2012年撮影紀行 NO2






2月9日 清八山


 最近、晴天にも関わらず、鮮明な富士山を見られる機会が少なくなったような気がする。以前は冬になるとかなり遠くからでもハッキリした富士山を望むことが出来たが、最近は富士山に近い場所からでも視界の良くない日が多くなった気がする。温暖化による気候変動の影響や、中国からの黄砂など、空気中の水蒸気や塵などの粒子が、視界を悪くしている原因と思われるが、富士山までの距離が遠くなれば条件的に悪くなり、近ければ近いほどクリヤーな画像が得られると考えられる。そこで、今回は富士山までの距離が24.3kmと十二景の山で最も近い清八山を訪れることにした。
  今回も笹子追分から南に向かう道路に入り登山口に向かう。変電所を通過し橋を渡ると林道に進入するが凍結雪で車がスリップし、これ以上進むことが出来なくなった。止むなくここに車を置き登山口まで林道を歩くことにした。
  雪面は凍結し滑り易い状況のため最初からアイゼンを装着し、午前3時30分、駐車場所を出発。風は殆どなく、西の空には居待月(満月から3日目)が煌々と輝き、辺りを明るくしている。気温は-8℃とかなり冷え込んでいるが、それ程寒さは感じない。林道には雪が30cm以上あり、表面は堅く凍り、時折ズボッと足が潜り込み歩きにくい。
  林道を20分ほど歩くと登山口に到着し、暫く植林帯の小高い丘を登り山道に入る。積雪は少なくなり比較的歩きやすい。中腹にある展望所(休憩所)を4時40分に通過。この付近から雪は徐々に多くなり始めるが、時折足が潜る程度でそれほど雪道に対する負担は掛からない。
 清八峠には5時35分到着。既に天空は明るみを帯び、夜明けが大分早くなったことが感じられる。ここまで来ると山頂まで僅かである。
 5時45分山頂に到着。気温-12℃、風がやや強く、耳がちぎれるほど痛い。東の空は赤みを帯び夜明けの準備に取り掛かっているが、南には真っ白な富士山が鮮明な姿を見せている。周辺に雲は見られないが、山頂付近は雲が渦巻き荒れている様子が窺える。
 日の出時間は6時35分頃。今日は朝焼けが見られるだろうか?東の空はやや赤味が少ないように思われるが・・・。西の空には大きな居待月が南アルプスの山並みの中に沈み込もうとしている。日の出時間をやや遅れて富士山頂に朝の光が差し込むが、朝焼けは殆ど見られないまま日は昇った。今日の富士山は久々に鮮明な姿を見せてくれた。そして、山頂付近は雲が立ち上がり、烈風吹き荒れている様子が見える。朝焼けの富士山は期待外れであったが、厳冬のクリヤーな富士山を切り取ることが出来た。
 9時に山頂を後にする。この時間には風も治まり気温も上昇。明るい暖かな日差しを受け、春はそこまで来ていることが窺える。
 駐車場所に着いたのは10時50分。今日は誰とも出会うことは無かった。



今日の富士山


山頂は烈風で荒れ模様           6:55頃


登山道の状況


 笹子側からの登山道は全体的に北に面し、雪が長い期間残っているため、根雪は厚く積み重なり、氷状に形成されている。表面はツルツルで大変滑り易い。中腹の展望所位までは比較的雪は少ないが、これを越えると徐々に厚さを増し、清八峠では30cmを超えている。根雪の上に積もった雪も凍結しているため、滑り易く、アイゼンの装着は必要である。


居待月の南アルプスへの月没直
前       6:30頃      

清八山山頂           7:00頃
以下写真は下山時に撮影したもので
時間を追って並べてあ
る。
                               清八山
より本社ヶ丸の山容   9:00頃

山頂直下の登山道   9:15頃








清八峠(30cm以上の          雪があ
る)      9:20頃  

峠近くの登山道       9:25頃
中腹の休憩場所)               9:50
頃  

登山口の登山者カード       提出
箱       10:30頃








 
林道終点より南側を望む 10:35頃
橋を渡った駐車   10:55頃  










                行程:駐車場所(3:25発)→登山口(3:45)→休憩場所(4:40)→清八峠(5:35)→山頂(5:45着・9:00発)

                                                        →清八峠(9:20)→休憩場所(9:50)→登山口(10:30)→駐車場所(10:50着)


                 


                                                                                         使用カメラ:    OLYMPUS EP-2    FINEPIX F300EXR







2月2日 川山


  高川山は昨年7月に訪れてから半年以上経つが、真冬に訪れるのは4年ぶりである。この時、雪はなく高川山の雪景色は今回が初めてである。
  ここのところ冬型の気圧配置が続き東北地方や北陸地方では大雪となっている。十二景の山でも1月中旬以降に降った雪が未だ残り寒さも大変厳しい。今日の天気予報も引き続き晴れで、紅富士を見ることができればと願うところである。
  中央線初狩駅東側のアンダーパスを通過し、林道に入るが20cmほどの雪が未だ残っており、表面は凍結し滑り易い状況になっている。途中、右に曲がる上り坂のヘアピンカーブで車がスリップし前進不能となった。坂の下にバックで戻り、勢いを付けて2回目にやっと登り切ることはできたが、FFやFRの乗用車では厳しかったかも知れない。
  登山口近くの空き地に車を止めたのは午前3時50分。残雪が20cmほどの厚さで積もり、表面は凍結していて踏むとバリバリ音がする。この分だと登山道は滑り易くなっている可能性が高く、安全のためアイゼンを持参することにする。
  4時10分、登山口を出発する。今回は男坂コースを登り、女坂〜玉子石コースを下山する予定である。男坂コースの登山道に入ると雪は登山者に踏まれているため、雪に足が潜ることなく歩き易い状況である。また、圧雪された雪は凍結しているが、表面はざらついているため滑りにくい状態が保たれている。
  男坂、女坂の分岐点を4時35分に通過。男坂コースの最後の登りはキツイが、滑ることなく登り切ることが出来た。合流点を5時10分に通過し、最後の登りに入る。数年前には高川山の名物犬“ビッキー”がこの付近まで迎えに出てくれたが、今は叶わず淋しい気持ちである。
  山頂には5時30分に到着。日の出時間は6時40分頃で、日の出の最も遅い時期より10分ほど早くなった。この時間から既に明るみを帯び、立春も間近で何か春の訪れを感じる。気温は−8℃。風は殆どなく寒さは感じない。暗い中にも富士山の姿は良く見えるが、山頂付近は雲が渦巻き荒れ模様の様子が窺える。東の空には雲は殆どなく、今日は朝焼けが期待出来そうである。日の出まで暫く時間があるので、久々にバルブ撮影をする。日の出時間の6時40分には富士山頂に朝日が差し、薄いピンク色に変化が始まる。徐々に染まる範囲が広がり、6時50分頃にはクライマックスに達する。山頂の渦巻く雲の色づきはやや不足気味だが、刻々と変化する場面をカメラに収め、久々に気持ちの良い撮影をすることが出来た。
  その後、山頂からのパノラマ撮影をし、8時30分下山を始める。女坂コースの玉子石コース分岐点までは雪は少なく、所々に地面が露出している。女坂から玉子石コースに入ると、北向きの斜面となるため雪の量は多くなる。
   9時10分、車の止めてある空き地に到着。今日は登山中に誰とも出会うことはなかったが、林道を車で下る途中で、5〜6人のグループ2組とすれ違った。高川山は初狩駅から近いこともあって訪れる人が多いようである。





今日の富士山


富士山頂は雲が渦巻き荒れ模様である。


日の出前の富士山            6:10頃      
日の出直後                6:50頃



山頂と登山道の状況


 山頂に立つといつも通りビッキーがフッと現れるような気がしてならない。岩の上にビッキーが横たわり富士山を眺めている姿が思い起こされる。2010年10月6日この世を去り、早いもので1年4ヶ月が経ったことになる。思い出の誌は山頂の箱の中にそのまま収められている。今年10月の命日には追悼登山を行うつもりである。
 山頂からの眺めは素晴らしく、富士山は勿論、西〜北方面には雪を被った十二景の山々も展望でき、次に登る山の選別ができる。
 登山道も登山口と変わらず20cm程度の積雪がある。しかし、登山者が多いためか登山道の中央部は圧雪され、凍結して滑り易い状態が考えられたが、雪の表面はザラ付きがあり、それほど滑るといった悪い状態ではない。但し、気温が上昇すると滑り易くなる場合があるため、アイゼンは持参した方が良い。
 今回は下山時のみアイゼンを使用したが、登りでも滑り易い箇所や、気温の上昇や時間帯によって変化するので適宜使用した方が良い。



高川山山頂より西〜北方面の展望(十二景の山がたくさん見える)     8:05頃撮影





川山山頂     8:30頃        




山頂直下の登山道            8:35頃




女坂コースの登山道(雪は少ない)      8:50頃


女坂コースから玉子石コースへの分岐点    9:00頃     左方面が玉子石コース。前 方は女坂コース下山方向



玉子石コースの登山道(北斜面で雪が多い)   9:00頃    


雪の重みで木が傾き登山道を塞いでいる    9:10頃


玉子石コースの舗装された林道(雪が多い)   9:20頃


男坂コースとの分岐点         9:30頃


   登山口近くの駐車スペース             9:35頃    

登山口の駐車スペースから望む滝子山の雄姿           9:30頃






行程:登山口(4:10発)→男坂・女坂分岐点(4:35)→男坂・女坂合流点(5:10)→山頂(5:30着・8:30発)

  →男坂・女坂合流点(8:40)→玉子石コース分岐点(9:00)→登山口(9:30着)


                                                                    ・登りは男坂コース

                                                  ・下山は玉子石コース



                                           使用カメラ: OLYMPUS-EP2   FAINEPIX F300 EXR