2012年撮影紀行 NO5




3月14日 九鬼山

 

 富嶽十二景の山を満遍なく訪れようと年間の予定を立てているが、富士山の撮影しやすい山にどうしても偏りを生じてしまう。逆に撮影しづらい山とはどのような山なのだろうか?現在、暫定の山を含め20の山が大月市で制定されているが、何れの山も美しい富士山が展望できることに変わりはない。しかし、単に展望する上では気にならないことでも、写真となると現状が全て写り込み不要なものが残ってしまうことである。そうなると不要なものを構図から外したり、別の物で隠したり細工が必要で表現の幅が制限されることにつながる。そして、このような状況がある場合に撮影しづらい山という位置づけになるのかも知れない。個人差もあると思われるが、今回は撮影がしづらいと云われている九鬼山を訪れ、願わくはこのような問題を払拭できればと撮影に臨むことにした。
 中央高速の上野原ICで降り、県道35号線で上野原市秋山を通り現地に向かう。新雛鶴トンネルを抜け都留市に入ると、周辺の木々は白く雪を被っている情景が目に入る。道路は多少濡れている状態で雪はない。昨晩降ったとものと思われるがこの雪は予想外だった。この分だと山頂付近はそこそこ積もっているかも知れないと、撮影意欲が沸々と湧いてくる。今回も登山コースは愛宕神社コースを登り杉山新道コースを下山することにしている。
 午前3時、杉山新道入口の空き地に車を止める。ここは道路用地と思われるが、1台ほど置けるスペースがあり他の交通の妨げにはならないという判断で、いつもここに車を止めている。周辺は雪で覆われているが、やはり道路には殆どない。短時間に降ったと見られ、道路の舗装部分は昼間の日差しで暖められていたため直ぐに融けたものと思われる。
 天空を仰ぐと雲が多く、切れ間から所々で星が望めるが、山頂から富士山の姿が見られるかどうか微妙な所である。気温は-2℃、風がないため寒さは感じない。
 3時30分山頂に向かい出発する。愛宕神社前を通過しコースに入るが、5cmほどの積雪がある。湿気が多い雪で、登山靴の底に付きやすく時々落とさないと歩きにくい。登るに連れ積雪が増える傾向のようである。登山道脇の枝や草木にも雪が付き頭を垂れているため、ストックで雪を落としてからでないとまともに雪を被り冷たい思いをする。
 4時25分、池ノ山への分岐点を通過する。暫く平坦な道を進むが、やがて杉林の中に切られた急斜面の登山道に入る。ここからは凍結した根雪の上に5cm〜10cmの新雪が載っている状態で滑り易い。アイゼンを装着した方が無難であるが、急斜面で付けにくいため装着せずに山頂を目差す。滑らないよう慎重に登ったため、時間は掛かったが撮影場所である富士見平には4時25分に到着する。既に明るみを帯びているが、雲の多い天気で富士山の姿は見ることができない。気温は-3℃、風はなく寒さはそれ程感じない。積雪は10cm〜15cm、周辺の木々には重そうな雪が付き、枝が撓んでいるのが分かる。前面の杉の木にも雪が付き、富士山が姿を現せばこれが副材として一役買いそうである。取りあえず撮影準備し、富士山が現れるのを待つことにする。
 今日の日の出は5時50分頃であるが、時間になっても雲が多く日の差す気配は感じられない。少し諦めの気持ちになったが、5分程経過すると、なんと南の雲が紅く色づき、雲の切れ間から、紅く染まった富士山の中腹が見えだしたのである。急速に変化する光景に思わず目を見張り、空かさずシャッターを切る。日の出から30分後には雲は殆どなくなり、雪を纏った真っ白な富士山が眩しく目に焼き付く。前面の雪が付いた杉の木にも朝日が当たり、富士山にレイアウトしシャッターを惜しみなく切る。暫くすると一度は取れた雲が再び発生し、富士山は姿を隠すことになる。撮影も潮時と思い下山準備に取り掛かる。時間と共に気温も上がり木々に付いた雪も融け始める。
 8時30分山頂を後に、杉山新道を下山し、9時55分には登山口に到着する。今回は思いも寄らぬ雪景色に出会うことができラッキーだった。そして、撮影しづらい状況を雪が手助けしてくれたような気がする。山頂では1人のカメラマンと、杉山新道を下山中に3人1組の登山者と出会った。



今日の富士山


日の出15分後に紅く焼けた富士山が姿を見せる      6:05
頃    





雪の付いた杉の木の遠方に佇む 7:45頃












登山道の状況


 昨晩降った雪は登山道にも5cm〜10cm超える積雪があり、特に愛宕神社コースの中腹ぐいからの急斜面では凍結した根雪の上に新雪が積もり滑り易い状況にある。できればアイゼンを装着した方が安全である。雪質は湿気が多く登山靴の底にくっつき、時々靴底から落としながら歩かなければならないため時間が掛かる。また、雪の重みで草木や枝が垂れ下がり登山道を塞いでいる箇所があり、雪をストックなどで落としてからでないと冷たい思いをしなければならない。
 杉山新道は南側斜面のため根雪はなく全般に斜面は緩く滑ることは殆どない。アイゼンを装着しなくても問題ない。

 

以下写真は山頂から杉山新道コースを下山する時に撮影したもので時間を追って並べてある。


山頂(15cmほど雪が積もって いる)
       8:30頃  

山頂直下の下山道    8:30頃

枝木に着いた雪玉  8:30頃  
富士見平の標示板    8:30頃




富士見平から愛宕神社コースの下山
道      8:30頃    

リニヤモーターカー展望所か ら俯
瞰      8:45頃

弥生峠                9:00頃  
杉山新道コース(雪の重みで枝が垂
れている)  9:15頃








あばら沢出合(上流側を見る)    
   9:45頃  

杉山新道登山口(この右側に車を置
いてある) 10:00頃




 


行程:愛宕神社コース入口(4:40発)→池ノ山分岐点(4:25)→山頂と富士見平(5:35着・8;30発)

→弥生峠(9:00)→あばら沢出合い(9:45)→杉山新道登山口(10:00着)



 


                                             使用カメラ:  ・OLYMPUS EP-2   ・FINEPIX F300EXR






3月7日 百蔵山


  ここのところ雨が続いたが、当日7日の天気は晴れの予報が出されている。この日は予想気温がかなり高いため、標高のある山では雲海が見られる可能性がある。そこで、今回は標高1003mの百蔵山から雲海上に佇む富士山を狙うことにした。
 午前3時40分、和田美術館先の空き地に車を止める。来る途中、車の中から西の空に“おぼろ”げな満月が見えたが、ここでは霧が発生していて、今日の天気がどうなるのか心配である。気温は5℃を超え風がなく、この時期にしては暖かい。気温の予想は当たったようである。
 東コースの登山口を4時に出発する。湿気が多く昨日降った雨で登山道も湿り気を帯びている。暫く登ると汗が流れ出し体温上昇による蒸気と湿気で眼鏡が曇る。霧が収まる気配はなく視界は悪くなる一方である。4時50分尾根鞍部に取り付く。冷たい風の恩恵を受け汗の出が少し押さえられるのは有り難い。ここから山頂までは緩やかな尾根道が続き、それ程体力を使わず登ることが出来る。
 5時10分、山頂に到着する。霧で辺りの様子は分からないが、既に明るみを帯びている。霧に動きが見られ、そのうち晴れ間が覗くだろうと撮影準備を始める。暫くすると北側の視界が開け、一面雲海の情景が目に入る。南側も徐々に視界が広がり雲海と近隣の山々が見え隠れする。暫くこの様な状況が繰り返され、未だ日の出前であるが、霧の中に一瞬、影の薄い富士山が雲海上に姿を現す。カメラに収めようとシャッターを3枚切ったが、あっという間に姿を消す。北側もまもなく霧に閉ざされ再び視界がなくなる。続いて南側も同様になくなり山頂は霧中状態になる。
 日の出時間が過ぎても状況に変化はなく、その内、霙が降りだし雨に変わる。2台のカメラに防水シートを掛け暫く様子を見るが、雨の止む気配はない。天気予報が外れたのか、標高1000mの予報は対象外なのか良く分からないが、一向に雨は止まず、機材を片付け9時10分、山頂を後にする。
 下山途中で雨は止み、霧も取れたが、途中の展望所から富士山の姿は見られない。登山口には10時に到着。気温は高く、厚い雲に覆われ、今日の天気は視界の悪い曇り空である。山頂で1人のカメラマンと下山途中、男女2名1組の登山者と出会った。



今日の富士山






日の出前に一瞬影の薄い姿を見せたが、直ぐに姿を隠した
         5:55頃











登山道の状況


 霧や雨で登山道は濡れていたが、特に滑ることはなく泥濘も殆どない。北斜面には少々雪が残っているが、登山道や山頂には全く見受けられない。


 山頂の様子(霧が立ち込め見通し が悪
い)      7:45頃


同左                  8:00頃

山頂から下る登山道        9:20頃





山頂から続く尾根の鞍部(左が登山口方面)
9:30頃

途中にある富士山展望所(富士山は雲の
中)  9:40頃  


檜林の間を行く登山道     9:50頃





檜林の間を行く登山道     9:50頃  (地面に
は新芽が顔を覗かせ           春はもう近
い )





登山口近くの沢を横断する箇所  10:00頃


登山口の空き地            10:05頃










                            使用カメラ: OLYMPUS EP2  FINEPIX F300EXR