2014年 撮影紀行(NO.1)



1月27日 百蔵山

 百蔵山からの富士山撮影は昨年3月以来のことである。今回は前日に小雨が降ったことにより、桂川沿いの湿った空気が放射冷却で霧が発生することを願い、更にこれが雲海となって現れることに期待し百蔵山を訪れることにした。
 百蔵浄水場先の西コース登山口に着いたのは午前2時50分。風がやや強く雲一つ無い満天の星空。南の空の低い位置には月齢25日の有明月が三日月姿を見せている。 3時20分登山口を出発する。予報通り冷え込みは厳しく、風が強く汗が表面に出ることはない。百蔵山は比較的緩斜面で運動量が少ないため汗が表面まで出てこないのも一つの要因と思われる。
 40分程で中腹の富士山展望地に到着。暗くて富士山は確認できないが、目に留まらないだけと思われる。この展望地にも立派なベンチが設置されている。ここからも街の灯りが輝きを見せている。展望地から更に20分程で山頂への分岐点となる尾根鞍部に出る。風が一段と強く雲海は諦めざるを得ない。北側の斜面には所々白いものが見られるが登山道に雪はない。
 山頂には4時45分到着。いつもより10分程余計に時間が掛かった。体力の衰えなのだろうか?山頂からは暗いながらも富士山の姿はハッキリ確認できる。期待した雲海は皆無である。街の灯りはキラキラと輝き空気が澄んでいることが窺える。星空があまりにも綺麗なため、バルブ撮影を行う。
 6時30分の気温はマイナス9℃と低く、風があって体感温度は更に厳しく寒さに震える。特に手足の指先の痺れるような痛さは特筆できる。
 日の出時間は6時45分頃、雲もなく今日は朝焼け富士を狙うしかないようである。日の出前から若干赤みを帯びたが、僅かに紅色に染まった程度である。今日は完全なピーカン状態で変化がなく富士山の撮影が難しい状況である。今日の富士山は空気が澄んで鮮明な富士山が望める。その姿は神々しく、思わず手を合わせたくなる。この時期の富士山は雪の量も程良く1年中で最も美しい富士山が見られる。
 これ以上、山頂に居ても変化はないと判断し、8時40分撮影を打ち切り下山を始める。登山口に戻ったのは9時40分。今日は下山時に1人の登山者と出会った。


今日の富士山

朝焼けの富士山        6:40頃 
山頂の松の木と     7:00頃 
山頂のススキと    7:30頃









山と花の開花状況



山頂の様子       7:45頃


山頂に設置されたテーブルとベンチ 7:45頃


山頂付近の檜林の間を行く尾根道      8:55頃







中腹の展望地からの富士山   9:10頃
登山口近くの水場     9:35頃
登山口の駐車スペース   9:40頃







                                                                    使用カメラ: ・OLYMPUS E-P2   ・FINEPIX F300EXR







2月5日 大蔵高丸


大蔵高丸は昨年2月7日の同時期に訪れている。この時も雪が多く、山頂からの日の出時間に間に合わず、納得の出来る写真を撮ることが出来なかった。今回は再チャレンジと言うことで余裕を持った行程を立て、日ノ出時間帯の富士山を狙うことにした。

 前日の雪で、山の積雪がどの程度か情報のないまま自宅を23時30分に出発。4日に降った雪は少量だったようで、大月ICを降りても市内の道路には目立って白いものは確認されず、山岳地域に雪が降ったのだろうかと少し心配になった。笹子に入ると道路に雪はないが周辺にはちらほら雪が降った形跡があった。それが笹子トンネルを抜けると一転、道路には雪が積もり周辺は真っ白。白銀の世界に様変わりしていた。

 R20から景徳院の信号を右折し、県道218号線に入る。路面は圧雪された雪が10cmほどあるが、車の運転には程良い雪である。進むに連れ積雪量は増加し、天目山温泉から林道に入ると更に増え15cm程の新雪が積もっている。真っ新な雪の路面には轍はなく車が入った形跡はない。

 閉鎖ゲートには午前1時に到着。積雪は変わらず15cm位で思ったよりも少ない。強風のせいか周辺の木々には雪は着いていない。昨年はもう少し雪は多かった気がする。この時はお花畑への扉か凍結して開けるのに時間が掛かかり、3時に出発したが、日ノ出時間に間に合わず悔しい思いをした。今回はその二の足は踏むまいと、余裕を持って出発することにした。

 ゲート前を出発したのは1時40分。日ノ出時間までは5時間、だいぶ余裕を持った出発時間である。昨日の林道の雪は降雪後未だ時間が経っていないため除雪されていない。林道を登るにつれ雪は深くなり、昨年よりペースは遅い感じである。焼山沢登山口への分岐には2時40分に到着。予定よりやや遅れた。登山道に入ると膝ぐらいまで足が潜ることから、50cm程の積雪があると思われた。登山道には勿論トレースもなく暗い中、雪の多い沢沿いの道を歩くのはやや危険が伴うと思われた。それを回避しようとコースを変更し、林道経由で湯ノ沢峠を目指すことにした。この時点で日ノ出まで4時間あり、それまでには十分間に合うと判断した。

 林道の雪道をひたすら歩くのも単調で辛い面もあるが、登るにつれ標高の割合で積雪は増加し、所々にある吹きだまり箇所では膝上10cmの深さにもなり、前に進むことが難儀で、100m進むのに10分と、歩くペースは一時的に極端にスローとなり、日川林道の取り付け点では既に5時を回っていた。この時点で山頂からの日ノ出時間には間に合わないことを悟る。これから先、少なく見積もってもこの雪の量では山頂まで3時間は掛かると推測された。

 湯ノ沢峠には6時40分に到着。ちょうど日ノ出が始まる時間になっていた。朝日を浴びた雪面は紅く色付き、霧氷は桜が咲いたようにピンク色に染まり素晴らしい光景を見てしまった。この時間に山頂にいたらと思うと、悔しさだけがこみ上げてくる。沢沿いの登山道を歩いていたらと悔やまれたが、遅かりしである。昨年2月の二の足を踏んでしまったようである。

 湯ノ沢峠も雪は多く50〜60cmの積雪がある。このうち根雪が半分ぐらいあるが、凍結した根雪の中に足を突っ込んでしまうと抜くのが容易でない。

 山全体に強風が吹き荒れていたが、湯ノ沢のお花畑を通過する時は遮るものが無く、更なる強風に晒され、風圧で体が安定しない。雪も強風で飛ばされ地面に薄く張り付いている程度である。

 お花畑の南北2箇所にある動物進入防止扉は凍結がなく、下面を除雪しただけで容易に開けることが出来た。昨年は根雪の凍結した氷に扉の下部が埋まり、開けるのに大変難儀した。

 山頂到着は8時30分。日ノ出時間を2時間程過ぎていた。気温は氷点下15℃。強風で顔が千切れるような痛さを覚え、ダウンのフードは強風でめくり上がり、寒さの絶頂である。

 湯ノ沢峠から山頂まで1時間20分掛かった計算で、無雪期の2倍の所要時間である。湯ノ沢峠から大蔵高丸までの間で最も積雪量の多い箇所は、お花畑を越えたピーク点から山頂までの北西斜面に敷設された登山道で、60cm〜70cmである。昨年の2月より20cm程多い。

 今日は雲が少なく、富士山は素晴らしい姿を見せている。惜しむらくは、日ノ出時間には霧氷、雪面、富士山が紅く染まり、素晴らしい情景が繰り広げられていたかと思うと、日ノ出時間に間に合わなかったことが悔やまれてならない。

 今この情景に至っては撮影意欲を失ない、撮影準備に入る気力がない。時間が過ぎゆくばかり。気を取り直し、撮影準備に入るが、雪面の三脚設置も斜面では儘ならず、撮影箇所を決めるにも、移動するにも容易でない。疲れがどっと出た瞬間である。

 今日の撮影状況は、既に陽は高く通常の青空と、富士山の東側の斜面に沿って雲が長く這っている場面であるが、期待した霧氷は思いの外少なく、インパクトに欠ける単純な情景が目に入る。

 暫く状況の変化を期待しながら撮影を続けるが、一向に状況に変化はないため撮影を打ち切ることにする。撮影機材を引き上げ、12時に下山を始める。

 湯ノ沢峠から長い林道を下るのはもう懲り懲り、沢沿いの登山道を下ることにした。湯の沢避難小屋を覗いたが誰も客はいなかった。時間は既に13時30分、山頂に長居をしたようだ。ピッチを少し上げて下ることにした。

 沢沿いは林道ほど積雪は深くなく順調に足が進む。やはりトレースはなく山は独り占めかと思いつつ下ると、登ってくる1人の登山者と出遭った。山頂で誰かと会いましたかと聞かれ、いいえと答えると、ゲートに二台の車が止められていたとのこと。私の車ともう一台は山梨ナンバーだったそうである。カメラマンと思われるが、私の後をトレースし、湯ノ沢峠から白谷丸に登ったものと思われる。山頂は異なるが同じ山域に同士が居たと思うと何故かホッとした気持ちになる。焼山沢登山口には15時に到着。アイゼンを外すためザックを降ろしたついでに少し休憩を取る。凍りついた水筒の水はなかなか飲むことが出来ない。日向に置くが、気温が低いため溶けずに暫く時間を置いて少量だけ飲むことが出来た。

 林道は綺麗に除雪されドライ状態で歩くことが出来たが、舗装道路の下りほど、腰への負担が大きく、腰の痛みが大変辛い。ゲートには16時30分に到着。もう一台の車は既になかった。

 今回も昨年同様日ノ出時間までに山頂へ到着できず悔しい思いをした。今回は危険回避のため登るコースを沢沿いコースから、雪のある長い林道に変更した結果である。思いの外、林道の積雪が多かった事が直接の敗因である。

 因みにゲートから湯ノ沢峠まで沢沿いコースは4.3km、林道を歩くと9.6km、2倍以上の差があり読みが甘かった。林道が除雪されているか、雪が少なければ、結果にそれ程大差がなかったと思われる。



今日の富士山


強風で木々に付いた雪はだいぶ飛ばされていた




厳冬に佇む                   9:35頃
烈風吹き荒れる             11:35頃










登山道の状況


大蔵高丸山頂        12:05頃
山頂〜お花畑間の積雪は60cm 12:25頃
山頂〜お花畑間の登山道 12:25頃







山頂〜お花畑間の最深積雪箇所12:30頃(根雪に足をつ込むと抜くのに難儀する最深部は70cm位 )


南側の扉(容易に開いた) 12:50頃(除雪しただけで扉は容易に開いた)


雪原と化したお花畑    13:00頃 (遮るものはなく強風に晒される)






                                                                                                                                                                                                  
 


お花畑より大蔵高丸を望む  13:10頃  

お花畑に出来たシュカブラ 13:20頃 (強風と低温によ
り凍った雪面に出来る波状の 紋様)



湯ノ沢避難小屋       13:40頃






                                            
避難小屋の室内       13:40頃    
沢沿いの登山道      14:05頃  
沢に出来た氷のオブジェ   14:50頃






沢沿い登山道の入口    14:55頃      
焼山沢登山口        15:15頃
閉鎖ゲート        16:25頃







     行程:閉鎖ゲート(午前1:40発)→焼山沢登山口(2:40)→(林道経由)→湯ノ沢峠(6:40)→大蔵高丸山頂(8:30〜12:00)
                      →湯ノ沢峠(13:30)→(焼山沢経由)→焼山沢登山口(15:00〜15:30)→閉鎖ゲート(16:30着)



                                                                                                                使用カメラ:OLYMPUSEP-2     FINEPIX  E300EXR