行。上野原IC手前2km位の所で高速を出る車の最後尾に付いたが、この時、時計は午前2時を示していた。情報標示板にはIC出るまで20分と表示されていたが、その時間が経っても車は全く動かない状態。3時を過ぎても車は同じ位置。前も後ろも横もトラックばかり、運転手は車の外にも出ず皆静かである。”まな板の上の鯉”で諦めの境地なのかも知れない。長距離トラックの運転手は良くわきまえているのだろうと思った。それにしても、交通情報を聴いても2kmの渋滞というだけの説明。
 情報は全く得られないまま、結局5時30分になって少しだけ動き出す。しばらく進むと警察官のような人がいて聞いてみると、トラックがスタックし動けなくなったため重機で中分側へ寄せる作業に時間が掛かったとのこと。確かに10数台の大型トラックやトレーラーが寄せられていた。
 結果論であるが相模湖ICで降りていれば、或いは最初から一般道を来ればと悔やまれたが後の祭りである。上野原ICを出ても国道20号は路面が凍結し、渋滞と相まってノロノロ運転。扇山行きは当に諦めていたが、せめても岩殿山の丸山山公園では日ノ出時間に着きたいと思う。しかし、先に進む速度は遅く、猿橋を通過する際には日ノ出時間を過ぎていた。秋山を経由していればもう少し早く着いた可能性がある。
 岩殿山の駐車場に着いたのは7時50分。せめても丸山公園から富士山を撮ろうと準備を始める。積雪は30cm。アイゼンを装着し出発。入口までの歩道は除雪されていないため、雪の表面は凍っていて固くデコボコしていて歩きにくい。
 丸山公園には8時10分に到着。やはり雪は30cm程で、先客の足跡がボコッと穴を空けている。登るに従って積雪が増している状況が覗えるが、今日は時間も遅く山頂を踏むつもりはない。富士山山頂には動きのある雲が掛かり、荒れている様子が覗える。日ノ出から大分時間か経っているため、撮影意欲は湧かないが、記録として撮影しておく。朝食を摂り9時30分に下山する。
 今日は下山時に大月のカメラマン2名と出会った。


今日の富士山


  山頂には動きのある雲が掛かり、強風が吹き荒れている様子が窺える。山頂の雪はたっぷり蓄えられ冬の富士山らしい姿を見せていた。

爆発したような雲で迫力がある   8:40頃  
  山頂の雲は減る傾向にあるが
山頂はなかなか姿を現さない  9:10頃




                        使用カメラ:OLYMPUS E-M1   FINEPIX  F1000EXR









1月13日 奈良倉山


 前日、東京でも雪がパラツキ初雪となった。そして、富岳十二景の山でも例外なく雪が降ったと思われた。今回、降雪の詳しい状況は不明であるが、積雪の期待できる十二景の山で最も北に位置する標高1349mの奈良倉山を訪れることにした。(前日、小菅町役場に問い合わせた結果、午前中僅かに降雪があったとの情報を得た)
  1昨年11月に国道139号の松姫トンネルが開通し、松姫峠に行く道路は村道として村が管理するようになったが、その結果12月から4月まで冬季閉鎖により、車で松姫峠へ行くことが出来なくなった。これにより冬の奈良倉山へは鶴峠を登山口として山頂を目指すことになり、所要時間も山頂まで松姫峠からに比べ1時間程余計に掛かる行程が必要となった。気軽に登れる奈良倉山であったが、冬季の登山は今までに比べ大分厳しくなった。特に積雪が多い時は一層厳しい状況が考えられる。なお、鶴峠は奥多摩の三頭山への登山口にもなっている。
  鶴峠の登山口へは自宅から青梅街道経由で小菅村に入り、松姫トンネル北側の入口手前を左折。上野原市に抜ける県道18号線に入ると10分程で峠に到着する。自宅から所要時間2時間弱である。登山口には午前3時40分に到着。山頂へは1時間30分程で到着する予定で、日の出時間まではかなりの余裕を見込んである。
  4時05分、登山口を出発。昨年1月に初めて鶴峠からのコースを登ったが登山道は良く整備され方向標示板も随所に設置され、暗くても道に迷うことは無いと、2度目の今回、不安は一掃されている。昨日の降雪で積もる程ではないが登山道は薄らと白くなっている。登るにつれ積雪が増す可能性があるため、アイゼンを持参することにした。登山道の雪は中腹を過ぎても増えることはなくアイゼンの使用は無くなった。  
  登山口から1時間程歩くと松姫峠への登山道と合流する筈であるが、更に15分程歩いても合流点に到着しない。雪で道は分かりにくくなっているが、道を外した覚えはない。しかし、不安なため、標示板のあるところまで戻ることにした。間違えた箇所を戻りながら探したが、見付からない。やや急勾配の下りだったため、雪が枯葉の上に薄く積もっているところで足を滑らせ転倒。途中、谷の斜面の木に引っかかり滑落は免れたが、少しかすり傷を負った程度で大事にならなくて良かったと胸を撫で下ろした。
  標示板のあるところまで20分程下り登り直したが、分岐点まで今度はスムーズに到着した。間違えた箇所は特定できなかった。何か狐につままれた感じである。下山時の明るいときに確認しようと思いながら、山頂を目指した。分岐点から山頂までは約30分の行程である。
  山頂には6時20分に到着。予定より1時間遅れである。気温は−9℃。風がないため強い寒さは感じない。山頂の雪は地面を白く染めている程度で積もってはいない。
  富士山の姿が目前に迫るが山頂の雪は少なく化粧を落とした感じで美しさは半減している。昨日、下界では雪が降ったところも有るが、富士山頂には殆ど降らなかったように思える。
  日の出時間は6時51分(東京)。1年中で 最も遅い時間が10日程続いたが、明日からは1分ずつ早くなり、これからは春に向かい日一日と日が長くなる時期を迎えている。
  今日は全般に雲は少なくピーカン状態と云っても良い。変化に乏しく、撮影意欲はやや損なわれるが、日の出時間には山頂に朝日が入り、薄ら山頂の雪がピンク色に染まった。山頂上空には時折筋雲が現れては消える繰り返しが見られたが、特段の変化は見られず、8時30分撮影を打ち切り、下山を始める。
  下山時の明るい状態でも登山道を外した箇所は見当たらなかったが、転倒した箇所は確認出来た。転倒 時に帽子を無くしたが、斜面の途中に転がっているのを見付けた。登山道を外したことに関し、良く考えてみると外していなかったかも知れない。分岐点に着かなければならない時間を超えたため間違えたと勘違いした可能性がある。昨年3月に腰を痛め庇いながらの歩行で思った以上に時間が掛かっていたのかも知れない。もう少し先に分岐点があった可能性がある。特に暗いとヘッドランプの灯りでは見える範囲が限られ記憶に残らない。登り返したときに同じ道を歩いたことが明確に判別出来なかったため勘違いした可能性がある。
 登山口には9時45分に到着。今日は下山時に1人の登山者と出会った。



今日の富士山


 今日はピーカンに近い状態でありながら、空気に水蒸気が多く含まれているようで抜けが余り良くなかった。絵になるような雲もなく変化に乏しい。また、富士山の雪も斑で少なく、化粧が上手くいっていないように見える。富士山の美しさは半減している。


僅かに色づいた日の出時間        6:50頃    

 筋雲が現れる            7:45頃

形の良い雲がなかなか現れない     7:55頃





 
 
 
 
 
 
 
 







山頂と登山道の状況

 積雪には及ばず地表に白く色が付いた感じで、木々にも雪が付着した形跡すら見られない。登山道は良く整備され歩き易いが、途中から松姫峠への分岐点付近に向かってはやや急斜面がある。コース全般には急斜面は少ない。途中、地図にはない林道と交差する箇所があり、林業の盛んなことが覗える。

以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。


奈良倉山山頂        8:30頃  
富士山展望所         8:40頃
山頂を少し下った箇所にある方向標
示板     8:45頃  

松姫峠、鶴峠への分岐点      8:50頃




明るい日差しの当たる         
登山道        9:10頃  

所々で交差する林道       9:30

JTの森小菅の入口      9:40
頃  

鶴峠に向かう登山道  (三頭山への
登山口は道路を隔てた反対側にあ
る)    9:45頃




                                                                                            


                                           使用カメラ:OLYMPUS E-M1   FINEPIX  F1000EXR