2015年 撮影紀行(その2)


  
2月6日 扇山


 前日は関東甲信で降雪があり、大月の山にも新雪がもたらされた。積雪量は不明であるが、tenki.jpによる当日の天気は晴の予報が出されていた。先週は牛奥ノ雁ヶ腹摺山で積雪の多さに山頂を踏めず残念な思いをしたが、今回は市内に近い扇山から霧氷や樹氷を富士山にレイアウト出来ればと思い訪れることにした。今度こそ日ノ出時間に間に合うように梨ノ木平の登山口に余裕を持って到着するように予定した。
  梨ノ木平の登山口駐車場に着いたのは午前2時50分。道路の積雪は20cm、街中は殆ど無いのに僅かな標高差にも関わらず積雪の多さに驚いた。山頂までは無雪期であれば1時間30分程の所要時間であるが、30cm程度までの積雪であれば2時間程で到着可能である。
 3時20分登山口を出発。扇山は積雪期に何度か訪れているため道に迷うことはない。登山道を歩いていると、時折、杉の木の合間から西方に明るく輝く月が見える。月の明かりは雪面に反射し昼間のように辺りを明るくしている。月明かりは夜道を歩く人の強い味方である。今日の月は満月から2日目で立待月と呼ばれ見た目は殆ど満月に近い。その呼び名は満月の日より月の出が少しずつ遅くなるため、月の出を待ち遠しく思う気持ちから付いた名である。更に日を追うごとに居待月、寝待月、更待月と待つ心境を表した名が付けられている。
  暫くすると微かに沢音が聞こえてくる。途中の水場が近づいている証の音である。一服したい所であるが先を急ぐため水分補給はせず4時に水場を通過。これから暫くつづら折りの登り坂が続く。登山道の積雪は20cm程度で梨ノ木平と変わらない。これから標高が増すに連れ積雪が増すと思われる。
  ツツジ群生地への分岐点を4時30分に通過。ここは富士山を展望出来る場所であるが、月明かりがあるにも関わらず姿は確認が出来ない。風は殆ど無く気温は高めに感じる。
  百蔵山への分岐点である稜線に出たのは5時丁度。冷たい風が頬に当たり掻いた汗を静めてくれる。積雪は30cm、予想していたよりも少ない。雪質も乾燥ぎみでパウダースノーのように軽く、歩く時の抵抗も少ない。
  山頂には5時15分到着。雪面の足跡が写真に入り込まないように回り込んで山頂に立つ。風は緩やかで寒さは感じない。東の空は既に紅く染まり、今日の天気を保証してくれているようである。広い山頂は月明かりで全体を見渡すことが出来、周辺の樹木には雪が付き素晴らしい雪景色が展開されている。
  富士山頂には渦巻くような笠雲が掛かって動きを見せている。その動きを撮ろうと急いで撮影準備を行いバルブ撮影に入る。月明かりで見た目は昼間のように明るく、露光時間の設定が難しい。デジタルカメラを使って換算しフィルムカメラのそれを割り出すことも可能であるが、相反不軌の設定を考えるとこの場に及んで面倒で時間的余裕がない。勘を頼りに、420秒、300秒、200秒で撮影。さて、結果はどうなる事やら。
  日の出時間がやって来た。富士山頂の笠雲も姿を消し、雪面が朝日で僅かにピンク色に染まったが朝焼けと云う程のものではない。日の出直後の気温は−5℃と比較的高め。天空には殆ど雲はなく紺碧の空、富士山の抜けも極めて良く、神々しい富士山が目前に迫り思わず手を合わすことに。陽が高くなるにつれ周辺の樹木に付いた雪に光が入り色を帯びた。雪景色の素晴らしい光景に思わず感動する。
  8時40分山頂を後に下山する。今日も1人占めの富士山撮影となった。下山途中、20歳代と思われる登山者に出会った。山を始めたばかりと云っていたが、雪道は時間が掛かり大変と漏らしていたが、雪景色は素晴らしいと感動していた。梨ノ木平に到着したのは10時丁度。駐車場には昨晩から止められていたと見られる1台の車が未だそのままの状態で置かれていた。


今日の富士山


日の出時間前の富士山             6:10頃    


日の出時間(僅かにピンクを帯びる)    6:45頃






  


  


周辺の木々に朝日が入る          6:50頃    


樹木に付いた雪              7:30頃




  



山頂と登山道の状況


  山頂の積雪は30cm登山道も30cm〜20cmと比較的雪質も乾燥し歩く時の抵抗感はない。凍結した箇所もなくアイゼンも殆ど必要ないが、安全のため装着した方が良い。
 下山時には気温が上がり水分を含んだ雪に変わり、歩きにくくなる。時々木の枝に付いた雪が溶けて落ちてくることがあり、それに当たると雨に遭ったように濡れることがあり雨具を着ると安心出来る。




西の空に立待月が沈もうとしている       6:20頃






 


以下写真は下山時に撮影したもので時間を追って並べてある。




山頂の様子          8:40頃      
 
山頂から下山方向を望む       8:40
山頂から分岐点に向かう   登山道        8:45頃    
百蔵山への分岐点    8:50頃






分岐点からのつづら折りの  登山
道        8:50頃  
  ツツジ群生地分岐点付近の積雪
(30cm位)  9:10頃
 ツツジ群生地への分岐道        9:
10頃    

展望地からの富士山    9:10頃






植林された杉林の中を行く    9:25
頃    
  水場近くの新しくなった祠(奥宮祠と
書かれている) 9:35頃
                    中腹にある水場       9:35頃                         
登山口に近い登山道    9:55頃







 
梨ノ木平の駐車場(右にある車は昨
晩から止められているようである)
10:00頃









行程:梨ノ木平登山口(午前3:20発)→水場(4:00)→ツツジ群生地分岐(4:30)→百蔵山への分岐(5:00)

  →山頂(5:15着〜8:40発)→百蔵山への分岐点(9:10)→水場(9:35)→登山口(10:00着)




使用カメラ:OLYMPUS E-M1   FINEPIX F1000EXR






1月31日 牛奥ノ雁ヶ腹摺山


 前日は関東甲信でも降雪があり、大月の山にも新雪が加わって雪景色の撮影チャンスが巡ってきた。今回は霧氷と富士山を撮影出来ればと願い牛奥ノ雁ヶ腹摺山を訪れることにした。
  山頂までの所要時間は積雪量と雪質によって左右されるため、現段階ではそれが掴めない状況である。従って平地での積雪量から推測せざるを得ないが、昨日の降雪量は数センチ程度で比較的少なかったことから山での降雪量は20cm〜30cmと想定した。そして、所要時間を自分の体力を踏まえ多めに見積もり、4時間半を行程に組み入れた。
  すずらん荘先の閉鎖ゲートに到着したのは午前1時30分。天空は満天の星空。西の空には月齢11日のほぼ丸い形をした月が明るい光を放っている。風もなく気温は高めに感じる。積雪量も10cm程度で思ったよりも少なく感じる。山頂まで標高差約600m、山頂までの積雪量が多くなければと願いつつ登山準備に取り掛かる。
  閉鎖ゲートを2時に出発。日川林道の西尾根登山口までは以前からのルートで行くことにしが、日川林道に取り付く最後の部分は昨年開通したルートを使うことにした。暫く幅4m位の木材の運搬道路を歩くが積雪量は登るにつれ増えている。
  登山口到着は3時10分、ほぼ予定通りの時間である。日川林道にも20cm程度の積雪がある。登山道に入るとクマザサは雪の重さで倒され登山道が広がったと錯覚を起こす。ある程度想定されていたことであるが、登山口に近い木製の階段を登る箇所がはっきり確認出来ず、登りきった所で階段があったことに気が付いた。やはり積雪量は想定したよりも多くこれから先が思いやられる。
  登山道は通常積雪があっても多少の窪みと空間の広さで判断付くが、西尾根に限ってそれが当てはまらない。元々、本コースは無雪期でも途中から登山道の確認がしづらく、道標となるピンク色のテープに頼ることになり、特に夜道では分かりにくい。不安ながらも勘を頼りに山頂を目指す。所々でピンクのテープを探しながら先に進む。
  積雪は徐々に深さを増し歩行が捗らない。登山口を出発して1時間30分。未だ中腹ぐらいであるが、少なくとも5時頃に尾根のピークに着かないと日ノ出前に山頂を踏むことが出来ない。時間的にやや焦りを覚える。場所によっては膝上10cmとなる積雪深で埋まった足を持ち上げるのが難しく先に進むことが困難となった。ここまで来て富士山を撮らずに帰るのは心残りになると思い、少なくとも富士山の見える西尾根の稜線まで行こうと云う気持ちを強く持った。
  視界のある稜線に出たのは6時40分、登山口から3時間30分掛かった計算になる。丁度日ノ出時間を迎えていたが富士山の朝焼けは殆ど見られない。富士山頂は雲が渦巻き荒れ模様。稜線は体が揺らされる程の強風で、60cm以上の積雪の中、撮影準備が中々捗らない。10分後にやっと撮影に漕ぎ着けた。−10℃下の強風はかなり厳しい。また、凍傷のことが頭に浮かぶが撮影に集中するとそれを忘れる。今回は指先の痺れが始まったことを認識し白金懐炉で凍傷に罹るのを回避した。
  稜線の撮影場所は前面が急峻に落ちている。下から雪を舞って強風が吹き上がってくる最悪の場所で足場もかなり悪い。これより150mほど先に尾根のピーク点がありそこまで場所を移動しようと思ったが、50m進むのに15分以上掛かることを思うとその気力も失せていた。
  9時に稜線の撮影場所を後にする。下山は登ってきた自分の足跡があるため道を外すことはない。車を置いたゲートに戻ったのは11時30分。午前2時にゲートを出発し9時間30分が過ぎた。山の積雪量を推測するのは難しく結果的に無謀な登山だったと認識しているが、何事もなかったことに安堵している。

 
今日の富士山

 

今日の富士山山頂は強風が吹き荒れていたようで渦巻くような雲が見られた。日ノ出時間に朝けは殆ど見られなかった。

日の出時間帯の富士山             6:50頃    





強風吹き荒れる富士山頂          8:00頃

 
 
 
 
 
 
 

 



登山道の状況

 積雪:稜線→約60cm・稜線を下った所→70cm以上・中腹→60cm〜40cm・登山口→30cm〜20cm    ゲート付近→15cm〜10cm。中腹から稜線までは歩行出来る状況にはなかったため、多大な時間を要した。稜線から山頂までは500mに満たない距離であるが、更なる積雪が予測され自分の体力では到底行き着くことが出来ないと思われた。  

撮影地点の西尾根稜線(登って来た
側)  撮影時は雪を巻き込んだ強風
に晒された  

 同左(山頂側)         画面
右側は急峻な傾斜で落ち込んでいる

撮影地点から展望した       甲
府側              

甲府盆地には雲海も確認出来る




以下写真はハマイバ山頂から湯ノ沢峠へ下る経路で撮影したもので時間を追って並べてある



稜線を急斜面で下る箇所(ピンクの
道標あり)  9:05頃  


稜線を下った所にある大きな岩石。
重い雪が枝に載り頭を垂れてい
る       9:10頃

膝上を超えている積雪(オレンジ色の
ものは膝までの    スパッツ)  



所々にある登山道案内標柱  9:55






西側に貼り付いた雪(強風を物語って
いる)  10:10頃

 

登山口近くの木製階段(120段ほどあ
る長い階段)は雪で隠されている 
10:20頃    

日川林道取付の西尾根登山口 ( 昨
年秋に登山口を示す案内標が設置さ
れた )      10:25頃


日川林道 ( ガードレールの下側が隠
れるぐらいの積雪 ) 10:25
頃                      




県道に下る登山道案内板 10:30
頃      


県道へ下る登山道        10:35


すずらん荘先のゲート      11:30頃





       行程:すずらん荘先のゲート(午前2:00発)→西尾根登山口(3:10)→西尾根稜線撮影地点(6:40着〜9:00発)

                                                          →西尾根登山口(10:25)→ゲート(11:30着)


                                         使用カメラ:OLYMPUS E-M1   FINEPIX  F1000EXR