2012年撮影紀行 NO3




2月18日 大蔵高丸・ハマイバ


 大蔵高丸・ハマイバへは富士山と雪景色を撮影するため積雪期に訪れることが多く、今年は十二景の山も全般に積雪量が多い。このため例年に比べ登山時の運動量が多く、今回も前日に降った雪が厚さを増していると思われ、閉鎖ゲートから山頂までの時間の予測が難しい状況である。
 今回はゲートから焼山沢林道を暫く歩き、途中から焼山沢の登山道へ入り、湯ノ沢峠〜大蔵高丸〜ハマイバへと向かう予定である。富士山撮影は大蔵高丸で日の出時間帯に行い、その後ハマイバへ移動することにしている。
 焼山沢林道のゲートを午前2時45分に出発。日の出は6時25分頃、6時に到着できれば御の字であるが、雪の状態によっては難しいかも知れない。林道は20cmほどの積雪で、昨日降った新雪が5cmほど乗っている状態である。林道には轍がありこの部分は滑り易いため雪の部分を歩く。風は殆どないが、相当冷え込んでいるようで息を吸うと鼻の中がチリチリする。天空は星空で一杯。文句なく天気は良さそうである。
 焼山沢の登山口には3時45分に到着。これから湯ノ沢峠まで沢伝いを歩くことになるが、雪の状態が心配である。積雪は30cm位と思われるが、以前のトレース跡があり登山道は比較的分かり易い。所々熊笹の生い茂った箇所があり、雪で頭を垂れ、分け入ると頭からザックの上に全て雪が載り非常に歩きにくい。ザックカバーの装着とフード付きのヤッケに着替えれば良いのだが、面倒なので首の間から入る冷たい雪を我慢しながら先に進む。所々沢を横断する箇所があるが水は流れているものの縁は凍結し、うっかり載ると氷が割れ、足は水の中にドボン。登山靴の中にジワジワと水が染みこんでくる。暫くすると沢の中腹の登山道を歩くが、雪庇に注意しながら危険回避のためなるべく山側を歩くことにする。
 湯ノ沢峠には5時25分に到着。予定より20分ほど遅れての到着である。雪がなければ山頂まで40分で楽勝であるが、この雪では少なくとも1時間以上掛かりそうである。日が昇ってからでは折角のチャンスを逃してしまうのではと、焦りを感じる。休む間もなくピッチを上げ山頂を目差す。
 お花畑に出ると、暗い中にも広々とした白い平原が見渡せ、東の空には有明月が細い顔を覗かせている。遮るもののなく強風が吹き荒れ、雪は飛ばされそれ積雪は少ない。風が体の中を通り抜け寒さは絶頂である。全力でお花畑を越えるが、登りに入ると北斜面のため積雪が多く思うようにピッチが上がらない。
 大蔵高丸山頂には6時20分に到着。日の出5分前、富士山頂には未だ朝日は差していない。何とか間に合ったようである。強風で気温は-15℃、体感温度は更に低いが、防寒具を着る時間もなく急いで場所決めと準備を終わらせ撮影に入る。
 東に雲があるため富士山に光が入ったのは6時30分を少し過ぎてからである。富士山の色付きは少なかったものの、周辺の木々には霧氷や雪が付き、花を咲かせ綺麗な場面を切り取ることが出来たようである。
 7時20分、山頂を後にハマイバへ向かう。途中、2箇所で撮影を行い、ハマイバ山頂には8時35分に到着。山頂は視界がないため、南へ少し下った登山道の西側斜面と東側斜面で撮影を行う。
 十二景の山でハマイバのパノラマ撮影が未だなく、今回、展望の開けた東側斜面で行うことにした。ピーカンだった富士山も9時を過ぎた頃からあちこちに雲が発生し始めた。強風は収まったが、富士山頂は荒れ模様。雪が舞っているようで鮮明だった富士山も時間と共に抜けが悪くなってきた。
 やや長居をしたが、11時にハマイバを後にする。湯ノ沢峠の避難小屋で昼食を摂り、難儀した焼山沢を下り、ゲートには15時10分に到着。今日は登山者に出会うことはなかったが、到着後、狩猟者と思われるが、ゲートの鍵を開け1台の車が進入して行った。



今日の富士山


今朝は-15℃と冷え込み、霧氷など華やかな情景も見られた



    大蔵高丸山頂から            6:50頃
   
       ハマイバへの中間点         8:20頃







登山道の状況


 積雪状況は林道が平均20cm位。日当たりの良い所は1部無い箇所もある。焼山沢登山道は平均30cm位。湯ノ沢峠付近40cm位、その先のお花畑は平均20cm位。これを過ぎ大蔵高丸に掛けては平均40cm位。大蔵高丸〜ハマイバに掛けては1番多く40cm〜50cm位。1部60cmを超えている所もある。  
 焼山沢登山道の傾斜はきつくないが倒木や雑木が多く歩きにくい。笹藪が多く、雪がある場合この通過は雪をもろに被りフードのある雨具が必要である。水量の多い沢は所々表面が凍り、迂闊に載ると割れて足を突っ込むことになるため注意が必要。沢の中腹を歩く箇所は、雪庇に注意が必要である。


以下写真はハマイバ山頂から下山時に撮影したもので、時間を追って並べてある



ハマイバ山頂  11:10頃 


山頂近くの登山道   11:15頃

ハマイバ〜大蔵高丸間     11:30頃
(この付近が最も雪が深い

大蔵高丸からの富士山12:00頃 (雪が
強風で舞っているようで富士山が霞んで
見える)






 大蔵高丸山頂 12:00頃
雪の湯ノ沢お花畑  12:30頃
お花畑と白谷丸     12:40頃
お花畑と大蔵高丸   12:40頃








湯ノ沢峠分岐点  12:50頃   


湯ノ沢峠の避難小屋 12:55頃


湯ノ沢峠の駐車場    12:55頃
避難小屋の中 13:20頃 (利用者は居
なかったが、小屋の中は綺麗に掃除さ
れている )







小屋近くの焼山沢登山道           13:25頃      


沢の水面に出来た氷の造形     14:00頃
沢沿いの登山道 14:10頃   (焼山沢
登山道はこの様な笹藪が多い)


焼山沢登山道入口  14:25頃





  焼山沢林道       14:25頃

 


  林道ゲート            15:10頃







       行程:焼山沢林道ゲート(午前2時45分発)→焼山沢登山口(3:45)→湯ノ沢峠(5:25)

                →大蔵高丸(6:20着・「撮影」・7:20発)→途中撮影2箇所(7:40〜8:20)→ハマイバ

               (8:35着・「撮影」・11:00発)→大蔵高丸(11:55)→湯ノ沢峠(12:50着・「昼食」・13:25発)

                                                                            →焼山沢登山口(14:25)→焼山沢林道ゲート(15:15着)



 

                                         使用カメラ: OLYMPUS E-P2     FINEPIX F300EXR







2月10日 高畑山


  昨日の清八山に引き続き今日は高畑山を訪れることにした。昨晩は富士吉田の道の駅で車中泊したが、その前に山中湖でダイヤモンド富士を撮影した。大勢のカメラマンが湖畔沿いに横1列に並ぶ姿は圧巻である。特に太陽が山頂のど真ん中に乗る撮影地点にはカメラマンが集中し三脚を立てる余地がないほどである。始めにこの撮影地点を特定するのは難しく、ある程度太陽の沈み込む軌跡を想定しながら右か左かを判断し、間際に撮影位置を決めるといった状況である。結果的に山頂ど真ん中のダイヤモンド富士が撮影出来た。
  高畑山へはいつも通り秋山無生野側の登山口から穴路峠を通り山頂を目差すことにした。北に向かう林道終点が登山口となり、ここまで車の乗り入れが可能で、2台ほど車を置けるスペースがある。
  午前4時10分、登山口を出発する。暫くすると岩や石のゴロゴロした穴路沢を歩く箇所があり、ヘッドランプの灯りでは情報不足で歩きにくい。渇水期でも水量がありこの時期に転倒すると大変なことになる。沢を抜け出すと杉や檜の植林された間の登山道に入る。所々に僅かながら残雪はあるものの滑ることはない。時折、木々の間から寝待月(満月から4日目)の月明かりが見え隠れする。植林帯のため星空を確認することは出来ないが、今日も天気は良さそうである。
  穴路峠には4時55分に到着。峠は風の通り道になっているため、風当たりが強く登りで掻いた汗がスーッと引き、急激に身体が冷やされ寒さを強く感じる。これより山頂までは尾根歩きが続き、天神山を越え、緩やかなアップダウンを繰り返しながら最後に山頂直下の岩の露出した急斜面を登り切ると高畑山である。
 山頂には5時40分に到着。既に天空は明るみを帯び、東の空は雲が多いものの赤く色付いている。そして富士山は今日も真っ白な姿を見せている。
  日の出時間は6時35分頃であるが、時間を過ぎても富士山に中々光が入らない。東の雲が朝日を遮っているからであるが、7時を少し過ぎた頃にやっと光が入る。山頂の上空には吊し雲のようなものが現れ、これに少し色付きを見せたが、富士山が赤みを帯びることはなかった。
  今回、撮影場所を山頂から100m程穴路峠側に移して行った。この場所は最近杉の木を間引きしたようで、山頂より僅かながら視界は広がり、撮影がし易くなった。
  富士山上空の雲にも大きな変化は見られず撮影を打ち切り8時に下山を始める。登山口には9時40分到着。今日は珍しく下山時に単独登山者2人と出会った。




今日の富士山


今日は残念ながら朝焼けはみられなかった。


吊し雲が現れる               7:15頃





登山道の状況


 秋山無生野から入るコースは利用する人が少ないようで、登山道はあまり踏まれた状態ではない。特に杉林や檜林を通過する箇所はこれらの枝が散乱しやや歩きにくい。しかし、登山道はしっかり付けられているため道に迷うことはない。このコースの途中、穴路峠は西に高畑山、東に倉岳山、そして、北には大月市猿橋に下る道の分岐点になっている。
 穴路峠より高畑山へは尾根歩きとなり雪は殆ど残っていない。峠より5〜6分程で天神山に到着する。山頂からは北側の展望が良く、猿橋の街並や中央本線の新桂川橋梁、そして、その延長線上には百蔵山のドッシリとした山容が良く見渡せる。
 高畑山への最後の登りは岩の露出した急斜面でハードであるが、距離が短いためそれ程大きな負担にはならない。





高畑山山頂          7:10頃 



山頂付近の登山道   8:20頃

岩が所々露出した山頂直下の急斜面      8:35頃

天神山からの俯瞰 8:55頃(猿橋の街、中
央本線の新桂川橋梁、百蔵山が良く見渡
せる )

  
              





穴路峠                   9:05頃 
穴路峠近くの登山道  9:10頃
檜林に切られた登山道            9:05頃 岩や石のゴロゴロした    穴路沢         9:30頃





林道終点の無生野側登山口



          行程:登山口(4:10発)→穴路峠(4:55)→天神山(5:05)→山頂(5:40着・8:20発)

                                →天神山(8:55)→ 穴路峠(9:00)→登山口(9:40着)


 



                                     使用カメラ: OLYMPUS EP-2  FINPIX F300EXR